Translated by Jun`ya Takahashi
◆ スタンダードの「マルドゥアグロ」について
もしあなたがスタンダードで遊びたいけれど、私のように「白青フラッシュ」も「黒緑昂揚」も使いたくないとしましょう。 今回の記事では、そんなあなたに 他にも選択肢があること をお伝えします。 現状のメタゲームにおいて主流の2つのデッキと互角以上に戦える攻撃的なデッキを用意しました。
それは、かつて「マルドゥ機体」と呼ばれていたものです。
原型になったデッキは、 Lee Shi Tian や 斎藤 友晴 らのチームがプロツアー『カラデシュ』で使っていた「マルドゥ機体」です。 彼らはプロツアー以後もMOCSやグランプリで使い続けていました。 あれからデッキは数多くの改良を経て、 私のバージョンでは随分と違う形 になっています。
やが抜けて、機体が4枚のだけになったこのデッキは、もはや「マルドゥ機体」とは言えません。 また、もう青いカードも採用していません。 なぜなら「」は衰退してしまったからです。 もし対戦することになったとしても、ビートダウンプランだけで十分に戦えるはずです。
私はこのデッキでグランプリワルシャワに参加して、初日を 9勝0敗 で通過し、最終的に 45位 でトーナメントを終えました。 このリストは完璧ではありませんが、現在のメタゲームにおいて考えられる最適な75枚になっているはずです。
Jeremy Dezani「マルドゥアグロ」
4
3
4
4
4
2
1
-土地 (22)-
4
4
4
4
2
2
-クリーチャー (20)- |
4
1
4
4
4
1
-呪文 (18)- |
4
3
2
2
2
2
-サイドボード (15)- |
黒マナはとの2枚のために用意しています。
は、このデッキではに続く最高の2マナ域です。 とを強化する追加のアーティファクトかつ、序盤に倒されても墓地から帰ってくるタフさをもっています。 この3/2というサイズも素晴らしく、頻繁に起こる1ターン目のから2ターン目のという動きは2ターン目にも関わらず2枚の3/2を与えてくれます。
は、攻撃的な戦略で際立った活躍を見せる、 スタンダードで最高の除去呪文 です。 エンチャント破壊で困らされるや、ソーサリーかつ相手に”手掛かり”を与えてしまうよりもずっと良いカードです。 インスタントゆえににも簡単に対応できます。 これが強さの割に使われていないのは、赤と黒、それにアーティファクト(これがないとただのですからね)も使うという条件が難しいからに他なりません。
は、「黒緑昂揚」とのマッチアップの鍵を握るが登場するまでに準備できる最善のカードです。 これはとても厄介で、 これがあるがゆえに対戦相手はプランを変更せざるを得ません。 で倒されてしまいますが、相手はこちらの12枚の1マナ域とにも対応しなければならないので、が生き残る可能性は十分に残されています。
このマッチアップのはお互いに活躍しないカードです。 特に後手番では弱いのでサイドアウトしましょう。
対「黒緑昂揚」での活躍と比べると、対「白青フラッシュ」ではそれほどでもありません。 また、デッキのなかで一番に弱いカードでもあります。 それでも1枚だけ入れたままにするのは、たまにやに刺さるからです。
このマッチアップのサイドボード後のゲームは、アグロ vs コントロールという側面は薄れます。 さらに2/3というサイズはやに対して素晴らしいとは言えないためサイドアウトしています。
このマッチアップでただただ強い1枚です。 、やを捌きつつ、を破壊してやを救いだせます。 たったの3マナでこれらすべてができるのです。
と対策といったらこれです。
はへの最高の解答です。 「白青フラッシュ」にはの代わりにサイドインしましょう。
”昂揚”する前のにはとても強いカードですが、サイドボード後の「黒緑昂揚」からは高タフネスのクリーチャーしか出してきません。 そのため、それらを撃ち落とすためのエネルギーを得るにはを追加で引かなければならないのです。 ただ、色マナを得るためにエネルギーを使うこともあるので、これは少しばかり噛み合わないことになります。
これは”昂揚”した、やなどの4以上のタフネスをもつクリーチャーへの中々な解答です。 また、のトークンに対しても素晴らしい働きを見せます。あと、言うまでもないかもしれませんが、たまたま複数枚でてきた同名クリーチャーにも効果的です。
に簡単に殺されてしまうも2枚ほどに変えてみてもいいでしょう。 ただ、気を付けなければならないのは、このデッキでは終盤を戦えないということです。 序盤の有利を得るカードを減らしてしまうと、デッキにある他のカードの価値も全体的に下がってしまいます。 私は後手のときに入れ替えることにしていますが、先手はのままのほうがいいでしょう。
このマッチアップのは単純に重すぎます。
とは、あなたが除去を使うコントロールとして振る舞うこのマッチアップにおいて悪いカードではありません。 とはいえ、たくさんの4マナ域を使いたいわけではないのです。
を即座に倒せます。 これは「ゾンビ」にとって最悪の出来事です。 また、2枚目以降はインスタントスピードでなんでも除去できます。
これが「ゾンビ」に対して有効な理由は2つあります。 1つは追放できること。 もう1つは複数の同名クリーチャーを対処できるからです。
重すぎます。 また、たとえ登場しても対した活躍は見込めません。
このマッチアップでもは重すぎます。
とてもコスト効率よく機体たちに対処できます。 こちらの展開を妨げずに、展開と対処を同時に行えるのです。
と同様に軽い除去呪文です。 この軽さゆえに自分のクリーチャーを展開すると同時に、相手のものを除去することができます。
とに引っかからず、登場時と、その後は毎ターン1枚のクリーチャーを除去できます。よりもずっとマナカーブの頂点にふさわしいカードです。
とは「」に対して少しも、いえ、何もしてくれません。
とは、を妨害する手段です。
これならばもも追放できます。
の紋章のように全体強化できます。 このマッチアップではよりもいい選択肢です。
◆ 最後に
このデッキは「黒緑昂揚」と比べると、確実に安定性で劣ります。 そのため少しばかり多くのマリガンをすることになるでしょう。 ただ、このフォーマットでは珍しいことに、 不安定ながらも競技シーンで活躍するには十分すぎるほどのパワーを秘めています。 あなたがこのデッキを手にして、私とともに”白青と黒緑は使わないぜ連合”に加盟してくれるのを待っています!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
Jeremy DEZANI
Jeremy Dezani
2013-2014年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー獲得プレイヤー。
プロツアー『テーロス』では、「青単信心」を使いこなし見事優勝の栄冠に輝いた実績を持つ。グランプリのトップ8入賞回数は10回にも上り、優勝2回、準優勝2回を記録している。
海外のプレイヤーとしては初のHareruya Pros加入となる。
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