齋藤友晴のプロツアー『マジック2015』レポート

齋藤 友晴



Hello! from Portland USA^^


アメリカからこんにちは。
プロツアー『マジック2015』と2013-2014シーズンが終了!


先にプロツアーの成果だけ書くと、

70位で1000ドルとプロポイント5点獲得

っていう微妙な結果。


「トップ16以上でゴールドレベル昇格」の条件は達成できず、
もう1年はシルバーレベル^^;
残念だけどまだまだ挑戦者ハッピー♪


今回は出発直前に高熱が出て、寝込んで病院に行ったり、飛行機を遅らせたりして肉体的にはベストで参加することは叶わなかったけど、
工夫もしつつ沢山練習出来たし、納得出来るドラフト戦略やスタンダードデッキを持ち込めたからあまり悔いはない。

ここからは準備期間から振り返ってみたいと思う。



■スタンダード準備


まずは予選ラウンド16回戦中10回戦を締め、決勝ラウンドでも行うスタンダード

発売直後まではM15がもたらす可能性をひたすら考えた。

『SaitoWayfinder』というがむしゃらに新しいカードを使おうとする企画は、良いアイデアを見つけるためにも良いし、
「想定外」のデッキに当たりにくくしてくれるため、手応えを感じながら取り組んだ。
そこでアップしたサンプルデッキのいくつかをカスタマイズして実際に回してみたり、載せてないけど新しく組んだデッキも回してみた。

結果、率直な感想として、M15はスタンダード影響度が少ないセットだということが分かった。


ただし、全く影響がないわけではなく、以下の3つに関しては影響力がそれなりにありそうだった。


の強化


ゴブリンの熟練扇動者かき立てる炎


《ゴブリンの熟練扇動者》《かき立てる炎》は使っていて一線級のカードだと感じた。
赤スライ、赤白バーンは増えそうだと感じた。


・ニッサが強い


世界を目覚めさせる者、ニッサ


《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が強かった。
重いけどミッドレンジ以上の相手には有効で、色んなデッキに入りそうに思え、《ダークスティールの城塞》とのコンボも魅力的に感じた。


・ダメージランドが偉い


戦場の鍛冶場シヴの浅瀬ヤヴィマヤの沿岸

ラノワールの荒原コイロスの洞窟


白黒、白赤、黒緑は特に。元々頻繁に使われているデッキ色のマナ基盤が純粋に強化された。



結論として、新しいデッキとしては《世界を目覚めさせる者、ニッサ》《頂点捕食者、ガラク》が入ったジャンドプレインズウォーカーが多少いそうなぐらいで、それ以外は今まで通りの環境という感じ。


それぞれがそれぞれに色々と試行錯誤したものの、自分も含めた日本人プロは口を揃えて、

「今回は慣れているデッキを使うアドバンテージに勝るような新デッキは出来ないね。経験値が高いデッキを仕上げて使うのが正解」

と言っている状態。ローテーション前の環境末期なこともあり、それが事実である可能性は高かった。


それなら、やっぱり自分は青白コントロール系を使うべきと考え、青白コントロール系の探究を進めることにした。


今回はじめに注目したのはトリコ(青白赤)カラー。

このデッキは極端な例だが、《戦場の鍛冶場》《シヴの浅瀬》と2種類のダメージランドが使えることでマナベースが大幅に強化された。
もともとショックランドがあるけれど、「占術」土地は12枚入れたい都合上、アンタップインするためだけに2点を受けることは大きなデメリットとなるため、
ある程度の枚数であればダメージランドがベターだった。

色んな形を試したが、最終的には《次元の浄化》タイプになった。
《ラノワールの荒原》の加入により、黒単タッチ緑を中心に《突然の衰微》の使用率増加を見込んでいたし、
《拘留の宝球》がない序盤の動きを汎用性が高い《イゼットの魔除け》が良い感じで補っていた。


しかし直近のSCGオープンの結果が「黒単>>黒単タッチ緑」だったため、この選択に疑問を感じるようになった。

基本的に《突然の衰微》を打ってこない相手には《拘留の宝球》バージョンのほうがベターだ。

《突然の衰微》を打ってくる相手が2割以下だと考えるなら、そもそもこの選択は期待値的に損であると思い、
また同時に、黒単系が本命かつ最大勢力になると考えていたため、以下のようなデッキになった。



