こんにちは八十岡です。
少し間が空いてしまいましたが、今回はプロツアーで使ったデッキの解説編になります。僕視点で話しても伝わらないこともあると思い、今回は【ツイッターで質問を募集】してそれに答える形にしました。
【質問募集】プロツアー『カラデシュ』を制した八十岡選手!そんな八十岡選手の『グリクシスコントロール』のデッキやプレイングについて、質問募集中!このツイートをRTしたうえで、#教えてヤソ先生 のタグをつけて質問をお寄せください!
— 晴れる屋メディア (@hareruya_Media) 2016年10月17日
※すべての質問にはお答えできません。 #mtgjp pic.twitter.com/Chl77EAIzn
その中から今回のデッキについての質問をメインにピックアップして答えていきたいと思います。
■ デッキ構築編
・デッキ選択の過程を教えてください。
・最初どんなデッキを作ろうとして、結果あのデッキに至った経緯を教えて欲しい。
・最初どんなデッキを作ろうとして、結果あのデッキに至った経緯を教えて欲しい。
八十岡 (以下ヤソ) 「最初は一通りいろいろなデッキを回し、その後は《霊気池の驚異》や《金属製の巨像》のようなコンボデッキを考えていました。ただ両方ともサイド後から飛んでくる《儀礼的拒否》に勝てるプランを考えつかなかったので、カウンターを使う側に回りました。
カウンターを使うとなると青は確定し、コントロールを作るなら《苦い真理》を使うことは決めていたので青黒+1色でいこうとなりました。そうなると選択肢はスゥルタイ (青黒緑)、エスパー (青黒白)、グリクシス (青黒赤)ですが、スゥルタイは選ぶ理由がなかったので、エスパーとグリクシスの2択です。
赤のメリットは1マナの除去と《光輝の炎》が使えることで、白のメリットは《乱脈な気孔》、《燻蒸》、サイドに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を取れることです。この2つを比較して環境の速度に間に合わせるなら赤の方がいいと思ったので、グリクシスにしました。」
ヤソ 「友好3色の場合、ファストランドが1種類しかないため基本的にバトルランドメインのマナベースになります。またコントロールは中盤以降も安定して土地をアンタップインしなければいけないので、そうなると《進化する未開地》を入れないと基本地形カウントが足りなくなってしまうため、《進化する未開地》を4枚採用しました。」
・バトランのアンタップインを優先するため《進化する未開地》を採用したのは分かりますが、《天才の片鱗》があるのに《霊気拠点》を不採用にした理由か気になります。
・《さまよう噴気孔》を2枚に留めた理由と《霊気拠点》不採用の理由。
・《さまよう噴気孔》を2枚に留めた理由と《霊気拠点》不採用の理由。
ヤソ 「『エネルギー・カウンター』の補充があまりできないのと、序盤に《霊気拠点》から色マナを出してしまうと3ターン目に《苦い真理》をX=3で打てないためです。
《さまよう噴気孔》はタップインやバトルランドの関係で最初は0枚からスタートしたのですが、やはりマナフラッドに弱かったため2枚入れました。3枚にしてもいいかもしれません。土地配分に関してはあまり時間がとれなかったため、結構適当ではあります。」
ヤソ 「《本質の摘出》を採用したのは、単純にライフを回復できるカードが欲しかったためです。『赤黒バーン』系のデッキも結構多いと思っていたので、そういうマッチアップになると除去を抱えて火力で負けるということが多いので採用しました。《奔流の機械巨人》でフラッシュバックもできるのもポイントです。」
・《精神背信》を1枚メインに入れた経緯を教えてください!
・前日のツイッターで、最後の1枚が決まらないとおっしゃっていましたが、最終的には何のカードだったのでしょうか?それはゲームを左右したのでしょうか?
・前日のツイッターで、最後の1枚が決まらないとおっしゃっていましたが、最終的には何のカードだったのでしょうか?それはゲームを左右したのでしょうか?
