これが僕らの「Masterpiece」

高橋 純也


※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


 いよいよ発売日まで2週間を切った最新セット『カラデシュ』は待望のプレビューウィークを迎えた。これに伴い収録されるカードの情報が【『カラデシュ』 カードイメージギャラリー】にて続々と明かされはじめている。

 スチームパンクな世界観に沿った美麗なイラスト。新しいキーワード能力が記された独創的なカード。どれもこれも見ているだけでワクワクしてくる。

 先日の記事にて紹介された《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》もイメージギャラリーを彩る1枚として並んでいる。




 どうやらこの赤銅色の巨人は「サイクルカード」らしく、各色に《機械巨人/Gearhulk》がいるようだ。こうした「サイクルカード」には、かつて一世を風靡した《原始のタイタン》を筆頭とした「タイタンサイクル」があった。彼らは当時のスタンダード環境を支配することになったが、今回の《機械巨人/Gearhulk》が同様の活躍を見せるかどうかは楽しみだ。




 『搭乗』という新しいキーワード能力をもつ《機体/Vehicle》たち。




 もちろん我らが主役のプレインズウォーカーも健在だ。

 話題の中心にはチャンドラがいるそうだが、ニッサもなかなかにぶっ飛んでいるカードに見える。ストーリーの核心にいるサヒーリ・ライもなかなか癖の強い能力を持っているが、3マナのプレインズウォーカーというだけで活躍の機会は訪れるに違いない。

 このように魅力的なカードにあふれる『カラデシュ』への期待はパンパンに膨らみ、今月末の発売日を今か今かと待ち遠しく思っていたのだが、9月13日の早朝、ついにこの期待感は最高潮に達した。



 なんと【MASTERPIECE SERIES: KALADESH INVENTIONS】なる記事が公開されたのだ。





 「Masterpiece Series」というと、昨年の『戦乱のゼンディカー』における「Zendikar Expedition」が記憶に新しい。数枚の例外を除いて、過去の人気カードを新イラストと特殊な枠で再録された。その美しいデザインと希少性(144パックに1枚!!)から大人気だった企画だ。




 昨年だけの気まぐれかと思いきや、なんと今年の『カラデシュ』にも「Masterpiece Series」がやってきた。気になるテーマはInvention……つまりは発明品だ。『カラデシュ』の世界観らしく、大人気のアーティファクトたちが装いを新しく登場している。



「Kaladesh Invention」収録カード一覧

《激変の機械巨人》
《奔流の機械巨人》
《害悪の機械巨人》
《Combusible Gearhulk》
《新緑の機械巨人》
《霊気の薬瓶》
《勇者の兜》
《彩色の灯籠》
《金属モックス》
《雲石の工芸品》
《世界のるつぼ》
《魔力の篭手》
《搭載歩行機械》
《稲妻のすね当て》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《魔力の櫃》
《精神の眼》
《オパールのモックス》
《絵描きの召使い》
《ブライトハースの指輪》
《巻物棚》
《彫り込み鋼》
《太陽の指輪》
《真面目な身代わり》
《静態の宝珠》
《鋼の監視者》
《饗宴と飢餓の剣》
《火と氷の剣》
《光と影の剣》



 以上が「Masterpiece Series: Kaladesh Invention」として収録されるカードリストだ。「Masterpiece」とされるだけあって、どれもが傑作、お宝感に満ち溢れている。どれでもいいから欲しくなってしまうほどの出来栄えだが、本音を言えば、”自分にとっての一番”が欲しいはずだ。

 願うだけならばタダだろう。近くにいた数人に、一番欲しい「Masterpiece」。

 つまりは「あなたにとってのMasterpiece」を尋ねてみた。



◆ Hareruya Pros 中島 主税の場合


《オパールのモックス》《鋼の監視者》が欲しいです。僕はよく『親和』を使うので、どれかをいただけるとするなら、この2枚のどちらかがいいですね」




「え?どちらか1枚しか手に入らないとして?うーん。それなら《オパールのモックス》にします。いやいや、お値段が高いからじゃないですよ。これは【プロツアーフィラデルフィア2011】で4位に入賞したときの大事な相棒なんです」


