EU圏のプロプレイヤーたちが一斉加入を果たした衝撃が記憶に新しいHareruya Prosだが、今回はさらなるビッグニュースをお届けしよう。
「Play the game, see the world.」の体現者にして、2011年度マジック・プロツアー殿堂顕彰者でもある伝説的人物。
日本を代表するトッププロプレイヤーである彼が、このたびHareruya Prosに電撃加入を決めた。
その人物の名は――
中村 修平(東京)。
あの「なかしゅー」こと中村 修平がHareruya Prosへの加入を決めたのだ!
グランプリ優勝回数は歴代1位タイ(いずれもリミテッドグランプリでの優勝)。昨シーズンの【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】でもトップ8入賞を果たし、今なお第一線で活躍を続ける古豪だ。
あまりにも衝撃的な、そして熱狂的なニュース。
その決断の裏にある中村の思考についてインタビューを行った。
■ 選択 -Opt-
--「まず一番気になる質問から。中村さんは、なぜHareruya Prosに加入されることに決めたのでしょうか?」
中村「うーん……シンプルに言うと、プラチナが取れなかったからですかねぇ」
--「たしかに昨シーズンの成績を見ると、プロポイント48点と非常に惜しいところでプラチナレベルを逃してしまいましたね」
中村「ゴールド以下だとプロツアーの参加報酬がありませんから、なかなかプロマジックをし続けるのは厳しいわけです。だから、どうしようかなと考えていたところにトモハルからオファーを受けまして」
--「渡りに船、といったところですか」
中村「と言いますか、まず自分の中の決め事が2つあって、ひとつは“航空券をもらっているプロツアーには参加する”ということ。もうひとつは“プラチナレベルが維持できなければマジックを辞める”ということだったんだけど、実は航空券だけならゴールドレベルでももらえる(※1)んですよね」
--「プラチナレベルではないからマジックを辞めるはずが、航空券は支給されるからプロツアーには参加するということですか」
中村「まぁ、そういうことです。ジレンマですよね。ついでにいうとプロツアーに出るからには勝ちたいですし、勝つためには準備が必要になります」
--「そこでHareruya Prosに加入することで、それらの問題がクリアされるというわけですか」
中村「そこまでロジカルな理由ばっかりじゃないですけどね(笑) 日本のプロチームがこれからどうなっていくのか、間近で見てみたくなったというのもあります。“ここ”からだったら、よく見れそうじゃないですか」
※1 航空券: プロプレイヤーズクラブのゴールド/プラチナレベルにはプロツアー参加のための航空券が支給される。中村は現在ゴールドレベルなので2016-2017シーズンに開催される全てのプロツアーの航空券が支給される。
■ 老練の探険者 -Veteran Explorer-
--「中村さんといえば以前は『Channel Fireball』で活動されていたと思うのですが、そこではどういったポジションだったのでしょうか?」
中村「『Channel Fireball』とはかなり緩い関係だったので、基本的に外様でしたね。プロツアー前だけ集まって合宿に参加させてもらったり、たまに記事を寄稿したり……ああ、あとは5マナ3/5バニラ(※2)でいじられたりね(笑)」
--「話は脱線しますが、《スレイベンの純血種》は『異界月』ではゾンビになっていましたね」
中村「なっちゃいましたねぇ。けっこう気に入ってたんですけど、残念です」
スレイベンのワンワンが… pic.twitter.com/Q6ftqh2P4a
— shuhei nakamura (@Nakashu_) 2016年7月10日
--「そんな『Channel Fireball』での活動をはじめ、世界を股にかけて活躍する大ベテランの中村さんですが、お好きなフォーマットなどはあるのでしょうか?」
中村「リミテッドですね。単純に得意だからというのもありますけど、荷物が少なくて済みますから」
--「荷物ですか。中村さんらしいといえばらしい、ですかね」
中村「いやいや、冗談抜きで荷物が少なくて済むのは大事ですよ。構築のグランプリに参加するときはギリギリまでサイドボードのカードを迷ったり、時にはデッキごと変えたりすることもあるから大量のカードを持って行くわけです。これがたとえば1ヵ月グランプリをハシゴする……しかも、それぞれ異なるフォーマットのグランプリに参加するときなどは荷物の量も結構バカになりません」
--「言われてみればたしかに。世界中を旅している中村さんだからこそ出てくる理由ですね」
※2 5マナ3/5バニラ: 《スレイベンの純血種》のこと。「Channel Fireball」でのドラフト合宿中、カードパワーの低いこのクリーチャーを2枚入れたデッキで3勝したことでメンバー(主にLuis Scott-Vargas)からよくネタにされるようになったという逸話がある。
■ 古老の熟達 -Elder Mastery-
--「ここまでで中村さんの人となりがなんとなく伝わってきたところで、次はHareruya Prosでの活動についてお伺いしたいと思います。ズバリ、Hareruya Prosで何かやってみたいことなどはありますか?」
中村「もう僕もロートルですからね、ご意見番として細々やっていきたいです。退役軍人みたいなものです」
--「あの、もうちょっとほかに何かないでしょうか……」
中村「冗談ですよ。自分で言うのもなんですけど、僕けっこう面倒見はいい方だと思ってるので。やる気も熱意もあるけどまだ実績はない、みたいな若いプレイヤーを応援していきたいですね」
--「なるほど。ご意見番というよりはアドバイザーみたいな感じでしょうか」
中村「そんな感じです。マジックを長く続けていると、プレイングやデッキ選択みたいなもの以外にも様々な壁があるわけです。そういう壁の超え方とかマジックとの向き合い方とか、そういう自分の経験してきたことを人に伝えるのが好きなんですよ」
--「他には何かありますか?」
中村「そうですねぇ……旅行記とかやってみたいなーと思ったり思わなかったり」
--「かつての『なかしゅー世界一周』みたいなものでしょうか?」
中村「まぁ、そういったものになるのかな。そもそも需要あるのかどうかすら分からないですが、どうなんですかね? 今のところは予定は未定ということで」
--「実現を楽しみにしています。最後に、現役のプレイヤーとしての抱負などはありますか?」
中村「うーん……一番難しい質問だ(笑) 強いていうなら“マジックを続けること”です。引退詐欺みたいなことを繰り返してきてしまいましたが、結局マジックが好きだからこれだけ続けているし、最初に言った通りプロツアーに出るなら勝ちたい。グランプリは……出たくなったら出ます(笑)」
--「ありがとうございました。これからのご活躍に期待しています!」
新たなる超大型メンバーを迎え、Hareruya Prosの進化は止まらない。
世界に向けて挑戦を続ける【Hareruya Pros】と、心強いベテラン・中村 修平のことを、ぜひこれからも応援よろしくお願いします!
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