オールインデッキが跋扈する昨今のモダンではあるが、しかしながら他の勢力がただ座しているだけとは限らない。
初速を捌いてさえしまえば、そこから先はフェアデッキのゲームとなる。
それを体現するかの如く準決勝へ勝ち進んできたのが中道の駆るジャンド。キング・オブ・フェアデッキ。フェアデッキの王者として、モダンのメタゲームに常に存在している。
豊富な除去手段と手札破壊を擁するジャンドは、然るべき構築を行えばオールインデッキに問題なく対応できるだろう。
対するは谷のトロン。ジャンドがオールインデッキを咎める側であるならば、谷のトロンはフェアデッキ群をまとめて食らい尽くすポジションとなっている。
トロンはトロンで「土地」という明確なウィークポイントを抱えてはいるのだが、その弱点を突かれるかどうかはメタゲームの風向き次第。そして現在、土地へのガードは明確に下がっている。それゆえに、谷のトロンがここまで勝ち進んできたことも、また道理といえるだろう。
先週の【プロツアー『霊気紛争』地域予選in東京】でもトロンでTop8に入賞している谷。今がトロンの旬だと言わんばかりの谷に、中道のジャンドが挑む。
Game 1
ダブルマリガンを喫してのスタートとなってしまった中道。《コジレックの審問》で暴いた谷の初手は、トロンランドこそ《ウルザの魔力炉》1枚のみだが、《彩色の星》《彩色の宝球》によって掘り進めていける手札となっている。
ここから最も採掘枚数の多い《古きものの活性》を落として、あとは谷がトロンランドを引き込まないことを祈るしかない。ジャンドがトロンに対して行える主たる干渉手段は手札破壊のみ。それも、トロン側の土地が揃うまでの有効期限付きである。
中道 大輔 |
《闇の腹心》《漁る軟泥》と続けて繰り出す中道。谷は2ターン目、3ターン目と続けて引いてきた《ウルザの鉱山》をセットし、《ウルザの塔》待ちの状況となる。中道としては気が気でない。
《ヴェールのリリアナ》も追加し、奥義による勝ち筋にすべてを託そうとするのだが……
無情にも谷が4ターン目に引き込んだ《ウルザの塔》によってトロンがその本領を発揮する。
《忘却石》によって《闇の腹心》《漁る軟泥》《ヴェールのリリアナ》がまとめて吹き飛び。盤面が更地になる。
それでも《怒り狂う山峡》で攻める意志を継続する中道だが、《解放された者、カーン》が《怒り狂う山峡》を追放したことで投了。初戦はトロンがその相性差を見せつけた。
谷 1-0 中道
ジャンドにとって、対トロンはそもそもの相性が悪いマッチアップであるが、サイドボード後は《大爆発の魔道士》や《塵への崩壊》などで立ち向かうのが常となる。
しかし、ここで問題が浮上する。なんと中道のジャンドは、サイドボードに一切の土地対策カードが入っていないのだ。
高速環境に寄りつつあるモダンのメタゲームを受けての取捨選択の結果、それが功を奏してか準決勝まで勝ち上がってきた中道だが、その選択には当然裏目が存在する。そして、その裏目が今というわけだ。
サイドボードを見つめる中道の表情も険しい。ここでジャンドの意地を見せることができるのか。
Game 2
今度は谷がダブルマリガンの憂き目に遭う。中道からすれば、このダブルマリガンが一縷の望みとなるか否か。
《思考囲い》で暴いた谷の5枚は《ウルザの魔力炉》《ウルザの塔》《森》《探検の地図》《歪める嘆き》。
ダブルマリガンながら実質3種揃っている手札。《探検の地図》を落とすが、楽観的な状況とは言えない。
そして、早くも悲観的な状況が訪れる。谷は《森》から《森の占術》。これで手札に《ウルザの鉱山》が加わり、トロンランドが揃ってしまった。
谷 千春 |
こうなってしまえば初戦の流れを繰り返すに近い。《古きものの活性》が《世界を壊すもの》に繋がり、《草むした墓》が追放される。
《世界を壊すもの》こそ《大渦の脈動》で退ける中道だが、貴重なパーマネント除去を切った直後の《精霊龍、ウギン》に対処する手段がない。
残るリソースである《稲妻》と《怒り狂う山峡》の攻撃によって《精霊龍、ウギン》の忠誠値を2まで落とし込むも、続けて展開された《スラーグ牙》が守る盤面を覆す術は、ジャンドには残されていなかった。
谷 2-0 中道
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