齋藤友晴のGPシドニーレポート

齋藤 友晴



シドニー空港のカフェでゆったりとコーヒーを飲みながらこのレポートを書いている。
飛行機が夜発なため、空港に着いてから6時間半もの待ち時間の最中だ。

本当は市街地でもぷらぷらしてから空港に来ようかなと思ったけど、丁度ホテルから空港に向けてタクシーに乗る親子がいたから相乗りさせてもらった。




パパは推定50才ぐらい、それぞれ14才、12才の息子たちとニュージーランドから来たとのこと。

《変わり谷》はピーク時は50ドルもして全員分の12枚揃えるのはたまったもんじゃないからスタンダードは《変わり谷》無しルールでやってるらしいが、毎日のように自宅で家族マジックを楽しんでいるようで、とても幸せそうに見えた。


タクシー内では12才の子が、

《太陽の勇者、エルズペス》好き?」

や、

《不動のアジャニ》はどう?」

といった具合にカード名連打しながらずっと聞いてきたのが印象的だった。

ちなみに彼の1番お気に入りのカードは《スズメバチの巣》で、

「相手が殴ってこれなくなるから」

だそうだ。12才かわゆす^^と思ったと同時に、我が子・齋藤 明心がマジックに興味を持ったとして、彼の初プロツアーまでは長い道のりになりそうな気がした。
オーストラリアのゆるやかな空気がもたらす好影響かもしれないが、長生きしたいと思った。



折角シドニーに来て時間あるなら観光しろよ遊べよ勿体無い!と思う方も多いだろうが、ああ確かに勿体無いなとも思う。

でもシドニーにはもう何回も来ているし、こうしてブログ書いてるのもそうだけど、普段と同じことを、普段と違う空気の中でするのもそれはそれでずいぶん贅沢なことだと感じる。

世の中的には不正解に見えることでも、自分が感じるハッピーに素直な選択であれば正解である場合が多い。


ちなみに以前行ったシドニーの動物園は最高だった。
広い柵の中でキリンが走り回ってシマウマを追い掛け回していた景色が強く頭に残っている。
広すぎて疲れるから1度で良いけど(笑)



閑話休題。

今回のGPシドニーは、GP神戸を蹴っての参戦となった。

ショートハッピー的には神戸に行って楽しみつつイベントの盛り上がりにも貢献したかったけど、M15リミテッドの経験値を生かせモダンを練習する時間を確保せずに済み、参加人数差でトップ8に残りやすい=プロポイントが取りやすいというのが主な選択理由だった。





既にご存知の方も多いかもしれないが、結果は6位。

今回でグランプリトップ8が20回に到達♪

プロポイント4点と1,000ドル、PT『タルキール覇王譚』(ホノルル)行きの航空券をゲットすることができた☆(参加権利はもともとアリ)


最後は完敗だったけど、良い結果だったと思う。


良い結果だと思う1番の理由は今回のGP単体に対してほとんど練習時間を取らなくて済んだこと

このイベント単体に対しては、シールドの構築6回と、GPT参加1回(1没)とドラフトの初手、2手目ピックを24パック分しただけ。全部で6時間程度しか練習しなかった。

やっぱりプロツアー前のドラフト練習と、コガモ・ナベと出たチーム戦GPの前に沢山やったのが活きたし、それらの試合で得た経験も大きかった。


だから神戸へ行くよりも移動時間はかかるものの、良い選択ができたと思うし、
逆算して、この移動時間分を神戸の練習に充てれたとしてあの人数で勝ち残るのはそもそものモダン経験値的にかなり厳しかったと思う。

なんだかんだ相変わらずモダンを避ける立ち回りを続けてる^^;



以下、GPシドニー本戦の簡易レポ。





■シールド:白緑で8-1(不戦勝3)。

久々にかなり良いプールが貰えた。

ボムらしいボムは《光波の護法印》1枚だけだが、それを探せる《ヘリオッドの巡礼者》が2枚あり、実質的にはボム3枚という噛み合い。

開幕の4回戦で、マリガンだったかなあと思うような選択もありつつマナフラ&相手の噛み合いでいきなり敗北。
わざわざシドニーまで来ただけに結構萎えたけど、デッキが強かったのもあってそこから5連勝できた☆


心が折れそうなときに負の連鎖にならないための大事な要素は大きく分けて2種類ある。


・気持ちを切り替えることができる

・精神状況に影響されず、いつも通りプレイできる


もともと前者が得意だったけど、最近は後者も得意になってきた気がする。
5回戦目、6回戦目あたりは、「はるばるシドニーまで来て」「この強いデッキで」「初戦負け」「マリガン選択ミスだったかも」みたいな感じで心が弱りながらプレイしてたような気がするけど、内容としてはしっかりやれた。ここでもう1敗しなくて良かった。

そもそも負けを気にせずネガティブな考えが1ミリも生まれないのがベストなんだけど。人間てつくづく人間だよねー。






■第1ドラフト:赤緑で2-1。

21クリーチャー&1スペル。やる気ありすぎデッキ(笑)

《シャンダラーの魂》初手ピックから赤を重ね、他の色は《ヘリオッドの巡礼者》2枚、遅い手順でつまんだ《突進するサイ》のみ。白の流れが悪かったところに2パック目初手《放浪の吟遊詩人、イーサーン》ピックからそのまま流れで2色目は緑に。

