プロツアー『霊気紛争』
2017年2月3-5日
● 1stドラフト
8《平地》 8《山》 -土地 (16)- 3《大胆な潜入者》 1《霊気追跡者》 1《ギラプールのミサゴ》 1《砦の執行官》 1《光袖会の職工》 1《博覧会の歓迎者》 1《尖塔横の潜入者》 2《気ままな芸術家》 1《プロペラの先駆者》 1《ラスヌーの帆背びれ》 2《暁羽の鷲》 -クリーチャー (15)- |
1《路地への回避》 1《罪の自覚》 2《攻城化改造》 1《鉄装破壊車》 2《領事府の弩級艦》 1《アラダラ急行》 1《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (9)- |
1パック目初手は《領事府の弩級艦》。意外に思われるかもしれないが、このカードは『霊気紛争』ドラフトで過小評価されている1枚だ。
重いコストに見える「搭乗6」だが、パワー3を意識してピックすれば案外簡単に達成できる。特に白・赤・緑が搭乗6を満たしやすく、4ターン目に7/11が攻撃し始めることも珍しくない。『霊気紛争』はクリーチャーが軒並み小さいため、接死持ち以外で7/11というサイズを討ち取るのは困難だ。
また1マナと軽いため「即席」の種としても役立ち、無色のカードなため「初手でピックしたが結局使えなかった」ということもない。安全な初手と言える。
2手目は弱いパックだったので、低マナを優先するのと7/11との噛み合わせで《大胆な潜入者》。
《暁羽の鷲》で白を固定。
6.7手目に《攻城化改造》が来たのでピック。《領事府の弩級艦》を軸にデッキを考える。
2パック目、初手はまたしても《領事府の弩級艦》。
3パック目の3手目に《反逆の先導者、チャンドラ》が流れてきたときは思わず椅子を座りなおした。
以前の【ブログ】でも述べたように、『霊気紛争』ドラフトの最強色は赤。プロツアー参加者は誰もがそれを認識しているからこそ、赤は卓に競合することが多い。
みんな《ショック》《チャンドラの革命》で赤をつまむことはあるが、途中で赤の込み具合を感じて退く。そのおかげで3パック目の『カラデシュ』でこういった赤ボーナスが起きることがある。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 白緑 | ×○× |
Round 2 | 赤黒 | ×○× |
Round 3 | 赤緑 | ○○ |
1-2。
《領事府の弩級艦》《攻城化改造》のコンボはたしかに強力だが、《果敢な爆破》《光に目が眩む》《解呪》系など対処手段も多い。
「相手が除去を持っていなければ勝つが、持っていたら強いパーマネントを2枚失う」ということで、3-0もあり得るが1-2もあり得るハイリスクハイリターンのデッキだった。
また除去、コンバットトリックが皆無だったため対応力が低く、相手に強いカードを出されるとそのまま強いカードが場に残り続けて負けた。
マジックで勝つための基本は「自分の強いパーマネントを場に残し続けて、相手の強いパーマネントを場に残させない」こと。これは何もリミテッドだけに限った話ではなく、構築にも通じる考え方だ。
そのために必要なのは除去と、自分のパーマネントを守るための呪文。このデッキにはそれが両方とも足りていなかったことに、1-2して気付くのだった。
気を取り直してスタンダードへ。
● スタンダード:初日
4《平地》 4《秘密の中庭》 4《感動的な眺望所》 4《尖塔断の運河》 4《産業の塔》 2《霊気拠点》 -土地 (22)- 4《模範的な造り手》 4《スレイベンの検査官》 4《経験豊富な操縦者》 4《屑鉄場のたかり屋》 2《異端聖戦士、サリア》 2《模範操縦士、デパラ》 -クリーチャー (20)- |
4《無許可の分解》 3《金属の叱責》 4《キランの真意号》 3《耕作者の荷馬車》 4《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (18)- |
4《致命的な一押し》 3《断片化》 2《大天使アヴァシン》 2《否認》 2《領事の旗艦、スカイソブリン》 2《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
デッキは「4色機体」。
私がデッキを考えるときの基準は「このデッキは何枚のカードで勝つことができるるのか」ということで、それらはコストが軽ければ軽いほど、枚数が少なければ少ないほど良い。
《模範的な造り手》《スレイベンの検査官》《屑鉄場のたかり屋》《キランの真意号》の4種類は少ないカード枚数でブン回る要素があり、「ダブルマリガンでも勝てる」デッキだ。
マジックには運の要素もあるため、マリガンやダブルマリガンで負けてしまうこともある。しかし「ダブルマリガンでも勝てる」デッキを考えることはできる。
他のデッキを使っても4色機体を倒すことができなかったので、自然とこのデッキ選択に至った。
