中村修平選手が10万PWPを達成するので、どのくらいすごいのか調べてみた。

大久保 寛



 みなさんこんにちは。インターネットのことが大好きな晴れる屋メディアチームの大久保です。

 ところで、Hareruya Prosの中村 修平選手が近々“生涯獲得PWP100,000”を達成されるそうです。


中村 修平


 マジックの歴史に残る偉業ですが、数字が大きすぎてなかなかピンとこないですし、もしかすると「そもそもPWPって何よ?」という方もいらっしゃるかもしれません。まずは順を追って、その凄まじさについて考えていきましょう。



徹底解剖! 100,000とは何か?

100000(十万、じゅうまん、とおよろず、One hundred thousand)は自然数、また整数において、99999の次で100001の前の数である。
【Wikipedia】より引用。



 素因数分解すると「2^5×5^5」、16進法で表記すると「186A0」ですね。10の5乗数でもあります。

 ちなみにみなさんもご存知かと思われますが、日本には10,000円札はあるけど100,000円札はありません。ただし「100,000円硬貨」はあります。


※画像は【独立行政法人 造幣局】より引用しました。


 画像左が「天皇陛下在位60周年記念十万円金貨」、右が「今上天皇陛下御即位記念十万円金貨」ですね。どちらも完全に純金製。

 流通数が多いので希少価値は決して高いとは言えないそうなのですが、近年では金の価値が上昇していることもあって入手しにくくなっているらしいです。


 まだまだ100,000のすごさは止まりませんよ。もっと理解を深めるために、100,000という数字を身近な様々な単位に当てはめていきましょう。




 人。

 まずは100,000人ですね。バチカン市国は言わずと知れた世界で最小の独立国です。一国家の222倍と考えると、100,000という数字の大きさが少しは見えてくるような気がしますね。

 しかしながら、このくらいはまだ序の口と言えるでしょう。




 日。

 100,000日はなんと、およそ273.7年! ここではうるう年までを考慮して1年=365.25日として計算しています。

 天下泰平の江戸時代はおよそ100,000日ほど続いていたということになりますね。




 東京ドーム。

 次は定番、東京ドームです。読売巨人軍のホーム球場であるこのメロンパンのような建物を100,000個集めたときの面積は467,550ヘクタールほど。東京都2つ分の面積を超えています。

 ところで、お恥ずかしながら生まれて初めて「東京ドーム100,000個」「東京都2つ分」という言葉を使いました。今後使う機会はあるのでしょうか。




 ヘクトパスカル。

 ヘクトパスカルという単位、天気予報などで聞き覚えがありますよね? 気圧を表す単位ですが、100,000ヘクトパスカルともなると標準気圧の100倍近いです。

 金星の大気圧よりも高い気圧であり、このくらいの高気圧になると水の沸点は308.03℃まで上昇します。水圧で例えるなら深海1,000mと同程度の圧力。人間は一瞬で肺が潰れてしまうことでしょう。




 マッハ。

 マッハとは音速を1とした単位で、マッハ1=340m/sです。つまりマッハ100,000は音速の100,000倍の速さなので、秒速1億2,240万キロメートルとなります。桜の花びらが落ちる速度の2兆4,880万倍ですね。

 仮に僕(体重60kg)がこの速度で移動したら、発生する運動エネルギーは1秒につき3京4680億ジュール=34.68ペタジュール……およそマグニチュード7.9程度の地震の総エネルギー量に匹敵します。阪神淡路大震災の約10倍ですね。


 100,000という数字のスケール感が掴めてきました。つまり中村 修平選手は1秒間に地球と月を44回往復できるということに……!?(※注:なりません)



プレインズウォーカーポイントって?

 次にPWPについてです。PWPに馴染みがない方がいらっしゃるかもしれませんが、PWPは「プレインズウォーカー・ポイント/Planeswalker Point」と読みます。

 マジックプレイヤーのみなさんはご自分のDCI番号をお持ちだと思います。大会に参加するときなどに必要になる、5~10桁の番号ですね。これを【プレインズウォーカー・ポイント】のサイトに入力すると、ご自身のPWPを確認することができます。


※画像をクリックすると拡大します。


 PCだとこういった画面で表示されます。今回、中村 修平選手が達成するというのは「生涯ポイント」100,000ですね。現在、生涯ポイント自体にトーナメント的な意義はないのですが、自分がどれだけマジックをプレイしているか? という指標にはなるでしょう。ちなみに画像右側の「レベル」にも関わります。

 そして「年間ポイント」はグランプリのBye(不戦勝)やワールド・マジック・カップ予選への参加権利に関わります。よくトーナメントに参加するというプレイヤーの方にとって馴染みが深いのはこの年間ポイント(もしくはプロポイント)でしょうね。

 こちらは「レベル」と「生涯ポイント」の相関を表すグラフになります。




 このように二次曲線を描いています。最高位のレベル50に到達するまでに必要なPWPは50,000であり、仮にそこをMAXとしたときの折り返し地点、25,000PWP到達地点はレベル46です。何かがおかしい。

 今回中村さんが到達された100,000PWPというのは、レベル50に2回到達するという、いうなれば『2周目クリア』といったところです。また、レベル50のプレイヤーは全世界でも46名(※2016年10月6日現在)しかいません。


 ここでクイズです。仮に以下のような設定で100,000PWPを獲得するには、どのくらいの時間がかかるでしょうか?


・FNM(ポイント倍率1倍)に年間52回参加し、他の大会には一切出ない。
毎回必ず3-0しているとする。
・参加者は毎回必ず32名(参加ポイント3点)とする。
・うるう年を考慮する。

※FNM=フライデー・ナイト・マジック。金曜日の夜はぜひ晴れる屋へ!


 答えが分かりましたか?


 正解は約191年と5ヵ月です!

 現在から逆算すると今から191年前、西暦1825年(文政8年)の5月からFNMに参加し続けていれば今100,000PWPに到達するということになります。薩長同盟が江戸幕府を倒して大政奉還が行われ、明治政府を樹立したのが1867年のことなので、それよりも38年ほど昔ということになりますね。




 つまり中村 修平選手は江戸時代後期からマジックをプレイしているということでしょうか……!?(※注:違います)

 「FNMだけで100,000も貯めようとしたらそりゃそうなるだろww」というツッコミが来そうなので補足しておくと、仮に参加者2,048名以上(参加ポイント9点)のグランプリ(ポイント倍率8倍)で毎回15-0(予選ラウンド全勝)し続けたとしても、775.2回参加する必要があります。1年に30回グランプリに参加したとしても26年近くかかりますね。

 もちろん中村 修平選手はプロツアーや世界選手権(ポイント倍率12倍)などにも参加されて好成績を収めていらっしゃるので実際にはそこまで非現実的ではないですが、そのくらいすごいということですね。


 ……いや、そういえばそのくらいグランプリに参加していた時期もあったかも。



そして伝説へ……

 中村 修平選手が打ち立てる金字塔。その偉業の達成を祝し、晴れる屋では「中村 修平100,000PWP達成キャンペーン」を行います!

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 本記事公開時点(2016年10月14日)での中村 修平選手のPWPは99,184と、100,000まではもはや秒読み。あなたはマジックの歴史に未来永劫刻まれるであろうその瞬間の証人となる――!

 また、100,000PWP達成時には中村 修平選手への特別インタビュー記事も公開される予定です! これまでのマジック人生を振り返り、彼は今何を思うのか? 記事の公開をお楽しみに!



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