クイックインタビュー:禁止改定を受けて、環境はどうなるの?

晴れる屋メディアチーム

By Hiroshi Okubo


 2017年1月9日、マジック界に激震走る。


約束された終末、エムラクール密輸人の回転翼機反射魔道士


 スタンダードで《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》禁止。


ギタクシア派の調査ゴルガリの墓トロール


 モダンで《ギタクシア派の調査》《ゴルガリの墓トロール》禁止。

 DCIより告知された【2017年1月9日 禁止制限告知】では、スタンダードで3枚のカードが、モダンで2枚のカードが禁止される非常に大規模な禁止改定となった。


 となると、気になるのはやはりこれからスタンダードとモダンの環境はどうなっていくのか。本記事では、今後の環境予想についてHareruya Prosの皆さんにお話を伺いました!



津村 健志 (2012年マジック・プロツアー殿堂顕彰者)


今回の禁止改定の所感

妥当といえば妥当だとは思うんですが、やっぱりショックですね……。スタンダードで を失い、モダンで 実家 を失った感じです。今朝起きて禁止改定を見て、思わず変な声が出ましたw







スタンダードの環境予想

「『機体』や『白青フラッシュ』はキーカードを失いやや弱体化してしまいましたが、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は変わらず強いですし、今後も活躍しそうです。あとは《霊気池の驚異》系のデッキもフィニッシャーを《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に変えて生き残りそうだと思っています」






ゼンディカーの同盟者、ギデオン霊気池の驚異


「他に活躍が期待されるのは、巷で噂の《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》を組み合わせたコンボデッキなどでしょうか。『ギデオン入りビートダウン』と『霊気池デッキ』と『サヒーリコンボ』の3つは強過ぎるような気がして、ちょっとだけ心配です」






サヒーリ・ライ守護フェリダー



モダンの環境予想

《ゴルガリの墓トロール》禁止が『ドレッジ』に大きく影響することは言わずもがなですが、《ギタクシア派の調査》禁止で『スーパークレイジーズー(SCZ)』と『感染』が弱体化しました。特に『SCZ』はアーキタイプそのものの存続が危ぶまれるレベルの影響を受けそうです」






死の影


「ただし、上述のオールイン系のコンボデッキが減ることで、『SCZ』や『感染』を苦手としていた『トロン』などのデッキにも再びチャンスが巡ってきそうですね」







井川 良彦 (シルバー・レベル・プロ)


今回の禁止改定の所感

「どれも納得の禁止ですね。スタンダードは若干停滞気味だったので、これからおもしろくなってきそうです。モダンは個人的にはいい環境だと感じていたんですが、まぁ“禁止されるならこのあたりだろうな”と思っていたので予想通りといった感じです」







スタンダードの環境予想

《反射魔道士》に弱かった《精神壊しの悪魔》やマナクリーチャーは今後使われるようになりそうです。また、《密輸人の回転翼機》の飛行クロックを苦手としていた『緑白トークン』も復権するかもしれませんね」






精神壊しの悪魔ゼンディカーの代弁者、ニッサ


「『機体』デッキが弱体化することで環境は遅くなると思っています。これからのコントロールデッキには注目ですね」







モダンの環境予想

「モダンは『感染』と『SCZ』、『ドレッジ』が弱体化することで、これらのデッキのゲームスピードに間に合っていなかった『トロン』や『スケープシフト』は相対的に強化されました」






解放された者、カーン風景の変容


「また、《致命的な一押し》などの新カードも加入して環境は大きく動くことになりそうです。2月に開催される『グランプリ・ブリスベン2017』に参加する予定なので、環境の変化に対応できるようしっかり練習して臨みたいです」






致命的な一押し



原根 健太 (【グランプリ・京都2016】トップ4)


今回の禁止改定の所感

変更内容自体は悪くないと思います。これまで『機体』デッキの2ターン目の《密輸人の回転翼機》《霊気池の驚異》から飛び出してくる《約束された終末、エムラクール》が環境を定義していましたが、これからはそういった制約がなくなるのでデッキの自由度が増しておもしろくなりそうです」







スタンダードの環境予想

「大雑把な予想を立てることはできますが、正直ほとんど分かりません。今回禁止された3枚は良くも悪くもリリースされてから今までずっと環境の中心にいたカードなので、これらが無かった環境なんて考えられませんし、新セットが突然6つリリースされたくらいの環境の変化だと思います。スタンダードは一から手探りで模索されていくことになりそうです」






巻きつき蛇ピーマの改革派、リシュカー


「もちろん新デッキも出てくると思います。僕が今個人的に組んでみたいと思っているのは《巻きつき蛇》を使った緑黒のビートダウンですね。今までなら《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》にボコボコにされそうなアイディアですが、こういったデッキを考えられるようになったのもいい変化だと思います」







モダンの環境予想

「モダンは見たまま、オールインの速いデッキが減るでしょうね。『ドレッジ』はもしかすると《臭い草のインプ》などで頑張って生き残るかもしれませんが、やはり弱体化は免れないと思います」






臭い草のインプ


「『SCZ』に関してはただでさえ新カードの《致命的な一押し》の存在が逆風でしたが、《ギタクシア派の調査》禁止となると環境から退場することになるかもしれません」









 3名のHareruya Prosに話を伺ったが、スタンダードに関しては概ね「環境は遅くなりそう」「プレインズウォーカーを使用したデッキが強そう」といった評価が、モダンに関しては「トロンやスケープシフトが復権しそう」という評価が多かった。

 禁止カードが出るということ自体の是非はともかくとして、スタンダードとモダンはまったく新たな環境を迎えることになるだろう。『霊気紛争』リリース後、どのようなメタゲームが形成されていくのか楽しみでならない。






この記事内で掲載されたカード


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