蓋を開けてみると上は白青で、引いたレアとポジションが噛み合ってた。

クリーチャーしか入ってないぶん安定して回りやすいデッキだったから2事故により3-0できなかったのが残念。






■第2ドラフト:緑単(!)で2-0後にID。

初手《ゼンディカーの魂》。またもや魂スタートでツイてる。緑がおそらく卓2人しかおらず、流れてきまくったこと、中盤までに《永遠の荒野の模範》2枚と《カロニアのツイングローブ》を取っていたことからそのまま緑単に。またクリーチャーばかり。

ただ、コガモも言ってたけどこの環境はスペルが弱めなのでクリーチャー多めが安定していて良い感じ。
ただ、ボムもあり乱暴さがあるデッキだったけど、敵の乱暴さに対処力がなさすぎるから2-0はハッピー。2戦目は1番卓だったことによるラインずれで、1戦目で負けてきたプレーヤーに当たったのも大きかった。

その後IDを選択し、

トータル12-2-1でトップ8進出!







■トップ8ドラフト:青赤で準々決勝敗退。


予選ラウンドから一転して最初のパックが弱く、初手候補が《網投げ蜘蛛》《カミソリ足のグリフィン》の2択だった。

網投げ蜘蛛カミソリ足のグリフィン


単体のカードパワーでは《網投げ蜘蛛》が勝るが、白と緑の色としての優劣は明確に白という環境なので、鮮烈なカードがなければできれば初手の緑はかわして白を取っておきたいというのが本来の考え。

だけど、《カミソリ足のグリフィン》は初手としてはあまりにも寂しいカードなのと、トップ8にもなると全体の強い色&やりたい色の認識が近づくから、更に人気が集まりそうな白の評価を下げ、緑の評価を上げるべき……って他のプレーヤーも考えてたりすると評価が戻り……

つまりそこに関しては堂々巡りに近いので、結局のところ流れに従いつつ押し引き選択するしかない。


この個人的にはかなり微妙な2択で、結局初手に選んだのは《網投げ蜘蛛》
迷ったらカード単体として強いほう取っとくかっていうのと、当日緑がしっかり取れて勝ってきてたことでこの国のドラフトメタゲーム的にも本来より緑が更に不人気な可能性もあると思った。

そのまま2手目《年経たシルバーバック》、3手目弱いパックで《永遠の荒野の模範》と緑を重ね……4手目《天空のアジサシ》からの青連打。緑は全然流れて来なくて流れに従った結果、まあまあの青赤に。

準々決勝は白単(!)に当たり2回ぶん回られて負け。
結果としては、《カミソリ足のグリフィン》からスタートしていたらまあまあの白青が組めてそうだったし、白がひとり増える事で相手のデッキは白単とまではいかなかっただろう。
ドラフトマスターのナベなら初手《カミソリ足のグリフィン》から入れたかな?



今一度整理すると、

・迷ったらカード単体として強いほう
・そこまで緑で勝ってきたから優位性があるかも

これらの理由で《網投げ蜘蛛》に決めたけれど、こんなのはドラフトで結果としてできるデッキの期待値に対して微差しかない話で、基本的にはもっと大きな方針や、ドラフト上の戦略によって初手が決まるべきだ。


今回の問題は、

・鮮烈なカードがないときは、強い色の白や赤を優先してピックする

という戦略上、どれぐらいの点数差まで許容するかが決まっていなかったことだ。
個人的に《網投げ蜘蛛》《カミソリ足のグリフィン》には1点以上の差があったため迷ってしまった。

今後はもっと戦略やピック方針を詳細まで考えた上で試合に出れるようにしていきたい。

結局突き詰めた上で《網投げ蜘蛛》を取ったかもしれないが、《カミソリ足のグリフィン》を取るのがベターだった場合は今回は充分な備えがなかったことが主な敗因となる。



「トモハルはリミテッド舐めてるでしょ^^」


4、5年ほど前、ドラフトPTチャンピオンであり構築を舐めてる大澤 拓也に言われたことがある。

確かに、構築戦は練習すればするほど試せば試すほどどんどん勝ちやすくなるけど、その場でのパック運に左右されるぶんドラフトのほうが練習が活きにくいと以前は考えていて、そこそこしか練習しなかった。

ところが最近は、「構築戦よりも状況のバリエーションや、判断することが多いからもしかしたらリミテッドのほうが練習が活きるんじゃ?」なんて考えてる。


実際、意識を変えてできること全部やってく気持ちで取り組んだら結構勝ててる。
情報のスピードが速くなり、以前に比べ構築戦のほうが差が付きにくくなったという背景要素も大きい。

振り返ってみると、復帰してからの4回のGPトップ8はすべてリミテッドだ。
(今回のGP神戸のヤソ同様、スタンダードで13勝2敗でトップ8オポ落ちしたのは1回あった^^;)


リミテッドも、練習が大きく活きる


この事実を改めてみんなに伝え、自分に言い聞かせ、このレポートを締めたいと思う。

リミテッドはまだまだ強くなれる気がする☆☆☆


サワティ!俺もうリミテッド舐めてないよ^^

成長ハッピー♪


トモハル


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『GRAND PRIX SYDNEY 2014』
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpsyd14