なかしゅー世界一周 プロツアー『カラデシュ』観光編

中村 修平



【前編】を読んでいない方は、ぜひそちらもお読みください。


こんにちは。中村 修平です。

【合宿編】を読んでいただいた方には薄々気づかれていると思いますが、

【プロツアー『カラデシュ』】の感想は、



デッキ予想を読み違えた!



以上。

……だけだと編集のまつがんがたぶんいい顔すると思うので、ちょっとだけ補足すると、

「赤緑エネルギー」が相当数いたことは予想の範囲内でしたが、「《霊気池の驚異》」が【こんなにたくさんいる】とは!メインボードから伸びしろが少なく、それでいてサイドボード後のゲームを考えると悪夢のような典型的なメイン戦だけ最強デッキと判断していただけに、正直言って、思考放棄勢がここまでいるとは全くの予想外でした。

「どうせ、もう『《霊気池の驚異》』とかすぐ沈むだろうから、翌週あたりには『黒緑昂揚』はベストデッキになってるんだろうな」

と、遠吠えしても、メタゲームを読み違えた事実は変わりません。結果としてプロツアー参加者の使用率1位と4位に不利なデッキを持ち込んでしまったのです。

件のシグリストと第15回戦で対戦することになってしまったのですが、「フィールドでのベストマッチアップ」(どこまでいっても50%なので)って言い合ったのを覚えています。

初日を5勝3敗。2日目も5勝3敗の通算10勝6敗で終われたのは、ただただラッキーでした。


ただ、「黒緑昂揚」というデッキの素性は不安に思っていたよりかなり良かったので、もしもう一度プロツアー『カラデシュ』があるなら、《光輝の炎》の代わりに《死の重み》を入れて、アーティファクト・クリーチャーと《膨らんだ意識曲げ》周りを《精神壊しの悪魔》に入れ替えるか、タッチ青にして打ち消しをサイドボードから入れる形にしたでしょうね。



■ ある丘の上の豪邸

さてと、マジックについてはこれくらいにして。

せっかくのハワイ、ザ・観光地。マジック以外は何をしていたかを思い返してみると……

うーん。

食う。寝る。マジック。ときどきおふざけ、でしょうか。

……。

そういえば滞在中にベッドとソファーを行き来しながら寝てたのですが、ソファーの埃で気管支炎を患ってしまい、よりにもよってプロツアー直前に発熱しちゃいました。真剣にゲームしてる中ずっとケホケホしてましたっけ。

初日の6回戦あたりで「あ、これは駄目だ」と思って、会場で暇していたまつがんに「すまないけど会場隣のショッピングモールで風邪薬を買ってきて」と頼んだら、そろそろ8回戦というときにこんなLINEをもらったりもしましたね。




ちなみに8回戦、負けました。

あと殿堂式典のタダ肉も食べそびれたなぁ、というのは置いといて。



今回のレンタル物件は、これまでの【フェイス・トゥ・フェイス】合宿でもベストな丘の上の豪邸。崖の上にせり出すように作られていて、2階建ての母屋には、とんでもなく広いキッチン・ダイニングと、上階には3つのベッドルームがあります。




もう一軒、別棟が付いているのですが、その通路上にはもう2つのベッドルーム。螺旋階段を下りると、もう1つのキッチン・ダイニング、テラス、ベッドルームがさらに2つも。





さすが2週間弱で$9000もかかる物件です。

そういえば通路上の部屋にはなぜか卓球台が置かれていて、




夜な夜なフェイス・トゥ・フェイス卓球リーグが開催されていたり。




ちなみに滞在費はマネージャー・スターンによる経費集計後完全頭割りです。



ごはんGOHAN

こんな最高な邸宅だったのですが、難点をあげるとすれば近くにレストランがないこと。同じようにホノルルで合宿しているチャネル・パンテオンがメキシカンをケータリングサービスをしているツイートに歯ぎしりしつつ、基本的にはレンタカーで4、5人グループでどこかに食べに行くか、




外食組に買ってきてもらったり。




そして、自炊です。

意外かもしれませんが、フェイス・トゥ・フェイスにはわりかし自炊する人間が多いのです。下味をつけた鶏肉のソテーに炊飯という基本ラインナップを持っているパウロ。ベジタリアンなので自分で調理することを厭わないジェイコブ・ウィルソン。実は美食家キャラなサム・パーディー。あまり外食が好きではない印象のイヴァンらはよくキッチンにいる印象。




もちろん、絶対にキッチンを使わないジョン・スターンやマイク・シグリストのような人もいます。

ちょっと驚いたのはオンドレイ・ストラスキーが自炊できるということ。同じチェコ人のジュザが火を使う作業を絶対にやらず、もっぱらスナックやチーズ、ハムを食べて生きている姿を何度も目撃しているだけに、オンドレイが自作のパスタなんかを作っている光景を見るとなんだか不思議な気分になります。

で、私です。

そりゃ私もチャネル時代にはルイスコパパがごはんを作ってくれるので、ついつい餌付けされていましたが、決してできないわけではありません。どちらかといえばやらないだけ。そのはずです。

と、いうわけでスーパーの買い出しで見つけた、なんだか見たことあるアレ、よくキャンプなんかで作るアレを作ってみることにしました。




参考文献は【へプタスロン】。うっかりニンジンを忘れて彩り的に難があるのはご愛敬。ナスを選んだのは完全に好み。日本ナスとアメリカナスがハワイだと倍額違うだなんて、たぶんあと3年は使うことのないトリビアです。

リットルではない単位がよくわからないので、うっかり水っぽくなりすぎたのをドラフトそっちのけで2時間ほど弱火でコトコト煮詰めて完成!

ちょっと作りすぎてしまったので、ふるまいへプタスロン(?)すると一瞬で売り切れ。3日ほどかけてちょっとずつ消費しようと考えていたのですが、これはこれで良しか。



■ ”しぇーぶざあいす”に行こう

じつは到着早々にも熱を出して多少寝込んでいたのですが、それから回復して動けるようになったとある昼下がり。ジョン・スターンから「”しぇーぶだいす”に行くけど、お前も来るか?」と唐突に質問されました。



画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


しぇーぶだいす?サイコロを剃る?

うーん。よくわからん。聞けば教えてくれそうですが、まあなにか食べ物だろうし気分転換に外に出たいという気持ちが強かったので、意味が分からないままに二つ返事でOKして車に揺られること10分ほど。連れてこられたのはこんなお店。




中に入ってみると、なるほど。シェーブ、ザ、アイス。氷を削る。かき氷ということですね。

パーティーメンバーのサム・パーディーいわく、アメリカ人的にはとても珍しいもので遊園地くらいでしか見たことがないものらしいです。なるほど。たぶんスパムむすびと同じように日本からの輸入文化なんだろうなぁ、と油断してろくに説明も聞かずにうんうん言って注文したら、梅昆布茶氷を頼んでいて大爆死。




そりゃ、たしかに甘くないって言ってたけど、まさかそれがしょっぱいとは思わないよね?

その横では「ストロベリー、マンゴー、パッションフルーツ、あとドリームソース(とても甘い)をマシマシで」と真剣な顔で注文する甘味大魔王ことパウロ・ヴィター・ダモ・デ・ロサが本領を発揮していました。あいつにあらかじめ聞いておけばよかった、と思ったのは、これでたぶん17回目くらい。




あ、でも珍しいからといってアメリカ人が誰でも好きというわけではなく、私と同じようによくわからないまま、人生初の”しぇーぶざあいす”をして半分以上残したジョシュ・マクレーンいわく

「ただの氷にシロップかけただけやん!」

はい。ごもっとも。



■ そうだ!隣の島にいってみよう

たしか旧『イニストラード』のリミテッドのグランプリですから、もう5~6年前でしょうか。グランプリ・ミラノに1人でふらっと行ったときにお世話になった、日本語ペラペラのイタリア人、ジャン・ルカさんから、

「ホノルルがあるオアフ島は、ザ・観光地って感じであまり魅力的ではなかったけど、隣の島は本当によかった

という話を聞いて以来、ホノルルでプロツアーがあるたびに滞在を延長していってみようと画策することもう3度。ターゲットは話を聞いていて特に印象に残ったキラウエア火山。燃え盛っているマグマをその目で見れたという話は、遺跡派の私ですら心惹かれるものがありました。

1回目のチャンスは2012年のホノルルでしたが、初めてのチャネル・ファイアボールビーチハウス合宿に、スシ・ササブネで感動してたりで、プロツアー後の月曜日はワイキキビーチ近辺でぼけーっとしていたら終了してしまった覚えあり。レーティングシステムからPWPへの切り替えのあれやこれや、個人的なこれそれなどもあって、私がマジックとの付き合い方が変化しはじめた頃でしたね。

2回目のチャンスは、アリ・ラックスが優勝した『タルキール覇王譚』のときのホノルル。このときは真面目に隣島までいきたいと考えて水曜日まで延泊したのですが、現地にてそういうオプションツアーは最低でも1週間前くらいには予約しないといけないと知ったのはプロツアー最終日でした。悔しくて悔しくてレンタカーを借りてスシ・ササブネでヤケ食いしつつ、オアフ島東側を半周、ダイアモンドヘッズで朝日を拝みながらハナウマ湾で朝の海水浴をしたことを覚えています。



今回も行きました、ハナウマ湾。


……それにしても毎回ササブネに行ってるな。



画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


今回はそんな数々の反省を踏まえて、日本にいる間に有志を募って現地のオプショナルツアーの予約をするところからスタート。オアフ島、ワイキキビーチからの送迎付きツアーで大体$350から。1ヶ月前までに予約していると$300くらいまで割引してくれるみたいです。

