プロツアーへの権利と航空券をかけた、4半期に1度の地域予選の季節が再び巡ってきた。
フォーマットは『イクサラン』発売以降、日本では大きな大会がなかったモダン。本戦であるプロツアー『イクサランの相克』もモダンで開催となることもあり、モダンを主戦場とするプレイヤーにとっては格好の晴れ舞台と言えるだろう。今回は日本でのもう1か所の開催場所が福岡だったせいか、ここトーナメントセンターバトロコ高田馬場にはいつもよりかなり多い人数、143名ものプレイヤーが集まることとなった。
そしてそれは同時に、プロツアーへの継続的な出場を目標とするブロンズレベルやシルバーレベルのプロプレイヤーにとっては予選がより過酷になったことを意味している。
2016 MAGIC ONLINE CHAMPIONSHIPでトップ4に入賞して以降、Magic Onlineに打ち込んでプロツアーの権利獲得を悲願としてきたHareruya Hopesの浦瀬 亮佑にとっても、Magic Onlineでの地域予選出場という選択肢もあった中でリアルのRPTQ出場を選択していただけに、前回までから1.5倍ほどに膨れ上がったこの人数はいささか計算違いだったかもしれない。
一方、浦瀬の対戦相手となる伊藤 大明はスタンダードで2度のグランプリトップ8経験を持つ強豪。昨シーズン最後のプロツアー『破滅の刻』では賞金圏内に入賞し、ブロンズレベルを達成している。
浦瀬のデッキはMagic Online上で使い込んでいるアブザンカラーの《献身のドルイド》+《療治の侍臣》コンボこと「カウンターカンパニー」。対する伊藤はグランプリ・神戸2017で優勝したJoe Sohが使用していた「白黒エルドラージ」だ。
Game 1
後手の伊藤がマリガン。浦瀬の《貴族の教主》スタートに対し《コジレックの審問》で手札を見ると、《薄暮見の徴募兵》《療治の侍臣》に土地3枚と密度の薄い内容。しかも《薄暮見の徴募兵》が落とされる。
だが返しで浦瀬が引き込んだのは《献身のドルイド》。そして返す伊藤は《変わり谷》セットのみでアクションがなく、《療治の侍臣》が着地して3ターン目にして浦瀬の場に無限マナコンボが完成する。さらにフィニッシャーを求めて《地平線の梢》でドローした浦瀬だが、引き込んだのは《台所の嫌がらせ屋》でひとまず伊藤にターンを返す。
ここで白マナが事故っていた伊藤は《コイロスの洞窟》を引き込み、《未練ある魂》をプレイ、だが浦瀬は引き込んだ《漁る軟泥》で「フラッシュバック」を許さない。
伊藤も《現実を砕くもの》を走らせて何とか浦瀬のドローを少なくしようとするのだが、エンド前のフェッチ起動からの返す浦瀬のドローは、無限マナを無限ダメージへと変換する《歩行バリスタ》だった。
浦瀬 1-0 伊藤
Game 2
再び伊藤がマリガン。《コジレックの審問》で《極楽鳥》《歩行バリスタ》《療治の侍臣》《薄暮見の徴募兵》《召喚の調べ》に土地が2枚という濃い内容から今回も《薄暮見の徴募兵》をディスカードさせると、さらに《極楽鳥》の返しで《墓掘りの檻》を設置。浦瀬の手札の《召喚の調べ》と、将来的な《集合した中隊》を封じる。
ならばと浦瀬も《療治の侍臣》→《歩行バリスタ》「X=2」から《ガヴォニーの居住区》を起動して盤面で押し切ろうとするが、伊藤は《難題の予見者》で浦瀬の手札の2枚の《召喚の調べ》のうちの1枚を追放してから、続くターンには《不毛の地の絞殺者》で《歩行バリスタ》を除去。《変わり谷》と合わせて6点アタックで浦瀬のライフを11まで落とす。
さらに続くターンは+1/+1カウンターが1個ずつ乗った《極楽鳥》と《療治の侍臣》に加えて《ガヴォニーの居住区》が構えられているところに、《現実を砕くもの》をプレイして単体アタック。1マナ立っているため浦瀬はダブルブロックせずに残り6点とし、エンド前に《ガヴォニーの居住区》を起動して盤面を作る。
返す浦瀬は《薄暮見の徴募兵》と、「頑強」は《墓掘りの檻》で封じられている ものの《台所の嫌がらせ屋》を並べ、ようやく一息つけるかといったところ。
が、返す伊藤は《集団的蛮行》を引き込み、「-2/-2と2点ドレイン」のモードで《薄暮見の徴募兵》を排除して《変わり谷》《難題の予見者》《現実を砕くもの》の3体でフルアタック。浦瀬は2/3の《極楽鳥》を失うことを嫌い、《現実を砕くもの》はチャンプブロックでしのぐが、《現実を砕くもの》が残った状態でライフは2点。
返す浦瀬は《永遠の証人》から《台所の嫌がらせ屋》を回収&即プレイして受けを作るのだが、伊藤がドローした《不毛の地の絞殺者》を公開したのを確認すると、潔くカードを片付けた。
浦瀬 1-1 伊藤
Game 3
先手浦瀬の《貴族の教主》に対し、後手伊藤はみたび《コジレックの審問》。《台所の嫌がらせ屋》《療治の侍臣》《召喚の調べ》に加えて土地には《ガヴォニーの居住区》もあり、かなり良い手札内容、ここから《台所の嫌がらせ屋》を落とす。
が、浦瀬は《永遠の証人》を引き込むと捨てさせられたばかりの《台所の嫌がらせ屋》を回収。伊藤はなおも《潮の虚ろの漕ぎ手》で《台所の嫌がらせ屋》を追放するが、浦瀬は《神無き祭殿》をアンタップインし、X=2の《召喚の調べ》を構えた状態でターンを返す。
このままターンを返してしまうと無限マナコンボが成立してしまう伊藤は2体目の《潮の虚ろの漕ぎ手》をプレイ。だが浦瀬はこれをスルー、手札には2枚目の《召喚の調べ》が!やむなく《療治の侍臣》を抜き、さらに《墓掘りの檻》を設置しようとするが、スタックで《召喚の調べ》「X=2」から《クァーサルの群れ魔道士》が先に着地してしまい、コンボの脅威を排除することができない。
さらに浦瀬は、伊藤が《大祖始の遺産》2枚を設置してターンを返したところでエンド前に《墓掘りの檻》を《クァーサルの群れ魔道士》で破壊してから《召喚の調べ》「X=2」で《献身のドルイド》をサーチ。無限マナコンボの受けを作りつつ、《ガヴォニーの居住区》の起動用のマナを確保する。
伊藤も《ゲトの裏切り者、カリタス》を送り出すが、除去が引けておらずプレッシャーが低い。しかも返す浦瀬が引き込んだのは《流刑への道》!《療治の侍臣》を追放していた《潮の虚ろの漕ぎ手》を排除し、無限マナコンボを成立させる。
浦瀬の場には《ガヴォニーの居住区》が2枚あり、無限マナの助けを得てほぼ自在に起動できるようになっている。伊藤のクリーチャー陣では突破できそうもない状況となってしまう。
ほどなくして《召喚の調べ》を引き込んだ浦瀬が《薄暮見の徴募兵》をサーチし、ついでにライブラリーに眠る《歩行バリスタ》を公開すると、伊藤はカードを畳むしかなかった。
浦瀬 2-1 伊藤
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする