こんにちは、みなさん!昨今では《霊気池の驚異》がスタンダードを席巻していますが、ここで私は全く別のフォーマットに目を向けてみようと思います。
一時はグランプリ・コペンハーゲン2017のためにモダンをやろうとも思いましたが、結局行けずじまいだったのでろくに触りませんでした。他方で、翌週にはスタンダードのグランプリ・アムステルダム2017があるので、それについては今度こそ練習するでしょうが、それまでの間、マジック・オンラインで導入されたばかりの1対1の統率者戦をやってみたところ、このフォーマットが大好きになってしまったのです。
もしこのフォーマットをマジック・オンラインである程度プレイしたことがあるなら、環境が統率者《遵法長、バラル》(メタゲームの20%ほど) と、それに引き続いて統率者《黄金牙、タシグル》に支配されていることをご存知でしょう。
ウィザーズはこの状況を変えたかったようで、青いデッキから《宝船の巡航》と《時を越えた探索》を禁止し、また緑のデッキからは《露天鉱床》を禁止して何度も使いまわしをさせないようにしました。
私もしばらく統率者《遵法長、バラル》を使ってみましたが、あまり楽しくなかったので他の統率者に挑戦してみることにしました。はじめは統率者《遵法長、バラル》を倒すためのデッキを作ろうと思い、統率者《遵法長、バラル》と統率者《ヴリンの神童、ジェイス》に相性が良いティムールカラーの統率者《龍爪のスーラク》を試しましたが、数マッチやったところで、統率者《遵法長、バラル》はメタゲームに20%弱しかおらず、そして統率者《龍爪のスーラク》はその他のデッキすべてに相性がとても悪いということを悟ったのです。
統率者《龍爪のスーラク》から得た最も大事な教訓としては、「青くない統率者に対してほとんど何もしない統率者だった」ということでした。5マナ6/6瞬速は除去に弱く、しかも一旦除去されてしまうとマナコストが重すぎてほとんど再キャストできません。
その一方で、こちらがただのサイズの大きいバニラを出しているのに対して、対戦相手はアドバンテージを得る統率者をプレイするので、要は対戦開始前から多大なアドバンテージを失ってしまうのに等しく、当然その分だけ良い呪文の引きを期待する羽目になるわけですが、そんなんじゃやってられるわけがありませんね。
それからしばらくは緑単のランプデッキをプレイしましたが、これはかなり気に入りました。はじめは統率者《迷える探求者、梓》を使っていましたが、そこまで強くありませんでしたし、《露天鉱床》が禁止になったことでコンセプトが崩壊してしまいました。とはいえ最初のうちはうまくいっていたことに違いはなく、エルドラージをフィニッシャーに据えた《巨森の予見者、ニッサ》ランプによって、かなりの成功を収めることができました。
この緑単ランプは統率者《遵法長、バラル》以外に対してはとても相性が良いデッキでした。何せ、マナランプから巨大な怪物たちをプレイするという戦略は、多色のミッドレンジデッキが好むような通常の除去やアドバンテージをとるカードによっては、対処することが非常に困難だからです。《巨森の予見者、ニッサ》は早いゲームでは良いアドバンテージカードとなりながら、遅いゲームでは強力なプレインズウォーカーとして君臨します。
問題は統率者《遵法長、バラル》とのマッチアップで、というのもこの緑単ランプデッキはマナコストを踏み倒して出てくる《引き裂かれし永劫、エムラクール》に対してかなり脆弱なのです。《花の絨毯》や《窒息》、《うろつく蛇豹》のようなカードもあり、それらは確かに相性を改善はしますが、《引き裂かれし永劫、エムラクール》に対しては本当に無力でした。
緑単ランプでできることを色々と検討した結果、既に多くのプレイヤーがプレイしていたとあるカードに行きつきました。《アルゴスの庇護者、ティタニア》です。
一見そんなに良い解答には見えませんが、実際やってみるとこれが実に良く機能します。《引き裂かれし永劫、エムラクール》が出ている状態で《アルゴスの庇護者、ティタニア》が戦場にいたなら、もしアタックされても土地6枚を生け贄に捧げることでパワー総計30の軍勢を作り出すことができ、返しのアタックで勝つことができるのです。
したがって相手はバウンスや除去が必要になり、もし引き込んでいなければ《アルゴスの庇護者、ティタニア》の側が《引き裂かれし永劫、エムラクール》を踏みつぶせることになります。さらに《アルゴスの庇護者、ティタニア》は単体でも優秀で、というのもデッキをそれ用にカスタマイズしてやることでかなり高いクロックになるからです。3ターン目か4ターン目にフェッチランドが墓地にある状態で《アルゴスの庇護者、ティタニア》をプレイできれば、土地を伸ばしつつ2体の5/3クリーチャーが戦場に並ぶことになり、5マナのアクションとして破格なことはもちろん、盤面の状態としても脅威です。
