あなたの隣のプレインズウォーカー ~第27回 君の名はウギン~

若月 繭子

若月 繭子



「ウギンって何なの?」
「ウギンは、ドラゴンだった」 アノワンは言った。「ウギンが今、何なのか。それはわからん」
ウギンは間違いなく、迷惑と苦痛そのもの。ニッサはそう思った。この旅の全てと同じように。

(小説『Zendikar: In the Teeth of Akoum』」 チャプター19より)


 「ウギンって何なの?」
 
 本当に、ニッサと同じようにこう疑問に思っている人は多いかと思います。名前は知っている、聞いたことはあるという人も多いかと思います。そんな「名前と少しの設定しか語られていない」キャラクターを、タルキール大盛り上がりの今日このごろとても頻繁に見かけるようになりました。

 こんにちは、若月です。今回はまだあなたの隣にいないプレインズウォーカー「ウギン」のお話です。過去に散りばめられていた情報を集めつつ、登場しそうな?今後?に備えて、今のうちに予習をしておきましょう!

※本当に登場するという保障はありません
※登場するかどうかは私も本当に知りません




1.未来予知のウギン

 ウギンといえばまず思い出すのは《ウギンの目》。ですが初出はもっと古くて2007年、未来予知の「未来枠」カードの一つである《幽霊火》のフレイバーテキストでした。


幽霊火


《幽霊火》フレイバーテキスト
精霊ドラゴン、ウージンの眼を得た者のみが、彼の炎を見ることができる。


 未来予知はマジックの様々な面の未来を垣間見るセットです。未来予知といえば《タルモゴイフ》なのでしょうが、当時を知らない人でもこのテキストの「プレインズウォーカー」がかなり話題になった(そして多くの人が、実際の強さに気付くまで少しかかった)とは耳にしたことがあるかと思います。私はどうだったのかって? 未来予知といえばヴェンセールよ! 今でも大活躍よ!!そしてご存知の通り、「プレインズウォーカー」のカードタイプはすぐ次のローウィンで登場しました。

 他にも、未来予知にて示された「未来」の形は多種多様です。




 実際に未来にそのまま収録されるカードもあれば、


ナカティルの戦群れ


 そのままの収録でなくとも、未来に舞台となる世界を垣間見せてくれるカードもありました。おなじみアラーラ、ナヤの猫人種族「ナカティル」の名はここが初出でした。


サマイトの守護者オリス黒き剣の継承者コーラシュクローサの拳バルー



 また、未来予知にて登場した「壮大」持ちの伝説クリーチャー達は、「過去に登場した伝説クリーチャーの子孫/後継者」という形の「未来」のカードでした。彼らについては話すと長くなるよ、特にオリスは!いずれウェザーライト・サーガについて語る時が来たら、きっとその時にね!!

 そして《幽霊火》。「未来枠」の他の多くのカードと同じように、当時は謎めいた新ギミックカードの一枚に過ぎませんでした、少なくとも私達の目には。「Ugin/ウージン」、訳もちょっと違いました。

 《幽霊火》未来予知当時の幾つかの記事にも登場していました。例えば2007年4月に公開の「Lexicon of the Future(未来辞書)」という記事にて、「Ugin」という固有名詞は何なのかが説明されていました。


ウギン(名詞)
不可視の炎のブレスを吐く、伝説の精霊ドラゴン。ウギンを崇拝する僧達は第三の目を得て、そのドラゴンの吐息を見る、そして使用する力を与えられる。

(記事より抜粋・訳)


 もう一つ。2007年5月の「How Many Eyes?(目は幾つ?)」という記事では、時の裂け目からウギンが姿を現し、その炎を吐いていましたが、ウギン本人のビジュアルや裂け目の向こうの世界についての記述はありませんでした。

 そのように、未来予知の時点ではフレイバーテキスト以上の情報はほぼ無いと言っても良い状態でした。以来、ウギンの名前が再び出て来るまで私達しばらく待つことになります。


