原根 健太(東京)。
マジックへの本格参入から4ヵ月、【グランプリ・静岡2015】で11位に入賞と鮮烈なデビューを飾って以来、数々の大会で結果を残してきたHareruya Prosの新星・原根 健太。
彼は元々国産TCG界で常にトップランカーとして君臨していたプレイヤーの1人であった。無論マジックにおいても数々の上位入賞を経験しているが、しかし未だ頂点に君臨したことはなかった。
そんな原根がついに勝ち取ったヴィンテージ神への挑戦権。神・森田との対戦を控え、彼は今何を思うのか――?
1位通過にこだわること
--「今回、神挑戦者決定戦を優勝して挑戦者の権利を取りました。今のお気持ちはいかがですか?」
原根: 「素直に嬉しいです。今まで中途半端な成績が多かったので、勝って終われるのは気分がいいですね。マジックのイベントは大体WtA(Winner takes All、勝者総取りの意)で、優勝の価値が非常に大きいんですよ。そのためこれまでは何も得られないで終わることが多かったんですが、今回は最高の結果を手に入れることができたのでちょっと感慨深いものはあります」
--「今回のヴィンテージでもそうでしたが、原根さんは【スタンダード神挑戦者決定戦】、【レガシー神挑戦者決定戦】でも立て続けにスイスラウンド1位通過を収められています。これも優勝の価値を重んじた結果なのでしょうか?」
原根: 「神挑戦者決定戦は優勝しないと意味がないので、プレイオフでなるべく有利になれるように1位通過にはこだわっています。スタンダードやレガシーでは報われませんでしたが、今回ようやく結果が出たって感じです」
--「そんなこだわりがあったんですね。では今回権利を得て、周りで変わったことや反応などはありましたか?」
原根: 「これまでもトップ8に入ることはあったのですが、そこで負けてしまうとやっぱり中途半端な印象になってしまいますよね。ようやく優勝できたことで安定してきたと思ってもらえるようになったかな、と」
--「『J-Speed安定してきたな』ということですね?」
原根: 「(笑) 自分の中では、前回よりも順位を下げないように努めて、成長を実感できるように心掛けているのですが、そういうのって周りからは見えづらいですし、WtAの観点で言えば結局1位にならないと目立ちませんから。そういった意味で多少変化はあったと思います」
--「なるほど。自分の中では変化がありましたか? 」
原根: 「まだ、ないですね。真の意味での1位ではなく、あくまで挑戦権なので。神決定戦で勝つことができれば何か変わることがあるかもしれないです」
自分の強みを模索していくこと
--「今回ヴィンテージに初めて触れられたということでしたが、原根さんは元々どのフォーマットが得意なのでしょう?」
原根: 「他のフォーマットと比べたらレガシーが多少得意、という感じですね。自分に合ってるのかな? その理由までは突き詰められていないですが、1枚1枚の呪文のマナコストが軽くてスペルの応酬になりやすいゲームが自分の性に合っているのかもしれません」
--「1枚1枚の呪文のマナコストが軽い、という点ではヴィンテージにも通ずる部分がありますね。得意とする分野を活かすことができたのでしょうか?」
原根: 「そうですね、《闇の腹心》や《意志の力》など、レガシーで見かけるカードも多かったですし。たまにパワー9が絡んでブン回りが発生したりしますが、レガシーの知識を応用できた部分も多々あります。ただ、もしパワー9を駆使したコンボデッキみたいなものがあったらそれは未知の領域なので苦戦したでしょうね。実際、ありそうですし……」
--「なるほど。ちなみに、他のTCGで培ってきた経験が活きた! といったことはありましたか?」
原根: 「うーん……ヴィンテージに限ったことではありませんが、まだ見つけることができていません。たぶんどこかに活きている部分があるとは思うんですけど、どういった部分がマジックに結びついているか自分の中で言語化できていないんです。その辺が掴めてきたら記事にして書いてみたいと思っているんですけど……」
--「いつかそういった記事を読める日がくるのを楽しみにしています! 実際にプレイして分かったヴィンテージの魅力などはありましたか?」
原根: 「やはり圧倒的な派手さですね。その一方で、ただダイナミックなだけじゃなく緻密なアドバンテージのやりとりもあって、奥深い魅力を感じました」
そして、ゲームを楽しむこと
--「森田さんについてはどのような印象をお持ちですか??」
原根: 「神になられたときに初めて知りました。ご本人に対面した際にもお伝えしているのですが、まさにヴィンテージ・マスターという印象です。動画での解説を見ていても発言の全てが的確で、彼には想定外がないのかなって。実際に対戦したらこっちの動きを全て読み切られて、多少想定と違うことをしても『ああ、そっちの動きか』みたいな感じですぐに対応されちゃいそうですよね」
--「この対戦に期待していることなどはありますか?」
原根: 「僕が全く知らないヴィンテージの深淵を味わわせてくれるのかな、と。ヴィンテージの洗礼みたいな(笑) 勝敗ももちろん大事ですが、それ以上に刺激的なゲームができると思うので楽しみです」
--「今回ヴィンテージ初挑戦で挑戦権を得ましたが、なにか準備していることなどはありますか?」
原根: 「グランプリの準備などもあるのでなかなかヴィンテージの練習に力を入れることはできていませんが、空いた時間に調べたりはしています。ただ、ヴィンテージ関連の記事って大会レポートなどが中心で戦略記事は少ないんですよね。意外と変化のある環境なので、古すぎる情報には意味がなさそうですし」
--「最後に神決定戦に向けた意気込みをお願いします」
原根: 「劣る部分が大きすぎるとは思いますが、精一杯食らいついて行こうと思います!」
--「本日はありがとうございます。当日も頑張ってください!」
マジックに本格参入してから2年と2か月。原根のゲームに対する意識の高さがこの成長の”スピード”を支えている。
一つ一つの対戦を楽しみながら、自分に必要なものを埋めてゆく。ヴィンテージ神の座を懸けた戦いは原根にどのような成長をもたらすのか、目が離せない試合になりそうだ。