マジックで勝つためには、どうすれば良いのだろう?
様々なデッキが、マジックには存在する。そして、デッキの違いとは、デッキが持つ勝ち手段の違いに他ならない。
相手のライフを速やかに削るもの、相手の動きを制限しながらアドバンテージを奪っていくもの、相手のライブラリーを削りきるものや、一瞬で勝利を掴むものもある。
様々な勝ち手段を目指すデッキがあるのもマジックの魅力の1つだが、そんな中で「極めて独特な手段」で勝利を目指すデッキが存在する。
「勝利したいのなら、相手にターンを回さなければ良い」
この理論に基いて構築されたデッキこそ、「エターナル・ブルー」だ。
多色のデッキが割拠するモダンのメタゲームにおいて「青単色」で構築され、様々な手段で追加ターンを得るこちらのデッキが、モダン選手権2016 Winterでも活躍している。
高橋 哲大の『エターナル・ブルー』、とくとご覧あれ。
■ 高橋 哲大の『エターナル・ブルー』
――「早速ですが、高橋さんがこの『エターナル・ブルー』を選んだ理由を教えてください」
高橋「もともと、少し変わったデッキが好きなんです。モダンでは、”真っ当なビートダウン”のようなデッキを使うことはほとんどなくて、『感染』『リビングエンド』『《不朽の理想》』などが多いです」
――「なるほど。この『エターナル・ブルー』を使い始めたのはいつ頃なのですか?」
高橋「今年の夏くらいですね。いろいろなレシピに目をとおしたのですが、《氷の中の存在》をメインに採用したデッキを作ってみようと思って、調整をしてました」
――「『エターナル・ブルー』では、《海の神、タッサ》や《瞬唱の魔道士》、それから《ヴリンの神童、ジェイス》を採用しているレシピが多いですよね」
高橋「そうですね。《ヴリンの神童、ジェイス》を2枚くらい入れていた時期もあるのですが、やはり《稲妻》などの的になってしまうことが多いので抜いてしまいました。《氷の中の存在》も同様に除去の的になりがちですが、タフネス4が優秀ですね。仮に除去するとしても2枚くらい呪文が必要になるので、相手の動きをかなり遅れさせることができます。《流刑への道》を打たれても、そこまで気になりません。大切なのは、生き延びて5マナまで到達し、《時間のねじれ》を唱えて追加ターンを得られるようにすることです」
――「追加ターンを得るまで生き延びることが重要なのですね。その後の展開、勝ちパターンについても教えてください」
高橋「《氷の中の存在》が裏返って3回殴るか、《水の帳の分離》の覚醒、という2パターンですね。《時間のねじれ》のループに入ってからは『2マナで《氷の中の存在》、5マナで《時間のねじれ》』というのが一つの形です」
――「なるほど。そのパターンに入ってからの注意点はありますか?」
高橋「追加ターンを得てからの後半戦は、自分のライブラリー残数との戦いになるので、動き出すタイミングを逃さないことに注意が必要ですね。先ほどのマッチでは、自分の《時間のねじれ》に《呪文貫き》を唱えて、さらにそれを《差し戻し》して《氷の中の存在》を裏返して勝ちました」
――「おお……やるときは一気に! ですね。追加ターンを得る以外のカードで、注目の1枚はありますか?」
高橋「『エルドラージ』などに刺さる1枚として、《ヴィダルケンの枷》を採用しています。これで相手の《現実を砕くもの》を奪って、追加ターンを得て4回殴って勝ち、ということもありますね。それから、サイドボードのカードなのですが、『出すと必ずテキストを確認される1枚』が、これです」
――「《応じ返し》……えーと、私も確認していいですか?」
高橋「もちろんどうぞ。いわゆる、クリーチャーバウンスです。『SCZ』や『感染』などに対しては、普通のバウンスでは間に合わないことが多いんです。青単なので除去も打てませんからね。《応じ返し》は、こちらがフルタップで、相手が全力で殴って来たときに凌ぎきれる1枚です。《クルフィックスの指図》があるので手札は維持できますし、手札を使ってでも、長く生き延びることが重要ですから」
――「なかなか珍しい選択ですね。やはり『SCZ』『感染』は苦手なのですか?」
高橋「苦手ですね。《クルフィックスの指図》で手札をプレゼントするような状態になるので、安定して3キルされてしまうことが多いんですよ。似たような理由で『バーン』も苦手ではあります」
――「速度差が大きいデッキは苦手、ということですね」
高橋「そうですね。反対に、フェアデッキ全般には有利に立ち回れるので、モダンのメタゲームの中では少し変わった位置にいるデッキだと思います」
■ 『エターナル・ブルー』を使うコツ
――「なるほど。では、このデッキを使うときには、独特のコツがありそうですね」
高橋「先ほど述べたとおり、《氷の中の存在》も使い捨てるくらいの気持ちが必要です。とにかく、時間を稼ぐことが重要なので。『青単』ではありますが、すべてに対処しようとするのではなく、時間をなるべく稼ぐ方向でプレイの方針を定めると良いですよ。《謎めいた命令》も、”・パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。”と”・あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする。”を選ぶことが多いですね」
――「なるほど。その辺りの使い方も独特ですね」
高橋「そうですね。動き出せるまで生き延びることが、やはり最優先ですね」
■ デッキのこだわり
――「少し話が反れるのですが、デッキがFoilでまとめられていますね」
高橋「メインボードは英語のFoilでまとめています。青のFoilは綺麗で、大好きなんですよ」
――「Foilで揃えるってかなり大変だと思うのですが、何か思い出深いカードはありますか?」
高橋「一番は、やはり《時間のねじれ》です。これについては苦労話がありまして……東京だと3枚は見つかったのですが、どうしても最後の1枚が手に入らなかったんですよ。23区のいろいろなショップを回って、5月頃から探し続けていたんですが、結局見つからなかったんです」
――「今は4枚ともFoilなんですよね?」
高橋「そうですね。グランプリ・京都2016のときに、ようやく関西で見つけました。これは嬉しかったですね」
――「より一層、このデッキを好きになったわけですね」
高橋「なりましたね。あとは《応じ返し》の英語Foilがあれば……これはどこにも見当たらないので、これからも探してみます」
――「ありがとうございました。この後も頑張ってください!」
20 《島》 2 《幽霊街》 1 《海の中心、御心》 -土地 (23)- 4 《氷の中の存在》 -クリーチャー (4)- |
4 《血清の幻視》 2 《万の眠り》 4 《差し戻し》 2 《謎めいた命令》 1 《岸の飲み込み》 4 《時間のねじれ》 3 《水の帳の分離》 1 《永劫での歩み》 4 《時間の熟達》 1 《時間への侵入》 4 《クルフィックスの指図》 1 《ヴィダルケンの枷》 1 《吠えたける鉱山》 1 《ジェイス・ベレレン》 -呪文 (33)- |
4 《神聖の力線》 3 《応じ返し》 2 《呪文滑り》 2 《呪文貫き》 2 《ハーキルの召還術》 1 《万の眠り》 1 《岸の飲み込み》 -サイドボード (15)- |
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする