本年度WMC (ワールド・マジック・カップ) の日本代表を決める年一イベント、WMCQ。
その一発目ということで、大阪の地へと遠征してきました。
■ デッキ選択
今大会のフォーマットはスタンダード。翌週にも【グランプリ・台北2016】を控えている関係で、ここ最近はもっぱらスタンダード漬けでした。
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】を制した「緑白トークン」が以降も安定した成績を残しつつも、【グランプリ・東京2016】では「ナヤコントロール」が優勝し、【グランプリ・コスタリカ2016】では「白黒コントロール」、SCG Openは「白赤人間」が連覇と、あらゆるデッキが可能性を示しています。
何が勝ち組となり得るかを考えていく中、GP東京からコンスタントに勝利を重ね続けるTeam Cygames・【渡辺 雄也さんの「バント人間カンパニー」】が目に止まります。
3大会連続の好成績は本人の強さもさることながら、デッキの強さに間違いがないことの証明であり、賭けてみるだけの価値があると判断。翌日丸っとコピーしてぶっつけで参加したPPTQを通過し、早速デッキの強さを実感することができました。
細かなシナジーや効率的な手順の発見など、プレイしていて非常に楽しいデッキでもありました。
6 《平地》 3 《森》 1 《島》 3 《大草原の川》 2 《梢の眺望》 4 《進化する未開地》 4 《要塞化した村》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《ラムホルトの平和主義者》 4 《サリアの副官》 3 《薄暮見の徴募兵》 2 《白蘭の騎士》 4 《不屈の追跡者》 4 《反射魔道士》 -クリーチャー (25)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 2 《オジュタイの命令》 -呪文 (10)- |
3 《否認》 3 《グリフの加護》 2 《棲み家の防御者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《大天使アヴァシン》 2 《石の宣告》 1 《白蘭の騎士》 -サイドボード (15)- |
リスト自体は渡辺さんがGPコスタリカで使用したものをベースに、サイドボードに数枚の変更を加えています。
主に「白赤人間」とのマッチアップに比重を置いていて、《悲劇的な傲慢》ではケアできない《グリフの加護》による負け筋を埋められる《大天使アヴァシン》を採用しました。
《グリフの加護》は単発の除去に対して耐性がありますが、《大天使アヴァシン》であれば継続的に飛行をシャットアウトできます。
《薄暮見の徴募兵》を変身させることで1ターン早くプレイでき、《悲劇的な傲慢》よりもインパクトを与えるターンが早いのもポイントです。
《石の宣告》も同様に人間デッキを見た選択で、先手1ターン目から2ターン目にかけて1マナクリーチャーをばら撒く動きに対して勝率が非常に悪かった点を踏まえ投入しました。
2マナクリーチャーの壁を立てるだけでは除去をプレイされた場合一気に押し込まれ、《アクロスの英雄、キテオン》が絡んでいるケースでは立て直しが利きません。
ばら撒かれた1マナの中で同名ボーナスが得られた際には、勝利に直結するレベルのテンポを得られる可能性もあります。
その他人間型・非人間型問わず同名カードの並びやすいバントカンパニーのミラーマッチでも強く、《変位エルドラージ》を直接触れたり、サイズで盤面のイニシアチブを握る《サリアの副官》を対処できる点が有用です。
コントロールデッキにも《ゲトの裏切り者、カリタス》《保護者、リンヴァーラ》《龍王シルムガル》《不敬の皇子、オーメンダール》と危険なクリーチャーは存在するため、安定しない《ドロモカの命令》と差し替えます。
■ 当日
東京から大阪に向かうのは初めての経験です。
変な話ですが、東京に来てから2か月が経つにも関わらずあまりその実感がありませんでした。新幹線で地元名古屋を通過したとき「あぁもうこの街には住んでいないんだなぁ」と哀愁を感じていました(笑)
これまでよりも長い時間列車に揺られて大阪に到着。
練習もしましたし、リストにも納得がいっています。
成果を上げたいところですが、結果は……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 白緑トークン (【グランプリ・名古屋2016】優勝・平見 友徳さん) | 〇〇 |
Round 2 | 赤緑トークン | ×〇× |
Round 3 | ジャンドコントロール | 〇〇 |
Round 4 | 白緑トークン | ×〇〇 |
Round 5 | ナヤコントロール | 〇〇 |
Round 6 | 白赤人間 | 〇〇 |
Round 7 | 白赤人間 (【グランプリ・東京2016】準優勝・鈴木 和茂さん) | 〇×× |
Round 8 | 青赤ウラモグ | 〇〇 |
Round 9 | バントカンパニー (Hareruya Pros・高橋 優太さん) | ×〇× |
6-3!全然ダメ!