蒸気打ちの親分

「未来予知の話なのにスルーされた……」



ウギンとは何か?(未来予知時点)
・「精霊ドラゴン」
・無色の炎のブレスを吐く
・三つ目の僧達から崇拝されている




2. ゼンディカーのウギン

 そして時は流れてワールドウェイクにて「ウギン」の名前が再登場、続くエルドラージ覚醒にかけてその正体が明かされ始めました。ウギンは古の精霊ドラゴンのプレインズウォーカーであり、謎めいた「エルドラージ」をゼンディカー世界に封印した一人だと。とはいえワールドウェイク当時はその「エルドラージ」とは具体的に何なのかは明かされていませんでした(FAQから「クリーチャー・タイプである」ことは判りましたが)。

 ウギンの名を冠するカードにして初の神話レア土地、《ウギンの目》


ウギンの目



 その「ウギンの目」とは具体的に何なのか? 一言で簡単に表現しますと、「地名」「場所」です。2010年3月に公開されました《狂乱のサルカン》のプレビュー記事「The Eldrazi Arisen」にてわかりやすく説明されていました。


プレインズウォーカー達はゼンディカーのアクーム山脈の地下深く、秘密の場所へと彼らの束縛呪文の力を集中させた。《ウギンの目》と呼ばれる地下空洞へと。エルドラージ達の監禁が破られることのないように、三人は魔法的な鍵で封をした。《ウギンの目》はプレインズウォーカーの灯三つの存在によってのみ、そしてウギン、精霊ドラゴン自身の無色の、不可視の炎によってのみ再活性させられるものとした。
(記事から抜粋・訳)


 「ウギンの目」=「エルドラージの束縛呪文の力を集中させた地下空洞」。同じ記事に、ウギン本人についての多少詳しい説明もありました。


精霊ドラゴンのウギンは、不可視の炎のブレスでエルドラージを攻撃し、無色魔法への知識をもって色を持たないエルドラージの性質とやり合った。
(略)
ウギンの炎はエルドラージ達の反撃を鈍らせ、特別な無色魔法を使用して彼らをその世界へと縛りつけた。
(同じ記事から抜粋・訳)


 無色魔法。確かにそれならば《引き裂かれし永劫、エムラクール》の能力「プロテクション(有色の呪文)」に対処できます。
 ゼンディカー世界のそこかしこに見られる菱形の岩「面晶体」。それは「エルドラージをゼンディカー世界に閉じ込めるための牢獄の柵」だとは第25回記事にて書きました。その役割の通りにウギンの目の内部にはおびただしい数の面晶体が見られます。





面晶体が斜めに傾いて宙に浮いていた。空洞の中央には多くの面晶体が横向きに互い違いに積み重なり、だがそれらは皆、ゆるやかに洞窟の向こう側の通路へと向いているように見えた。まるで、大きな磁石がそれらをその場に引きつけているかのように。
(略)
「この音が聞こえないのか? 奴らが柵の壁を引っかく音だ。何世紀もの間、止めることなく引っかき続けている」
(小説『Zendikar: In the Teeth of Akoum』 チャプター21より)


 そうそう、《ウギンの目》といえば忘れてはいけないものがあります。《真実の解体者、コジレック》のプレビュー記事は誰もが仰天するものでした。

「The Secrets of the Eye(目の秘密)」
http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/arcana/396


 これ、見たことがない人は是非とも一度行ってみて下さい。ページの挙動が何か変だな? と思ったらそれは正しいです。画像中央の面晶体をクリックすると……。なおページ右バナーにいる《コーの火歩き》に注目してみると面白いですよ。

ワールドウェイクエルドラージ覚醒の物語にて、プレインズウォーカー3人と《幽霊火》によってエルドラージの封印の「鍵が開けられ」、そして《ソリン・マルコフ》の制止も叶わず《ニッサ・レヴェイン》によって彼らが解き放たれた。これは過去にも何度か書いてきた通りです。


ニッサ・レヴェイン



 第25回記事にて、ソリンは《ウギンの目》があるアクーム大陸への案内をニッサに頼んだと書きました。そもそもソリンはエルドラージの封印が弱まっているのを感じ取り、その際には再び集合するという古の約束を守ってゼンディカーを再訪したのでした。ですがウギンともう一人、石術師ナヒリの姿はなく、それでも彼はエルドラージを対処するためにアクーム大陸、ウギンの目へと向かいました。……そう、ナヒリ! やっぱり「三人目」はナヒリだったよ!!





