こんにちは!
遅くなってしまって申し訳ございませんが、今月中旬に開催された【グランプリ・静岡2017春】 (スタンダード) に参加してきましたので、今回はその調整録をお届けしたいと思います。
■ デッキリスト
3 《平地》 3 《沼》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 2 《乱脈な気孔》 1 《鋭い突端》 1 《燻る湿地》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地 (24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《歩行バリスタ》 4 《屑鉄場のたかり屋》 3 《異端聖戦士、サリア》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (21)- |
3 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (15)- |
3 《リリアナの誓い》 2 《苦い真理》 2 《苦渋の破棄》 2 《グレムリン解放》 2 《先駆ける者、ナヒリ》 1 《鋭い突端》 1 《致命的な一押し》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《死の宿敵、ソリン》 -サイドボード (15)- |
デッキリストはアメリカの殿堂顕彰者、【Paul Rietzlのリスト】を参考にさせてもらいました。
なぜ「マルドゥ」を選んだかと言うと、 環境内で最もサイドボードプランが秀逸だと感じたから です。Magic Onlineで幾度となく「マルドゥ」と対戦して改めて実感しましたが、やはりメインボードとサイドボード後にこれほど速度に落差のあるデッキを相手取るのは容易なことではありません。
これは他のプレイヤーも同じでしょうし、プランがふたつあることはそれだけで大きな強みだと感じたのでデッキは「マルドゥ」に。メインボードとサイドボード後で全く違ったデッキに変貌するため、飽きがこず延々と楽しめるのもこのデッキのいいところですね。
元のリストからそんなに大きな変化はありませんが、ここからはカード選択の理由や、実際に行ったサイドボーディングをご覧ください。
■ 《歩行バリスタ》 or 《経験豊富な操縦者》?
【スタンダードアナライズ】にも記したように、この2種類の主な差異は「4色サヒーリ」をどれくらい意識するかと、マナベースにかかる負荷だと思います。
個人的に《歩行バリスタ》を優先する決定的な理由となったのは、 両者間の「4色サヒーリ」に対する性能差 でした。
《歩行バリスタ》がコンボを牽制しつつ《つむじ風の巨匠》から生み出される《飛行機械トークン》に睨みをきかせてくれる一方で、《経験豊富な操縦者》は《飛行機械トークン》の前にあまりにも無力です。「4色サヒーリ」は「マルドゥ」に次ぐ勢力なので、それゆえに この弱点は致命的だと判断した ため、《歩行バリスタ》を優先しました。
それ以外に《歩行バリスタ》を推す理由としては、《屑鉄場のたかり屋》と《キランの真意号》を抜く サイドボード後にアーティファクトカウントを確保できること です。
サイドボード後にアーティファクトを減らす主な理由は、対戦相手のアーティファクト破壊、とりわけ 《グレムリン解放》を無効化したいという狙いがあるから です。そのため、サイドボード後に残すアーティファクトは、任意のタイミングで生け贄に捧げられる《歩行バリスタ》や《手掛かり・トークン》が最適です。
《歩行バリスタ》を使用する際のプレイングに関する注意点として、 2マナでキャストしない方が良い展開が多い ことが挙げられます。僕も最初は頻繁に2ターン目にキャストしていましたが、何もない戦場に2ターン目に出してしまうと除去されてしまった際に1対1交換にしかなりませんし、生き残った場合にもマナ効率が悪いです。
ですが対戦相手がタフネス1やタフネス2のクリーチャーをコントロールしている状態まで待ってからキャストすれば、仮に除去されても2対1交換になりますし、 これこそが理想的な《歩行バリスタ》の使い方 ではないかと思います。
手札に4~5マナ域や《歩行バリスタ》がたくさんある場合は例外ですが、《歩行バリスタ》を出すより《手掛かり・トークン》を生け贄に捧げた方がいい状況も多々ありますし、僕と同じくこれまではあまり深く考えずに2ターン目に《歩行バリスタ》をキャストしていたという方は、ぜひその辺りを意識してプレイしてみていただければと思います。
■ カード選択
メインボードに関しては、土地構成以外で悩んだのはこのスロットだけです。何度となく《異端聖戦士、サリア》2枚、《致命的な一押し》4枚の形も試しましたが、 除去を多めに引いてしまってプレッシャーがかけられない負けパターンが気になった ので《異端聖戦士、サリア》を増量しました。