齋藤 友晴 「青白タッチ緑コントロール」 プロツアー『マジック2015』

4 《島》
3 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《啓蒙の神殿》
4 《神秘の神殿》
4 《豊潤の神殿》
1 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《変わり谷》

-土地(27)-


-クリーチャー(0)-
3 《中略》
4 《今わの際》
4 《解消》
4 《スフィンクスの啓示》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
4 《思考を築く者、ジェイス》
3 《荒ぶる波濤、キオーラ》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(33)-
4 《ニクス毛の雄羊》
4 《否認》
3 《霧裂きのハイドラ》
3 《次元の浄化》
1 《ジェイスの創意》

-サイドボード(15)-
hareruya





気付いた人もいるかもしれないけど、6月のグランプリシカゴのときのデッキとほとんど同じ内容のバントコントロール。
M15のカードで新たに加入したカードが2枚(《ヤヴィマヤの沿岸》《ジェイスの創意》)しかなかったのは少し残念ではある。

選択理由はシンプルで、黒単、青白、バーン、青単に強くて他にも丸いから。
不利がつきそうなのは赤スライとセレズニア。赤スライは調整の過程で黒系にもサイド後厳しいからあまりいないだろうと考え、
セレズニアはSCGで勝ってはいたし悪くない選択だけど、プロツアープレイヤーがあまり好まないデッキだと考えていた。



■ドラフト準備

予選16回戦中の6回戦しかやらない種目とはいえ、環境初期で差が出やすいし出来ることを全部しようと思った。
結果記入シートを作って全ての結果を集計したり、100回初手取りしてみたり、コモン、アンコモンセットを用意してみんなと話した。


・ドラフト39回分の勝敗まとめ



晴れる屋でのドラフト練習や、菊名ドラフト合宿の結果を中心に全ての結果を記入しておいて集計。

その結果、が強い!という結論に。

2色別で見たら青白と赤黒が結果を出していて、肌で感じていたことが数値にも現れ、環境理解度が深まった。



・初手取り100回




▼色別ランキング

1位:32枚 
2位:23枚 
3位:16枚 
4位:15枚 
5位:8枚  
6位:6枚   その他


▼レアリティ別ランキング

1位:41枚 神話レア、レア
2位:30枚  コモン
3位:29枚  アンコモン


▼カード別ランキング

同率1位:5枚 《三つぞろいの霊魂》
同率1位:5枚 《血の誓約》
同率3位:4枚 《稲妻の一撃》
同率3位:4枚 《小走り破滅エンジン》
同率3位:4枚 《幻影の天使》


初手ではを取る可能性が1番高いことが分かり、そうなるとピック最序盤はが増えやすいから、強い色トップ2のうち相対的にやりたいのはだと感じた。

また、を初手で取ることは本当に少なく、を初手で取った8回のうち3回がレアの《女王スズメバチ》だったことも特徴的だった。

青白、赤黒、赤白を本線に見据え、次いで青赤や白黒というドラフトをすることに決めた。
また、緑は空いてなかったら終わるので、極力やらずに流しまくることに決めた。


こんな感じで、両種目とも出来る限りの準備が出来ていて、今回は万全と思っていたところ。


出発直前に急性扁桃腺炎で高熱と風邪の諸症状が一気に襲い掛かってきた

嫁から移ったようだったけど、今回は詰め込んで練習しすぎたことで体力が落ちていたなと反省。
体力が落ちていれば病気にかかりやすいのは当然。年々体調コントロールがうまくなってきていただけに残念だった。

病院へ行き、1日飛行機を遅らせて何とか熱は下がったけれど、薬を飲んでいたこと含め、朦朧とした中でのプロツアー参加となってしまった。



■本戦結果



齋藤 友晴 「黒タッチ赤」 プロツアー『マジック2015』

11 《沼》
6 《山》

-土地(17)-

1 《チフス鼠》
5 《黒猫》
1 《夜の子》
1 《発生器の召使い》
1 《魔女の使い魔》
2 《呪われたスピリット》
2 《夜火の巨人》
1 《影外套の吸血鬼》
1 《解き放たれし者、オブ・ニクシリス》
1 《シャンダラーの魂》

