Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2017/06/15)
みなさん、こんにちは。
今日のトピックはレガシーの「デス&タックス」についてだ!
「デス&タックス」、または「DnT」として知られるこのデッキは (もし知らないなら知っておいた方が良いな) 、正しく使用すればレガシー環境でも屈指のデッキのひとつなんだ。
もしもグランプリ・ラスベガス2017に向けてモダンのアドバイスが欲しいのであれば、僕がグランプリ・コペンハーゲン2017で使用して41位に入賞し、ベガスでも使う予定のデッキに関して友人であるジェレミー・デザーニが記事を書いてくれているので、目を通してみてくれ。
まず初めに、数週間前に《師範の占い独楽》が禁止になったあとにMagic Onlineのレガシーリーグに参加した僕のリストを見てみよう。
10 《平地》 3 《カラカス》 1 《トロウケアの敷石》 1 《地平線の梢》 1 《魂の洞窟》 4 《不毛の大地》 4 《リシャーダの港》 -土地 (24)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《ちらつき鬼火》 2 《聖域の僧院長》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《オレスコスの王、ブリマーズ》 1 《宮殿の看守》 -クリーチャー (25)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
これはいたって普通のリストだが、ここからは “確定スロット” と “不確定スロット” についてお話ししよう。
僕の目から見た直近のメタゲームは、多くの《秘密を掘り下げる者》戦略 (ほんの少しグリクシスが人気のようだね)、スニークショー、黒赤リアニメイト、そしてANTが続く。これらは勝利手段もゲーム展開も全く違うデッキだ。
この情報は、メタゲームを予想して正しいDnTのリストを構築するためにとても重要となる。
白いカード、土地、そしてアーティファクトだけで構築されたデッキには、メリットもあればデメリットも存在する。幸運にも、これらのデメリットの多くは僕が “確定スロット” と呼んでいるカードが解決してくれるんだ。
クリーチャー
DnTは良い基盤を持っている。これらのカードは必要不可欠であり、これから紹介する全てのカードと上手く噛み合うだろう。
多くのプレイヤーは1枚か2枚の《ファイレクシアの破棄者》を削っているが、主な理由は他のカードで同じ役割が担えるからだ。ANTに対して《ファイレクシアの破棄者》は少しの仕事はするが、ほとんどの場合において小さな問題でしかなく、勝利するために決定的とは言えない。他方で、エルフやスニークショーに対しては序盤の《ワイアウッドの共生虫》や《実物提示教育》から出てきた《グリセルブランド》を止められるので、彼らにとっては死活問題になりえる。そのため、僕はこのクリーチャーを抜かないことをお勧めする。
《ちらつき鬼火》はゲームプランを否定するのに貢献するわけではないから、少し奇妙に見えるかもしれない。だけどこのカードはレガシーという環境が僕たちに投げかけてくるいくつもの異なるカードに対して “万能なカード” なんだ。こいつは自身の唯一無二の能力をもってしてテンポを取ったり、対戦相手を妨害したり、除去からクリーチャーを守ったり、《霊気の薬瓶》のカウンターをリセットしたりできる。ほとんどのゲームにおいてやり手のカードだね。
アーティファクト / 呪文
装備品パッケージには多少の変化はあるだろうけど、概して “万能なカード” である《殴打頭蓋》が入る。《殴打頭蓋》はたくさんのローグ戦略やtier1のデッキに対する一般的で力強い解答だ。
《梅澤の十手》は正しい下準備ができれば、ほとんど負けそうなゲームにさえ勝利することができるカードだ。このカードは《秘密を掘り下げる者》、エルフ、ミラーマッチにおけるデッキ内で最高の1枚だ。
続いては《火と氷の剣》だが、この枠は変わりうる。付随するプロテクションの色はこのスロットを左右する重要な要素で、「青白奇跡」が《先触れ》よって勢力を取り戻すようであれば、《戦争と平和の剣》に変更するだろう。
他の剣に変えてもいいかもしれないのはなぜかというと、それほど戦場にコミットしすぎない方が大切かもしれないからだ。もともと《火と氷の剣》は、戦場に出てしまった《真の名の宿敵》や《精神を刻む者、ジェイス》、これらは別々のデッキから出てくるわけだが、それらに対抗するために投入されていると同時に、このデッキが欠いている普通のドローエンジンとして採用されていた。もしメタゲームが青黒緑 / コンボデッキ偏重になるのであれば、他の剣も検討に値する、または上回るだろう。
土地
土地構成は非常にまっすぐだ。僕はいつも上記20枚を固定として合計で24枚の土地をプレイするけど、遅いコントロールデッキと当たったら24枚目の土地はサイドアウトしている。テンポデッキに対して、《不毛の大地》に弱くなりすぎないように《平地》だらけのマナベースに注力することは頻繁に起こる。能力を持つ土地を入れたいのは山々だが、これが最低でも8枚の《平地》を保ち、《カラカス》を3枚に抑えている理由なんだ。
ここまでの内容をまとめるとこうなる。
8 《平地》 3 《カラカス》 1 《魂の洞窟》 4 《不毛の大地》 4 《リシャーダの港》 -土地 (20)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《ファイレクシアの破棄者》 4 《ちらつき鬼火》 -クリーチャー (18)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
これで49枚だが、土地を24枚にするならもう4枚のスロットは土地に充てることになる。そして残りのカードは想定したメタゲームに対抗する手段となるもので、なおかつ《霊気の薬瓶》を強力にするためにもクリーチャーカードが望ましいだろう。
これらが直近のメタゲームを考慮したうえで僕が検討しているカードだ。ここで前述のデメリットに立ち返ろう。なぜならほとんどのカードはメタカードとして特化しているので、それぞれのカバーしている範囲は全く別だし、きちんと機能させるためには十分早いターンに戦場に出す必要があるからだ。僕は最初はこんな布陣にしようと思う。
1 《オレスコスの王、ブリマーズ》
《オレスコスの王、ブリマーズ》は《稲妻》や《罰する火》といったカードに強い。単体でも十分すぎるほどのプレッシャーを与えることができ、なおかつ《カラカス》があれば除去も無効化することができる。
2 《ファイレクシアの破棄者》
序盤の項目でも述べたように、現在のメタゲームは少数ながらも起動型能力に依存した戦略がうごめいている。そのため、《秘密を掘り下げる者》デッキには対象がひとつしかなかろうとも、僕はこのカードに採用するだけの価値があると思う。
2 《聖域の僧院長》
《ファイレクシアの破棄者》に似ているけど、例外は《秘密を掘り下げる者》デッキに対する性能差だ。《聖域の僧院長》で “1” を指定してしまえば、《秘密を掘り下げる者》デッキの除去とドローを奪い去ることができ、残るのはクリーチャーと打ち消し呪文だけだ。これは彼らにとってしばしば敗因となりえる。
1 《ミラディンの十字軍》
たいていの《トレストの使者、レオヴォルド》デッキに対して有効なカードで、装備品を付けるにも最適なクリーチャーだ。
1 《宮殿の看守》
DnTでドローエンジンが手に入ることは稀だが、このカードは正しくプレイすれば追加のドローと何にでも対処できる除去をもたらしてくれる。 (《真の名の宿敵》は例外だけどね)
まだ固まりきっていないメタゲームにおいては、これらのカードを “不確定スロット” に組み込むことは正しいように思える。しかしながら、《師範の占い独楽》が禁止されてからというもの、実際のメタゲームはより多くのコンボデッキと《秘密を掘り下げる者》デッキで溢れかえるようになったため、それによりいくつかのカードと3マナのカードは評価を落としてしまった。これは最悪とは言えないまでも、エルフデッキは勝つのが最も大変なマッチアップだし、ANTのように我々が干渉する前に1~2ターンで勝負を決めてしまえる可能性のあるデッキに先手を取られてしまうと厳しくなるだろう。
これは “不確定スロット” の土地構成に変化をもたらす。従来のやり方では、異なるデッキに対して万遍なく強くなるような変更はほとんど存在しない。《平地》を少なくすれば《虐殺》には耐性が付くものの、《不毛の大地》には脆くなってしまう、といった具合にね。
そこで盟友のThomas Enevoldsenと僕は何か新しいものに挑戦すべきだと結論付け、最初の数ターンが決定的なマッチで序盤の遅れをどうにかできないかを検討してみることにした。スカイプしながらMagic Onlineで調整すること数週間、ついにベガスでプレイするであろうリストに近いものへとたどり着いたんだ。
9 《平地》 3 《カラカス》 1 《永岩城》 4 《不毛の大地》 3 《リシャーダの港》 3 《古えの墳墓》 -土地 (23)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《封じ込める僧侶》 2 《ファイレクシアの破棄者》 4 《ちらつき鬼火》 2 《異端聖戦士、サリア》 2 《変位エルドラージ》 1 《ヴリンの翼馬》 1 《宮殿の看守》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
4 《虚空の杯》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《安らかなる眠り》 2 《議会の採決》 1 《宮殿の看守》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 1 《四肢切断》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード (15)- |
ぱっと見ではこのリストは一般的なものと同じに見えるかもしれないが、このリストの主役は《古えの墳墓》だ。これは “確定スロット” とは考えていないが、サイドボードの《虚空の杯》と併用することで相性の悪いマッチアップを改善しようと目論んでいる。
《古えの墳墓》は、《ヴリンの翼馬》や《異端聖戦士、サリア》といったマナコストが2(白)の強力なカードをメインボードに入れることをも可能にしてくれる。このデッキなら《古えの墳墓》に過剰なライフを払うことはないし、苦手なデッキに対して2ターン目に追加のヘイトベアーを用意できるのはとんでもないアドバンテージだ。
数種の《秘密を掘り下げる者》デッキと戦えるようにしておかねばいけないことに変わりはないが、この構成はもしコンボデッキが多いと予想するのであれば良いリストだろう。
サイドボードガイド
グリクシスデルバー
対 「グリクシスデルバー」
対 「スゥルタイデルバー」
対 「スゥルタイデルバー」
対 「ANT」
対 「ANT」
対 「黒赤リアニメイト」
対 「黒赤リアニメイト」
対 「スニークショー」
対 「スニークショー」
対 「エルフ」
対 「エルフ」
対 「青白奇跡」
対 「青白奇跡」
対 「ミラーマッチ」
対 「ミラーマッチ」
以上が今現在のリストのサイドボードガイドだ。特定のマッチアップでは試合中に見たカードによってサイドボーディングが変わるだろうし、先手か後手かによってマイナーチェンジも起こりえるだろう。
この記事がいくつかのカード評価や、DnTの現状がどうなっているか、そして特定のメタゲームにどのように挑むべきかを理解する助けになれば幸いだ。
君が使用するデッキがDnTであれ、他の素晴らしいものであれ、今後のトーナメントでの幸運を祈っているよ。
また次回!
マイケル・ボンデ
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする