学習塾ドリームメイト取材記 -子供に夢を与える場所-

渡辺 和樹

 もしも、遊びながら勉強をすることができたならば

 誰もが一度は夢を見たことがあるだろう。好きな遊びをしながら、学校の成績が上がっていく、という状態を。

 さて、もう一つ、”もしも”の話をしておきたい。

 もしも、英語を話すことができたならば

 筆者はプロツアー『霊気紛争』の取材に赴き、海外のプロプレイヤーにインタビューを申込んだのだが、「ああ、もっと英語を話せるようになりたい。学生時代、真面目に勉強すれば良かった」と、アイルランドの片隅で後悔していた。

 マジック:ザ・ギャザリングは、世界中で楽しまれており、世界中の人が、様々な形でこのゲームに関わっている。ある種の共通言語として、マジックはコミュニケーション・ツールの役割を担う。言葉が通じなくてもゲームはできるが、ちょっとした会話ができれば、もっとたくさんのことを知ることができるはずだ。

 この2つの“もしも”を叶えることは、ただの夢なのだろうか?

 そんな夢を叶える場所が、実際に存在する

ドリームメイト

 学習塾 ドリームメイト

 川崎市中原区にある、こちらの塾。Twitterで授業の様子についてご覧になったことがある方も、多いかもしれない。

 3月に放送されたぶっちゃけトモハルさんにコメントをいただき、晴れる屋が英語カードを10,000枚寄贈することになった。

 この出来事自体は知っていたのだが、聞けば聞くほど興味が湧いてくる……。

 マジックで英語の勉強? どうやって? そんな授業を受けてみたい!

 ならば、行くしかあるまい。早速先方にご連絡をして「ぜひ取材を」と申込んだところ「もちろん来てください!」とご快諾を頂いた。

 ということで、川崎へ!

菅原 星太さん

菅原 星太さん

 こちらが、菅原 星太さん。大手学習塾での勤務後に独立され、現在はドリームメイトの代表を務めているプロの塾講師だ。そのプロが、教材にマジックを選んでいるのである。

 さて、室内を見渡してみると……。

本棚

 山のような参考書。みなさんがお世話になったものもあるのでは?

カード棚

 おお、マジックのカードがたくさん! この一角は、塾というよりもカードショップ……いや、カードゲーマーの部屋といった感じだ。

ミニ四駆

 ……ミニ四駆!?

 す、すごい空間だ。早速、菅原先生にお話を伺ってみよう。

■ ドリームメイト、菅原先生にインタビュー!

――「今日はよろしくお願いいたします」

菅原「こちらこそ、よろしくお願いいたします!」

――「早速お伺いしたいのですが、マジックで英語を教える、というのは、『テキストの英語を読んで、勉強をする』ということですか?」

菅原「もちろん、テキストの英語を理解する、ということも授業の一つですね。ですが、それだけではありません。マジックをプレイすることで、英語のみならず、”考えることを習慣づけること”ができるんです。この習慣は、子供にとって勉強と同じくらい重要なんですよ」

――「なるほど。『マジックで英語が学べる』という点ばかりに注目してしまいがちでしたが、それだけではないわけですね」

菅原「そうですね。マジックを含めて、考えることを学ぶという点を意識しています。様々なことを考えるマジックはぴったりの教材なんです」

――「そうなのですね。ライフの計算は足し算引き算ですし、攻撃すべきか、ブロックすべきか、なんてことも考えることの一部、ということでしょうか」

菅原「そのとおりです。そういった頭を使うこと、考えることに慣れて“考える力”を養うことが重要なんです。今は子供たちの遊び方も変わってきていて、小学校、中学校でマジックの黎明期に触れてきた我々の世代とは大きく異なります。たとえば、最近は、マンガが読めない子が増えてきているんですが、ご存知ですか?」

――「ま、マンガが読めない!? それって、『親に禁止されている』という意味ではないんですよね?」

菅原「そうですね。少し変な言い方になりますが、”マンガを読む技術”を持っていないんです」

――「読む技術……私の場合、昔から読んでいたのですが、自然と身につけてきたということなのでしょうか?」

菅原「そうだと思います。今の子たちは、スマホで動画を観ることが当たり前になっていて、ちょっとした時間の使い方もそちらに傾いているんです。なので、『吹き出しと絵を同時に追いかけること』が難しいと感じてしまうんだと思います。なので『マンガで分かる◯◯』なんていうものが、お手軽ではなくなっているんですよ」

――「なんと。私が学生の頃は、そういったシリーズのお世話になっていたのですが、今は変わってきているんですね」

菅原「そうなんですよ。マンガは一例なのですが、幼い頃に触れたものは、大人になっても抵抗なく受け入れられます。なので、ここでは様々なものに触れてもらおう。そして、色々なことを楽しんで、成長してもらおうと考えています」

■ ミニ四駆が置いてある理由 -実は先生は……?-

――「なるほど。……そうなると、マジックと同じくらいのスペースを取っているミニ四駆も、教材なのですか?」

菅原「はい、これも立派な教材です。マジックはアナログゲームなので、手で触れながらプレイするわけですが、ミニ四駆も手を動かしてもらうことの一環、といったところですね。机に向かうだけでは学べないことをたくさん学べます。たとえば、『モーターを速くしすぎると、コーナーを曲がりきれないよね?』なんてことも、立派な勉強のきっかけになりますから」

――「たしかに、自分でパーツを組み合わせることは、色々と通じるものもありますよね。……あ、ジオラマっぽいものも。この辺りにあるものは、プロのモデラーさんが作成したお手本ですか?」

菅原「いえ、そこにあるものはすべて私の作品です」

――「ええ!? じゃあ、ひょっとして、このケーキや苺のやつも!?」

菅原「そうなんです。実は私、ミニ四駆のドレスアップで賞を貰っていまして、これも自分の好きなものを活かそうと思い、授業に取り入れてみたんです」

――「……先生、ものすごく多芸ですね」

■ まずはカードに慣れるところから

――「では、実際にマジックを使った授業について教えていただきたいのですが、マジックのルールは大人でも悩むくらい複雑ですよね。まずはどういったことから始めるのですか?」

菅原「様々な入り口があるのですが、低学年の子であれば、カードを並べて『どっちの数字が大きい?』といったところからカードに触れてもらいます。そして、慣れてきたら、こちらのシンプルなカードで構成されたデッキで対戦してもらうんです」

――「なるほど。能力を持たない、いわゆるバニラのクリーチャーばかり入っていますね。あ、《捕獲飛行機械》だけフォイルなのも何か理由があるのですか?」

菅原「はい。このカードが一番数字の大きいカードで、能力を持ったフィニッシャーなんです。なので、『このキラキラしている数字の大きいカードは強いんだ』と直感的に分かるようになっているんですよ」

――「おお……フィニッシャーを出せば勝てる、ということが自然とわかるわけですね」

菅原「そうなんです。『勝つために必要なこと。そこに向けたプレイ』を考えるようになると、ゲームが面白くなります。そして、最初は数字だけを見ているわけですが、次はFlying(飛行)、Haste(速攻)などのキーワードを読むようになる。そうやって『カードに書いてあるものを読む』ということに慣れていくと、英語のテキストを読むことも、抵抗なく受け入れられます。そうやって英語を読むことに対する食わず嫌いをなくすわけです」

――「このサンプルデッキも、英語学習の入り口なわけですね」

菅原「そうですね。そして、『大きいクリーチャーがいるときはどうすれば良いんだろう?』『どちらをプレイすべきだろう』といったことを考えるうちに、考えることも習慣づけられるんです。マジックをやるだけで、色々なことが身につくんですよ」

■ “マジック英語”の有用性

――「質問なのですが、マジックのテキストで使用されている英語は少し独特ですよね? 『普通の英語とは違う』という印象があるのですが、英語の勉強をする上で問題にはならないのですか?

菅原「まったく問題ないですね。むしろ、良い教材だと思います。例えば……そうですね、たまたま手元にあったので、《冬魂のオジュタイ》のテキストを見てみてください」

冬魂のオジュタイ

Whenever a dragon you control attacks, tap target nonland permanent an opponent controls. That permanent doesn’t untap during its controller’s next untap step.

菅原「この文章、英語に慣れていない人には読みづらいと思うんですよ。特に、“a dragon you control”“target nonland permanent an opponent controls”を一つのブロックとして認識できるかが重要なのですが、マジックプレイヤーはこれをブロックとして認識できるんです。単語のかかり方も複雑ですけど、分かりますよね。『ああ、あなたがコントロールしているドラゴンね』と」

――「たしかに、この部分が名詞、と意識しないうちに認識できていますね」

菅原「英語の長文読解を苦手とする人は多いと思いますが、そういう人は”英語のブロック”を認識できていないことがほとんどなんです。マジックのテキストを読んでいると、自然とそのブロックを認識できるようになるので、読解力が向上します《副陽の接近》のテキストを即座に理解できる英語力って、結構すごいことなんですよ?」

副陽の接近

If Approach of the Second Sun was cast from your hand and you’ve cast another spell named Approach of the Second Sun this game, you win the game. Otherwise, put Approach of the Second Sun into its owner’s library seventh from the top and you gain 7 life.

