プロツアー『破滅の刻』フォトエッセイ

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 プロツアー最終日。トップ8に入賞を果たしたプレイヤーによる試合が、静かに進行していく。生放送でその様子を見守っている人も多いことだろう。

 とは言え、生放送で映されるのはフィーチャーエリアのみ。会場の様子はほとんど伝わらないはずだ。

 ここでは、会場の様子をお届けしていこう。

日本のプレイヤーたち

 こちらは日本のプレイヤーが集まっているテーブル。どうやら、ドラフト中のようだ。

 プロツアーでの実戦を経て、彼らのドラフトのレベルも上がっていることだろう。本戦とは違って雑談を交えながらではあるが、「これの方が強そう」「さっき攻撃しておくべきだったんじゃない?」と互いのドラフト感を磨きながら、時に笑顔で、時に真剣な表情で、ゲームが進んでいく。

 プロツアー最終日の会場でドラフトを楽しむ、というのは世界共通の過ごし方だ。

 会場では、海外プレイヤーもドラフトをしながらトップ8の戦いを見守っている。少し見に行ってみよう。

豪華なメンバーでドラフト中

 いきなり凄いテーブルに遭遇。ガブリエル・ナシフ、ベン・スターク、ベン・ルービン。そして、このプロツアーで殿堂入りを果たしたジョシュ・アター=レイトンの姿も。

 しばらく眺めていると、ベン・スタークに「参加するかい?」と声を掛けられてしまった。「次の機会に……」と答えて、次の卓へ向かおう。

 こちらはペトル・ソフーレクが参加しているドラフト。シャハール・シェンハー、ジョエル・ラーション、オーウェン・ターテンワルド、リード・デューク……見学しているのはウィリアム・ジェンセン。トッププレイヤーのオンパレードだ。

 ゲームの合間に簡単ではあるが、ペトルにインタビューをしてみた。

--「お疲れ様。錚々たるメンバーでドラフトをしているね」

ペトル「そうだね。トップレベルのプレイヤーとドラフトをすることが、一番良い練習なんだ。アメリカのプレイヤーとドラフトできる機会は限られているからね。ちょうどデッキの組み方でオーウェンにアドバイスを貰ったところだよ。まだまだ練習が必要だね」

--「さらに強くなるわけだね。そうだ、一つ聞いておきたいことがあるんだ。君は若くしてトップレベルに上り詰め、世界最高峰の舞台で戦いを繰り広げているよね。君のように強くなりたい、と思うプレイヤーにアドバイスを貰える?」

ペトル「難しい質問だね。僕が心がけているのは、練習と思考を止めないこと、それから、自信は持つけど、慢心しないこと、だね。世界には強いプレイヤーがたくさんいるから、彼らとたくさん対戦して、色々な意見に耳を傾けることも重要かな」

--「なるほど、ありがとう。明日、日本を発つんだよね。また会えるのを楽しみにしているよ」

 若きスタープレイヤーであるペトルは、笑顔で私と握手を交わすと、日本語でこう言ってくれた。

ペトル「またね、和樹!」

 その言葉と、握手の感触、そしてドラフトに戻ってから見せた真剣な表情が、京都の思い出として刻まれた。

おまけ -未来のプロプレイヤーが見学中?-

 さて、ペトルのドラフトを眺めていたときのことである。

 未来のプロプレイヤーが、じっとドラフトの様子を眺めていた。

 ペトルが「やぁ、何してるの?」と声をかけると、少年は少し恥ずかしそうに、「プロプレイヤーを見ているんだ」と続けた。ジョエル・ラーションが「誰のファンなんだい?」と問えば、少年は「うーん……マーティン・ミュラーかな」と一言。

 この少年! Harerura Prosの名前を挙げるとは! と内心喜びながら聞いていると、世界最強の男、オーウェン・ターテンワルドが会話に参加した。

オーウェン「そうか! 俺は、ジョン・フィンケルのファンだぜ!」

 卓が笑い声で包まれた。「フィンケルも好きだよ。サイン貰ったんだ」と少年がサインを見せると、シャハールやリードが頷き、それぞれが尊敬するプレイヤーの名前を挙げていく。

 プロプレイヤーが持つ魅力の1つは、対戦時の真剣な表情と、普段の笑顔だ。さて、次に見られるのは、いつになるのだろう。

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