2つのお気に入り -『イクサラン』は、このデッキから始めよう-

Marc Tobiasch

Translated by Takuma Kusuzawa

原文はこちら
(掲載日 2017/09/22)

今日は、僕が『イクサラン』で気になっているカードたちと、彼らのスタンダードでの居場所の話をしようと思う。

多くの人が派手なカードに引き寄せられ、結果的にそこら中で恐竜を見ることにはなると思うけど、僕はもっと”無害”なカードの方に興味がある。《選択》と、《アズカンタの探索》だ。

《選択》

選択

《選択》は『インベイジョン』からの再録で、占術というキーワードが登場したおかげでテキスト欄がスッキリとした。ここで重要なのは、《選択》は、過去DCIが動かざるを得ないほどフォーマットを支配してしまったカードの一部と同じようなカードであるということだ。似たようなカードに注目すると、過去には《渦まく知識》(ヴィンテージで制限)、《思案》(ヴィンテージで制限、モダンで禁止)、《定業》(モダンで禁止)などがあった。

渦まく知識思案定業

《栄光をもたらすもの》や、今後《レギサウルスの頭目》をプレイされることがあれば投了するかもしれないが、《選択》をプレイされて投了する人はいないだろう。しかし、1マナという軽いコストで、これから引くカードを選べるようにすることで、勝ち筋に到達しやすくしてくれる。先ほどあげた有名な兄たちが3枚以上のカードを見ることができたのに対して、《選択》は2枚しか見れないため、比較すれば弱くなっている。この調整で、モダンでよく見られる《手練》に近い能力になっているね。

手練

対価と結果のそれぞれについて詳しく見てみよう。”対価”は、インスタントで唱えるために青マナを残すことで、その間盤面に触れないということ。勝ち筋が1マナ,2マナと順当に唱えていくものであれば、カーブを捻じ曲げてしまうこの対価は非常に高いものとなる。しかし、マジックの仕組み上、土地と呪文を完璧なカーブで毎ゲームプレイするのはありえないというところが、《選択》の活躍するチャンスとなるわけだ。

コストを最小化することで、3ターン目に2枚めの2マナ呪文を唱えたり、2ターン目にそもそも2マナ呪文を持っていないようなときでも、マナを余らせずに引きたいカードを少しだけ引きやすい。《選択》はインスタントなので、受け身なデッキでより対価を抑えることができる。

検閲

例えば2マナ呪文として《検閲》を構えているとき、相手が呪文を唱えなければ使わなかったマナで《選択》を唱えて、無駄を減らすことができるわけだ。

“結果”に関してはもっと直感的だ。一番上のカードを見て欲しければそれを引き、いらなければ次のカードを引く。結果的に手持ちのカードを整えつつ、占術1を無償でできることになる。無償の占術がゲームに与える影響を評価するのは難しいため、どれほどの対価が妥当であるかを決めるのも困難だ。占術の結果、カードを上に置くのは実質何もしていないのと変わらないけど、下に置いて2枚目のカードが勝つのに必要なカードであれば、占術の結果勝てたとも言える。

啓蒙の神殿解消

最近登場した『テーロス』の神殿サイクルや《解消》などによれば、占術のコストが十分に低ければ、長期的に見れば選択肢が純粋に増え、間違いなく価値があるということは分かっているよね。

僕の結論としては、青マナの出るカードが十分に(14枚以上、できれば16枚以上)入っていて、勝ち筋が重すぎず、かつ受動的なものであれば、占術の効果に対してコストが十分に安い、と考えているよ。

《アズカンタの探索》《水没遺跡、アズカンタ》

アズカンタの探索水没遺跡、アズカンタ

注目しているもう1枚、《アズカンタの探索》はかなり評価が難しい。 まず、《水没遺跡、アズカンタ》を含めれば実質2枚のカードだ。そして、良い比較対象もない。新しいカードを評価するのに一番簡単なのは、すでに強さを知っているカードと比較することだけど、両面カードはそもそも珍しく、作りが大体複雑になっているので、この比較がほぼ不可能だ。最近だと、《ヴリンの神童、ジェイス》が評価されるまでに時間がかかったよね。

ヴリンの神童、ジェイス束縛なきテレパス、ジェイス

今のうちに、できるかぎりこのカードを掘り下げておこう。可能性の一つとして、手間のかかる《不屈の自然》だと考えることもできる。また、占術しつつカードを墓地にも落とすことのできるエンチャントと見ることで、後々のため、恒久的に少しずつアドバンテージを得られるだろうと期待することもできる。他にも長いゲームでのアドバンテージ源としても見れるだろうね。

