Translated by Atsushi Ito
(掲載日 2017/10/12)
グランプリ・静岡2017秋は日本における2017年最後のグランプリで、フォーマットは『イクサラン』発売週に行われるチームシールドになります。
チームメイトについて
グランプリ・シドニー2017で齋藤 友晴・Lee Shi Tianの2人と組んで悪くない成績が残せたこともあり、私としては再び同じチームで組みたかったのですが、齋藤さんが主催者なのでグランプリに出場できないということでした。
なのでLee Shi Tianと3人目のプレイヤーを探した結果、Kelvin Chewが加わってくれることになりました。チームメイトたちは昨シーズンどちらもプラチナ・レベルであり、しかもKelvin Chewはこの一週間後には世界選手権でトップ4に入賞することになります。こんなに強いプレイヤーたちとチームが組めるなんて、とても誇らしい限りです。
練習について
プレリリース週
私は晴れる屋トーナメントセンターで3回プレリリーストーナメントに参加しました。
うち1回は個人戦で、白青の飛行デッキを組んで3-0することができました。
8 《島》 8 《平地》 -土地 (16)- 1 《セイレーンの嵐鎮め》 1 《司教の兵士》 1 《見習い形成師》 1 《風雲艦隊の空中要員》 1 《難破船あさり》 1 《猛竜の相棒》 1 《日の出の使者》 1 《縄張り持ちの槌頭》 1 《キンジャーリの陽光翼》 1 《風雲艦隊のスパイ》 1 《帝国のエアロサウルス》 1 《聳えるアルティサウルス》 1 《源流の歩哨》 1 《プテロドンの騎士》 1 《輝くエアロサウルス》 1 《風を跨ぐ者》 1 《大気の精霊》 -クリーチャー (17)- |
1 《吸血鬼の士気》 1 《幻惑の旋律》 1 《取り消し》 1 《欲望の深み》 1 《軍団の上陸》 1 《崇高な阻止》 1 《海賊のカットラス》 -呪文 (7)- |
さて、『イクサラン』のカードについて、この3回戦から私が学んだこととは?
まず、《セイレーンの嵐鎮め》は素晴らしいカードでした。殴れる上に「強襲」の種にもなりますし、自分の大事なクリーチャーを除去から守ることもできます。
また《軍団の上陸》は単なる良いカードというだけでなく、リミテッドにおける爆弾カードと呼ぶにふさわしい強さでした。
《聳えるアルティサウルス》と《源流の歩哨》は『イクサラン』リミテッドにおいては非常に硬くて厄介なブロッカーとなります。自分が飛行クリーチャーを主軸にしたデッキを使っているなら、これらの2枚はまるで除去カードと似たような役割を果たすことでしょう。
それから2回のチームプレリリースについてです。
1回目は齋藤 友晴と行弘 賢がチームメイトで、私は青赤のアグロデッキを使用しました。
9 《山》 7 《島》 -土地 (16)- 2 《セイレーンの嵐鎮め》 3 《ティロナーリの騎士》 1 《風雲艦隊の空中要員》 1 《深海艦隊の扇動者》 1 《巣荒らし》 2 《身勝手な粗暴者》 2 《セイレーンの見張り番》 1 《結束した角冠》 1 《猛竜の群れ》 1 《無法の物あさり》 1 《風雲艦隊の紅蓮術士》 1 《突進するモンストロサウルス》 -クリーチャー (17)- |
1 《稲妻の一撃》 1 《危険な航海》 1 《確実な一撃》 1 《反復連射》 1 《見張りによる消散》 1 《座礁》 1 《決別の砲撃》 -呪文 (7)- |
『イクサラン』のチームシールドはこれが初めての経験でしたが、組み方にそう選択肢がないことはすぐ理解しました。使う種族を限定するカードによって色の組み合わせが強制されてしまうのです。
私はこの青赤で1ゲームも落とさず3-0しましたが、3回とも重たい緑のデッキが相手でした。青赤というアーキタイプは素晴らしく、序盤からプレッシャーをかけることもできますし、ゲームを終わらせるだけの強烈な打点を与えることもできて、おまけにカウンター呪文も打てます。私たちのチームの残り2つのデッキは吸血鬼デッキと白緑の恐竜デッキでしたが、恐竜デッキは0-3してしまいました。
