87名が参加した第9期フロンティア神挑戦者決定戦。
『マジック基本セット2015』以降に発売したセットのカードが使えるこのフォーマットは、新セットが発売するたびに大きな影響を受けるため、まだまだ決まりきった定石のようなものは存在しない。
ただそんな中でも、いくつか環境を定義するカードは存在している。標準的な除去、標準的なクリーチャー。そして、標準的な火力。
《稲妻の一撃》は、スタンダードでは使用できず、かといって《稲妻》のあるモダンでは存在意義が問われてしまう、まさしくフロンティアを象徴するカードだ。
このカードが存在するからこそ、フロンティアはスタンダード以上に「ライフを詰める」ことがコンセプトとして強力になる。トップ8進出者のうち5名が《稲妻の一撃》を4枚採用しているという事実からも、フロンティア環境における《稲妻の一撃》がいかに強力かがわかるというものだろう。
そして、準々決勝にてこれから相まみえる三上と土屋の2人も、デッキタイプこそ違えど、《稲妻の一撃》をそれぞれ4枚搭載していた。
ジェスカイアグロを駆る三上は6月のフロンティア神トライアルで優勝して2Byeを獲得した経験もある強豪。スタンダードでは使用できない《反射魔道士》がデッキの選択理由になっている。
一方、スタンダードでも大暴れしているラムナプ・レッドを使用する土屋も、晴れる屋のフロンティア大会に精力的に参加しており、フォーマット発足当初から《僧院の速槍》と《稲妻の一撃》のセットを使い込んでいる。
2つの《稲妻の一撃》デッキの激突。上回るのは、三上か土屋か。
Game 1
先手の土屋が《僧院の速槍》→《僧院の速槍》+《乱撃斬》本体という猛攻で一瞬にして三上のライフを7点削る。三上も後手2ターン目の《削剥》で応えるが、さらに土屋は《ドラゴンの餌》で攻め手を緩めない。
返す三上の《カマキリの乗り手》も《削剥》で排除して攻撃すると、4ターン目にして三上のライフは早くも残り6点。
三上も《スレイベンの検査官》をブロッカーに立てつつ、「怒涛」なしでプレイされた《ゴブリンの奇襲隊》を《呪文捕らえ》し、さらに2体目の《カマキリの乗り手》を走らせるのだが、返すターンに土屋に《集団的抵抗》を本体3点のモードで打ち込まれると、もはや三上のライフは風前の灯。
やがて三上がフェッチ含みの3マナを立てているところに土屋が《僧院の速槍》を立て続けに2体送り出し、たまらず三上がフェッチを切ろうとしたところで、その隙を見逃さなかった土屋がすかさずスタックで《かき立てる炎》を「召集」でプレイ。手札をきっちり使い切りつつ、三上のライフを削りきった。
三上 0-1 土屋
Game 2
三上の《スレイベンの検査官》に対して土屋が《乱撃斬》を当てる立ち上がり。さらに2ターン目に《僧院の速槍》2体が走るが、これに対して三上は1体を戦闘中に《削剥》で、もう1体をメインの《焦熱の衝動》でマナ効率良く処理し、ライフを安全圏に保ちつつ、《密輸人の回転翼機》を設置する。
土屋も《密輸人の回転翼機》を《削剥》してクロックを定着させない構えを見せるが、続く《カマキリの乗り手》に対する解答がなく、《ドラゴンの餌》をプレイするのみ。これを見た三上は2体目の《カマキリの乗り手》をプレイし、早急にゲームを決着させにいく。
それでも返す土屋は《熱烈の神ハゾレト》プレイから《かき立てる炎》を「召集」、2体の《カマキリの乗り手》のうちの1体を落とし、手札を使い果たしながらもどうにかダメージレースで三上に動きに食らいつこうとする。
しかし返す三上がプレイしたのは土屋を絶望させるに足る《アラシンの僧侶》。スタンダード当時から対赤単の切り札として頻繁に使用されていたカードが、フロンティア環境でも牙を剥く。
さらに手がかり・トークンでドローした三上が《魂火の大導師》を送り出すと、《カマキリの乗り手》が止まらない土屋はカードを片付けるほかなかった。
三上 1-1 土屋
Game 3
先手は再び土屋。2ゲーム目と同様に三上の初動の《スレイベンの検査官》しつつ、2ターン目、3ターン目と《ドラゴンの餌》をプレイして横並べで攻めたてようとする。
だがそこに突き刺さる三上の《光輝の炎》!カード2枚分のクロックを一瞬にして失った土屋は追加のクロックを展開できず、《集団的抵抗》を本体に打ち込むしかない。
《無謀な奇襲隊》は瞬速でプレイした《呪文捕らえ》で普通にブロックし、さらに《領事の権限》を設置して、「ラムナプ・レッド」の強みである「速攻による奇襲」を封じることに成功する。
ようやく《熱烈の神ハゾレト》を送り出した土屋だが、タップインで攻撃できない上に《反射魔道士》で返される。
やがて三上が墓地の6枚のカードを横向きにする仕草を見せると、それは言うまでもなく「探査」の合図だ。
《宝船の巡航》から《カマキリの乗り手》が《反射魔道士》とともに痛烈な一撃を加え、土屋のライフは残りわずか。さらに三上はゲームを決着させるべく、戦闘後に1枚のカードを公開する。土屋のライフを削りきるに足る火力を。
それはもちろん、《稲妻の一撃》なのだった。
三上 2-1 土屋
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする