多様なデッキタイプが存在するフロンティア環境の中でも、唯一無二の爆発力を持つカードが存在する。
《アーティファクトの魂込め》。『マジック基本セット2015』に《ダークスティールの城塞》とともに収録されているこのカードは、《羽ばたき飛行機械》と合わせて最速2ターン目に5/5飛行が走ってくるという恐ろしいポテンシャルを有している。
《アーティファクトの魂込め》自体は4枚しか搭載できないためピーキーさは否めないものの、《密輸人の回転翼機》が使える環境ということもあり、これらを搭載した魂込めビートダウンは、フロンティアの有力なアグロデッキとしてフォーマットの発足当初から常に活躍し続けている。また、つい2週間前にはBIG MAGIC秋葉原店で開催されたNINTENDO SWITCH杯で優勝したばかりだ。
そんな魂込めビートダウンを駆るのが、人気の動画企画HareruyaCOMBATの”中の人”としても活躍している石神。普段はプロプレイヤーたちの戦う姿を撮影しているが、今日は撮られる側にまわり、”神”への挑戦権獲得を目指す。
対するは深川。《アーティファクトの魂込め》の爆発力にこそ及ばないものの、クリーチャーを横に並べたときの最大打点が驚異的な《アタルカの命令》を主軸に据えたこちらもフロンティア環境のアグロデッキの最右翼、アタルカ・レッドを相棒にトップ8まで勝ち上がってきた。
ともに3~4ターン目の打点の上昇具合を強みとするデッキだけあって、先手後手の差が大きそうなマッチアップである。スイスラウンド1位通過で先手が確定している石神の猛攻を、深川はしのぎ切れるか。
Game 1
後手ながら《僧院の速槍》から《鐘突きのズルゴ》と展開で先んじた深川に対し、石神はマリガンをものともしない、《密輸人の回転翼機》→《飛行機械技師》という動きでダメージレースを先行する。
さらに《ドラゴンの餌》で力を溜める深川を尻目に、石神は2体目の《密輸人の回転翼機》をプレイ、《飛行機械技師》のおかげで2体の「機体」が速攻でアタック。ドローを掘り進めつつ、深川のライフを10点まで削る。
そしてこのとき、石神の手札には既に《爆片破》と《稲妻の一撃》が揃っていた。つまり次のターン、2体の《密輸人の回転翼機》のうち1体でも攻撃が通れば、その時点で即勝利となるプランだ。
飛行クリーチャーが入っていないアタルカ・レッドでは、この運命はどうやっても覆せない……そう思われた。
だが次のターン、満を持しての《密輸人の回転翼機》の2体アタックに対し、深川は《アタルカの命令》の「到達」で迎え撃つ好プレイ! 2体の《密輸人の回転翼機》をブロックで打ち取り、ライフを1点も削らせない。石神はやむなく一方殺となる《密輸人の回転翼機》を《爆片破》の種として生け贄に捧げ、あらかじめ深川のライフを5まで削っておくしかできない。
さらに返すターン、深川は生き残ったクリーチャー陣によるフルアタックから2枚目の《アタルカの命令》、「本体3点+『+1/+1』 」。果敢持ちのクリーチャー含む4体の強化で13点のライフがぴったりライフが削りきられてしまう石神は、虎の子の《稲妻の一撃》を攻撃クリーチャーのうちの1体に当てざるをえない。なんとか生き残ったはいいものの石神の手札の呪文は尽きており、”あと1枚”が必要な状況だ。
ターンが返ってきた石神は、ゆっくりとライブラリーの一番の上のカードを引き寄せ……
突如として5/5へと変貌した飛行機械・トークンで、レッドゾーンを侵略した。
深川 0-1 石神
Game 2
《僧院の速槍》、《損魂魔道士》、《損魂魔道士》と展開する深川に対し、石神は2枚の《マグマのしぶき》で《損魂魔道士》1体を除いてこれを処理。横並べを許さない。
さらに石神は《羽ばたき飛行機械》に《幽霊火の刃》を装備し、1点 対 2点のダメージレースを開始する。
一方、深川は土地を引きすぎてしまっているのか、それとも確実に勝てる状況が来るまで耐え忍ぶ構えなのか、この放置すればいずれは負けるダメージレースを甘んじて受け入れ、自らのライフを少しずつ減らしていく。
だが、深川のライフは度重なるフェッチランドの起動で擦り減っており、石神の射程圏に入るのに、それほど多くのターンを必要とはしなかった。
やがて石神が2/4の《羽ばたき飛行機械》に《アーティファクトの魂込め》をエンチャントすると、これにも応手がなかった深川は、戦闘後の《爆片破》でそのライフを花と散らせたのだった。
深川 0-2 石神
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