By Hiroshi Okubo
The Last Sun 2017の第5ラウンドを全勝で迎え、テキストフィーチャー席へと呼ばれたのは“スタンダードに自信ニキ”、宇都宮 巧(埼玉)と“レガシーに自信ニキ”、川居 裕介(東京)の全勝対決だ。
さて、The Last Sun 2017はスタンダードとレガシーの混合フォーマットで行われる。この第5ラウンドはちょうどフォーマットがスタンダードとレガシーが切り替わるタイミングであり、これまでスタンダード4回戦で見事に全勝を収めてきた宇都宮の表情が曇る。
宇都宮「こんなの“レガシーに自信ニキ”有利でしょw」
ここに来て第8期レガシー神挑戦者決定戦の覇者である川居との対戦。さすがに気が削がれるというのも分かるものだが……
宇都宮「まぁ、勉強させてもらいますw」
当たり運に嘆いても意味はない、戦いの中から学べるものを学び取っていこう。叩き上げの強豪、宇都宮はレガシーの申し子・川居に貪欲なチャレンジャーとして挑む。
Game 1
互いにマリガンした6枚の手札から、先攻の川居が《先触れ》、後攻の宇都宮が《思案》と手札を整える滑り出し。第2ターンに宇都宮が《嵐追いの魔道士》をプレイすると、川居は《渦まく知識》で対応策を練りながらこれの解決を許す。
宇都宮はさらに《ギタクシア派の調査》で川居の手札を覗き見て、その中に《剣を鍬に》があることを確認する。どうやら《嵐追いの魔道士》も長くは持たなそうだ、と確認したところで果敢によってサイズが上がった《嵐追いの魔道士》による2点クロックで川居に迫る。
返す川居は涼しい顔を浮かべながら《終末》を「奇跡」でプレイ。宇都宮の《嵐追いの魔道士》を処理し、放たれた二の矢、《僧院の速槍》も《仕組まれた爆薬》で処理。宇都宮がいよいよ沈黙し始めると、まだ手札に《剣を鍬に》を残したまま不気味にドローゴーを繰り返す。
やがて宇都宮が《秘密を掘り下げる者》をプレイすると、川居はそこを仕掛け時と見極めたようだった。《瞬唱の魔道士》で《思案》を「フラッシュバック」しつつ、《僧院の導師》を叩きつける!
宇都宮の《意志の力》もによる抵抗も空しく川居も《意志の力》で応じて《僧院の導師》を通し、《秘密を掘り下げる者》には《剣を鍬に》で退場させ、いよいよ川居が勝利に向けて動き始める。
手札に合ったすべてのクリーチャーを処理されてしまった宇都宮はプランB……すなわち、手札に溜まっていた火力を解き放ち、トップ勝負を挑む。クリーチャーによるダメージが通らないならば、直接本体を叩くしかない。幸いにもこれまでのゲームの中で火力が手札に吸い付いていたため、隙を見ながら2枚の《稲妻の連鎖》と《稲妻》を川居に投げつけ、そのライフを4まで削ることに成功する。
無論、その間にも《僧院の導師》による強烈な猛打の雨が降り注いでいる。やがて迎えた宇都宮にとってのラストターンに乾坤一擲の《火炎破》を川居へ投げつける。
川居はこれに対して《剣を鍬に》を自身のモンクトークンに打ち込んで首の皮一枚を繋げるが、宇都宮はさらにもう1枚の《稲妻》を隠し持っていた――!
……が、川居にその雷光が届くことはなく。代わりに届いたのは《狼狽の嵐》による完全防御と、川居の先勝だった。
宇都宮 0-1 川居
Game 2
先攻の宇都宮が《僧院の速槍》で攻め始める。川居はこれに対して「こっわw」と意味深なコメントを残しつつ、《思案》で手札を整えるのみで続く宇都宮の攻撃も受け流す。その後、川居は後攻第2ターンに《終末》を「奇跡」コストで唱え、《僧院の速槍》を除去した。
さて、ここまでは予定調和と言えるだろう。続いて宇都宮がプレイしたのは《嵐追いの魔道士》。川居はこれも《水流破》で打ち消し、順調にコントロールできているかのように思われた。しかし、宇都宮が続いて戦線に送り込んだ《渋面の溶岩使い》が生き残る……。
川居の最序盤の「こっわw」の意味とはつまり、宇都宮の青赤果敢ビートを捌ききるには心細い枚数の除去しかなかったということだ。宇都宮は今だとばかりに《僧院の速槍》を戦線に追加して、川居のライフを少しずつだが着実に減らしていく。
川居のナチュラル「奇跡」《終末》には《外科的摘出》で応じ、《僧院の導師》は《稲妻》で焼く。いよいよ川居の後が詰まってくると、宇都宮が《硫黄の渦》をプレイする――。
万事休す。川居の手には《僧院の速槍》を処理するための除去もなく、《硫黄の渦》によって延命も封じられてしまったとなると、この状況を覆す手立てはなかった。
宇都宮 1-1 川居
Game 3
川居が宇都宮の《僧院の速槍》を《剣を鍬に》によって退場させ、続く《嵐追いの魔道士》も《紅蓮破》で打ち消す。出足を挫きながらも毎ターンしっかりと土地を並べ徐々にゲームを支配していく、白青奇跡の必勝パターンだ。
やがて宇都宮が沈黙し始めると、川居は《渦まく知識》→《予報》のコンボでハンドアドバンテージを稼ぎ、《瞬唱の魔道士》で《渦まく知識》を「フラッシュバック」しようと試みる。
対応して宇都宮も《外科的摘出》で川居の《渦まく知識》を追放するが、ここまでのゲームで広がったアドバンテージ差は簡単には覆せない。なんとか川居の《瞬唱の魔道士》を排除することには成功するも、追加のクロックはなく、その間に《相殺》を設置されてしまったためにデッキのカードが極端に1マナ域に偏っている宇都宮は窮地に追いやられる。
やがて身動きが取れなくなった宇都宮を介錯せんと、川居が《僧院の導師》を呼び出す。ただでさえ手も足も出ない宇都宮にとっては十分すぎる脅威の登場だ。通れ、と祈りを込めて撃ち込んだ《稲妻》も《相殺》に阻まれ、《僧院の導師》が凄まじい速さでクロックを刻む。
こうなると宇都宮に打開の術はない。お祈りで唱えた《渦まく知識》までもが《相殺》に無情に打ち消されると、もはやここまでと天を仰いだ。
宇都宮 1-2 川居