Game 1

　先攻の高橋が《島》から《査問長官》をプレイすると、名出が怪訝な表情を浮かべながら第1ターンから手を止める。

　「ドレッジ」――。「《霊気池の驚異》」に不利だったことから久しく環境に姿を見せていなかったそのデッキを前に、名出は面食らったのかじっくりと時間をかけてセットランドを行い、《致命的な一押し》で《査問長官》を退場させる。

　ならばと返す高橋が第2ターン、第3ターンと続けて《終わりなき時計》をプレイし、墓地肥やしのエンジンを整える。対する名出も《キランの真意号》を設置して、続くターンには《経験豊富な操縦者》を「搭乗」させて素早く5点クロックを刻み、第2メインフェイズには《模範的な造り手》を呼び出して高橋に迫る。

　加速度的に膨れ上がるクロック。高橋が盤面に対する解答を求めて《終わりなき時計》を手繰る隙に、名出は戦線に追加した《屑鉄場のたかり屋》で颯爽と《キランの真意号》へと「搭乗」。一挙10点のクロックを刻み、高橋の猶予を奪っていく。

　しかし、《終わりなき時計》を起動し続けた甲斐あって高橋もようやく反撃の準備が整う。《憑依された死体》を戦場に戻しながら「現出」で《老いたる深海鬼》をプレイし、《コジレックの帰還》の誘発型能力で一気に戦場を薙ぎ払う。《老いたる深海鬼》にこそ《無許可の分解》を当てて戦場から退かせた名出だったが、戦場は《キランの真意号》を残して半壊。残りライフを2まで減らしながらも高橋がいよいよ反撃の狼煙を上げる。

高橋 哲大(東京)

　《屑鉄場のたかり屋》や《憑依された死体》を戦場に戻して懸命に名出のライフを削りに行く高橋。名出も《屑鉄場のたかり屋》を戦場に戻しながら《キランの真意号》を高橋の元へと差し向けるが、スピリットトークンが名出の攻撃を幾重にも阻み、なかなかその凶刃は届かない。

　圧倒的なリカバリー力と中盤以降の盤面の強さはまさしく「ドレッジ」のお家芸であり、こうなってしまうと名出操る「マルドゥ機体」ではとてもじゃないが巻き返せないだろう。ただし、真っ向勝負では（・・・・・・・）という条件付きだが。

　高橋のライフはもはや風前の灯火。やがて名出がトップデッキした《無許可の分解》はその灯火を消し去るのに十分すぎるほどの搦め手となり、名出の元へと先勝を届けるのだった。

Game 2

　第1ゲーム同様《査問長官》から動き出す高橋。返す名出は第1ターン、第2ターンと続けて3枚の《スレイベンの検査官》を並べ立てる。

　対する高橋も《秘蔵の縫合体》をプレイしながら名出のクロックに対してブロッカーを用意するが、名出は《スレイベンの検査官》のチャンプアタックと《マグマのしぶき》を合わせてこれを追放。さらに《キランの真意号》や《模範的な造り手》を追加して攻撃態勢を整える。

　ここから名出の「マルドゥ機体」が火を噴くか、と思われたのも束の間。高橋がプレイした《霊気圏の収集艇》によって名出のクロックがぴたりと止まってしまい、高橋が盤面を築く猶予を得る。《憑依された死体》から《膨らんだ意識曲げ》を「現出」で唱え、《コジレックの帰還》の誘発型能力を解決すると名出の逆転の目が摘み取られていく。

　完全に戦線が崩壊した名出だったが、《異端聖戦士、サリア》をプレイして、高橋の《膨らんだ意識曲げ》のアタックには先制攻撃＋《マグマのしぶき》で何とか生き延びようともがく。

　だが、高橋操る「ドレッジ」に対して防戦に回るのは分が悪い。指数関数的に拡大していく不死の軍勢に対して名出ができることは多くなく、必死の抵抗も空しく数の暴力が勝利をもぎ取っていった。

Game 3

　後手ながら《終わりなき時計》、《査問長官》と墓地肥やしのエンジンを戦場に追加していく高橋に対し、名出も《屑鉄場のたかり屋》と《キランの真意号》をプレイして素早くクロックを用意して高橋の猶予時間を奪っていく。

　高橋が《屑鉄場のたかり屋》を戦場に呼び戻すと名出からは《マグマのしぶき》。ならばと《憑依された死体》→《老いたる深海鬼》→《コジレックの帰還》のコンボを決めても、すぐさま復活した《屑鉄場のたかり屋》が駆る《キランの真意号》のクロックは止まらない。

名出 和貴(東京)

　何とか《憑依された死体》でスピリットトークンを壁にしようと画策する高橋だが、名出は《マグマのしぶき》と《無許可の分解》で邪魔者を処理すると、誰も止めるもののなくなった《キランの真意号》が高橋のライフを削りとった。