【グランプリ・千葉2016】最終日に開催された「ヴィンテージ選手権2016Winter」。
近年、極めて緩やかにではあるが人口増加の兆しが見えるヴィンテージフォーマットにおいて、今大会でひとつの記録が更新された。
参加者数72名。
これは、国内グランプリで開催されたヴィンテージのサイドイベントにおける歴代最大動員数である。
これほどの人数がヴィンテージを遊びたいと望み、こうして集まってきた。そして今、その72名の頂点を決める決勝戦が始まろうとしている。
渡部 直仁(シンガポール)。
シンガポールから参戦した渡部は《奔流の機械巨人》を採用した青黒のテゼレッターを用いて決勝まで勝ち上がってきた。
長島 誠(東京)。
対する長島は《僧院の導師》が主軸となるジェスカイメンター。5枚目の《僧院の導師》として《若き紅蓮術士》も1枚採用されている。
互いに自身のデッキへの信頼を以て勝ち上がってきた両者。最強を証明するための最後の一戦に臨む。
Game 1
ジェスカイメンターの長島は《若き紅蓮術士》から攻勢を仕掛ける。デッキの主役はあくまで《僧院の導師》なのだが、デッキに1枚だけの《若き紅蓮術士》も十分にフィニッシャーとして期待できる。
続くターンで唱えた《噴出》に対しては渡部から《Mana Drain》。
土地を2枚戻し、ドローはできず、さらには渡部に5マナを献上しようものなら勝負の天秤がそのまま傾きかねない。これは許されざるということで《意志の力》によって退ける。
事なきを得た長島は事前に浮かせていたマナから《Time Walk》。単体でも十分すぎるほどに強力な《Time Vault》だが、《僧院の導師》や《若き紅蓮術士》との相性は特筆すべきものがある。このターンだけで3体生成されたエレメンタルトークンを引き連れ、追加ターンに《若き紅蓮術士》が渡部のライフを削っていく。
《若き紅蓮術士》の攻勢を止めなければいけない渡部は《知識の渇望》で解答を求めに行くが、そのアクションにターンを割いたことでさらにライフが落ち込んでいく。
いよいよ後がない状況で起死回生の一打として放った《Demonic Tutor》を通して打開策を求める渡部。続けてキャストした《Time Walk》でひとまず猶予を得ようとするのだが……そこに飛んできた《稲妻》が残るライフを削り取っていった。
渡部 0-1 長島
《僧院の導師》、もしくは《若き紅蓮術士》を軽量呪文でバックアップし、致命的なアクションはカウンターで弾きながらそのまま殴り勝つ。模範的なメンターデッキの動きを遂行した長島が第一ゲームを制した。
Game 2
《Underground Sea》《Mox Ruby》から《Demonic Tutor》と軽快に動き出す渡部。
続けて《トレイリアのアカデミー》《知識の渇望》と動き、マナと手札の両面で優位を築こうとする。
長島も負けじと《Ancestral Recall》で手札を引き増し、物騒極まる《トレイリアのアカデミー》は《不毛の大地》で対処していく。
一方の渡部は《Mox Jet》《Mox Pearl》と展開してターンを返す。
この5マナオープンは明らかに怪しいが、動いてみないことには始まらない。《定業》で手札を整えようとする長島に渡部が差し向けたのは《概念泥棒》!ドローに優れる青への強烈なアンチテーゼカードである。
この脅威は《意志の力》によってカウンターし、《定業》からの《若き紅蓮術士》。先のゲームで長島を勝利に導いたクリーチャーが再び盤面に登場する。
渡部もやられたままではない。デッキの代名詞でもある《Time Vault》を設置し、コンボへの足掛かりとする。
こうなると早期に勝負を決めたい長島。《若き紅蓮術士》攻めに向かう。
渡部としては《Time Vault》のコンボを決めさえすればいい。そう判断してか、《Time Vault》を自身の能力によってアンタップさせる。すなわち、長島に追加のターンを与えることを選択した。
追加ターンを与える以上、《若き紅蓮術士》によるダメージが重く圧しかかるのは避けられないが、それでも渡部は生きてターンを迎えることができた。今度は渡部自身が追加ターンを享受する側となる。
渡部はこの間に《毒の濁流》を通すことに成功し、長島の《若き紅蓮術士》を見事一掃する。
これで一安心かと思いきや、渡部の希望を打ち砕くかのように長島の真打が満を持して登場する。
ジェスカイメンター本来の主役。《若き紅蓮術士》の上位存在と呼べるこの僧侶に対して、渡部が割けるリソースは残されていなかった。
渡部 0-2 長島
「ヴィンテージ選手権2016 Winter」優勝は長島 誠!!
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする