Translated by Atsushi Ito
こんにちは!先ほど【マジックオンライン・チャンピオンシップ(MOCS)2016】でのプレイを終えて、ウィザーズ本社のあるレントンから帰ってきました。おそらくご存知だとは思いますが、私はスタンダードで4色コピーキャットを使用し、準優勝という成績を収めることができました。
今回の記事では、「なぜ4色コピーキャットが素晴らしいデッキだと思うか」というその理由をお教えすると同時に、より大事な「マルドゥ『機体』とのマッチアップにおける私の考え方」を共有しようかと思います。何せ、来るグランプリ・ニュージャージー2017やグランプリ・バルセロナ2017に出場するなら、最も重要なマッチアップとなることは間違いないでしょうからね。
ただ残念なことにこれらのグランプリのすぐ後、3月13日には再び禁止改定があるので、マルドゥ「機体」も4色コピーキャットも何らかの変更を加えざるをえなくなるのではないかと思います。というのも、私はとの両方が禁止になるだろうと思っているからです。それでもまだ、4色コピーキャットについて詳しく知りたいと思ってくれるでしょうか?
スタンダードはマルドゥ「機体」と4色コピーキャットの2強
スタンダードは2強状態なのでしょうか?現時点でいえば、私はそう思います。どちらのデッキも馬鹿げた強さなので、他のあらゆるデッキが悪く見えてしまうほどです。これらのデッキが倒せるか倒せないかで言えば、倒すこと自体は可能でしょうが、片方を倒せるとしたら、もう片方に対してはひどい相性となってしまうことでしょう。なので、これらの両方に有利だというデッキがもしあるなら、今週末のグランプリのどちらかで簡単に優勝できるでしょうね。
マルドゥ「機体」を倒すなら、Brad Nelsonのが入った黒緑エネルギーが最も勝率が高いだろうと思います。けどいいですか、黒緑エネルギーでは4色コピーキャットには決して勝てないのです。そしてその反対も同様に、4色コピーキャットに最も有利なデッキはジェスカイコピーキャットですが、いまほとんど誰もこのデッキをプレイしていないことからわかるように、マルドゥ「機体」との相性は厳しいものとなります。
マルドゥ「機体」と4色コピーキャットの両者間の相性はほぼ5分5分ですが、マルドゥ側がもう少し4色コピーキャットを倒すことを意識し始めたら、コピーキャット側は成す術なく上回られてしまうでしょう。
4色コピーキャットというデッキについて
こちらが、私がMOCSでプレイした75枚になります。
Lukas Blohon「4色コピーキャット」
Magic Online Championship(準優勝)
5
1
1
1
1
4
4
2
2
-土地 (21)-
4
4
4
4
-クリーチャー (16)- |
4
4
4
3
4
3
1
-呪文 (23)- |
3
3
2
2
2
2
1
-サイドボード (15)- |
メインボードに関しては他の組み方 (、、など) よりも勝っている自信があります。変えてもいいかなと思う部分は、を1枚にしてもいいというくらいです。はマルドゥ「機体」に対してよりも非常に強力ですからね。
マナベースは別にそこまで良くはないので、最後に決める部分であろう2枚のとの部分を他の土地に変えてもいいでしょう。21枚の土地に加えてが4枚ずつ入っている以上、フラッドは起こるべくして起きます。単体で勝てるのようなカードが、のような単なるサポートカードより優先している理由もそこにあります。
マルドゥ「機体」とのマッチアップについて
さて、どうやったらこの最重要マッチアップを制することができるでしょうか? 残念ながら簡単には勝ちを拾わせてもらえません。ゲームは毎回違った展開になりますが、ただそれでもどんなことを優先すべきなのか、そして何がそんなに重要ではないのかを、お教えすることくらいはできます。
アグレッシブに攻めなければいけないときもあれば、いくつかのカードを駆使して1点でも多くのダメージをもらわないようにしなければならないときもあり、またあるゲームではどれだけ早くコンボを揃えられるかだけが焦点になったりもします。どんなときに、何をするべきなのでしょうか?以下を読めば、わかるようになるかもしれません。
消耗戦で勝つ