-クリーチャー(16)-
3 《血の署名》
1 《爛れ暗がり》
1 《屍噛み》
2 《血の誓約》

-呪文(7)-
-サイドボード(0)-
hareruya




第1ドラフト:黒赤で1-2。

《黒猫》5枚とかふざけてんの?と思われるかもしれない。俺も思う(笑)

黒のポジションは良かったけど(そもそも不人気色だけど)、単純に黒のコモンクリーチャーが《黒猫》以外あまり出なかった。

しかし、これほど黒メインのドラフトというのは戦略上のものではなく、展開上のものだったため、準備不足感もあった。
もう少し経験か頭の回転があれば《魔女の使い魔》をもう1枚取れていたと思う。
3マナ2/3バニラはパワー2が多いこの環境ではバカにならないことにもう少し早く気付いていれば、と悔やまれる。



齋藤 友晴 「赤白」 プロツアー『マジック2015』

10 《平地》
6 《山》
1 《進化する未開地》

-土地(17)-

2 《炉の小悪魔》
2 《アルタクの求血者》
2 《オレスコスの速爪》
1 《キンズベイルの散兵》
1 《ヘリオッドの巡礼者》
1 《かき回すゴブリン》
1 《ヘリオッドの巡礼者》
1 《ゴブリンの荒くれ乗り》
1 《カミソリ足のグリフィン》
1 《屑鉄場の雑種犬》
2 《守護天使アヴァシン》

-クリーチャー(15)-
1 《民衆の好意》
2 《儚き盾》
1 《三つぞろいの霊魂》
2 《抑圧的な光線》
1 《名誉の印》
1 《喧嘩屋の板金鎧》

-呪文(8)-
-サイドボード(0)-
hareruya




第2ドラフト:赤白で2-1。

《守護天使アヴァシン》2枚が特徴的な純然な良デッキだったと思う。
負けたマッチは極端なマナフラッド×2だった。
また、第1ドラフトでの失敗を教えてくれるかのように《魔女の使い魔》を2枚並べられた(笑)



スタンダード:バントコントロールで7-3。


(先手)〇〇  VSナヤミッドレンジ
(後手)〇〇  VS黒白ミッドレンジ
(先手)〇〇  VS青白コントロール
(先手)〇×× VS黒単信心
(先手)〇〇  VS黒白ミッドレンジ

(先手)〇〇  VS青白コントロール
(先手)〇×× VS黒単信心
(後手)G〇  VS緑白ビートダウン
(後手)×〇× VS緑白ビートダウン
(後手)×〇〇 VS青単信心


引き弱含め、黒系に勝ち越せなかったのが厳しいところ。

ただ結果と合わせてデッキとプレイングには充分な手応えを感じた。
毎回こういうデッキ選択が出来るよう努力していきたい。



■これからについて

冒頭にも書いたように、新シーズンは再度シルバーレベルで迎えることになった。
ゴールドになれなかったため、グランプリ不戦勝制度の変更により、グランプリは不戦勝2での参加となる。

思えば今シーズンは序盤、事業のバタつきや家庭の状況からあまりプレイヤーに力を入れることが出来てなかったから、仕方がない結果とも言える。


でも最近そのあたりも落ち着いてきたし、


新シーズンは最初から全力で行くことに決めた。


目標プラチナ、最低ゴールドを狙う。


差し当たっては「祭」グランプリ神戸をパスして、同日開催のグランプリシドニーに参加することに決めた。
単純に参加人数も3分の1ぐらいだろうし、これからモダンの練習をするよりも、経験があるM15のリミテッドを選ぶことにした。


プロポイントを取りたいならプロポイントを取りやすい選択をする。

シンプルだ。

神戸に行けないのは寂しいけど、オーストラリアにもマジックの兄弟は沢山いるし、楽しく頑張ってこようと思う♪


また、今回は万全の状態での参加とはならなかったのが残念だけど、
やっぱりプロツアーはスターだらけで楽しいし、工夫、努力すれば運が良いときは勝てるイベントだと思ったから、
改めて挑戦し甲斐のあるイベントだなと思って両方の意味で安心した☆


とりあえず次2回のプロツアーの参加権はあるけど、毎回挑戦できるように頑張っていきたい^^

ではまた!


トモハル