――「英語を読む力が、マジックをプレイしているうちについている、ということなのですね」

菅原「そうですね。それから、読む力、というのは何も文章だけではありません。単語もそうなんです。例えば、基本地形の《島》のスペルをしっかり英語で書けない人もいますよね」

島

――「たしかに、途中の“s”を忘れてしまいそうです」

菅原「こういった『発音とアルファベットが結びつきにくい単語』はたくさんあるのですが、『発音は分かるのに、読めない・書けない』という人が多いんですよね。そして、『英語を読む・書く力』を身につける上でも、マジックは教材として非常に優秀なんです

――「『英語を読む・書く力』と『英語を話す力』は別物、ということですか?」

菅原「そのとおりです。一般的な『英語教室』というのは、“英会話”を重視する傾向にあります。電車内の広告を見ても、大抵のものは『会話すること』『ネイティブの講師と直接会話をすること』をセールスポイントにしていますよね?」

――「たしかに、ビジネスマン向けの広告を見ても『マンツーマンで、実戦的な会話を』なんてものが多いですね」

菅原「この傾向は、子供向け英語教室でも一緒なんです。『話してみよう』『海外の人とコミュニケーションをしてみよう』と。もちろん英会話自体も非常に重要ですし、そういった授業も『実際に体験して、英語に触れる』という他ならぬメリットがあるのですが、”会話偏重”な子が増えているのも事実です。つまり、話せるけど、読めない・書けないんです」

――「なるほど。先ほどの例で言うと、『”島”の英語は?』と聞かれれば『アイランド』と答えられるけど、『Island』と書けるとは限らない、という感じですね」

菅原「そういうことですね。そして、学校の試験では『読めるか・書けるか』が問われます。結果、英会話教室に通っていたのに、授業の英語について行けず、嫌いになってしまう。そういった子たちを見ていて、『あれ? そういえば、どうして自分は英語が読めたんだろう? 英語に触れたときに抵抗がなかったんだろう?』と考えたときに、『マジックがあったからだ』と気付いたんです」

■ 英語版マジックで、英語に触れた

――「先生が気付いた『マジックがあったから英語に抵抗がなかった』というのは、どの時代に遡るのでしょうか?」

菅原「私がマジックを始めた頃、英語版のパックのほうが安かった時代ですね。お小遣いの範囲でカードを、となると英語を買う方が良かったので、そちらを購入して『このテキストは……』なんて考えながらやってました。その結果、英語への抵抗はありませんでしたし、先ほどの”英語のブロック”を認識できていたんですね」

――「マジックで遊びながら、英語とも遊ぶように触れていた、という感じですね」

菅原「そうなりますね。ところが、今の子どもたちは、英語に触れる機会が早いのと同時に苦手意識を持つのも早く、読もうとしてもブロックが分からない。ならば、同じようにマジックを通して英語に触れることで、その苦手意識を解消して、ブロックの認識を持ってもらえるのでは? と考えたことがマジックを教材にしたきっかけでした」

■ 親御さんに対して、「結果を出します」

――「そうやって授業の中にマジックを取り入れていったわけですね。でも、『カードゲームを使って英語を教えます』と言った場合、親御さんからの反応はいかがでしたか? ものすごく渋そうなイメージがあるのですが……」

菅原「ええ、渋かったですね。はっきりと言われました、『正直、疑っています』と(笑)」

――「それはまたストレートに……」

菅原「どうしても、理解されにくいんですよね。やはりカードゲームは”遊び”という印象の方が強いですし、マジックを使って教える、というのは前例がないでしょうから」

――「そうですよね……それに対して、どのように答えたのですか?」

菅原「『結果を出します、わかりやすい証拠として一年で英検に合格させます』と。『結果が出なかったら、全額返金でも構いません』と申し上げました」

――「おお、きっぱりと!」

菅原「自信があったんです。子どもの学ぶ力は大人とは比べ物になりません。楽しみながら英語に触れていけば、きっと覚えられるはずだ、と思っていましたので」

――「なるほど。そして、その結果は?」

菅原もちろん、全員合格しました

■ 授業開始! でも、その前に?

 ここで、生徒さんがいらっしゃったので、一旦インタビューを中断。今日は、中学1年生の女子生徒2名の授業だ。

 「おや? 伺っていた授業の開始よりもだいぶ早いなぁ」と思っていると……?

 早速始まる、プロプレイヤーによるデッキ相談会

 実は今回の取材には、殿堂プレイヤーであり、Hareruya Prosの津村 健志選手も同行している。

 というのも、生徒さんたちは津村選手の大ファンであり、公式で連載されている津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ毎回欠かさず読んでいるそうだ。憧れのプレイヤーにデッキを見てもらえるということで、いつもより早く、塾に来たのである

 こちらは、猫デッキを作成した生徒さん。スタンダードで使用できるあらゆる猫が採用されている。津村選手アドバイスを受けて、クリーチャーの枚数に少々変更を加えることになった。

 そしてこちらは、ニッサデッキ。スタンダードで使用できるあらゆるニッサに関わるカードが採用されている(《霊気との調和》は能力も去ることながら、「イラストがニッサだから」という理由で入れたらしい)。

 津村選手も「ニッサだらけですね」と感想を漏らしたこちら。「もっとニッサを入れたい」という要望を受けて、土地の枚数を見直し、さらにニッサを採用できるようになった。

 ひとしきりデッキを相談し、アドバイスを受けていると、そろそろ授業の時間。名残惜しそうに机に向かう生徒さんたち。そこで、

津村「僕が初めてプロツアーに参加したのは、15才でした。そこで英語の会話ができなくて、『もったいないな、もっと英語ができれば色々なことを聞けるのに』と思って勉強したのを覚えています。お二人も頑張ってください」

 と、津村選手から激励の言葉があった。

 中学生の頃から世界で戦い続けてきた憧れのプレイヤーの言葉を受け、二人の背筋が伸びたことは、ここに記しておこう。

■ 授業開始! 今日のテーマは「前置詞」

 さて、授業が始まった。

菅原「では、今週も助動詞について。先週は“may”(~してもよい)の使い方を見てきましたが、今週もプリントを進めながら、やっていきましょう」

 生徒の間に座り、ホワイトボードに例文を書きながら行われる、菅原先生による丁寧な解説。

 「あー、英語の授業ってこんな感じだったなぁ」と思いながら、生徒さんに配られたプリントを見てみると……。

 どこかで見たことあるような登場人物の名前

 ”りりあ”と”チャン”。しかも、りりあさんの台詞は「ゾンビは素晴らしいよ!」と、市販の英語教材には一切出てこなさそうな単語を使っている。……中学1年生で、”ゾンビの複数形”を書けるって、結構凄いことなのでは?

 さらに、プリントの下に「単語テスト」が出題されており、「ワニ、ラクダ、カバ」といった少しマニアックな生き物の名前が。……そう、我々にはおなじみのクリーチャータイプである。となれば、答え合わせは……。

 カードファイルを開いて行うわけだ

 驚くのはまだ早い。ひとしきりの説明が終わると、先生がホワイトボードを片付けながら、

菅原「そろそろ、先週の復習を始めましょう」

 と一言。

 そして、席を移動する3人。「何が始まるんだ?」と思いながら眺めていると、先生が取り出したのは教科書でも参考書でもなく、3つのデッキだった。

 「あれ? 授業もう終わり? 復習は?」と思っていたのも束の間、

菅原「では、魔王戦を始めます

 ま、魔王戦!?

 筆者と津村選手が驚いていると、先生が我々にルールを説明してくれた。

菅原「これは、先週習った英単語を覚えていないと絶対に勝てない魔王戦なんです」

 は、はぁ。絶対に勝てない、ですか。……え、そのデッキってもしかして?

菅原授業に合わせて、私が毎回作っています

 「最初の動きが重要なので、こちらの初手は選びますけどね」と続けつつ、ゲームが始まった。

 今回使用するデッキを眺める生徒さん。初めて見るカードも複数あるようだ。もちろん、カードはすべて英語版である。「このカードなに?」「これって、出して良いの?」「ひとまず土地を置くね」と1枚1枚のテキストを確認しながら進めていく。

 この魔王戦の攻略法について、先生に解説していただこう。

菅原「今回の魔王戦のテーマは、先週の授業で勉強した“may”の使い方です」

龍王オジュタイ永遠の見守り

菅原「魔王側は、《龍王オジュタイ》《永遠の見守り》という鉄壁の構えなので、これをどうにかして処理しなければいけません。そこで鍵となるのが、《ベラドンナの行商人》の『結魂(Soulbond)』です」

――「これと《狩りの先駆け》を組み合わせて、除去するわけですね」

ベラドンナの行商人狩りの先駆け

菅原「そうですね。『結魂』の英文は、以下のとおりです」

Soulbond (You may pair this creature with another unpaired creature when either enters the battlefield. They remain paired for as long as you control both of them.)