サイドボード後なら最も簡単な勝利手段となりますが、1ゲーム目でこれを目指すのはなかなか難しいです。というのも、サイドボード後はマルドゥ「機体」の脅威のほとんどに対し解答手段がありますが、1ゲーム目はに対抗する手段が少なく、しかもすさまじいスピードでライフを削ってくるため、ひとたび対戦相手がを出したならロングゲームになることは稀だからです。何とかできるのはとくらいですが、解答と言えるのは実質に限られています。
はいくらか時間を稼いでくれますが、結局エネルギーが尽きるまでにコンボを決める必要があります。理解しておきたいこととして、もし相手をによるブロックに誘い込めれば、第2メインにやで仕留めることが可能になる、ということがあります。1体や2体のクリーチャーを差し出しても、を落とせるのであればお釣りが来ます。ただし向こうも2枚目のを持っている可能性があるので、(他に選択肢がない場合は別として) そんなに大したダメージではないにもかかわらずブロックに差し出してきた場合は、2枚目の可能性も常に頭に入れるようにしましょう。
も1ゲーム目では厄介です。と同様、飛行の「機体」には十分な解答がないからです。少なくとも、ほど早くこちらを殺せるわけではないとはいえ、ダメージレースがほぼ不可能になってしまいます。
サイドボード後は言うまでもなくが切り札となり、容易に主導権を握ったりアドバンテージ勝ちできるようになったりします。は普通は「X=2」でプレイしますが、あまりにも押されているときは3ターン目にに対して「X=1」で打つのをためらってはいけません。カードの質はこちらの方が高いので、十分高いライフ水準のままロングゲームに持ち込めれば、安全に勝利できることでしょう。
サヒーリコンボで勝つ
これが一番簡単な勝利手段であり、1ゲーム目で主に目指すべきルートになります。メイン戦では対戦相手もそれほど多くの解答があるわけではありませんが、手がかり・トークンとがあればの軍勢を未然に防ぐことができるというのは覚えておいて損はないでしょう。
2ターン目から3ターン目という動きが最高です。なぜなら、その時点では相手方に十分なクロックはないでしょうから、そこからをずーっと構え続けるというのは非常に難しくなるからです。
したがって、を実際には持っていなくても3ターン目にを出すというのは相手にとってとてつもなく脅威となるのですから、たとえのETB能力で何ら得できないとしても、そのターンにそれより若干マシなプレイができるという程度のものでしたら、それよりすぐにを出してしまうことを検討すべきなのです。何せこうすれば、返しのターンに相手がのようにあなたにとって強烈なプレッシャーとなるカードを着地させる代わりに、をメインでに打ち込む、などといったぎこちない動きを誘発させるかもしれません。
このデッキの勝ち手段をゲーム数で数えると、そのうちかなりの割合がサヒーリコンボによるものとはなるでしょうが、ただ多くの人が思うほどには4ターン目には決まりません。通常は6ターン目か7ターン目で、何か対処しなければいけないカードがこちらの場にあることにより、相手がを構えずにそれを対処した、その返しであることが多いのです。つまり目指すべきは相手が対処しなければならない何か、大抵はプレインズウォーカーでしょうが、それをコントロールすることであって、そうすることによって楽にコンボでの勝利が達成できるのです。
また、その状況でもし相手がコンボをケアして既に場に出ている脅威に対処しないことを選択するなら、それはそれでアドバンテージ勝負に持ち込めるので、相手がタップアウトを怖がっている間に悠々とアドバンテージを稼ぎ、結局は戦場での優位によって相手を負かすことができるでしょう。
攻めて勝つ
このマッチでは他のデッキ相手ほどこの勝ち方は起こりませんが、このデッキが持つ大事な一側面であることには変わりがないので、常に頭の片隅には置いてプレイするべきでしょう。このデッキの多くのカードが対戦相手についでにダメージを与えるような能力を持っているので、気が付けばそれが積み重なっているのです。
この勝ち方に最も貢献するのはたぶんでしょう。また、も「-2」能力で一気に数点を持っていくことができますし、の「+1」も2点与えることができますね。
マルドゥ「機体」相手にアグレッシブに振る舞うべきときとは、コンボ達成が遠くてかつ既にのようなクロックを突きつけられているときか、フラッドしてしまっているときがそれにあたります。