ヤソ 「最後まで悩んでいたのは、メインボードの《霊気池の驚異》対策の枚数です。《霊気池の驚異》に安定して勝つためにはカウンターが7枚程度欲しいと考えていて、《否認》を3にするか、《儀礼的拒否》を2にするかで悩んでいたのですが、どちらも違和感を覚えたためサイドに置いてあった《精神背信》をメインに入れました。75枚の中に《否認》3、《儀礼的拒否》3、《精神背信》2は入れたかったので、こういう形になりました。」
・ドロースペルと除去とカウンターはなぜこの配分になったのか教えてください。
ヤソ 「感覚です。」
・《革命的拒絶》の不採用理由についてお聞きしたいです。
ヤソ 「先攻で構えたときに《密輸人の回転翼機》を出されて悲しくなる気がしたためです。」
・《奔流の機械巨人》の枚数が2枚の理由を教えてください。
ヤソ 「そもそもマナ加速のないデッキで6マナのカードを大量に入れると酷い初手がきたり、土地が止まったときに一瞬で負けてしまうため3枚が限界で、デッキの安定性という意味では少ないことに越したことがなく、『白赤機体』や《霊気池の驚異》のようなデッキに対しては、《奔流の機械巨人》を1枚引けば概ね勝てると思ったため2枚に抑えました。『黒緑昂揚』のようなデッキが増えてくるなら3枚でもいいと思います。」
ヤソ 「《ゲトの裏切り者、カリタス》は提出1時間前ぐらいまで入れるか悩んでいたのですが、1~2ターン目に(赤)、3ターン目に(青)(青)、4ターン目に(黒)(黒)をタップインを1回で安定させて出すことが無理だと判断したため諦めました。マナベースの問題なので同じ理由でサイドにも入ってません。」
・2マナのほぼキャントリップである《予期》を採用した理由を教えてください。
ヤソ 「《氷の中の存在》を『変身』させるためです。軽いキャントリップがないとなかなか『変身』しないんですよ、この子。」
・《氷の中の存在》を入れた経緯を教えてください。
ヤソ 「環境の地上クリーチャーにパワー3が多いのと、《光輝の炎》と相性がいいためです。コントロールのフィニッシャーは軽ければ軽いほどいいです。また、3回の攻撃で勝てるのはえらいです。」
・今の環境で、《苦い真理》はライフ的にキツそうなのですが、何故メインに3枚も入れているのか教えてください。
ヤソ 「個人的にはそこまで環境は速くないと思っているため、きついと感じませんでした。速いというか3~4ターン目からダメージが一気に伸びるため、4マナのドローの方が環境的に打つタイミングがなくてきついと思いました。
《苦い真理》が弱くなるのは『赤単』のような初速がはやく、後半は盤面ではなく火力で詰めてくるデッキが多いときです。最終的に盤面で押してくるデッキはカードを引いて除去を打っていればなんとかなります。」
・サイドの《慮外な押収》は何の対策をイメージしてましたか?
ヤソ 「『黒緑昂揚』です。『青赤スペル』にも入れます。 (《電招の塔》を取るため)」
■ プレイ編
・コントロールを回すコツは? (どれを見逃してどれをカウンターや除去するかの見極め)
ヤソ 「何が致命的なのかをあらかじめ考えておく。白系なら《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》以外はいくらでも対処できるので、カウンターは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》にあてるなど。また、火力が入っていないデッキの場合には『ライフは1残ればいい』を心掛ける。」
・投了の基準を教えてください。
ヤソ 「基本的にはしない方がいいと思います。時間がない場合のみ、無理そうだと感じたら投了しましょう。 (例:こちらが2回トップデッキした上で、なおかつ相手が土地を引き続けるしかないみたいな場合) 」
・Reid Duke氏とのフィーチャーマッチ (ラウンド15) の終盤で、《さまよう噴気孔》2体でアタックの返しに《反逆の先導者、チャンドラ》が出てきたときは見ている側として非常にハラハラしましたが、あの場面はそれでも攻めるメリットがあったということでしょうか?
ヤソ 「《鋭い突端》があったため、あそこでアタックしないと勝つまでに数ターンかかりそうだったので。またあの構成だと3点火力は入ってないと思いました。」
・ビートダウンデッキに対してに《苦い真理》をサイドアウトしなかった理由は?
ヤソ 「あまりドローソースを抜きすぎると、こちらの方が土地が多いためリソース差で負けてしまうため。先攻なら3ターン目に打てるタイミングがあるので2枚残しで、後手の場合は1枚残しが基本です。」
・今回のデッキで、「ゾンビ現出」みたいな除去が効きにくい相手にはどう立ち回れば良いですか?
ヤソ 「《氷の中の存在》でがんばるしかないです。《安堵の再会》をカウンターできるとかなり楽です。」
・《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が着地してしまった場合かなり対処しづらいと思うのですが、もし着地してしまった場合の対処などはありますか?
ヤソ 「4ターン目に着地した場合、《氷の中の存在》がいれば『変身』して倒せますが、いない場合は概ね負けです。後半なら除去&《さまよう噴気孔》や《奔流の機械巨人》でなんとかなります。」
・【決勝】の4ゲーム目で後手を取った理由は?
ヤソ 「すぐにゲームを決めるカードが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》しかない以上、後手でも十分にカウンターできると思ったため。先攻のメリットは3ターン目に《苦い真理》を打てることしかありません。」
ヤソ 「《否認》が1枚残っていたのでそれを探しにいきました。ゲーム展開としては《秘密の解明者、ジェイス》を対処された時点でかなりきつい状況だったので、隙を見て一気に殴りにいくプランでした。
あちらから能動的に使えるカードも少ないため、ディスカード合戦をしながら除去を捨てさせてどっかで一気に殴ろうといった感じです。都合よく土地を引き続けられたのがよかったです。」
・もし【決勝】で、ロマオさんのデッキもヤソさんが使っていたとしたら、1戦目はどのように変化していましたか?
ヤソ 「待っていれば基本勝つので無理しないでゆっくり戦います。ちなみに両方のデッキを自分が使った場合は、メインはジェスカイ (青白赤) 側がほぼ勝ちますし、サイド後はグリクシス側がほぼ勝ちます。」
・今回のプロツアーの【決勝】のように、少数のクリーチャーをフィニッシャーとするヘビーコントロールのミラーマッチが起きたとき、サイドボード後の除去 (特に火力のような不確定除去) はどういう基準でどれくらいデッキに残すものなのでしょうか?
ヤソ 「もし対戦相手のサイドボードを知っているなら、数枚の確定除去以外は全部抜いてしまって問題ありません。相手のフィニッシャーの数と同じか、それよりも少し少ない程度残っていれば大丈夫です。自分のデッキにカウンターが少ない場合は除去を少し多めに残してもいいですが、基本的には『プレインズウォーカー』やドローソースの量で試合が決まるので、ゲームに影響しない除去はあまり残したくはありません。」
■ その他
・デッキ自体はプロツアーの何日前に完成しましたか?
ヤソ 「提出10分前です。」
・デッキの構想はいつごろからできていましたか?
ヤソ 「出発2日前ぐらいです。」
・対戦相手のライブラリーのカウント方法について教えてください。
ヤソ 「ゲーム途中で相手に気が付かれないようにカウントしたい場合は、墓地の枚数を数えて、そこに手札とパーマネントを足したものを60から引きます。 (リミテッドなどでもたまにあります。)
お互いが意識している場合には普通に数えてしまって問題ないと思います。最初からカウントする場合はフェッチやドローの差だけを数えます。3~4枚以上の差がついたらもうカウントしなくてもいいですし、相手のデッキを直接数えても大丈夫です。」
・ゲームが始まった瞬間からデッキ枚数のカウントダウンが始まってるというのは本当ですか?
ヤソ 「さすがに言いすぎです(笑) 最初からライブラリーでしか勝負が決まらないとわかっている場合にしかカウントはしません。」
・今回のデッキはこれからも強いと思いますか?
ヤソ 「普通のデッキです。《霊気池の驚異》という不戦勝のようなデッキがいたからこそ強かったデッキなので、《霊気池の驚異》がいなくなると他より優位な点は少ないと思います。」
・ウィニーやアグロなど、速いデッキが多いと予想される場合の変更点などについてお聞きしたいです。
ヤソ 「プロツアーでもアグロは多いと思っていたのであまり変更点はないですが、《儀礼的拒否》や《精神背信》を抜いて、追加の《蓄霊稲妻》や《光輝の炎》を入れるのがいいと思います。速いデッキに勝ちたいだけなら3マナのカウンターを抜いて、黒を少し濃くして《ゲトの裏切り者、カリタス》を入れるのもいいと思います。」
・《山》を忘れたってことは最初は青赤ベースのコントロールをやるつもりじゃなかったんですか?
ヤソ 「【グルランド】は違う箱にしまってありそこから持ってくるのですが、《山》だけ『赤単』の残骸に紛れていたため持ってくるのを忘れました。」
ヤソ 「基本的にデッキケースごとそこらへんに放置してあります。大会がある場合、少しいじったりする程度です。弱かったデッキの場合はすぐ崩しますが。」
・デッキに4枚は入ってないカードが最終的に1、2、3枚に落ち着く理由 (ゲーム中のどのタイミングに引きたいのか、ゲーム中何枚引きたいのかなどのイメージ) について、各枚数毎に理由を知りたいです。
ヤソ 「コントロール系デッキでの話になりますが、
・4枚入っているカード:絶対初手に引きたいカード or 序盤に3枚以上引いても嬉しいカード。 (例:《苦花》、《対抗呪文》)
・3枚入っているカード:初手にあると嬉しいが複数枚いらないカード or ゲーム中2回以上使いたいカード。 (例:《マナ漏出》、《神の怒り》系)
・2枚入っているカード:中盤、後半に1枚欲しいカード。 (例:《龍王シルムガル》、《奔流の機械巨人》)
・1枚入っているカード:ゲーム中1枚は引きたいが2枚目を絶対引きたくないカード。 (例:《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》、《死の宿敵、ソリン》、《ソリンの復讐》)
・3枚入っているカード:初手にあると嬉しいが複数枚いらないカード or ゲーム中2回以上使いたいカード。 (例:《マナ漏出》、《神の怒り》系)
・2枚入っているカード:中盤、後半に1枚欲しいカード。 (例:《龍王シルムガル》、《奔流の機械巨人》)
・1枚入っているカード:ゲーム中1枚は引きたいが2枚目を絶対引きたくないカード。 (例:《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》、《死の宿敵、ソリン》、《ソリンの復讐》)
もちろん例外はありますが、こんな感じです。ただ除去の枚数が散っている場合などは少し別の話になります。 (例:《究極の価格》2枚、《闇の掌握》2枚は、除去の枠が合計で4枚で、そこから環境に合わせて選ぶという感じ)」
他にもいくつか質問がありましたが、その中でも多かった質問や気になった質問を取り上げさせていただきました。もしこの形が好評だった場合は次回もやるかもしれません。
次のイベントはロッテルダムで行われる【チーム戦のグランプリ】と【ワールド・マジック・カップ2016】になります。
初めての日本代表なので、チームメイトと一緒にがんばってきたいと思います。
ではでは
ヤソ
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