菅原「この長文を理解する必要があります。生徒たちは、初めて見る能力ですからね。そして、”may(~してもよい)”を読めるかどうかが重要でして、”~しなければならない”とは意味が大きく違います。先ほども『あ、必ずしなければいけないわけじゃないんだ』と分かったところから、動きがスムーズになっていました」

津村選手が見守る中、見事に勝利!

――「そして、クリーチャーの能力を組み合わせることを考えられるかどうか、ということですね」

菅原「そういうことです。最初は気付いてもらえるかドキドキしましたけどね」

 デッキを片付けながら、先生は嬉しそうに続ける。

菅原「こうやって考えることに慣れて発想が豊かになると、勉強も面白くなるんですよ。いやー、気付いてくれて良かった!」

■ 『勉強を嫌いにならないこと』が重要

――「さて、生徒さんも帰られましたが、様々なものを用意して、授業を進めていらっしゃるんですね」

菅原「小学生、中学生の場合、『勉強の中身を分かるかどうか』と同じくらい、『勉強を嫌いにならないこと』が重要です。たしかに塾は勉強する場所ではありますが、自宅と学校でも勉強している生徒が通う理由としては、弱いと思うんですよね。なので、『ここに来ると、楽しい』『塾に行けば、新しいことを知ることができる』と思ってもらうことが大事だと思っています。そのために、色々なことを試しているんですよ」

魔王戦中、3人とも笑顔だったことが、何よりも印象的

――「なるほど。とにかく終始楽しそうでしたね。マジックに携わる人間として、本当に色々と勉強になりました。これから学生さんたちは夏休みをむかえるわけですが、さらに忙しくなりそうですね」

菅原「そうですね。夏期講習でも様々なことをやるつもりです。生徒に考えてもらう以上、私も考えねばなりませんからね。デッキも、たくさん作ることになりそうです。なので、晴れる屋さんから10,000枚のカードを寄贈いただいたのは本当にありがたかったです。どうしてもカードが足りなくなってしまいますし、私が作るデッキには、少し変わったカードが必要だったりしますからね」

■ 子供たちに夢を与えたい

――「ではお時間も迫っているので、最後に先生の夢、そして目標を教えてください」

菅原「私自身、この仕事に就けたのは、マジックが好きだったからこそです。ここまで来たことで、ある意味では夢を叶えているのかもしれません。なので、ここからはマジックに恩返しをしたい。そして、“子供たちに夢を与えたい”んです。『考えることは楽しいんだ。考えると、色々な夢を見て、それを叶えられるんだ』と」

 そして、菅原先生は授業中に子供たちに向けていた、あの明るく、真剣な表情で続けた。

菅原「子供のために、子供に携われる仕事をし続けたいですね。ユース アンバサダー プログラムが始まって、マジックにも新しい流れが起きていますが、その協力もしていければ良いな、と。マジックには様々な付き合い方があると思いますが、私の場合は、塾という形で、マジックに恩返しをしたいと思っています。それが、夢ですね」


 取材を終えて、帰路につく。

 「こんな塾に通っていたら、自分の人生も変わったのかなぁ。少なくとも、英語はもっと好きになってたかもしれないな。海外のプレイヤーにもっとインタビューをして……いや、もしかしたら違った仕事に就いていたかも?」

 と生徒たちを少し羨ましく思いながら、”もしもの未来”を描いていると、先生の一言が脳裏に浮かんだ。

 「マジックには様々な付き合い方がある」

 筆者の”付き合い方”は、こうやって「マジックを愛する人」に取材をし、世界に届けることだ。

 願わくば、この記事によって、菅原先生の夢が一際大きくなって叶うように。

 そして、新たな夢の仲間(ドリームメイト)が増えるように。

学習塾 ドリームメイト

住所:神奈川県川崎市中原区下小田中2-10-26 第5中原ビル 302

電話番号:044-982-1508

公式ページ:http://dreammate.web.fc2.com/index.html

Twitter:@StudyDreammate

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