覚えておいた方が良いこととしては、ときにはに対してを差し出さずにダメージレースを挑むべきゲームもある、ということです。先ほども言ったようには素晴らしい働きをします。特に攻めているときにと一緒に引くとなおさらです。のようにアドバンテージと打点を同時にもたらすカードをコピーしつつ、忠誠度がまだ残っているので相手がアタックに来ないとさらなるアドバンテージをとられてしまう、というシチュエーションが最高です。なぜならそうして相手のブロッカーの陣容が脆弱になれば、次のターンにはもっと殴りやすくなりますからね。
マルドゥ「機体」相手のサイドボーディング
これについては一般化するのが難しいのですが、どんなカードをいつサイドインする必要があるかについてはアドバイスすることができます。
こちらが後手のときは、相手の最強のぶん回りから生き残ることを想定すればいいだけです。フラッドは大したことではないので、1ゲーム目より相手の脅威に対処にできるようにしつつ、デッキを合理的に保つだけでいいのです。また、相手がをサイドアウトして重いサイドカードで勝負することがわかったなら、1~2枚のをサイドインしましょう。
こちらが先手のときは、相手はサイドボードが許すならを抜いて、追加のプレインズウォーカーやを入れてきます。このプラン相手にはが突き刺さるほか、すらも検討に入れるべきです。なぜなら、ゲームは長期戦になりやすくなりますし、したがってフラッドの危険性も高まるからです。対して、はこちらのカードが対処されやすくなっている以上、そこまで必要ではありません。後半にトップデッキする可能性があることを考えると、もっとアドバンテージがとれるカードで少しデッキを重くした方が良いでしょう。
一つだけ一般的に言えるサイドボードのコツとしては、3枚以上で手札に加えられないスペルをサイドインしたなら、はサイドアウトの対象となるということです。これは私がどんなマルドゥ「機体」相手でも大抵無条件で行っているサイドボードですが、それでもそもそもサイドボードとは相手が何をするかに応じてするべきであり、決して何も考えずに行ってはいけないということは肝に銘じておいてください。
このマッチアップでを減らすと言うと驚く人もいるかもしれませんが、複数枚引くと耐えられませんし、サイドボード後にはより良い脅威への解答があるので、時間を稼ぐだけで割の良い交換ができないカードは必要ありません。も、それほどコンボ勝ちする必要性がないのと、複数枚引きたくない上に押されているときはがないと何もしませんし、先攻のときでも、せっかくの優位をほとんど何もしない2枚目~3枚目を引き込むことによって手放したくはないからです。
ミラーマッチのサイドボーディング
ミラーマッチは運に左右されます。というのも、互いにメインではコンボに干渉する手段が極めて少なく (だけか、1枚が入っているかもしれない程度) 、しかもどちらかの有利は雪玉のようにすさまじいスピードでさらなる有利をもたらすからです。なのでどちらかがの着地などをひとたび成功させたなら、巻き返すのは非常に困難になります。
そういうわけで、私は相手はほぼコンボをサイドアウトしないだろうと考え、以下のようにサイドします。ただし、相手のサイドプランによっては非常にたくさんのカードがサイドイン候補になることを覚えておいてください。相手がコンボを全部残したならは素晴らしいサイドカードになりますが、コンボを抜いているようならサイドインしない方がいいのです。
はプレインズウォーカーをめぐる攻防においては偉大ですが、引きすぎるとクリーチャーに殴り切られてしまいます。もとセットだったりで長期戦になったときは良い働きをしますが、そうでないときは許せないほど悪いカードです。
黒緑相手のサイドボーディング
黒緑には様々な種類がありますが、ほとんどはこのデッキにとって歓迎すべきマッチアップで、主にが相手の狙いを挫くことができるからです。
4色コピーキャットに対して最も戦えるのはまで入ったアグロ型の黒緑エネルギーになりますが、それでも相性が良いことには変わりはありません。それゆえにこのマッチ用のサイドカードはそう多くはありませんが、そんな中でもは相手のデカブツに対して強烈な一撃をお見舞いできます。ほかにサイドインを検討するとしたら、遅めのバージョン相手ので手札破壊をケアするくらいでしょう。
アグロ型の黒緑エネルギー以外のすべての黒緑には以下のようにサイドインし、アグロ型相手には相手の手札破壊の量次第で0枚~2枚のをサイドインします。逆に除去コントロール型相手には、先手はを、後手はを抜いて、3枚目のまで入れた方が良いと思います。
TIPS集
ほか、このデッキには覚えておくべき些細なことがたくさんあるので、ここにいくつかのTIPSを載せておきます。
・29枚のマナソースに加えて4枚のを採用しているので、土地5枚にスペル2枚という手札はその2枚のスペルがよほど強力なもの (コンボが揃っているとか、のようなアドバンテージ生物だとか、または先手時にとがある場合でもキープ) でない限りマリガンするべきです。土地4枚にと2枚ののような手札を盲目的にキープするべきではありません。なぜなら、そんな手札ではどんなデッキ相手にも勝つのが非常に難しくなるからです。
・自分のターンにコンボ対策のクリーチャーを除去した上でコンボをスタートしようとする場合、の「紛争」の条件を満たしてしまうことに注意しましょう。
・マルドゥ「機体」を相手にするときは常にが4ターン目に出てくるものだと思ってそれに備えるようにしましょう。具体的には、3ターン目に普通なら先にプレイするよりもを優先させるだけでなく、でを焼いておくようなことも含まれます。そうすればの返しでを出すことで、相手が「+1」能力を起動していない限り即座に忠誠度をゼロにすることが可能となるからです。
・が戦場にいるときは、があって他に白マナソースがないような場合、を有効なドローとするためにも飛行機械・トークンの生成を一つ少なくした方がいいかもしれません。
・通常はの「+1」の占術をする前に、などでカードを引きにいく方が良いです。なぜなら、占術の判断を下すにはより多くの情報があった方が良いからです。もちろん、そのターン中に特定のカードを絶対引かないといけないような場合や、そうでなくてもそのターン中にプレイしたいというような場合は別ですよ。
・とが一緒にいるとき、の「+1」を起動してからの「+1」を起動するのが、通常は正しい手順になります。なぜなら、でめくれるカードが決まっている方が単純に強力だからです。
・は解決時に対象のうちの一つ以上が戦場に存在しなくてもXの数に等しいトークンを生成しますが、最低でも一つは対象が残っていないと呪文が立ち消えてしまいます。一番よくある例で言うと、との2つを「X=2」で対象にとった場合、相手が対応でのカウンター分のダメージを飛ばして墓地に落としたとしても、解決時にさえ残っていれば出てくるトークンは2つです。
・でプレインズウォーカーを「明滅」させる動きは、にせよにせよ非常に強力です。
・土地を置く順番はとても難しいです。が2枚入っているので、かをできるだけ長く手札に置いておく方が良いでしょう。
・同一ターンであれば、を先にプレイするよりもエネルギーを得るカードを先にプレイしましょう。戦場に出たときの誘発型にスタックで除去されたとしても、より多くの飛行機械トークンが得られるようになります。
・マルドゥ「機体」の使い手たちはメインボードでか何かの代わりにを使い始めるかもしれないというのは頭に入れておいた方が良さそうです。
・初手をキープする際、はなるべく土地としてカウントしないようにしましょう。とりわけ、「で土地が引けないと悪い手札になる」というような土地1枚の手札についてはそのように言えます。は大抵は土地もしくはプレイできないようなスペルをもたらしてはくれるでしょうが、「毎ゲームごとに必ず欲しいカードが手に入る」というほどには信頼できないカードなのです (外すことだってあるんですよ!)。
今回はここまでです。このデッキは素晴らしく、今週末のグランプリ・バルセロナ2017でも似たような、もしくは全く同じリストを使うと思います。サイドボードは、特にミラーマッチにおいては改善の余地がありますが、ともあれ現時点で伝えられることはこれが全てです。ということで、今週末の2つのグランプリでの皆さんの幸運を祈っています……何せ、それが終わるとスタンダードは何かしら変わってしまうでしょうからね。
Lukas Blohon
Lukas Blohon
チェコ共和国を代表するマジック・プレイヤー。マジックの普及と実力向上に身を捧げる勤勉な努力家であり、Petr Sochurekに「真摯な努力家であり、最高のプレイヤー」と称される。
【プロツアー『闇の隆盛』】トップ8、【グランプリ・ブリュッセル2015】優勝、グランプリトップ8の経験は6度にも上る実力者。【プロツアー『異界月』】優勝という輝かしい成績と共に、Hareruya Prosに加入。
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