そういうわけで、私がいま現在1対1の統率者戦において最高だと考えているデッキをお届けしましょう。
このデッキは複数の5/3クリーチャーたちを素早く展開して相手を守勢に回らせるアグレッシブな緑単ランプで、そのまま5/3で押しつぶしてしまってもいいですし、巨大なエルドラージのマナ域へと到達するための時間を稼ぐこともできます。
他の人の統率者《アルゴスの庇護者、ティタニア》デッキも見ましたが、それらはよりアグロ指向で、ランプ要素は薄めでした。ですが私は、《約束された終末、エムラクール》と《絶え間ない飢餓、ウラモグ》という強力な見返りがあるこの形の方が気に入っています。
マナを伸ばすカードが大量に入っていますが、それらは長期戦になったときには優秀なフィニッシャーへと変貌します。デッキのほとんどはマナブーストで構成されていて特殊地形をサーチするカードもたくさん入っているので、《ウギンの目》へのアクセスは容易であり、そこからエルドラージたちを探してこれるのです。なので、マナフラッドして困るという事態はそれほど起きないでしょう。
■ マナベースについて
フェッチランドは《アルゴスの庇護者、ティタニア》と素晴らしいシナジーを持ちますが、通常の緑フェッチは4種類しかありませんから、5/3クリーチャーを生成する十分な手段を確保するため、墓地に落とせる土地を他にもいくつか採用する必要があります。
このような土地としては、文句なしの《進化する未開地》と《広漠なる変幻地》の他にも《ナヤの全景》《ジャンドの全景》《バントの全景》もあり、しばらく試しましたが、1ターン目の緑マナを確保したかったのと、別のもっと良い特殊地形を入れたかったので、最終的には抜けてしまいました。《アルゴスの庇護者、ティタニア》でトークンを出せるこれらの土地やカードを引かないと動きがぎこちなくなってしまいますが、十分な量の《森》を確保することの方が重要だと判断したのです。もう1枚増やしてもいいかもしれませんが、私はこのままのマナベースで満足しています。
それ以外の特殊地形の採用理由については自明でしょうが、統率者戦で緑単デッキを使っている人たちが通常あまり採用していないカードも含まれているので、それらとまた逆に私が採用しなかったカードについて説明しておきます。
《水晶鉱脈》
《アルゴスの庇護者、ティタニア》が1ターン早く出ます。《約束された終末、エムラクール》と《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のマナに到達したいときにも役立ちますね。
《幽霊街》
2体の5/3クリーチャーを一度に生成する目的で使われるもので、対戦相手の土地を壊す目的で使用したことは一度もありません。
《無限地帯》
たった3マナでアドバンテージがとれてマナ加速もでき、《アルゴスの庇護者、ティタニア》との相性も良好です。
《荒廃した森林》
《無限地帯》と似た効果ですが起動コストが重いです。スペースができたら採用するかもしれません。
《家路》
トップメタが青単で《不実》や《袖の下》をよくプレイしてくる以上は、必須カードでしょう。
《石化した原野》
《露天鉱床》なき今はデッキに入れる価値があるとは思えませんね。
■ あまり見られないカードの選択理由について
《楽園の拡散》と《繁茂》
1ターン目にマナ加速ができればゲーム展開がかなり楽になりますので、これらを採用しないのは間違いのように思います。運よく《野生語りのガラク》や《東屋のエルフ》とセットで引けばさらにお得ですしね。
《スカイシュラウドのレインジャー》と《桜族の斥候》
これらのカードは最近足されたものでまだ数リーグしか試せていませんが、採用している方がしっくりくると思います。先ほども言ったように1ターン目のマナ加速はとても重要ですし、統率者《遵法長、バラル》やミラーマッチのようにタフなマッチアップではなおさらだからです。
《森を護る者》
これはむしろよく見るカードですが、《アルゴスの庇護者、ティタニア》との相性の良さを考えれば言及しないわけにはいきません。両方が戦場に揃ってしまえば対処することは極めて難しく、相手がタップアウトしたり抵抗できない状況であれば、全ての土地を5/3クリーチャーに変換して勝利することができます。このコンボを達成するためのサーチカードも何枚も用意されており、ひとたび戦場に揃ったならば勝利は目前でしょう。
同様の機能を果たすカードとして《Zuran Orb》も採用していますが、《森を護る者》の強さと比べて足元にも及びませんね。
《難題の予見者》
単純なパワーカードであり、緑という色ではなかなかできない類の妨害ができます。無色マナが出る土地はたくさん入っているので、プレイできずに困るということはないでしょう。
《ドライアドの歌》
いつでも強力というわけではありませんが、効果としては非常にありがたい除去です。相手の統率者に対処するのに最適ですからね。
《映し身人形》
戦場に着地してしまったエムラクールに対して触れる数少ないカードのうちの一つで、《ウギンの目》でサーチすることもできます。採用しないのも一つの手ですが、現時点ではこれよりマシな代わりのカードはないと思います。
《ウルヴェンワルド横断》
「昂揚」でプレイできる機会はそう多くはありませんが、入れて損することもほぼないので、採用しない理由は見当たりませんね。
《召喚士の契約》
《孔蹄のビヒモス》と《原始のタイタン》があまりにも強すぎるため、これらをサーチできる優秀なカードは可能な限り多く入れたいところです。
《ムル・ダヤの巫女》
マナブーストとカードアドバンテージ源を兼ねるという、求めていた性能がすべて詰まっています。一方、《クルフィックスの狩猟者》の方はあまり入れたくありません。環境はかなり高速なので、消耗戦に強いだけのカードは必要としていないからです。
■ 採用候補から外れたカード
マナランプの終着点としては悪くないのですが、あえて採用するほど強力ではなさそうなのと、あまり重いカードばかり引くとせっかく低めに抑えたマナカーブを台無しにしてしまうので採用しませんでした。統率者《巨森の予見者、ニッサ》では採用していましたが、この統率者《アルゴスの庇護者、ティタニア》ではよりアグレッシブに動きたいので、中途半端に重いカードでデッキを丸くしない方が良いでしょう。
土地破壊
私はあえて土地破壊呪文をプレイしようとは思いません。なぜならこれらの呪文が輝くのは複数枚重ね引いたときだけなのに、99枚のデッキに10枚かそこらを投入したところでそんなに頻繁には重ね引くことはできませんし、1枚や2枚壊すだけなら大して強い動きではないからです。
エンチャント/アーティファクト破壊
どうしても破壊しなければならないエンチャント/アーティファクトはそれほど多くはないのに対し、ドロースペルが少ないこのデッキで無駄カードを引くことは敗北に直結します。
《生命の力、ニッサ》
このカードについては長い間試しましたが、十分な役割を果たさないと判断しました。最大の問題は統率者である《アルゴスの庇護者、ティタニア》とマナ域が被っていることで、大抵の場合は《アルゴスの庇護者、ティタニア》をプレイした方が良いのです。
■ 青単対策カード
このデッキには統率者《遵法長、バラル》によく効く連中が揃っています。なかでも《花の絨毯》は最高のカードで、というのも相手のカウンターをすり抜けられるほどに軽く、しかも (特にエルドラージとセットで引くと) 強力な効果を持っているからです。それ以外にも、青が入ったデッキ相手なら最低限の仕事はします。
《窒息》は青単相手にはものすごく効果的のように思えますが、実はそこまででもありません。なぜなら、3マナのカードを通すのは簡単なことではないからです。それもあってこの緑単には採用していません (赤緑のアグロなデッキで《紅蓮破》や《赤霊破》と一緒に搭載するなら良いと思います)
《うろつく蛇豹》はもう1枚の良い青単対策カードで、4/3と良いサイズなので青くないデッキに対してプレイしても恥ずかしくありません。サーチできるカードも (その呪文が何らかの理由で通ればの話ですが) たくさんあります。
《霧裂きのハイドラ》や《最後のトロール、スラーン》でも悪くはないですが、単体で勝てるほどではありませんし、他のデッキと当たると明確に役立たずなので、どちらも採用を見送りました。
統率者《遵法長、バラル》相手のベストカードはおそらく《魂の洞窟》で、カウンターをかいくぐることが容易な軽いサーチ手段がいくつもあるので何とかして着地させられるでしょう。ちなみに、「エレメンタル」以外の宣言をすることはごく稀です。
長くなりましたが、今回はここまでです。皆さんが私と同じく1対1統率者戦を楽しんでくれることを願っています。
読んでくれてありがとう。
Lukas Blohon
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