先日のプロツアー『異界月』を終えたことで、2016-2017年シーズンの幕開けとなりました。
今シーズンは【3年計画】に定めた勝負の年。
初っ端の【プロツアー『カラデシュ』】には何としてでも出場したい!
プロツアー『カラデシュ』の参加権利が発生する大会は、このRPTQ(プロツアー地域予選)と翌週の【グランプリ・広州2016】のみとなっており、残されたチャンスはごくわずか。
両イベントとも参加しますが、時期が近く双方の練習をこなすのは困難。期待値を考慮し、練習のウェイトはスタンダードに寄せ切ることを決めました。
決意してRPTQへ。
■ デッキ選択
RPTQのフォーマットはスタンダード。
スタンダードのプレイは【グランプリ・台北2016】以来となり、それほど昔の話ではないものの、新セット『異界月』販売の前と後の環境は全くの別物です。
《約束された終末、エムラクール》《呪文捕らえ》を始めとした強力なカードが多数リリースされ、スタンダード環境には大きな変化が訪れました。
当然これらは【プロツアー『異界月』】でも大活躍。この結果を踏まえ、RPTQに向けたデッキを考えていくことに。
まず仮想敵として、【プロツアー『異界月』】以降のメタゲームを引っ張っていくであろう、同大会の【トップ8リスト】をチェック。
分かりやすい指針であり、確かな実績を持つこの結果を参考にする人が大半のはずです。これらのデッキ同士がどういった戦いを繰り広げるのか、プロツアー配信録画を繰り返し確認。ゲームを決定づけた要因や各マッチアップの相性などを書き留めながら、判断材料を蓄えていきます。
その中で最も目に留まったのは、チャンピオン・Lukas Blohonの駆る《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の圧倒的支配です。
「バントカンパニー」を除くほとんどのデッキはギデオンに対する有効な解答がなく、多くのマッチアップで決定打として機能していました。
まずはここから、ということで「《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を使う」をテーマに、プレイするデッキの選定を開始します。
Lukasの【白黒コントロール】のサイドボードのギデオンをメインボードに昇格させたり、「バントカンパニー」に組み込んだり、全く新しいデッキに挑戦したり…。
色々と試行錯誤する中、現状の最善と思わしきデッキを見つけました。
「緑白トークン」です。
前回の【プロツアー『イニストラードを覆う影』】以降、その後のトーナメントを席巻し続けた同デッキは、今環境でも成果を挙げていました。
3枚積まれた《悲劇的な傲慢》が特徴的なリスト。当時はデッキの強さ云々よりも「『バントカンパニー』というデッキはここまでさせるか」と言う見解の方が強かったように思いますが、「緑白トークン」もやりようによっては強化された「バントカンパニー」を打ち崩すことのできる存在である、という認識を得ました。
このリストから調整をスタートし、マジックオンラインにひたすら潜り続けました。
プレインズウォーカー連打の動きがコントロール相手に滅法強く、流行りの「現出」デッキや「昂揚」デッキには面白いように勝てました。
しかし、環境最大勢力である「バントカンパニー」への勝率は思わしくありません。
《無私の霊魂》《呪文捕らえ》ら飛行クリーチャー群が早々にプレインズウォーカーにプレッシャーを与え始めてしまうため、《悲劇的な傲慢》で逆転できる範疇を超えてしまうのです。メインから採用された《悲劇的な傲慢》はそれなりに話題になりましたし、相手側に余裕があるとケアも簡単ですからね。
この問題を解決するべく、序盤のブロッカーに《首絞め》を採用。「到達」で上記飛行クリーチャー群を睨み、「パンプ能力」で《ドロモカの命令》の除去に耐性ありと、対「バントカンパニー」を見る上ではベストに近い能力を持っています。
その他、「昂揚」や「バーン」に対する序盤のアタッカーとしても有用で、最終ターンのオールインや《狩猟の統率者、スーラク》との噛み合いなど、特殊なマッチアップでスピード感を持たせるのにも貢献してくれます。
同じような役割を《毅然さの化身》でもこなせるのですが、《停滞の罠》を使いたかった関係で緑のダブルシンボルを嫌い、《首絞め》にしました。《停滞の罠》は《約束された終末、エムラクール》に対し極めて優秀な解答で、「プロテクション(インスタント)」を潜り抜けて、相手ターンに除去が可能であり、敢えてプレイさせることで、逆に詰ませてしまうこともできます。
細かなチューンを終えて完成したのは以下のリスト。
練習の場を求めて、【第7期スタンダード神挑戦者決定戦】へ。試作版ということであまり結果は期待していなかったのですが…。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 緑白トークン | 〇〇 |
Round 2 | バントカンパニー | 〇×〇 |
Round 3 | 《地獄の樹》コンボ | 〇〇 |
Round 4 | バントカンパニー | 〇×〇 |
Round 5 | 白黒コントロール BIGs 光安さん | 〇〇 |
Round 6 | バントカンパニー 今大会優勝者 梅木さん | 〇×〇 |
Round 7 | バントカンパニー | 〇×― |
Round 8 | 黒単エルドラージ | 〇〇 |
Round 9 | ID | ‐ |
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | 白タッチ赤人間 | ×× |
思いのほか勝つことができて、7-0-2で予選を1位通過。
準々決勝はノーマークの「人間」デッキに事故も合わさって一瞬で敗北しましたが、その「人間」デッキを除いた1ゲーム目を全て先取しており、デッキのポテンシャルの高さを感じました。
急ごしらえのサイドプラン(なんとなく使えそうなものを詰め込んだだけ)がイマイチだった関係で、2ゲーム目の勝率が低く、この点を改良して本番であるRPTQへと持ち込むことを決めました。
■ RPTQ
その後の練習でも、メインボードの勝率は相変わらず高かったため、サイドボード後のゲームプランを見直し。
ちょうどこの時、【Team Cygames】の覚前 輝也さんから「なんかいいデッキないの?」と聞かれたので、「激押しです!」との言葉を添えてリストをシェアしました。そこから2人で意見を交わしつつ、以下の変更を実施。
《進化の飛躍》は純正のコントロールデッキ相手に素晴らしい活躍を見せるものの、《約束された終末、エムラクール》入りのものにはサイドインできません。(《首絞め》と《搭載歩行機械》はプレイングミスを犯すのに最適な存在です。)
「白黒コントロール」に対してのみ有効ですが、それならばもう少し受けの広いコントロールメタを用いようということで、《棲み家の防御者》に変更しました。
また現在のコントロールデッキは「昂揚」デッキが主流のため、アドバンテージゲームよりも序盤~中盤にかけた押し込みの方が有効と分かり《巨森の予見者、ニッサ》を廃止。使い勝手の良かった《不屈の追跡者》3枚目と、《棲み家の防御者》と相性の良い《石の宣告》に変更しました。
最後に増え過ぎた除去の枚数を調整。《石の宣告》採用と合わせて《停滞の罠》を減らし、《空への斉射》は一度も欲しい場面が訪れなかったので廃止。対「バントカンパニー」用に追加の《悲劇的な傲慢》3枚目を、第7期スタンダード神挑戦者決定戦で敗北を喫した「人間」と、直近の【グランプリ・ポートランド2016】で結果を残した「《悪魔の契約》コンボ」用に4枚目を用意しました。
いよいよ本番のRPTQ。久々に好感触で臨める大会に気持ちの昂ぶりをおぼえていました。
勝ちたい!勝たせて…!
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 青赤エルドラージ | 〇×〇 |
Round 2 | 赤緑昂揚ランプ | 〇〇 |
Round 3 | バントカンパニー | ×〇× |
Round 4 | バントカンパニー | 〇〇 |
Round 5 | 赤黒バーン 本大会権利獲得者 菅谷さん | 〇×× |
Round 6 | 白単人間 | 〇〇 |
Round 7 | バントカンパニー | 〇×〇 |
が…駄目っ…!
5勝2敗の12位。ボーダーは5勝1敗1分だったのでかすりもせず。
Round 3
1ゲーム目の勝率の高さが売りのデッキで、「バントカンパニー」相手にもほとんど負けたことがなかったのですが、一手足らずで惜敗。少し強気に詰めに向かい、《ドロモカの命令》でも《反射魔道士》でも勝ちで、《集合した中隊》経由の《反射魔道士》2枚だけダメかな?と思っていたら《変位エルドラージ》でブロッカーを2体退かされてしまい敗北。それまで1体もプレイされておらず、《荒地》も無かったので難しい読みでした。
3ゲーム目も相手の残り1枚の手札がよほどのものではない限り大丈夫だろう、と詰めに向かったところで「よほどのもの」である《大天使アヴァシン》が降臨し、敗北。
マッチを通し、想像力が足りていない!!
Round 5
【グランプリ・北京2016】の覇者であり、シルバーレベルプロ・菅谷さんが対戦相手。使用デッキはここ最近MOでもよく見かける「赤黒バーン」。
1ゲーム目を先取し、MOでも1度も負けたことがないマッチアップだったので意気揚々と2ゲーム目以降に臨むものの、《首絞め》に《自傷疵》、《狩猟の統率者、スーラク》に《集団的抵抗》、その後《騒乱の歓楽者》しながらの「マッドネス」と、「赤黒バーン」というデッキの真価を遺憾なく発揮され瞬殺。
2ゲーム目3ゲーム目ともにピッタリ焼き切られてしまい、1枚でも《ドロモカの命令》をドローできれば……と悔しい戦いでした。上記展開に加え《保護者、リンヴァーラ》まで決めたにも関わらず、その上から本体火力だけで焼き切られてしまいました。
次期スタンダードでは《ドロモカの命令》がなくなる一方、この「赤黒バーン」には『タルキール龍紀伝』『マジック・オリジン』のカードが少ないので、今後のスタンダードでよく見掛けるデッキになりそうです。
久々に自信をもって臨めた大会でしたが、無念……。
そしてその一方でリストをシェアした覚前さんは見事大阪RPTQ予選を突破!
RPTQのTOP4が決まりました。
— アノアデザインのmtg@和泉府中 (@anoadesign_mtg) 2016年8月21日
今回、プロツアーの権利を得たのは、
カクマエ テルヤさん。
ババ ヤスノリさん。
ヨシカワ ヒデノブさん。
シミズ ナオキさん。
おめでとうございます!!#mtgjp #RPTQ pic.twitter.com/gGuwZF7wNW
おめでとうございます!と同時に悔しい!
更に同大会では「緑白トークン」がもう一名権利を獲得していました。最近ずっと続けている「正解デッキを選ぶことにこだわる」という目標は比較的上手くいっているように思いますが、その後が及ばないことばかり。
冒頭にも記しましたが、今週末の【グランプリ・広州2016】がラストチャンスです。モダンの練習は切ってしまっていましたが、今こうして合間に記事を書きながら、ひたすらMOに潜り続けています。
今はただやれるだけのことを…。
それではまた次回。
原根
この記事内で掲載されたカード
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