■ 6/25 『アモンケット』環境名人戦
デッキ選択
《霊気池の驚異》禁止後初のスタンダードをプレイする本大会。
以前のThe Last Sun 2016然り、プロポイントを追う必要のない大会では自由気ままなデッキ選択を行うことに決めているので、自分にとって最も楽しめるデッキを探していました。「ティムールアグロ」「黒緑アグロ」「黒単ゾンビ」など流行のデッキをいくつかテストしましたが、それらはどれもいまひとつ好きになれず。真っすぐなビートダウンデッキにはなんとなく物足りなさを感じていました。
何も候補が見つからなかったので「もうなんでもいいか」という気持ちになり、前日の時点で最も自由を感じたサイクリングコンボを選択。
5 《森》 3 《島》 1 《山》 1 《沼》 4 《異臭の池》 4 《隠れた茂み》 3 《泥濘の峡谷》 2 《灌漑農地》 2 《まばらな木立ち》 -土地 (25)- 4 《砂時計の侍臣》 4 《シェフェトのオオトカゲ》 1 《終止符のスフィンクス》 -クリーチャー (9)- |
4 《検閲》 4 《葬送の影》 4 《花粉のもや》 4 《焼けつく双陽》 1 《暗記+記憶》 1 《副陽の接近》 3 《奇妙な森》 1 《信者の確信》 4 《新たな視点》 -呪文 (26)- |
3 《払拭》 3 《造反者の解放》 3 《否認》 3 《没収》 3 《ドレイクの安息地》 -サイドボード (15)- |
作業感の強いデッキなので、練習すると新鮮味が薄れると感じ、ぶっつけ本番で臨む予定でした。
ところが当日朝、目覚めてデッキをスリーブに入れながらぼんやりとTwitterのタイムラインを眺めていたところ、思わず身を乗り出してしまうようなツイートを発見。
リーグ5-0×2できた。良いデッキなので是非使って下さい。 pic.twitter.com/14G15jRhhJ
— なぞのぷろぷれいやー,Jun.I (@Jun_dot_I) 2017年6月24日
シルバーレベルプロである石原 隼さんお手製の「ティムール現出」デッキが公開されていました。見るからに楽しい見た目。僕の好きなカードがふんだんに使われており、魅力満載のリストです。
ご本人も「是非使って下さい」とのことですので、今しがたスリーブに入れていたカードを全て入れ替えてデッキを変更。
3 《森》 2 《山》 2 《島》 2 《隠れた茂み》 3 《進化する未開地》 4 《霊気拠点》 4 《植物の聖域》 2 《尖塔断の運河》 1 《ウギンの聖域》 -土地 (23)- 3 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 2 《不屈の追跡者》 2 《栄光をもたらすもの》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《世界を壊すもの》 3 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー (16)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 4 《蓄霊稲妻》 3 《過去との取り組み》 1 《木端+微塵》 4 《コジレックの帰還》 3 《発生の器》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (21)- |
2 《不屈の追跡者》 2 《マグマのしぶき》 2 《否認》 2 《不許可》 2 《慮外な押収》 1 《刻み角》 1 《栄光をもたらすもの》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《木端+微塵》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
現在のスタンダード環境は前述したようなアグロデッキばかり。これだけ標的が明確なメタゲームであれば《コジレックの帰還》は環境のソリューションになりえますね。
「ティムール現出」自体は『異界月』リリース以降から存在するデッキタイプですが、『アモンケット』にて加わった《栄光をもたらすもの》がデッキをバッチリと強化しています。《ウルヴェンワルド横断》からクリーチャー除去・プレインズウォーカー対処の2点を同時に満たせるようになったのは非常に大きく、《老いたる深海鬼》でタップアウトさせた返しのターンに用いる押し込み要員としても極めて優秀。欲していた要素を一気に獲得した格好です。
一人回しの時点で高揚感を抑えきれず、いち早く対戦したい思いで大会へと赴きました。
スタンダード・前半ラウンド
今回の環境名人戦はスタンダード及びリミテッドの混合フォーマットにて争われる特殊なイベントで、まずは前半3ラウンドをスタンダードで開始します。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 白赤人間 | 〇〇 |
Round 2 | ティムールアグロ (ビデオフィーチャー) | 〇×〇 |
Round 3 | マルドゥミッドレンジ | 〇〇 |
早速アグロデッキと連戦し、《コジレックの帰還》が大活躍。
3回戦目は《コジレックの帰還》があまり有効でないコントロールチックな相手でしたが、サイドボードに用意された《否認》《不許可》がいぶし銀の働きを見せて勝利。必要な相手にはそれ相応の立ち回りが可能で、石原さんの構築術が光りますね。
ドラフトラウンド
好スタートを切り、そのままドラフトラウンドに突入。
1-1を《栄光半ばの修練者》で始め、流れの悪い赤はすぐに切り、あまりやりたくない緑は避けつつといった具合でエスパーカラーの3色に絞ってピック。下家が青に向かったようで返しが悪かったため白黒を確定させ、3パック目は必要なものを拾いつつ青いカードをカットしていき、ピック終了。
デッキは以下のような内容に。
8 《平地》 8 《沼》 -土地 (16)- 1 《栄光半ばの修練者》 1 《束縛のミイラ》 1 《突風歩き》 1 《むら気な召使い》 2 《悪運尽きた造反者》 2 《瘴気ミイラ》 1 《断固たる修練者》 1 《献身的な門友》 1 《不毛地の蠍》 1 《魂刺し》 1 《オケチラの従者》 -クリーチャー (13)- |