2回目のチームプレリリースは齋藤 友晴と逢坂 有祐と出場して、私は白黒吸血鬼デッキを使用しました。
9 《沼》 7 《平地》 -土地 (16)- 2 《這い回る心止虫》 2 《司教の兵士》 1 《アダントの先兵》 1 《軍団の飛び刃》 3 《流血の空渡り》 1 《駆り立てる僧侶》 1 《薄暮の賛美者》 1 《血潮隊の司教》 1 《選定された助祭》 1 《不死の古き者》 -クリーチャー (14)- |
2 《吸血鬼の士気》 1 《卑怯な行為》 1 《軍団の裁き》 1 《女王の任命》 1 《弱者成敗》 1 《饗宴への召集》 1 《輝く報復》 1 《軍団の上陸》 1 《小綺麗なスクーナー船》 -呪文 (10)- |
今回は私が吸血鬼を使っていましたが、またしても白緑恐竜は良い仕事をせず、1-2止まりでした。
グランプリへの準備としてはこれらのプレリリースに加えて、数回のMagic Onlineでのドラフトやチームシールドの構築練習、またチームメイトとのディスカッションもしました。その結果、この環境のカードやアーキタイプについていくつも重要な指針を得ることができました。
カードを種族で分けた次にどのような選択肢があるかについては、以下のように分けられます。
– 海賊 青赤/青黒/赤黒
– 吸血鬼 白黒
– 恐竜 赤緑/白緑/白赤
– マーフォーク 青緑
青白と黒緑はチームシールドではほとんど組むことができません。なぜなら、この組み合わせだと種族のカードを分け合うこととなってしまうからです。
宝物・トークンを生成するカードが十分にあるなら、3色目をタッチすることも許容できます。たとえば《秘宝探究者、ヴラスカ》を引いたなら、黒い海賊デッキにタッチで投入するのが最良の方法でしょう。
こうした準備から、緑の重い恐竜デッキは弱いので簡単に蹴散らされてしまうということがわかりました。これはこの環境のチームシールドにおいて明確に避けるべき最初の罠と言えるでしょう。恐竜をうまく使いたいなら重たいランプデッキではなくマナカーブの整ったアグロデッキにするべきです。Lee Shi Tianはドラフトにおいて白赤恐竜で9-0していたので、このアーキタイプの専門家でした。
また、良い青緑マーフォークを組むことができるだけのカードがプールに存在していたなら、大抵は白赤恐竜を組むことができるとわかりました。その場合、3つ目のデッキは大体白黒吸血鬼になります。
ほかにもたくさんの重要なことを学びました。最も大事なのは、吸血鬼デッキが各マッチアップにおいてどのようにプレイするべきかということです。
vs 吸血鬼ミラーマッチ……この対戦ではゲームを早期に決着させることはほとんど不可能です。絆魂持ちのクリーチャーと除去があるので、互いに消耗して長期戦にもつれ込みます。つまり先攻を選択する理由が全くないということです。
また、カードアドバンテージがとれるカードは可能な限りデッキに入れるべきです。ほか、《女王の任命》や《饗宴への召集》のおかげでデッキ内のクリーチャーの枚数は少なめになるので、特に後手番の場合は《強迫》がとても強力なカードに変貌します。《巧射艦隊の拷問者》も後手では良い選択肢となるでしょう。
vs 青緑マーフォーク……このアーキタイプは《風と共に》と《翡翠の守護者》を組み合わせてきます。絆魂持ちのクリーチャーでダメージレースをするのが最も勝利に近いでしょう。なので《吸血鬼の印》は強力なカードとなります。たとえ相手がバウンススペルを持っているかもしれないとしても、最後の最後までエンチャントを我慢すればいいだけの話です。
vs ナヤ恐竜……この対戦では吸血鬼がアグロ側にまわります。サイド後は相手の巨大な恐竜に対処するため、《軍団の裁き》や《深海艦隊の殺し屋》といったカードをサイドインしましょう。
vs グリクシス海賊……この対戦はとても複雑で、的確なサイドボードを行うためにも、対戦相手のデッキの見たカードをメモして分析するようにしましょう。たとえばもし《指名手配の獄道者》と《海賊のカットラス》を見たなら《軍団の裁き》をサイドインすることも考えられます。反対にもし遅い黒系のデッキと思ったなら、吸血鬼ミラーマッチと同様にカードアドバンテージが取れるカードに寄せるべきでしょう。
グランプリ初日
初日のデッキ構築についての記事がこちら (リンク先は英語) にあがっています。
9 《沼》 7 《平地》 -土地 (16)- 1 《薄暮まといの空渡り》 1 《敵意ある征服者》 2 《司教の兵士》 1 《帆凧の掠め盗り》 1 《軍団の飛び刃》 1 《指名手配の獄道者》 1 《流血の空渡り》 1 《日の出の使者》 2 《深海艦隊の殺し屋》 2 《血潮隊の聖騎士》 1 《薄暮の賛美者》 1 《選定された助祭》 -クリーチャー (15)- |
2 《卑怯な行為》 2 《板歩きの刑》 1 《女王の任命》 1 《弱者成敗》 1 《依頼殺人》 1 《イクサランの束縛》 1 《海賊のカットラス》 -呪文 (9)- |
スイスラウンドで印象的だった3つの出来事
3) 第1回戦……私は最悪のスタートを切ってしまいました。勝利することができたにもかかわらず、ひどい選択をしてそのゲームを落とし、そのせいでマッチも敗北してしまったのです。幸運にもチームメイトたちがどちらも勝ってくれて、マッチ自体は勝利しました。
彼らは決して私を責めたりはせず、まるで昔からのチームメイトのように、ミスのことは忘れて次からの対戦に集中するよう言ってくれました。おかげで私は気分を入れ替えることができ、二度とそんなミスをしでかさないためにも、やる気と集中力を倍増させることができました。これ以後はうまくプレイでき、トーナメント全体を通しても1マッチしか負けなかったので、ありがたい限りです。
2) 第4回戦……チームの勝敗は1勝1敗で、マッチのかかった私の対戦は1ゲーム目を落とした状態、しかも試合時間は残り15分しかありませんでした。私は5マナ域と長期戦向きのカードをすべてサイドアウトしました。ライフメモはLee Shi Tianが代わりに書いてくれたので、盤面と手札のカードに集中することができました。おかげで、追加5ターン目に3ゲーム目を勝利することができました。
1) 第9回戦……チームの勝敗は1勝1敗で、Lee Shi Tianは5ターン目になっても土地が3枚しか引けず、相手のクリーチャーの群れに押されていました。ようやく4枚目の土地を引いたので、私たちはどうやったら生き延びられるか、たった2体のクリーチャーをアタックに向かわせるべきかどうかを検討し、相手のアタックに対するブロックのシミュレーションまでやった上で、ようやくターンを返しました。
はたして、対戦相手はこちらの2体のブロッカーのうちの1体を除去し、《風と共に》を自分のクリーチャーに付けてフルアタックしてきました……私たちのブラフが功を奏したのです。Lee Shi Tianは《残骸の漂着》をプレイし、数ターン後にそのゲームを勝利しました。初日の成績は8勝1敗、スタンディング3位という好成績で終えることができました。
グランプリ2日目
8 《平地》 8 《沼》 -土地 (16)- 1 《立ち枯れの守り手》 2 《軍団の飛び刃》 2 《凶兆艦隊の貯め込み屋》 1 《司教の兵士》 2 《巧射艦隊の拷問者》 1 《無情な無頼漢》 1 《日の出の使者》 1 《血潮隊の聖騎士》 1 《聖域探究者》 2 《再誕の司教》 1 《選定された助祭》 -クリーチャー (15)- |
1 《吸血鬼の士気》 1 《鉤爪の切りつけ》 1 《高くつく略奪》 1 《饗宴への召集》 1 《依頼殺人》 1 《軍団の上陸》 1 《イクサランの束縛》 1 《崇高な阻止》 1 《探査の短剣》 -呪文 (9)- |
レアはたくさん入っていますが、明らかに初日のレアなしデッキよりも弱かったです。というのも、除去と軽いマナ域のクリーチャーの質が落ちているからです。《再誕の司教》は過大評価されているカードで、《太陽のタイタン》からは程遠いスペックです。5マナも払って3/4、しかも戦場に出たときには何も誘発しないのです。つまり能力を誘発させるためには攻撃しなければなりませんが、除去やコンバットトリックをたくさん持っていないとそんなことは不可能です。
トップ4ドラフトまで含めても間違いなくこのグランプリ中で回した一番弱いデッキで、どうにか2勝1敗2分という成績で終えました。
トップ4ドラフト
準決勝
9 《島》 6 《平地》 1 《氷河の城砦》 -土地 (17)- 2 《セイレーンの嵐鎮め》 3 《見習い形成師》 2 《風雲艦隊の空中要員》 1 《猛竜の相棒》 2 《セイレーンの見張り番》 2 《水罠織り》 1 《風雲艦隊のスパイ》 1 《駆り立てる僧侶》 1 《源流の歩哨》 1 《嵐を変容する者》 1 《血潮隊の聖騎士》 1 《風を跨ぐ者》 -クリーチャー (18)- |
1 《鉤爪の切りつけ》 1 《潜水》 1 《見張りによる消散》 1 《座礁》 1 《川の叱責》 1 《崇高な阻止》 -呪文 (6)- |
1パック目初手で《川の叱責》を引き当てました。アグレッシブなデッキで使うなら爆弾カード間違いなしです。Magic Onlineでのドラフトと1回目のプレリリースシールドの経験から、白青をドラフトすることにしました。流れは非常に良く、6人の中で最強のデッキをドラフトすることができました。Lee Shi Tianがカットをたくさんしており、対戦相手のデッキをぐちゃぐちゃにしていたというのが大きかったです。その上で彼はたった10分で自分のマッチに勝利していました。あとは私がただこの素晴らしいデッキで容易く2-0するだけでした。
決勝
9 《山》 6 《森》 1 《根縛りの岩山》 -土地 (16)- 2 《ティロナーリの騎士》 2 《巣荒らし》 1 《イクサーリの守り手》 1 《オテペクの猟匠》 1 《マーフォークの枝渡り》 1 《ティシャーナの道探し》 1 《稲妻砲手》 1 《激情の猛竜》 1 《身勝手な粗暴者》 1 《貪る死肉あさり》 1 《皇帝の先兵》 1 《猛竜の群れ》 1 《蠱惑的な船員》 1 《金色の歩哨》 1 《怒り狂う長剣歯》 1 《風雲艦隊の紅蓮術士》 1 《太陽冠のハンター》 -クリーチャー (19)- |
1 《両手撃ち》 1 《恐竜との融和》 1 《確実な一撃》 1 《稲妻の一撃》 1 《塁壁壊し》 -呪文 (5)- |
ピック中はティムールカラーの3色のうちどの2色をメインにするか決めかねていました。青緑マーフォーク、赤緑恐竜、青赤海賊の3択です。2パック目の終盤になってようやく青をやらないことに決めました。私の対戦相手は青緑マーフォークをやろうとしていたようでしたが、私がたくさんのカードをカットしていたので残念なデッキに仕上がっており、私は2-0でマッチを勝利しました……ですが残念ながら今回はチームメイト2人が負けてしまい、マッチは敗北となりました。
けれど、もちろん私も彼らを責めようとは思いません。彼らはこの週末の間中とても素晴らしいパフォーマンスを見せ、私たちはともに悔いる点のない最高の時間を過ごすことができたからです。優勝できなかったことはモチベーションへの良い刺激にこそなれ、ストレスに感じる部分はありませんでした。
最後に、ここ3回のチーム戦グランプリの戦績を載せておきます。
グランプリ・ロッテルダム2016……Raphael Levyと齋藤 友晴 3位
グランプリ・シドニー2017……齋藤 友晴とLee Shi Tian 8位
グランプリ・静岡2017秋……Lee Shi TianとKelvin Chew 準優勝
2017年はあと2か月足らずですが、リヨンとマドリードの2つのチームGPに参加予定です。これくらいの好成績が残せると良いですね。
Awsome week end and amazing team ! pic.twitter.com/P9BAxjyANN
— jeremy dezani (@JDezani) 2017年10月1日
読んでくれてありがとう。
ジェレミー・デザーニ
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