単体ではどれも良いひらめきを与えてはくれないけど、君のデッキがこの3つともを求めていれば、何かが起きるかもしれない。

「あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそれをあなたの墓地に置いてもよい。」

これはほとんど占術1と同じだ。もし墓地で何かできることがあれば、占術1より少しだけ良くなる。対価が十分に小さければ妥当だというのは、さっきもう話したよね。今回の対価は、ソーサリーで{1}{青}を支払いつつ、手札も1枚減るということ。見返りとして、毎ターン占術できるわけだ。これだけなら対価は高すぎるわけだけど、もう少しテキストが書いてあるね。

「その後、あなたの墓地にカードが7枚以上あるなら、あなたは《アズカンタの探索》を変身させてもよい」

どれだけ遅くてもいらないカードを7枚墓地に置いたならば変身する。とは言っても、それでは明らかに遅い。だけど呪文を唱えれば速くなっていくわけだ。《水没遺跡、アズカンタ》は、状況が許せば手札をたくさん増やせる起動型能力のついた土地だ。

僕としては《水没遺跡、アズカンタ》は強すぎて、印刷されていいカードではないと思っている。なので、変身させるために頑張る価値はあると思うよ。土地から手札アドバンテージを得られるのは、《占術の岩床》《Library of Alexandria》以来の夢だ。ただアドバンテージを得るためには、上から4枚の中にクリーチャーでない呪文がないといけない。解決のあとに墓地へ行くインスタントとソーサリーは《アズカンタの探索》を素早くひっくり返すのに都合がよく、ぴったり望みにかなっているね。

占術の岩床Library of Alexandria

デッキがインスタント、ソーサリーと土地でほぼ構成されているとすれば、各ターンの墓地に落ちるカードの枚数は1.5枚くらいになるだろう。《アズカンタの探索》を2ターン目に唱えつつ、それ以外も毎ターン呪文を唱えることで、5ターン目に変身させることができる計算だ。ただ、2ターン目は《アズカンタの探索》を唱えるため、1ターン目に呪文を唱えつつ、3ターン目か4ターン目に2回呪文を唱えてもなお、どちらのターンとも墓地にカードを落とさないといけない。

ただもし5ターン目に変身させることができたなら、《奔流の機械巨人》を1ターン早く唱えることができる。都合がいいことに、機械巨人もたくさんのインスタントと青マナが入っているデッキで使いたいカードだ。

反面悪いところとして、《アズカンタの探索》《水没遺跡、アズカンタ》のどちらも「伝説」であるということに着目しないといけない。それぞれを1枚ずつ置くことはできるけど、デッキに4枚投入するのは荒っぽすぎるように思える。2枚目をプレイすれば片方を墓地に置くので変身の条件に合うけれど、エンチャントも土地も基本的には壊れにくいからね。2枚であれば、死に札を持つことはほぼなくなり、適切な枚数になると思っている。伝説であるカードを2枚プレイできる状態というのは、実際のところかなりよく回っているときだと思うからね。

全部まとめて引いてしまう

どちらのカードもお互いの相性が良く、同じタイプのデッキに合うカードだ。Nationalsで似たようなデッキを使たけど、このようなデッキは将来的にも望みがある。このデッキがローテーションで失ったカードの中で特に大事なのは、たくさん土地を入れつつマナフラッドのリスクを下げられる《さまよう噴気孔》だ。しかし、《選択》《アズカンタの探索》は土地の数を減らしてくれるので、完璧と言える。新しくなったスタンダードでは、こんなデッキで始めようと思うよ。

選択奔流の機械巨人スカラベの神蓄霊稲妻

マルク・トビアシュ「グリクシスコントロール」

7 《島》
4 《山》
2 《泥濘の峡谷》
1 《異臭の池》
2 《進化する未開地》
4 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》

-土地 (24)-

1 《スカラベの神》
4 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー (5)-
4 《選択》
1 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
4 《検閲》
3 《本質の散乱》
2 《削剥》
3 《至高の意志》
2 《不許可》
4 《天才の片鱗》
1 《破滅の刻》
1 《徙家+忘妻》
2 《アズカンタの探索》

-呪文 (31)-
hareruya


ここまで読んでくれてありがとう。

Marc

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