R2の赤緑トークンは《搭載歩行機械》《飛行機械技師》《ピア・ナラーとキラン・ナラー》を《アタルカの命令》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》でサポートするデッキです。
1ゲーム目を色マナ事故で落とし、2ゲーム目を奪い返したところ、3ゲーム目は《ニッサの誓い》→《森の代言者》→《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》→《搭載歩行機械》×2→《進化の飛躍》のブン回りを受けて瞬殺されてしまいました。
R7は先のGP東京で見事準優勝された鈴木さんがお相手。
実はこの方昨年のWMCQトップ8の際にも対戦し、敗れています。この大一番で雪辱を果たしたいところではありましたが…叶わず。
3ゲーム目、狙い通り相手の《グリフの加護》付きクリーチャーに《大天使アヴァシン》を直撃させることができたのですが、それを《石の宣告》され数ターンの膠着が発生。
その間《薄暮見の徴募兵》を起動し続け15枚掘り下げたのですが、盤面を打開する《サリアの副官》《不屈の追跡者》《反射魔道士》は1枚も見つけることができませんでした。
《グリフの加護》で残りのライフを詰められ、最後は《溶岩の地割れ》まで決められて敗北!
ここで2敗となり目無しではありますが、意地で続けた最後のR9は【Hareruya Pros】の先輩、高橋さんとマッチング。
接戦の2ゲームを終えて1-1で迎えた3ゲーム目、膠着時の決め手として1枚だけ入れていた《グリフの加護》がマナフラッド下で見事に腐って敗北。
序盤の攻防では尋常ならざる弱さであるため、お茶目が過ぎました。
■ 反省
GP台北には今大会の反省を踏まえたチューンナップしたデッキを持ち込む予定だったのですが、根源的な部分でいくつか迷いが生じてしまいました。
1つは青マナの事故。
デッキの構造上青マナが出づらい点は仕方がないのですが、《反射魔道士》のプレイ可能ターンは勝敗に多大な影響を及ぼしていて、今大会ではこの事故で敗北に結び付くケースが何度かありました。
先手の場合は《白蘭の騎士》が機能しづらいので一層青マナに困りますし、先手だから押し込みたいのにそれができない、もどかしい事態が起きています。
2つ目は純正バントカンパニーとの差別化について。
僕は純正のバントカンパニーを一度もプレイしたことがなかったのですが、最終戦で高橋さんと対戦した際、デッキパワーにそれほど差はないと感じました。
同カラーリングながらも序盤の白マナのしがらみがない分スマートな動きを実現しており、繰り出されるパーマネントも一つ一つクリティカル。
また対戦の内容に関して、1ゲーム目で《集合した中隊》連打に押されながらもなんとか踏みとどまり耐えていたものの、こちらには特に逆転のプランがなく、粘った末の着地点がないことも気がかりでした。
その点相手側の《変位エルドラージ》は輝いて見えましたね。
3つ目は今大会の結果。
今大会トップ8には4名のバントカンパニーデッキが入賞しました。
そしてその内訳は純正が2名に人間型が2名。
これだけで見ればまだ五分ですが、各々のスコアにまで注目すると前者は8-0-1と7-0-2、後者は両名ともに7-1-1。
誤差の範疇と言えばそれまでですが、たかが1敗されど1敗。ここ最近のマジックは1敗の重みが大変大きな意味合いを持っています。
そして、会場を見渡した限りでは純正のバントカンパニーはほとんど見かけませんでした。割合に対する上位進出率は純正が圧倒的だったと思います。
人間型の感触もそれほど悪いわけではないのですが、感じたことをきちんと反映するならば純正への乗り換えが道理です。
帰りの新幹線の中では、2つのデッキが頭の中をぐるぐると渦巻いていました。
GP台北に続く。
原根
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