《経験豊富な操縦者》ではなく《歩行バリスタ》を優先している都合もあり、序盤から《キランの真意号》に「搭乗」できるクリーチャー数を確保したかったという理由もあります。
メインボードは最強クラスの《大天使アヴァシン》ですが、サイドボード後は「プレインズウォーカーコントロール」にシフトするので、対戦相手の手札に除去が余りやすくなります。 そのため、メインボードほどの威力はないと判断して追加は用意しませんでした。
ミラーマッチは 先に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を着地させたプレイヤーがとても有利になります が、お互いに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を引いている場合に後手でもまくれるカードや、お互いに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を引いていない状況でどのカードが最も強力かを考えていたところ、《リリアナの誓い》に行きついたので、3枚と多めの枚数に。
4ターン目に「プレインズウォーカー」が出せることが確定しているのであれば、ときには対戦相手がクリーチャーをコントロールしていなくてもキャストしたりも。
このリストだと(赤)(赤)が出づらいので選択の余地がありませんが、仮にマナベースの問題がなかったとしても僕は《先駆ける者、ナヒリ》を優先します。と言うのも、ミラーマッチのサイドボード後はお互いに能動的なカードが減るため、 盤面にパーマネントがない状態が頻発するから です。
その際に《反逆の先導者、チャンドラ》の「+1」能力だと除去などが捲れた際にアドバンテージを得られませんが、一方の 《先駆ける者、ナヒリ》なら不要なカードを確実にドローに変える ことができます。サイドボード後は土地が増える関係でマナフラッドにも陥りやすいため、過剰な土地をドローに変換できる《先駆ける者、ナヒリ》はとても頼りになります。
また、前述の 《リリアナの誓い》を対処できる点も《先駆ける者、ナヒリ》を評価している理由のひとつ です。
練習終盤までずっと3枚以上で調整していましたが、ミラーマッチで 対戦相手も「プレインズウォーカーコントロール」モードにしてきた際に手札で無駄カードになることが多かった ので2枚まで減量しました。
「ビートダウン」戦略のままのプレイヤーもいるので難しいところですが、現状のように「プレインズウォーカーコントロール」にシフトするプレイヤーの方が多いのであれば、 《苦渋の破棄》などの汎用性に長けたカードの方が優れている と思います。
■ サイドボーディング
現在ではほとんどのデッキが大量のアーティファクト破壊カードをサイドインしてくるので、 本来のマッチアップ云々に関わらず、全てのマッチアップにおいて「プレインズウォーカーコントロール」プランを実行した方が良い可能性 があります。僕自身も先手・後手で変えたりしていましたが、 基本的には「プレインズウォーカーコントロール」プランに変更する方が外れが少ない 印象です。
いずれにせよイニチアチブを握っているのはプランをふたつ持っている「マルドゥ」側だと思いますし、2本目で対戦相手のサイドプランを把握できたら、3本目はそれに対して効果的なプランを選ぶようにしましょう。
「マルドゥ」ミラーマッチで気を付けなければいけないことは、 対戦相手が常に「プレインズウォーカーコントロール」にシフトするわけではない ということです。
先手の場合には「ビートダウン」プランのままのプレイヤーもいますし、《模範的な造り手》だけをサイドアウトして《屑鉄場のたかり屋》と《キランの真意号》は残し、攻撃性を維持したままのプレイヤーもいます。
そのため、今のところ2本目が後手の場合には《苦い真理》をサイドインしないようにしています。対戦相手が「プレインズウォーカーコントロール」プランだと確信を持てる場合はその限りではありませんが、Magic Online上でもグランプリ本戦でも思いのほか「ビートダウン」プランを選ぶプレイヤーは多かったので、なるべく「ビートダウン」プランにも「プレインズウォーカーコントロール」プランにも柔軟に対応できるサイドボーディングが理想的だと思います。
対 「マルドゥ」先手
対 「マルドゥ」後手
サイドボード後の注意点は、中盤以降に《スレイベンの検査官》をキャストするタイミングです。なぜならば、 《スレイベンの検査官》をキャストするということは対戦相手に《グレムリン解放》と《無許可の分解》の的を与えてしまうことになるから です。
こちらのパーマネントのみを対象とした《グレムリン解放》X=2はプレイング次第でキャストさせないようにできるので、 生け贄に捧げられない状態の《手掛かり・トークン》を並べ過ぎないように注意 しましょう。
グランプリ直前まではメインボードプランのまま最低限の入れ替えにとどめていたものの、ペトル (ソフーレク) 君のように【大量のアーティファクト破壊を採用するリスト】が主流になってきたため「プレインズウォーカーコントロール」に近い形にするようになりました。
対 「4色サヒーリ」
《グレムリン解放》X=2はよくある負けパターンのひとつなので、ミラーマッチと同様に可能な限りX=2以上で《グレムリン解放》を打たせないように意識して動けるといいですね。
対 「ティムールタワー」
流行りの 《逆毛ハイドラ》を想定したプラン です。対戦相手が《つむじ風の巨匠》を採用している場合は《リリアナの誓い》を3枚とも抜いて《異端聖戦士、サリア》と《無許可の分解》を戻します。
【グランプリ・ポルトアレグレ2017優勝リスト】のサイドボードには《牙長獣の仔》と《不屈の追跡者》が入っていましたし、クリーチャーを増やすプランの方が多いので、 《リリアナの誓い》であれ《無許可の分解》であれ除去は多めに残すように しましょう。
対 「黒緑アグロ」
純然たるクリーチャーデッキ相手ということで、全力で「プレインズウォーカーコントロール」プランに。
サイドボード後はこちら側が少し有利だと思っていることに加え、最近では「黒緑アグロ」が著しく数を減らしていることを考慮して《燻蒸》を採用していませんが、《燻蒸》があるとないとでは勝率が大きく異なるため、「黒緑アグロ」の数が多いと予想するのであれば《リリアナの誓い》などを削ってサイドボードに《燻蒸》を用意しておくといいでしょう。
《霊気池の驚異》デッキとはたくさん練習を重ねましたが、 《精神背信》はあまりにも効果が薄かったので結局不採用 に。
どうしても 《霊気池の驚異》に勝ちたいのであれば青を入れて打ち消し呪文を採用する方が良い と思いますが、現状の「白黒タッチ赤」では《尖塔断の運河》の運用が難しいので、《霊気池の驚異》を意識するならデッキの構成を大きく変える必要があります。
対 「《霊気池の驚異》」
■ グランプリ・静岡2017春 簡易大会レポート
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | BYE | |
Round 4 | 4色サヒーリ | ×× |
Round 5 | ジェスカイ《電招の塔》 | 〇〇 |
Round 6 | マルドゥ | 〇〇 |
Round 7 | ティムール《霊気池の驚異》 | ×× |
Round 8 | 4色サヒーリ | 〇×〇 |
Round 9 | 赤黒アグロ | 〇〇 |
開幕戦を落としてしまったものの、その後はなんとか持ち直して 初日は7勝2敗 で終了。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | マルドゥ | 〇×〇 |
Round 11 | マルドゥ | 〇〇 |
Round 12 | 青赤コントロール | 〇×〇 |
Round 13 | マルドゥ | 〇×× |
Round 14 | マルドゥ | 〇〇 |
Round 15 | マルドゥ | 〇×〇 |
初日のバラエティ豊かな顔ぶれとは異なり、 怒涛の「マルドゥ」祭り。尋常じゃないほど引きが良かったおかげもあり、 12勝3敗で3点のプロポイント を得ることができました。
今回の反省点としては、 練習中にどんなデッキに対してももっと積極的に「プレインズウォーカーコントロール」を試すべき でした。
例えば「4色サヒーリ」に対して練習中はずっと「ビートダウン」プランで調整していて勝率も良好だったものの、今回は練習する時間が多めにあったので決まり切ったものを延々と試すよりも、とりあえず「プレインズウォーカーコントロール」プランを実行してみてその感触を確かめるべきでした。
それに気付いたのは残念ながらグランプリ前日……そこから「4色サヒーリ」には1回しか当たることができず、そのせいでグランプリ本番中にドタバタすることになってしまいました。
繰り返しになりますが、今ではほとんどのデッキがたくさんのアーティファクト破壊を用意しているので、それを踏まえたうえで調整できていれば4回戦も違った結果になったかもしれません。
■ おわりに
今回のブログは以上です。もうすでに『アモンケット』の情報も出てきていますし、記事の投稿が遅れてしまったことを改めてお詫びいたします。
次回参加する大型イベントはプロツアー『アモンケット』の予定ですので、次回はもっと早く執筆できるように善処します。
最後に今シーズンの状況を整理しておくと、 現在のプロポイントは18点。 ゴールドまではあと17点とちょうど半分くらいなので、なるべくグランプリに参加してプロポイントを稼いでおきたいところです。
最低でもあと5回は出ようと考えているので、しっかりと練習できるタイミングと環境を選んで参加できればと思います!
それでは、また次回のブログで!
コガモ
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする