By Kazuya Hirabayashi “神待遇”を巡る戦い、神決定戦もいよいよ第2回を数えることとなった。 勝つことだけで顕現出来た初回とは変わり、今回は勝ち抜いた上、”現スタンダード神”木原 惇希に勝たねばならぬ。 今回のフォーマットはスタンダード。 もうすぐタルキール覇王譚が出ようという最中、ワールドマジックカップ予選のレギュレーションということもありまだまだ熱い環境だ。 一位抜け、7連勝からIDIDで抜けてきた肥後野は往年のプロツアープレイヤー。 ここしばらく使い込んできた赤単系デッキ、特に《ゴブリンの熟練扇動者》の活躍著しいラブルレッドを相棒に勝ち上がってきた。 一方の笹生はベスト8唯一の2敗からの生き残り。 その使用デッキはラブルレッドとは対照的な重厚な布陣が魅力的なナヤミッドレンジ。 はたしてどちらが挑戦者への足掛かりとしての一戦を勝ち上がるか。 Game 1 笹生は《奔放の神殿》から《豊潤の神殿》へと繋ぎ、《聖なる鋳造所》タップインと力を溜めるスタート。 おそらく手札は複数のプレインズウォーカーが眠っているであろうことが予想される。 だが後手スタートの肥後野の動きが尋常では無い。 第1ターンに《鋳造所通りの住人》を呼ぶと、続くターンには《炎樹族の使者》、《火拳の打撃者》と並べ、 笹生ライフ20→17 続く第3ターンには《ラクドスの哄笑者》《火飲みのサテュロス》と一気呵成の構え。 笹生ライフ17→10 笹生は「キープ間違えたかなぁ・・・」と言いながら《寺院の庭》アンタップインから《紅蓮の達人チャンドラ》。 笹生ライフ10→8 プラス能力で《火飲みのサテュロス》を除去するのだが、肥後野の第4ターンはプレイ《ゴブリンの熟練扇動者》。 肥後野の場は、 《鋳造所通りの住人》 《炎樹族の使者》 《火拳の打撃者》 《ラクドスの哄笑者》 ここに追加されるは《ゴブリンの熟練扇動者》のトークン。 笹生ライフ8→-2 後手4ターン目、開始3分の秒殺劇。 肥後野 尚記 笹生 0-1 肥後野 「JACK代表だから頑張らないとなぁ」 と呟く笹生。 普段マジックを嗜むショップとプレイヤーは切っても切れない関係、○○代表、そういった思いを胸にするプレイヤーも多い。 対する肥後野はかつての友人、これまたプロツアー経験もある湯浅 謙太郎が営む八王子のカードショップ、マスターズスクエアでお世話になることも多いという。 勝って贔屓のショップの宣伝、それもまた乙なものだ。 それには後3戦、勝つより無い。 Game 2 笹生が《踏み鳴らされる地》から《エルフの神秘家》、テイクマリガンの肥後野が《マグマのしぶき》で応じるスタート。 《豊潤の神殿》2枚を立て続けのセットランド、《ニクス毛の雄羊》から《歓楽者ゼナゴス》でのサテュロストークン生成と守りを固める。 赤単の基本通り攻め続ける肥後野は、第2ターン《鋳造所通りの住人》《ラクドスの哄笑者》、第3ターン《ゴブリンの熟練扇動者》を呼ぶと続けての2枚目。 《歓楽者ゼナゴス》に構わず、《ゴブリンの熟練扇動者》の犠牲にも厭わず全てを笹生本体へと叩き込む。 ここまでの攻防で笹生のライフを何とか10まで落ち込むも、笹生は第5ターン《テューンの大天使》。 攻める肥後野の前にそびえ立つ。 再び肥後野は全力で攻撃すると、ブロックに回った《テューンの大天使》へ《灼熱の血》。 この凶悪な天使を何とか処分するのだが、絆魂からの誘発能力で笹生の場が堅固になってしまった。 だが肥後野のラブルレッド、そのサイドボードには救世主が。 《ボロスの反攻者》。 この猛牛を笹生は効果的に止めることが出来ない。 肥後野が《ボロスの反攻者》で攻撃すると、笹生が+1/+1カウンターの乗った《ニクス毛の雄羊》でブロックするとダメージをプレイヤーに。 《ニクス毛の雄羊》のライフ回復を相殺しつつのさらには2体目。 笹生はライフが6と残り少なく、効果的なブロックを行うことが出来ない。 先制攻撃でトークンを失うか、ブロックして《ボロスの反攻者》に撃ち返されるかの苦渋の選択を。 ここで《ニクス毛の雄羊》2体目を引き込み、何とか一息つけたかと思えばブロック後に《灼熱の血》。 これは自身の《マグマのしぶき》でかわすも、《ボロスの反攻者》に対して根本的な対処が出来ていない。 続く攻撃はサテュロストークンでチャンプブロックするしかなく、《ボロスの反攻者》にダメージを跳ね返されてしまえば残るライフは1。 肥後野の《紅蓮の達人チャンドラ》が笹生に止めを刺した。 笹生 裕介 笹生 0-2 肥後野 マッチが終わった後、「《不動のアジャニ》さえ引ければなぁ」と漏らす笹生。 今日のMVPだったと語る《不動のアジャニ》、行き場のないサテュロストークンを抱えていた局面下、プラス能力で絆魂を使えたならゲームの局面は大きく変わっただろう。 「実際《テューンの大天使》もきつかったしね」と肥後野も語る。 結局はブロック後の《灼熱の血》で処理はされてしまったが、これが生き残っていたなら別のゲームになっていたかもしれない。 まだまだ感想戦に華を咲かせる二人。 真剣にマジックと相対し、その一方でゲームを楽しむ心を忘れない。 その繰り返しこそが研鑽を積むということだ。 この二人はまだまだ強くなる。 準々決勝一組目、肥後野 尚記が準決勝に進出!