《模範的な造り手》《スレイベンの検査官》《屑鉄場のたかり屋》《キランの真意号》を基準に様々な白系機体デッキを考えたが、青白や白緑では《平地》が6枚以上入るマナベースになってしまい多色化が難しくなってしまうこと、特にスタンで最も強い除去の《無許可の分解》が使えないデメリットが目立った。
《キランの真意号》を中心にメタゲームが回ると予想したため、《経験豊富な操縦者》《模範操縦士、デパラ》でのサイズアップがキラン対決を制する。
また「サヒーリコンボ」を考えると《金属の叱責》も欲しいと考え、4色機体を選択した。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 4 | ジェスカイサヒーリ | ○×× |
初戦負けで1-3。
「あんなに練習したのに……」(by 『スラムダンク』の春子さん)
自分がティルトに陥っていると感じたので、水を飲んでバナナを食べて気持ちを切り替え。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 5 | ジェスカイサヒーリ | ×○○ |
Round 6 | 緑黒エネルギーアグロ | ×○○ |
Round 7 | 赤黒機体 | ○×○ |
Round 8 | 4色サヒーリ | ○○ |
なんとか4勝できて5-3で2日目へ。
● 2ndドラフト
8《沼》 8《山》 -土地 (16)- 1《霊気追跡者》 1《亢進する地虫》 2《路地の絞殺者》 1《不法仲買人》 1《無謀なレーサー》 1《速接会の技師》 1《プラカタの柱行虫》 1《屑鉄会の勇者》 1《楕円競走の無謀者》 1《襲拳会の部隊》 1《鋳造所のスズメバチ》 2《歩行貯蔵器》 1《むら気な巨人》 1《害悪の機械巨人》 1《湿原の運び屋》 -クリーチャー (17)- |
1《ショック》 1《隠然たる襲撃》 1《破壊的細工》 1《ヤヘンニの巧技》 1《発明者のゴーグル》 2《鉄装破壊車》 -呪文 (7)- |
初手《ヤヘンニの巧技》、2手目《無謀なレーサー》、そしたら3手目に《バラルの巧技》が!
青が空いているサインだと思いこれをピック。4手目で《異端の飛行機械職人》が流れてきたため青赤を意識。
しかし2パック目では青がほとんど流れて来ず、《ショック》《霊気追跡者》など赤ピックをを続けて青と黒の両天秤状態に。
3パック目からは《害悪の機械巨人》が! これで赤黒に決定。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 9 | 青黒 | ○○ |
Round 10 | 青緑 | ○○ |
Round 11 | 青赤 | ×× |
2-1。
青が混んでいたのも納得。青赤相手の2ゲーム目、自分の選択ミスで負けてしまったのが悔やまれる。
そして、スタンダードへ。
● スタンダード:2日目
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 12 | マルドゥ機体 | ○○ |
Round 13 | マルドゥ機体 | ×○× |
Round 14 | マルドゥ機体 | ○○ |
Round 15 | 黒緑カウンター | ×○× |
Round 16 | マルドゥ機体 | ×× |
2-3!
機体同系はどうしても先手が有利だし、片方だけ《キランの真意号》だと一方的なゲームになりやすい。
正直ここまで機体が多いメタゲームだと予想していなかったので、《金属の叱責》ではなく《致命的な一押し》をメインに入れるべきだった。メタ読みのミスだ。
最終成績9-7でプロポイント4点獲得。あと1勝が遠いプロツアーだった。
■ プレイングの極み
現在はあなたの戦闘フェイズで、《無謀なレーサー》が誘発したところだ。
さて、ここから何を捨てるか考えてほしい。
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■ 高橋の答え
順当に行けば勝ちそうな手札だったので、このとき私は3ゲーム目をどうするかを考えていた。
しかしそれが油断だったのだ。
私はここから《山》を捨てた。手札が黒いカードばかりでこれ以上の《山》は不必要だし、3ゲーム目を考えるとなるべく《ヤヘンニの巧技》を見せたくないと考えたからだ。
捨てて引いたカードは《湿原の運び屋》。《不法仲買人》を出してエンドする。
相手の返しのアクションは《チャンドラの革命》で《無謀なレーサー》を除去して《沼》をタップ。
そして私のドローは《鉄装破壊車》!
追加で何もプレイできず、攻撃してターン終了。
その返しに再び《チャンドラの革命》+《理論霊気学者》で、結局《鉄装破壊車》が遅れたのが致命的で、逆転負け。
自分が押している状況での《ヤヘンニの巧技》は不要で、《山》があれば勝っていたゲームだった。自分のデッキから何を引くか、また相手のデッキに何が入っているかの予想が甘かったのが敗因となった。
あるかもわからない3ゲーム目を考えるのではなく、
まずは全力で目の前のゲームの勝利を目指せ!
ではまた
高橋優太
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