準々決勝: 松本 友樹(神奈川) vs. 伊藤 匠哉(栃木)

晴れる屋

By Kazuo Washimi

モダン神挑戦者決定戦も準々決勝、ここではスイスラウンド3位の伊藤と6位の松本の対戦をお届けする。


使用デッキは伊藤がNaya(白赤緑)カラー、対する松本のデッキはEsper(白青黒)カラー。

この夏行われたグランプリ神戸ではほとんど目立つことが無かったカラーリングのデッキだが、『タルキール覇王譚』に収録された各種フェッチランドが友好3色である両者のデッキを強化した形だ。


溢れかえる岸辺汚染された三角州血染めのぬかるみ

樹木茂る山麓吹きさらしの荒野


伊藤のデッキはZoo。あの殿堂プレイヤーBrian Kiblerが使っていたデッキをフィーチャーしたという。

定番の《野生のナカティル》《タルモゴイフ》による素早いビートダウンに加え、《貴族の教主》のマナブーストから《紅蓮の達人チャンドラ》《雷口のヘルカイト》などの高マナ域のパワーカードもキャストすることが可能だ。


一方の松本。トーナメントに独自のチューンを施したデッキを持ち込むことで知られており、華やかな実績こそないもののここ1-2年でグランプリトップ16入賞を複数回経験している堅実な実力者である。

今回は先日のモダントーナメントで使用したEsper Midrangeデッキをアップデートしてトップ8に進出。
青のカウンター呪文や黒の除去呪文をベースに、《未練ある魂》《イニストラードの君主、ソリン》から生まれるトークンクリーチャーが攻防を担う。
タルキールからの新戦力である《時を越えた探索》がアドバンテージ獲得に貢献しているようだ。


独特なデッキを使う二人の対戦はどのような展開を見せるのだろうか。




Game 1

ダイスロールに勝利した松本が先攻。

松本の初動は《忍び寄るタール坑》のタップイン。

一方の伊藤は後攻からのスタートではあるものの、《吹きさらしの荒野》から《踏み鳴らされる地》をサーチしての《野生のナカティル》という理想的なスタート。
Zooの代名詞的クリーチャーがどれだけのダメージを稼げるか。



伊藤 匠哉 


松本は再び《忍び寄るタール坑》を置くのみだが、伊藤のキャストした《クァーサルの群れ魔道士》《呪文嵌め》し後続の追加を許さない。

続く伊藤のターンで再度唱えられた《クァーサルの群れ魔道士》を松本は《差し戻し》
伊藤の《野生のナカティル》がダメージを重ねて行くのを横目に、松本は伊藤のエンドステップに余った1マナで《思考掃き》
これにより墓地に落ちた《未練ある魂》を自分のターンにフラッシュバック。伊藤の攻めに対する戦力を追加する。

守る松本に対し、追加のクロックを用意したい伊藤は《野生のナカティル》の攻撃をスピリットトークンに防がれたあと2体目の《野生のナカティル》を戦場に追加。
しかし松本の「陰鬱」を達成した《悲劇的な過ち》によりこの猫を除去されてしまう。

さらには《殺戮の契約》でもう1体の《野生のナカティル》、キャストした《漁る軟泥》には《瞬唱の魔道士》からの《呪文嵌め》と、このやり取りで一瞬のうちに伊藤と松本の盤面が逆転。3点クロックがあったはずの伊藤の盤面はまっさらになり、逆に松本の場にはスピリットトークンと魔道士による3点クロックが残っている。

松本は《忍び寄るタール坑》も攻撃に参加させ、一気に伊藤のライフを詰めていく。

分が悪くなってしまった伊藤は《タルモゴイフ》《聖遺の騎士》、さらなる追加の《タルモゴイフ》《クァーサルの群れ魔道士》と、毎ターン強力なクリーチャーを呼び出していくのだが、
松本は肥えた墓地を燃料に唱えられた1マナの《残忍な切断》《殺戮の契約》《悲劇的な過ち》の合わせ技、そして再び放たれる「探査」からの《残忍な切断》

除去の嵐の前に、伊藤のクリーチャーたちは一瞬にして全滅。
小粒なクリーチャーたちの攻撃を受け続け、伊藤のライフは0を割ってしまった。

思考掃き残忍な切断悲劇的な過ち



松本 1-0 伊藤


Game 2

お互いマリガン無しで始まった第2ゲームは静かなスタート。
先攻の伊藤は《乾燥台地》、後攻の松本は《溢れかえる岸辺》と、共にフェッチランドを置くのみ。

《乾燥台地》から《聖なる鋳造所》をサーチした伊藤は、2ターン目に《森》を置き《タルモゴイフ》をキャストする。
これに対しフェッチランドから《島》をサーチし《呪文嵌め》を撃ち込む松本。

重いハンドをキープしたのか、伊藤は続くターン土地を置くのみで終了。
松本は《思考掃き》で「探査」用に墓地を肥やしつつドローを進める。

伊藤が松本のエンドに《稲妻》をプレイヤーへ、4ターン目に《最後のトロール、スラーン》を戦場に放つ。
「呪禁」能力が厄介なトロールを前に松本は一瞬困った表情を見せるが、すぐに落ち着き《機を見た援軍》を唱える。
《稲妻》のダメージと《最後のトロール、スラーン》により不利になったと思われた松本に、6点のライフと3体の兵士が追加される。

伊藤は《クァーサルの群れ魔道士》を追加し、《最後のトロール、スラーン》で攻撃。
松本はこの攻撃を通し、《機を見た援軍》により得られたライフを消費する。

続くターンには《神聖なる泉》をアンタップイン。あえてライフを削って4マナを確保した松本は、《クァーサルの群れ魔道士》を前に構わず兵士全軍で攻撃。
《クァーサルの群れ魔道士》を守りに回さず攻撃が通ったところで《未練ある魂》により戦力を追加しつつ、《クァーサルの群れ魔道士》には1マナの《残忍な切断》
松本は伊藤のライフを速やかに減らしていくプランのようだ。



松本 友樹 


松本は呪文では対処不可能な《最後のトロール、スラーン》への守りに最低限の数のトークンは残しつつも攻撃を重ねる。
伊藤は攻撃を防がれつつも《野生のナカティル》《ロクソドンの強打者》を戦線に追加していく。

お互いにライフを詰め合う中、松本はトークンでブロックからの《悲劇的な過ち》により盤面を有利にしていく。
松本が全軍攻撃し、伊藤のライフはあと1、2ターンで削りきられようという場面。ここで伊藤の手から一矢が放たれる。


《霧裂きのハイドラ》X=5!!


霧裂きのハイドラ


モダン環境では中々見られないこの一打、伊藤の盤面に残ったクリーチャーの打点と合わせると、
安全圏かと思われた松本のライフを致死圏まで奪うのに十分な大きさだ!




だが、松本が一枚上手だった。

この《霧裂きのハイドラ》《殺戮の契約》で難なく対処すると、加えて《瞬唱の魔道士》で墓地の《悲劇的な過ち》を使い回し残りの脅威も撃破。

伊藤の攻勢を手数の多さで上回り、タイトなダメージレースを松本が制した。


松本 2-0 伊藤


松本 友樹、準決勝進出!