各環境の「名人」を決めるこの「環境名人戦」。
だが「名人とは何だろうか」と改めて考えてみたとき、やはり「環境に合わせたデッキを自ら構築できる能力」を持っていることが重要な要素になってくるように思われる。
そのようなことを考えながら会場を見て回っていると、上位卓でかなり個性的な白黒ミッドレンジを回しているプレイヤーの姿が目に留まった。
伊藤 大明。スタンダードで開催されたグランプリ・仙台2010でのトップ4経験に加え、今年のグランプリ・静岡2017春でもトップ8に入賞した、スタンダードの達人だ。
そんな伊藤が『アモンケット』環境末期に作りあげた「解答」について、インタビューを試みた。
--「まず、このデッキができた経緯を教えてください」
伊藤「もともとは《栄光半ばの修練者》と《永遠の見守り》が入った白黒ビートダウンを試していたんですが、相手のカードパワーに押し潰されてしまうのと、《霊気池の驚異》の禁止で環境がビートダウンに寄ったことでみんなが《致命的な一押し》と《マグマのしぶき》を打ってくるので、ビートダウンはすぐ捌かれちゃうんですよね。対して、そのデッキのサイドプランで採用していたプレインズウォーカーを使ったミッドレンジは勝率が高かったので、『もうこっちがメインでいいんじゃね?』ということでこのデッキができました」
--「このデッキの強みはどういった部分にあるんでしょうか?」
伊藤「まず、黒の除去と強力なプレインズウォーカーたちで簡単にマウントがとれる部分にあります。《致命的な一押し》《最後の望み、リリアナ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という流れはどんなデッキ相手にも強力です」
伊藤「また、《豪華の王、ゴンティ》が非常に強力ですね。ビートダウンやミッドレンジ相手に接死の2/3は確実なリソースですし、これだけカードパワーが高い環境だと相手のカードの力を利用して簡単に勝つことができます」
--「メインから《黄昏+払暁》が採用されているのは珍しいですね」
伊藤「《スレイベンの検査官》《才気ある霊基体》《豪華の王、ゴンティ》と、主なクリーチャーが軒並みパワー2以下なので、《黄昏》で一方的に得をすることができます。またゲーム後半にこれらのクリーチャーを《払暁》で回収する動きも強力ですね。前日に作ったのでお試しで1枚だけしか入れていませんでしたが、メインに2枚入れても良さそうな感触でした。黒緑とゾンビ、ティムールなどはパワー3以上のクリーチャーを並べてくるので、環境的に《黄昏》が強いんですよね」
伊藤「さらにイチオシのテクとして、《死の宿敵、ソリン》の『+1』で分割カードをもしめくれば、《不帰+回帰》なら7点、《黄昏+払暁》ならなんと9点を与えることができます。これは最高に気持ちが良いですよ」
--「ありがとうございます」
クリーチャー、プレインズウォーカー、手札、墓地。白黒という色の組み合わせは、スタンダードにおいては様々なリソースに対して最も効率良く干渉できるカラーリングと言える。《霊気池の驚異》亡き今、ミッドレンジに強いポジションがメタゲーム的に優位となるであろうことは想像に難くなく、『破滅の刻』の発売後も注目のアーキタイプとなりそうだ。
9 《沼》 7 《平地》 4 《秘密の中庭》 4 《乱脈な気孔》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《才気ある霊基体》 3 《豪華の王、ゴンティ》 3 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (14)- |
4 《致命的な一押し》 3 《闇の掌握》 2 《精神背信》 2 《苦渋の破棄》 2 《不帰+回帰》 1 《黄昏+払暁》 2 《最後の望み、リリアナ》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《死の宿敵、ソリン》 -呪文 (21)- |
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《膨らんだ意識曲げ》 2 《精神背信》 2 《燻蒸》 2 《排斥》 1 《神聖な協力》 1 《石の宣告》 1 《黄昏+払暁》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《死の宿敵、ソリン》 -サイドボード (15)- |
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