2 《超常的耐久力》 1 《黙考の時間》 1 《華麗な苦悶》 1 《最後の報賞》 1 《砂の撹拌》 1 《結束のカルトーシュ》 1 《強制的永眠》 1 《結束の試練》 1 《リリアナの支配》 1 《権威の殿堂》 -呪文 (11)- |
ゾンビシナジーを基調とし、他の部分も質の高いカードで埋めることができました。最低2-1、上手くいけば3-0もありうる見た目。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 4 | 白緑 | 〇×〇 |
Round 5 | 青黒 | 〇〇 |
Round 6 | 白青 | ×〇〇 |
初戦の《不屈の神ロナス》《枕戈+待旦》2枚入りの爆弾白緑との戦いを制せたことが大きく、勢いに乗って全勝。6勝0敗の好成績でスタンダードラウンドへ。
スタンダード・後半ラウンド
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 7 | 黒緑昂揚アグロ | ×× |
が、戻ってきたスタンダードラウンドでは致命的なプレイミスで1本目を落とし、2本目を事故して一瞬で敗北。《ゲトの裏切り者、カリタス》を《老いたる深海鬼》+《コジレックの帰還》で対処しようとしたところ、「現出」コストのクリーチャーでゾンビ・トークンが生まれてしまうことを失念しており、サイズが5/6になった《ゲトの裏切り者、カリタス》を対処できなくなってしまいました。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 8 | 白黒ミッドレンジ | ×〇△ |
その後のラウンドでは難しい盤面で捌き合いをしたのち消耗戦に突入、決めきれずに時間切れとピリッとしません。急失速し、焦りの色が出ますが……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 9 | ティムールアグロ | 〇〇 |
最終戦をなんとか持ちこたえ、トップ8のボーダーである7勝1敗1分に到達。予選ラウンドを5位で通過しました。
トップ8の面々は僕含めた2名が《コジレックの帰還》を4枚使った「現出」デッキで、残り6名がアグロデッキと今大会の様相を分かりやすく示しています。
スタンダード・シングルエリミネーション
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | ジャンド昂揚アグロ | 〇〇 |
黒緑昂揚アグロに《屑鉄場のたかり屋》と《無許可の分解》を追加した形。アグロデッキにはギリギリまでライフを削らせて《墓後家蜘蛛、イシュカナ》と《老いたる深海鬼》で巻き返すのがメインの勝ち手段となるので、《無許可の分解》の分だけ危険域での死亡率が増してしまうやりづらい相手。しかし試合の方は想定通りライフを詰められる展開になるものの、最終局面で要所を引かれずに勝利。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準決勝 | ティムールアグロ | 〇〇 |
同様に《墓後家蜘蛛、イシュカナ》と《老いたる深海鬼》で耐えて捌いて勝利の流れ。ティムールはダメージソースを戦闘に任せている関係でライフ管理がしやすく、《歩行バリスタ》や《無許可の分解》がない分、ほかのアグロよりやりやすい相手ですね。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
決勝 | 黒緑エネルギーアグロ (高橋 優太さん) | ×〇〇 |
Pros先輩・高橋 優太さんとの決勝戦。
1ゲーム目は墓地に《コジレックの帰還》、場に7マナ、手札に《老いたる深海鬼》3枚という無念の投了。2ゲーム目は《慮外な押収》で相手の巨大な《新緑の機械巨人》を奪い、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》というプレインズウォーカー軍団を陥落させて勝利。
3ゲーム目は敢えて2ターン目に《巻きつき蛇》をプレイせずにこちらのテンポを殺しにかかるナイスプレイで完全にゲームの流れを掌握されてしまいましたが、《慮外な押収》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》《老いたる深海鬼》のパワーカード連打で徐々に盤面を解決していき、解説の津村さん曰くの「1 : 9」の不利を逆転して勝利!
なんと優勝。正直全く予想していなかったので、喜びよりも驚きの方が大きいです。
大会の感想
スタンダードラウンドで使用した「ティムール現出」は本当に楽しいデッキでした。
僕個人が《ウルヴェンワルド横断》というカードを好きすぎるのも要因の一つですが、各種除去や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で粘り粘って《老いたる深海鬼》や《コジレックの帰還》で逆転していく様がドラマチックな展開を生み、熱い戦いになりやすいのも良いところです。
極端な話、土地10枚場なし手札なしの状態でも、《過去との取り組み》を引けば《老いたる深海鬼》を回収しつつ《コジレックの帰還》がついでに落ちて大逆転なんてこともあるので、最後まで逆転を信じてプレイでき、ドローのワクワク感 (笑) も高い。制作者の石原さんに感謝。
ドラフトラウンドに関しては、グランプリ・北京2017とプロツアー『アモンケット』での不振 (それぞれ3勝3敗、2勝4敗) を受けてその後練習をしていたため、成果の表れを実感でき嬉しかったです。
またプレミアイベント級の大会でなければこうした本格的なドラフトを実践できる機会は少ないので、今回の大会はそういった意味でも非常に有意義でした。次回以降もぜひ参加したいですし、同様に「ドラフトマニア」にも積極的に参加して行こうと考えています。
グランプリ・ラスベガスから好調が続いていますが、前回のレポートにも書いた心境の変化がプラスに作用している自覚が多分にあり、やはりマジックは楽しみ得。『破滅の刻』のリリースも刻一刻と近づいており、楽しみは増すばかりです。
また、明日7月5日 (水) 19時からはYoutube Liveにて「Hareruya Prosのゴキゲン!『破滅の刻』プレビュー放送!」を予定していますので、そちらもよろしくお願いします。
それではまた次回。
原根
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