なるほど。やはりツアー会社的には、それくらいの余裕をもって予約してくれないとスケジュールが立てづらいんだなぁ。そうなるとオプショナルツアーじゃなくても往復の飛行機を自分たちで取って、現地でレンタカーを借りた方が経済的だし自由度も高いんじゃないかなんて思ったりもしました。そうそう、ハワイ州は、日本の48番目の都道府県(のようなもの)なので、旅行者であれば日本の免許証でレンタカーが借りられるんです。

しかし、自由度が高い代わりに、自分で行く場所をちゃんと調べなくてはならないのがそれなりに面倒で悩んでいるうちに、割引期限の期日が迫ってきました。有志たちに意見を求めるも、「どっちでもいい。任せる」という、とてもとても曖昧な日本の曖昧な日本人的なコメントが返ってきました。

この一押しで「もう面倒だし、いっか」とオプショナルツアーを予約することにしました。



ツアー当日。火曜日の早朝。午前4時30分。

オプショナルツアー勢の朝はとても早いです。素早く起床し、所定の待ち合わせ場所まで。さすがH●S。アメリカなのに時間どおりですし、当たり前ですが、乗り込んでくる人は全員日本人。これはツアーに参加することがほとんどない私にとってかなり新鮮。

ただ、空港に到着してから飛行機が飛ぶまで2時間待ちというのは、余裕を持つべき企画としては正しいのですが、スレてしまっている私たちとしてはちょっと暇すぎる気もしました。そうして飛行機に乗り込み、ハワイ島までは40分ほど。



いかにもな、こじんまりとしたコナ空港の出口には、入国管理を通過して外国に踏み出したときによく見るネームプレートを持ったおじさんが。しかも片言の日本語。私たちの他には、カップルが1組、途中の島内のホテルで2組が加わって、都合4組が大きめのバンで島の中央を突っ切って、ヒロという街を中心に観光名所を見て回るコースのよう。予約のときに予定が詳しく書いてありましたが、案外忘れてしまうものです。なにせ自分で計画するのが面倒でとってみたわけですから。




ゴツゴツした火山岩から草原、丘陵を越え、工事中なのか舗装中なのか数キロほどの砂利道を通過し山の反対側まで来てみると、人里らしき風景になってきました。ここで最初の目的地であるレインボーフォールに到着です。




うん。雨模様だったので泥流と虹は見えず。まあ、こんなものですね。


お次はヒロの街まで出てからの海岸線をちょっとウォーキング。日本語で解説がつくのは中々良いです。




カメスポットで記念撮影。

昼食後は、いよいよキラウエア火山へ。ただ広いハワイ火山国立公園のハレマウマウ・クレーターの観測小屋的なところで自由時間になりました。正直言って、もうちょっと近くまでいけるかと思ってたのですが案外に距離があります。




火口から10キロ以上はあるでしょうか。チロチロと赤い溶岩が湧き出してるのが肉眼でも見えるといった具合。夜に来るとはっきりと溶岩が見えるらしいのでちょっとやってしまったかな、と思ったり。ちょっと場所を変えて、溶岩の通り道だった箇所、というか固まった溶岩の上をウォーキング。




ただの道路の途中で一時停車して「ここだよ」みたいな感じで案内されるので、これは個人で来た場合には気が付かないでしょうね。ツアーならではの体験です。固まった溶岩は表面がかなり脆くなっていて、上に乗るだけで表面がパリパリと剥離していくのがなんとも不思議な経験でした。



最後はツアーと言えばのお土産ショップ訪問。完全に日本人しかターゲットにしていないハワイ饅頭にキャッキャしているウィザーズ社員(金子さん)を見物、というか盗撮しようとしたところカメラの電池が切れて終了。




空港へ帰る道すがら、人工物がそれこそ道路くらいしかないというところでの夕日などは、とても若年性健忘症ボーイミーツガールで前前前世な監督が背景素材に選びそうな美しさで、ぜひカメラに収めたかったのに失敗してしまいました。

ふむ。

感想としては、レンタカー借りてアクセル全開でドライブしたかったなあ、といったところです。

こればっかりは長いこと好き勝手に自分でやってきた性みたいなものでしょうね。

それか、もっと時間をたっぷり取った贅沢な、それこそハワイ島で3日間のようなツアーであったら良かったのかも。

と、こんな感じで気がついたら延泊の2日などあっという間に終了。

次回のハワイはいつになるでしょうか……

なんて感傷に浸る間もなく帰国後10時間しか経っていませんが、あまりに安いのでついうっかり取ってしまったベトナム経由、クアラルンプール行きの飛行機に乗り込みながら、この原稿を書いています。

「咳もまだ止まってないし、フライトと参加費捨てて日本で養生しようかな」と思っていたのですが、果たしてどうなることやら。

と、久しぶりなのに、またいつものように締まらない感じで、今回の旅行記を締めたいと思います。

それでは、また世界のどこかで。


中村 修平



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