プレイヤーインタビュー: 12代目ミスターPWC 深谷 祐太

晴れる屋

by Kazuki Watanabe


 「ミスターと言えば?」と問われたら、あなたは何と答えるだろう?

 「長嶋 茂雄」と答える人が日本では多そうだ。もしかしたら、筆者のように「鈴井 貴之」と答える人も居るかもしれない。

 これらの称号がただ一人を示すのに対して、マジックの世界における“ミスター”は、代々継承されていく。

 ミスターPWC。

 この称号は、年間PWCポイントランキング1位に送られる。古くは渡辺 雄也の愛称でもあったが、今では「その年度で、最も勝利を重ねた人物」を示すものとなった。

 そして今日。その12代目が誕生した。

 その名は、深谷 祐太

 本大会の開会式で11代目ミスターPWCである三宅 恭平からトロフィーを授与され、深谷が12代目ミスターPWCの称号を得た。


11代目、三宅 恭平(左)と12代目、深谷 祐太

 深谷は1ラウンド目のフィーチャーマッチに呼ばれ、ミスターとしての1戦目を見事な勝利で飾った。早速、話を伺ってみよう。

■ 12代目ミスターPWCにインタビュー!

――「おめでとうございます」

深谷「ありがとうございます!」

――「PWCポイントの最終ランキングを見ましたが、2位に圧倒的な差、200ポイント以上の差をつけての戴冠ですね」




深谷「そうなりましたね。今シーズンは、ほぼフル出場でした。皆勤賞に近かったと思います

――「そうだったんですね。毎シーズンそうなのですか?」

深谷「ここ数年は、できる限り毎週参加、という状態です。ただ、今期はミスターを狙えそうだったので、いつも以上に頑張りました」

――「なるほど。ちなみに、深谷さんが初めてPWCに参加したのはいつごろですか?」

深谷「最初に参加したのは中学生のとき、エキスパンションで言うと『ミラディン』の頃でした。当時はお金もなかったので、年に1回参加できれば、という状態でした」

――「当時から考えると、『毎週参加』というのは……」

深谷「考えられないですね(笑) 中学生の自分に言ったら、驚くと思います」

■ 深谷「生活の一部がPWC」

――「今シーズンを少し振り返って、『今年はミスターになれるかも?』と思ったのはいつごろですか?」

深谷「11月くらいでしょうか。GPT千葉で優勝したのですが、その頃から『これは行けるかもしれない』と思い始めた覚えがあります。だからと言って、生活のペースが変わったわけではないんですけどね」

――「『ほぼフル出場』とのことでしたが、そうなると毎週の予定が決まっている状態ですよね?」




深谷「そうですね。平日仕事があって、金曜日はFNMで調整して、週末はPWCに参加してましたね。生活の一部がPWC、と言っても良いかと思います。仕事の兼ね合いで平日はなかなか時間を使えないので、休日が取れたらマジックに使っていました」

――「普段はどこでマジックをしているのですか?」

深谷「普段の調整は、ティム東白楽店、それから信心亭で行うことが多いですね」

――「信心亭と言えば、レガシーが盛んですよね」

深谷「そうですね。私自身、各フォーマット満遍なく楽しんでいますが、レガシーが一番得意なんです。信心亭で友人たちと練習をしたお陰で、PWCで勝てていたところがありますね」

――「今回深谷さんがミスターになれたのは、信心亭の皆さんとの練習があったから、ということでしょうか?」

深谷「そうなるかもしれません。彼らにも、感謝したいですね」

■ ミスターを目指すための、苦渋の決断

――「晴れてミスターPWCの称号を得たわけですが、次の目標をお聞かせ願えますか?」

深谷「まずは、来期もできる限りPWCには参加したいと思っています。それから、PPTQですね」

――「なるほど。プロツアーを目指していくわけですか?」




深谷「そうですね。実は、今期のPPTQでは、決勝で2回くらいトスをしているんですよ」

――「え!? そうなんですか?」

深谷「もったいない、と思われるかもしれませんが、RPTQの権利を取得すると、PPTQに出られなくなってしまうんですよ。PWCのポイントを考えるともったいないので……」

――「なるほど。ミスターを目指す上での苦渋の決断だったわけですね」

深谷「なので、今度はしっかりとプロツアーを狙っていきたいと思います」

■ ミスターが語る、PWCの魅力

――「では最後に、ミスターPWCから、『PWCの魅力』をお聞かせ願えますか?」

深谷「まず、PWCはほとんど毎週開催されています。とにかく、これが大きいです」

――「毎週マジックの大会がある、というのはたしかに良いですね」

深谷「そうですね。さらに、参加者の中には”強豪”と呼ばれるプレイヤーもたくさん居て、すごく良い練習になります。楽しみながら強くなり、『楽しいな』と思いながら各種イベントに参加していると、プレインズウォーカーポイントも自然に溜まっていきます。WMCQやグランプリといったイベントに繋がるのも、大きな魅力だと思いますね」

――「そして毎週参加していると、ミスターの称号に近づける、と」

深谷「そうですね(笑) ぜひ、参加してみてください。PWCは、とにかくマジックを楽しめる場所です。毎週末参加した私が言うので、間違いはありません」



 そう笑いながら答える深谷の姿を見ていると、「ミスターPWCになるための条件」が一つ、筆者には見えてきた気がする。

 「PWCを、そして、マジックを最も楽しんだ人物こそがミスター」

 勝利を重ね、マジックを楽しむ。その「当たり前だが難しいこと」をできる人物こそが、ミスターPWCにふさわしい人物なのであろう。そして、今シーズン最も楽しみ、最も勝利した人物が、12代目ミスターPWC、深谷 祐太なのだ。

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