 Hareruya Prosの中島 主税は、思い出深いプロツアーでともに戦った相棒を「Masterpiece」に選んだ。赤単色の《エイトグ》まで採用した一直線の構築は、最速のコンボデッキばかりが揃った黎明期のモダンにおいても恐れられるデッキだった。そんなデッキの最高速を支えていたのが《オパールのモックス》なのだ。

 プロツアーの準決勝まで導いた《オパールのモックス》は、さぞ中島にとって頼もしいカードだっただろう。まさに「Masterpiece」にふさわしい1枚に違いない。



◆ Hareruya Pros 井川 良彦の場合


「一番高いのはどれなの?え、そういうんじゃない?だったら《火と氷の剣》にしようかな」




「これが一番リミテッドで強いはずだからね。僕にとって欲しいカードって、プロツアーのドラフトでパックから出て欲しいカードなんだ。絵が綺麗なものにも惹かれるけど、やっぱり強さが優先されちゃうな。ってことで、喜んで初手でとれる《火と氷の剣》をお願いします」


 お願いされても渡せないのは心残りだが、はたしてHareruya Prosの井川 良彦が選んだ「Masterpiece」は自身が戦う舞台で欲する1枚だった。あらゆるフォーマットを楽しむことで知られるプレイヤーなだけに意外な答えは期待していたが、その想像の遥か斜め上をいく回答には驚かされた。

 だが、プロツアーで戦うプレイヤーとは往々にしてそういうものなのだろう。常在戦場。いかなるパック開封もプロツアーのシミュレーションなのだ。願わくばプロツアー『カラデシュ』で彼の手元に「Masterpiece」があらんことを。



◆ 伊藤 敦の場合


「俺にそれを聞くということは覚悟はできているんだろうな」


 はい。でも、できるだけ楽しそうなの頼みますよ。デッキ作りたいなーとか思えるようなやつをドーンと。


プロツアー京都2009、クソデッキ


 ……やめろ。それ以上は許されない。


3人そろって1勝3敗、マジックの神への感謝(サンキュー)


 やめろぉぉぉぉ!!うわぁぁぁあぁあ!!




「青白がっぽぉぉっぉぉぉぉぉ!!」



伊藤 敦「青白GAPPO」
プロツアー京都09

7 《島》
1 《平地》
4 《アダーカー荒原》
4 《秘教の門》
4 《変わり谷》

-土地 (20)-

4 《エーテリウムの彫刻家》
4 《ヴィダルケンの異国者》
4 《エスパーゾア》
4 《エーテリウムの達人》

-クリーチャー (16)-
4 《謎めいた命令》
3 《バネ葉の太鼓》
4 《他所のフラスコ》
3 《精神石》
3 《彫り込み鋼》
2 《ロクソドンの戦槌》
3 《災いの砂時計》
2 《求道者テゼレット》

-呪文 (24)-
3 《剃刀毛のマスティコア》
3 《流刑への道》
3 《否認》
2 《卓越の印章》
2 《真髄の針》
1 《大祖始の遺産》
1 《災いの砂時計》

-サイドボード (15)-
hareruya






◆ あなたの「Masterpiece」はなんですか?

 このように「Kaladesh Invention」には人の想いが詰まっている。

 中島が過去を想い、井川は未来の望みを見つけた。そして、僕らはトラウマに出会った。

 古今東西のアーティファクトを集めた傑作選「Kaladesh Invention」。

 ここにはきっとあなたの「Masterpiece」も眠っているはずだ。




 美麗なイラスト、精緻な枠組み、そして掛け替えのない思い出。

 そんな「Kaladesh Invention」は今月末に発売される『カラデシュ』に収録されている。

 願わくば、みなさんが思い望んだ「Masterpiece」を手にできますように。


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