By Atsushi Ito
環境は常に、新しいデッキによって拓かれる。
だからこそ、新しいデッキを作れるプレイヤーのことを我々は「デッキビルダー」と呼び、尊敬してやまないのだ。
ここにも、そんな才能を持ったデッキビルダーが一人。
【第2期モダン神挑戦者決定戦】でも独創的なエスパーデッキでトップ4まで勝ち残り、先日の【グランプリ静岡】でもリミテッドながらトップ8に入賞してプロツアーの出場権を獲得して波に乗る男。
松本 友樹(東京)。
彼が今回、この第3期モダン神挑戦者決定戦に持ち込んだのは、『運命再編』でも随一のカードパワーを持つカード、《僧院の導師》をフィーチャーしたエスパーミッドレンジだという。
早速松本にデッキについてインタビューしてみた。
--「今回《僧院の導師》をエスパーで使用されているとのことですが、このデッキはどうしてできたのでしょうか?」
松本 「とにかく《僧院の導師》を使ったデッキを組みたくて、色々な色の組み合わせを試したんですよね。ジェスカイカラーにして《ジェスカイの隆盛》や軽い火力と合わせたり、マルドゥカラーで手札破壊と合わせてみたり」
--「どれもなかなか面白いデッキになりそうですね」
松本 「ただやはり《僧院の導師》というカードはドロースペルとの相性が最も良いので青は外せなくて、次に手札破壊で安全を確認してから《僧院の導師》を定着させる動きが強いと思ったので黒も必要だなと思った結果、このカラーリングになりました。あとは《忍び寄るタール坑》が強いというのもエスパーのメリットの1つです」
--「《思考囲い》《コジレックの審問》などの手札破壊は《僧院の導師》と相性が良いんでしょうか?」
松本 「手札破壊は後半トップすると腐りがちですが、そんなときも《僧院の導師》がいるとトークンを出したり『果敢』を誘発させたりできるので、悪くはないですね」
--「《イニストラードの君主、ソリン》が採用されているというのはかなり珍しいですよね」
松本 「このカード、好きなんですよね(笑) 《真面目な訪問者、ソリン》の方が良いという説もありますが、除去ハンドなどをキープしたときに『紋章』を先に得ておくことで後の《僧院の導師》や《未練ある魂》への伏線にできるので、こちらの方が単体で損しづらいカードということで採用しています。《真面目な訪問者、ソリン》の方は、場にクリーチャーがいないと効果が半減ですから」
--「《ギタクシア派の調査》などは採用を検討されなかったんでしょうか?」
松本 「もちろん考えましたけれど、《僧院の導師》を引かないとほとんど手札破壊の下位互換なんですよね。それにライフも厳しいデッキでファイレクシアマナでの支払いはなかなかできませんし、《コジレックの審問》でいいだろうと」
--「《僧院の導師》がデッキの中心というよりは、ジャンドにおける《ゴブリンの熟練扇動者》のようにグッドスタッフとしての採用なんですね」
松本 「そうですね。《僧院の導師》というカードはとてもカードパワーが高いので、このデッキのようにスペルがたくさん入ったデッキのフィニッシャーとして単純に放り込んでも結構何とかなります」
--「サイドボードの《ヴィズコーパの血男爵》はどういった用途なんでしょうか?」
松本 「長期戦になるアブザンジャンク用にお試しで入れてみたんですが、まだ1回もサイドインしてません(笑)」
ちなみに今回、松本はプラチナレベルプロ・市川 ユウキにデッキをシェアしているとのことなので、市川にも松本のデッキの使用感を聞いてみた。
市川 「ここまで使ってみた感じ、《僧院の導師》はタダ者ではないね。剛の者、もしくはケダモノ」
……よくわからないが、とにかく《僧院の導師》がすごいということだけは伝わってきた。
モダンで《僧院の導師》、貴方も是非チャレンジしてみて欲しい。
2 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《神無き祭殿》 1 《神聖なる泉》 1 《湿った墓》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《湿地の干潟》 4 《忍び寄るタール坑》 -土地(21)- 4 《瞬唱の魔道士》 3 《僧院の導師》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(9)- |
2 《殺戮の契約》 4 《流刑への道》 4 《思考掃き》 4 《コジレックの審問》 2 《思考囲い》 2 《呪文嵌め》 1 《見栄え損ない》 2 《差し戻し》 1 《盲信的迫害》 4 《未練ある魂》 2 《残忍な切断》 2 《イニストラードの君主、ソリン》 -呪文(30)- |
4 《機を見た援軍》 2 《ヴィズコーパの血男爵》 2 《否認》 2 《解呪》 2 《石のような静寂》 1 《思考囲い》 1 《天界の粛清》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -サイドボード(15)- |