 まさかまさかの、統率者2014でのカード化。プレビュー記事「石術師」を読みますと、見た目も能力もすごく……石鍛冶です……。

 さて話を戻しますと、ウギンは一体どうしてしまったのか。生きているのか死んでいるのか。エルドラージがゼンディカー世界に封じられたのは数千年前、すなわち大修復前だろうけど今どうなっているのか。ウェブコミック「ENTER THE ELDRAZI」パート3にて、ニコル・ボーラスが不吉なことを言っていました。


サルカン「ウギン自身が私に語りかけたのです、確かに」
ボーラス「妄想だ、ヴォルよ」
サルカン「何故そのように思われるのです?」
ボーラス「我はウギンの眠る場所を知っておる。我がそこに彼奴を横たえた、そう遠くない昔のことだ」

(ウェブコミック「Enter the Eldrazi」パート3より抜粋・訳)


 この最後のボーラスの台詞なのですが、原文は「Because I know where Ugin lays. I put him there myself, not so long ago.」となっていました。「lay」「put him there」。殺したとも殺してはいないともとれる実に微妙な表現でした。ここでウギンの件は一旦保留、また少しの年月を私達は待ちました。


ウギンとは何か?(エルドラージ覚醒時点)
・古の精霊ドラゴンのプレインズウォーカー
・エルドラージを封印した三人のうちの一人
・無色の炎のブレスを吐く
・生死は不明



 ところでエルドラージ覚醒当時、無色呪文として《幽霊火》の再録を予想した人もいたのではないでしょうか。実は、「再録されなかった理由」がきちんとあります。公式記事「Rise of the Inbox」にて説明されていました。抜粋して訳します。


 我々はエルドラージ覚醒にて奇妙な無色のクリーチャーや呪文を扱うと早くに知っていた。そしてマジックの歴史から、同様の例として《幽霊火》を見た。我々は精霊ドラゴンのウギンと彼の奇妙な「透き通る炎」がエルドラージを制御下におく鍵となる、その神話を紡いだ。
 セットのデザインが進行するにつれて(首席デザイナーのブライアン・ティンズマンに喝采だ)無色呪文は形となり、その結果は《幽霊火》が行っていた事とは非常にかけ離れてしまった。コストに色マナを含み、ルールテキストに「<カード名>は無色である」と書かれるのではなく、無色のコストを持つ呪文をエルドラージが振るうのだ。我々はエルドラージ・カードのために新たな、透けるカード枠を作った。それは未来予知の《幽霊火》の枠とはかなり異なるものだった。
 我々は《幽霊火》をエルドラージの魔法というよりは精霊ドラゴン、ウギンの魔法として考え始めた。共に無色だが、違う理由からだ。ウギンの吐息は無色にすることのできる赤の魔法(多分、邪魔なプロ赤を避けるため)。その反面エルドラージの魔法は生来無色であり、エルドラージの無色の性質に根付いたこの世界にない様式の魔術なのだと。



 つまり、「エルドラージ覚醒の無色呪文は『エルドラージの呪文』であり、《幽霊火》は『エルドラージの呪文』ではないので再録されなかった」のだそうです。ちなみにデュエルデッキ:Knights VS Dragonsでは「通常枠」の《幽霊火》を見ることができます。




 無色枠がやはりちょっとだけROE風味。



3. タルキールのウギン

 テーロスブロックの結末の衝撃冷めやらぬ2014年6月上旬、一本の公式記事が掲載されました。

「プレインズウォーカー達の現状」
http://mtg-jp.com/reading/translated/0010782/

 タイトル通りに、ローウィンで登場して以来数を増やし続けている「カード化されたプレインズウォーカー達」の生死や現況を知らせるというものでした。またこの一ヶ月程前に『タルキール覇王譚』とその宣伝画像《マルドゥの隆盛》でしたね)も発表されていまして、そのアートの雰囲気からアジア的な世界であることと、サルカンが登場することはわかっていました。彼を最後に見たのはモダンマスターズで神河ドラゴン達に囲まれて至福の様子エルドラージ覚醒。4年ぶりの再登場で彼はどうなっているのか。その記事によりますと、「ドラゴンの声を聞き、ドラゴンの栄光を追い求めている」。心の中に聞こえる声を「ウギンの声」と信じ、それに取りつかれたと書かれていました。ウギン! それは誰もが待ち焦がれるゼンディカー、その世界への回帰に繋がる名前でした。

 ところでこの「プレインズウォーカー達の現状」はかなり長―い記事なのですが、スクロールしていくとニコル・ボーラスの項目のアートがFrom the Vault:Twenty版の《残酷な根本原理》。サルカンをめっちゃお仕置きしています。





 これは「ニコル・ボーラスの部下であるサルカンがちょっと『お叱り』を受けている場面」なのだそうです。いずれ「サルカン回」を書く?時には間違いなく扱うと思うのですが、このアートは各種公式記事でやけに頻繁に使用されており、その度に悲惨な目に遭うサルカンが晒されていてかわいそうなことになっています。更にタルキール覇王譚のトレイラーでも……。





0分38秒付近にご注目。



 追い討ちをかけるようですがこれだけじゃありません。ホビージャパンさんから出版されている「タルキール覇王譚公式ハンドブック」をお持ちの方は表紙をめくってみて下さい。そこでもかわいそうなことになっています。ちょっとー、サルカン君をいじめるのやめなさいよー、タルキールには関係ないでしょー!


 話がそれました。この記事を皮切りに、俄かにあちこちで「ウギンの気配」が見られるようになります。まずタルキールに先んじて基本セット2015《危険な櫃》。これはアートも面晶体です。


危険な櫃


《危険な櫃》フレイバーテキスト
精霊ドラゴン、ウギンはエネルギーの力線を誘導させるためにゼンディカーの面晶体を編成した。それを乱すことは、破壊と混乱を解き放つことを意味する。


 次に、タルキール前日談とでも言うべき公式記事「サルカンの狂気」。サルカンへと語りかける謎の囁き。そしてここで、ウギンがタルキール世界に深く関わっているであろうことが初めて語られました。人々が忘れてしまおうとも、世界はその名を覚えている。いやー、この記事で「Ugin」の名を見た時はぞくっとしました。来るか! やっぱり来るのか!! 何か大きなものが動き出す予感がしました。

 そして、恒例の世界観紹介記事「プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内」(その1その2)から、ウギンと深く関わる氏族は今のところジェスカイとティムールだとわかりました。ジェスカイは「幽霊火」の概念を知っており、またウギンやボーラスについての記録を残していました。タルキールの各氏族はそれぞれドラゴンの違う「面」を信奉していますが、ジェスカイが信奉するのは「龍眼」。 彼らはその額に第三の目を描き?ます……第三の目……上に書きましたよね、「ウギンを崇拝する僧達は第三の目を得て~」……!




第三の目、「龍眼」は狡知の象徴だとか。



 一方ティムールは過去の祖先の霊と繋がり、龍達の時代を記憶しています。サルカンはかつてティムール領へと赴き、その氏族の預言者達から龍についての多くを学びました。そしてウギンが眠るとされる地はティムール領内にあります。

幽霊火の刃


《幽霊火の刃》フレイバーテキスト
龍の炎を恐れるのであれば、あなたにそれを振るう資格はありません。


 また、この《幽霊火の刃》。「幽霊火」はジェスカイの技なのですが、背景の雪山はどう見てもティムールです。ちょっと気になりますね。

 ウギンは「精霊龍/spirit dragon」ということで、また名前の響きから神河出身なのでは? という説もちょっとだけありましたが、公式に「タルキール出身」と明言されました。どのみちアジアモチーフ世界ですね。そういえばイニストラード(中欧)→ラヴニカ(東欧)→テーロス(ギリシャ)→フィオーラ(南欧)と、ヨーロッパ圏モチーフの世界観が長く続いてきただけに今回のタルキールはとても新鮮です。


アメーバの変わり身


ドラゴンでスピリットな俺を呼んだ?


 帰れ!

 失礼。そしてウギンはタルキール覇王譚の多くのカードのフレイバーテキストにて言及されています。


星霜の証人苦しめる声

精霊龍の墓ウギンのきずな


《星霜の証人》フレイバーテキスト
それは龍たちの激突、ウギンの最後、そしてカンたちの興隆のすべての時代を歩いてきた。

《苦しめる声》フレイバーテキスト
「不愉快な思考が私の精神を圧迫する。これは私の狂気によるものなのか、それとも誰か別の者の囁きなのか?」
――サルカン・ヴォル


《精霊龍の墓》フレイバーテキスト
「声が私をここまで導いてきたが、ここには骨しかない。これは龍たちによる何かの策略なのか?」
――サルカン・ヴォル


《ウギンのきずな》フレイバーテキスト
突然、サルカンの精神は静寂に包まれた。


 多分、場所は同じですが《精霊龍の墓》《ウギンのきずな》という流れなのでしょう。この後サルカンに一体何が起こるのか。更にそのウギンを捜してエルドラージ封印仲間のソリンまでもがタルキールに! 正直、私もこれには驚きました。しかしイニストラードを離れても相変わらず白黒なのか貴方は。


真面目な訪問者、ソリン苦々しい天啓


《苦々しい天啓》フレイバーテキスト
「ここに眠るか、ウギンよ。じきに世界の遺体がお前とともにこの墓に葬られることになるだろう。」
――ソリン・マルコフ







 この《苦々しい天啓》のフレイバーテキストは、「君の仇に世界を滅ぼしてやる」ではなく、「君がいなければこの世界もじきにエルドラージに食われてしまうだろう」という意味だと解釈しています。公式記事「ソリンの黙示」にて《精霊龍の墓》を訪れたソリンはウギンの骨を見て、そして彼の意識の一片すらそこにないことを知り、珍しく感情を露わにして絶望に打ちひしがれていました。元旧世代プレインズウォーカーとして、かつては万能の力を振るったであろうソリンが絶望する、その無力感はいかほどのものでしょうか。それにしてもソリンのこの表情よ。これまでに彼が登場しているカードでは大体どれも不敵で謎めいた表情だったのですが、こんな切なそうな顔を見せてくれるなんて。「死者に等しい」吸血鬼である自分が、ウギンよりも「生きている」のだという悲しみ……。そう、ここでウギンの「死亡」が明言されました。エルドラージ覚醒の時点では曖昧な表現に留まっていましたが、今回はきっぱりと。

 公式記事「サルカンの狂気」には、ウギンの霊がサルカンへと囁きかけている、とあります。

 「入り口を見つけるのだ」 というウギンらしき霊の言葉。――何の入り口を?
 「俺は扉を見つけてみせる」 というサルカンの決意。――何の扉を?

 ……「過去への扉」を?


ウギンとは何か?(タルキール覇王譚現在)
・古の精霊龍のプレインズウォーカー
・タルキール出身
・タルキール世界の生態系にて重要な役割を担っていた
・ニコル・ボーラスによって殺害された
・サルカン・ヴォルの精神へと囁きかけている?




4. 運命再編

 タルキールの物語では「タイムトラベルを扱う」とは早くから発表されていました。

戦乱に引き裂かれたタルキールの過去へと時間を遡る。そこでは、5つの氏族が強大な龍と激戦を繰り広げていた。今、この選択がタルキールの運命を決める。

 と、運命再編製品情報ページにも「過去へと時間を遡る」と明言されています。ではその「5つの氏族が強大な龍と激戦を繰り広げていた」時代というのはどれほど昔なのでしょうか。今ある限りの情報から多少の推測は可能です。「プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内 その1」の冒頭にはこうあります。


最終的に、氏族の戦士達は空の獣の最後の一匹を狩り落とし、彼らを滅ぼした。その次元においてドラゴンは絶滅させられ、戻ってくることはなかった。それ以来数世紀、五つの戦士氏族はタルキールに覇を唱え、今日の強大な氏族へと成長した。


 タルキール世界において龍が絶滅したのは「数世紀前」。タルキールの一年がどれほどの長さなのかは不明ですが、我々の尺度から見て極端に長いor短いことはないでしょう、たぶん。運命再編では5氏族と龍が戦っていた時代へと遡る。数百年以上の昔……PAX Australiaでの発表によりますと「タルキール覇王譚より千年前」。間違いなく「大修復」前にあたると思われます。旧世代プレインズウォーカーの時代……。そして「タイムトラベルの手段」も既に用意されているそうです。


『カン否両論 その2』より
《ウギンのきずな》はまさにこの物語におけるタイムマシンとしてデザインされたものである。(略)サルカンが何らかの方法で時を越えるということはわかっていて、つまりその手段をマジックのカードにすることもわかっていた。


ウギンのきずな



 《ウギンのきずな》。「きずな」とはありますが、ニュアンスとしては「ウギンへと繋がる場所」ではないかと私は考えています。
「プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内 その1」には、ある時タルキール世界に龍が生まれなくなった、とあります。それはウギンが死んだことと関係があるのでしょうか。そもそも何故ボーラスはウギンを殺したのでしょうか。






 これは運命再編の宣伝画像です。サルカンの隣にいる龍のシルエット……《苦しめる声》にてサルカンへと囁いている龍と、角の形状が同じです。ボーラスに似ているような気がしますが別の龍です(ボーラスの角は滑らかな曲線&二本の角の間に楕円形の宝珠)。そしてナヒリのプレビュー記事にて「生前の」ウギンが初めて物語に登場しました。


巨大な、青白い光に輝く希薄な龍。二本の平らな角が頭部を囲むように、後頭部へと向かって伸びていた。身体からは霞が湧き出しており、長い翼がそのすらりとした身体の背後で優雅に畳まれていた。彼は巨大で、体長は優に四十フィート程、だが二人から少しの距離をおいて現れた。そして彼の物腰全てがその温和な意思を語っていた。
(記事より抜粋)


 ソリンとのやり取りや礼儀正しく理知的にナヒリと接する様子からは、悠然として穏やか、深い知性を感じさせる人柄(龍柄)がわかります。ソリンもウギンをとても信頼しているようで、これには彼が死んだと知った場面、《苦々しい天啓》のあの切なそうな表情にも納得です。更にこの記事最後のアートは「石化させて封じ込めたエルドラージ三神を見上げるプレインズウォーカー達」という壮大なものですが、左端にはウギン本人と思われる龍も……あれ、やっぱりこの姿は……











 ちらほらと姿を見せている、これがウギンなのでしょう。また、つい先日(2014年11月2日)、運命再編の収録カード《命運の確信》が早々と公開されました





《命運の確信/Crux of Fate》フレイバーテキスト
ウギンの召喚の囁きは、ウギン対ニコル・ボーラスの一大決戦の瞬間へとサルカン・ヴォルを導いた。これはその後幾世紀に渡って影響を及ぼすことになる、タルキールの命運を決定付けた瞬間であった。



 うわああああウギン対ボーラス! いきなりそんな物語の核心カード出しちゃっていいんですか!!

 そしてこのカードの右端にある、螺旋を描くような形の岩。《精霊龍の墓》のアート中央に見えているものと同じです。タルキール覇王譚トレイラーにも映っています(0分48秒付近から)。やはり過去ここでウギンとボーラスが戦い、ウギンが倒されたのでしょう。そしてよーく見ますと、この岩の端に長い武器を持った人影が……サルカン!




 このアートとフレイバーテキストから察するに、サルカン本人が時を遡り、ウギンとボーラスの対決を直接その目で見るということなのでしょうか。そして「運命再編」。歴史通りならばそこでウギンは倒される……サルカンが介入し、未来を変えるのでしょうか? そしてそれをもって、彼自身もボーラスと決別するのでしょうか……? 言っとくけど私の予想って全く当たらないからね、わざと見当違いなことを書いてるんじゃなくてナチュラルに当たらないんだからね……連載でも過去に色々と「予想」書いてきたけどガチで外れてばっかりだからね……。

 それを考えると、こんな記事書きましたがウギン出るんでしょうかね……出なかったらごめんなさい。

 そんなで今回は特にオチもなく終了。次回は統率者2014のお話を予定しています。お楽しみにー!!
(終)


※編注:記事内の画像は、以下のページより引用させて頂きました。
『The Eldrazi Arisen』
http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/84
『プレインズウォーカー達の現状』
http://mtg-jp.com/reading/translated/0010782/
『チェンサルの双子』
http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011288/
『プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内 その2』
http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011190/
『運命再編 発表』
http://mtg-jp.com/publicity/0011160/
『石術師』
http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011452/
『Twitter – マジック:ザ・ギャザリング @mtgjp』
https://twitter.com/mtgjp/status/528745052458074112