By Kenji Tsumura
8月に行われた「PTQ『タルキール覇王譚』」突破、「グランプリ神戸2014」トップ32入賞など、勢いに乗っている松本 悠希(東京)。今年はモダンフォーマットでの活躍が目立ったが、「エターナルフェスティバル2013」トップ8入賞経験などを垣間見るに、レガシーフォーマットにも苦手意識があるとは思えない。仕様するデッキは「オムニテル」と呼ばれるコンボデッキだ。
対するは神奈川の杉山 雄太。こちらは「YMC」などで腕を磨く、レガシーを主戦場とするプレイヤーだ。”環境で最もアグロなデッキ”と自身が評する「エルフ」デッキを手に、「レガシー神 挑戦者」の称号を狙う。
残念ながら松本がデッキリストの不備によるゲームロスから始まることとなった準々決勝。杉本がそのまま押し切るのか。それとも松本が劣性を跳ね返すのか。
松本 0-1 杉本
Game 2
先手はもちろん松本。1本目はゲームロスによる決着だったため、どちらもサイドボーディングをすることはなく2本目に挑む。
ともに7枚の手札をキープした両者。松本が《沸騰する小湖》から《島》を導き、そこから《定業》へと繋げれば、杉本は《霧深い雨林》から《Bayou》、そして《緑の太陽の頂点》をX=0で《ドライアドの東屋》をサーチと、「エルフ」デッキらしいスタートを切る。
返す刀で松本は《燃え立つ願い》をキャストし、デッキの核である《実物提示教育》を手札に加えてターンエンド。
対戦相手のデッキが「オムニテル」だと判明した今、杉本にできることはいち早く対戦相手を葬り去るのみだ。しかしながら、エルフデッキが本領を発揮するには、まだまだマナもクリーチャーも足りない。《ガイアの揺籃の地》の力を借り、このターンは《エルフの幻想家》2体をキャストするにとどまる。
松本は「ファイレクシアマナ」を利用した《ギタクシア派の調査》を。杉本の手札に《孔蹄のビヒモス》と《緑の太陽の頂点》が潜んでいることを把握した上で、《思案》から3枚目の土地を置いてターンを返す。
ここで杉本が大きく動いた。《遺産のドルイド》が通ったことを確認すると、今度はX=6での《緑の太陽の頂点》。X=6?この不思議な数字の答えは《自由なる者ルーリク・サー》に他ならない。
それを知ってか松本は《渦まく知識》と1点のライフをコストにピッチで《Force of Will》。そう簡単にゲームの主導権を渡さない。
次のターンに松本が4マナに到達するため、杉本は《燃え立つ願い》からの《紅蓮地獄》の恐怖と直面することとなった。2枚目の《ドライアドの東屋》をセットするか少し悩んだものの、結局はこれをセットし、次のターンの《孔蹄のビヒモス》に全てを賭ける構えだ。
幸いにも、松本は《島》をセットしただけでターンを終えた。そう、松本の手札に《燃え立つ願い》はなかったのだ。
これを受け、杉本は当初の予定通りに《孔蹄のビヒモス》をキャスト。《Force of Will》されなければ、悠に20点を超えるダメージが入る。
これだけは絶対に通せない松本。《孔蹄のビヒモス》がスタックにある状態で、《時を越えた探索》で解答を探す。そして《時を越えた探索》を解決した後、松本は《全知》をコストに《Force of Will》で《孔蹄のビヒモス》を打ち消す。
松本 悠希 |
杉本の手札には《自然の秩序》も控えているため、まだまだゲームの行方は分からない。だがそう思ったのも束の間、松本はおそらくは《時を越えた探索》で手に入れたであろう1枚のカードをキャストする。
すなわち《燃え立つ願い》からの《紅蓮地獄》。
先ほどまで10マナに近い数のマナを生み出していた杉本の戦場は、一転して《Bayou》と《ガイアの揺籃の地》が残るのみに。《死儀礼のシャーマン》からの立て直しを図るが、ここで松本が満を持しての《実物提示教育》!
松本が戦場出したのは歴代最強のクリーチャーと名高い《引き裂かれし永劫、エムラクール》。杉本も《再利用の賢者》を戦場に出し、続くターンに《自然の秩序》からの《孔蹄のビヒモス》での一発逆転を試みるが、すり減ってしまった杉本のクリーチャー陣にとって、松本のライフはあまりにも遠かった。
《孔蹄のビヒモス》を含む3体での攻撃を《引き裂かれし永劫、エムラクール》に止められると、返すアタックで杉本の戦場は綺麗に「滅殺」されてしまったのだった。
松本 1-1 杉本
《思考囲い》、《陰謀団式療法》といった定番の手札破壊に加え、《輪作》からサーチできる《Karakas》もサイドインする杉本。《ワイアウッドの共生虫》&《エルフの幻想家》という長期戦向けのカードをサイドアウトし、最終戦に挑む。
対する松本は《燃え立つ願い》用に多くの枠を取っていることもあり、大幅な変更はないようだ。
Game 3
杉本はノーランドの7枚をマリガン。6枚の初手も土地が《ドライアドの東屋》しかない悩ましい手札だが、渋々これをキープ。松本は7枚の手札をキープし、いよいよ最終戦の幕が上がる。
杉本 雄太 |
杉本が《ドライアドの東屋》で静かにターンを終えると、松本は《沸騰する小湖》→《Underground Sea》からの《思考囲い》を。杉本の手札から《死儀礼のシャーマン》を奪い去り、《再利用の賢者》、《垣間見る自然》、《窒息》、《自然の秩序》を残す。
待望の《新緑の地下墓地》を引き込み、杉本は《ドライアドの東屋》でアタックしてターンを返すが、松本は2枚目の《思考囲い》で杉本に追い打ちをかける。これで《自然の秩序》をディスカードさせ、返すターンの《窒息》もしっかりと《Force of Will》で打ち消すと、またもや《実物提示教育》からの《引き裂かれし永劫、エムラクール》がゲームに幕を下ろした。
松本 2-1 杉本
ゲームロスという難題を見事に乗り切った松本。やはりコンボデッキ対決における《Force of Will》の強さを、そして松本の好調っぷりを示すかのようなゲーム運びだったが、はたしてこの勢いはどこまで続くのか。残る2戦にもぜひ注目してほしい。