By Hiroshi Okubo
ここまで5-1の好成績で戦ってきて第7回戦のフィーチャーマッチテーブルへと足を運んだのは中野 彰教(神奈川)と高橋 太朗(埼玉)の2名である。
“根絶”の愛称でも知られる黒単フリークの中野が今日のために持ち込んだデッキは、昨晩“黒単と黒単と黒単と黒単と黒単から絞って”来たという「黒単」だそうだ。何が何やらという感じだが、おそらく彼の美学からすれば黒単にもそれだけの構築幅があり、大いに悩むに値する問題だったということだろう。納得いく75枚の黒単は彼を勝利へ導くのか、あるいは奈落の底に誘うのか?
対する高橋が持ち込んだデッキは、スゥルタイレオヴォルドをさらに重くし、コントロールに寄せたデッキである。今流行りの《トレストの使者、レオヴォルド》系デッキの一つだが、独特のカードチョイスが目を引くおもしろいデッキである。
はたしてここで勝利を掴むのはどちらになるのか? ユニークなデッキ同士の興味深いマッチアップが幕を開けた。
Game 1
目にも止まらぬ速さだった。
後攻の中野が《思考囲い》で高橋の手札にカウンターがないことを確認すると、《水蓮の花びら》、《暗黒の儀式》と続け、《納墓》で《グリセルブランド》を墓地に落として《浅すぎる墓穴》で釣り上げる。その後コンバットを挟みつつ《グリセルブランド》の起動型能力で21枚のカードを引き、《ライオンの瞳のダイアモンド》2枚と《水蓮の花びら》を設置。さらに《暗黒の儀式》でマナを伸ばして《浅すぎる墓穴》を唱え、解決前に優先権を渡さず《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動して速攻を持った《意志の大魔術師》をリアニメイト。その後は再び墓地から《ライオンの瞳のダイアモンド》、《水蓮の花びら》、《暗黒の儀式》で十分にマナを伸ばし、ストーム(いっぱい)の《苦悶の触手》でゲームが終わった。
わずか1ターンの出来事である。
中野 1-0 高橋
Game 2
先ほどは呪文を1枚もプレイできないままゲームが終わってしまった高橋だったが、今度こそはと《思案》、《思考囲い》と動き、己に課せられた時間的猶予を確認する。幸いにも中野の手札にはコンボパーツは揃っておらず、最も脅威となり得そうな《冥府の教示者》を捨てさせて一息ついた。
この手札破壊によってゲームプランを大きく崩された中野はさらなるスローダウンを余儀なくされ、第2ターンを《厳かなモノリス》をプレイするのみで終える。その隙に高橋は《トレストの使者、レオヴォルド》を戦線に送り込み、さらに《虚無の呪文爆弾》までをも設置すると、中野のリアニメイトプランを牽制する。
暫し中野がもじもじしている間に、《トレストの使者、レオヴォルド》が容赦ない3点クロックを刻み、高橋のプレイした《ヴリンの神童、ジェイス》も変身。これが《思考囲い》の疑似「フラッシュバック」を行い始めると、中野は素早くカードを畳んで第3ゲームへと向かった。
中野 1-1 高橋
Game 3
中野が先攻1ターン目に《思考囲い》で見た高橋の手札は《瞬唱の魔道士》、《ヴリンの神童、ジェイス》、《渦まく知識》と土地4枚と言うもの。この中から《瞬唱の魔道士》を捨てさせ、続くターンには《厳かなモノリス》をプレイし、虎視眈々とコンボを狙っていく。
高橋が動きを見せずにいるのを受け、中野はさらに《集団的蛮行》で手札破壊を行う。高橋はこれに応じる形で《渦まく知識》をプレイし、引き込んだ《意志の力》で手札を守ったが……。
しかし、中野はすでに“詰み”が見えていた。《厳かなモノリス》と《Lake of the Dead》によるマナ加速を受けて叩きつけられた《墓所のタイタン》が無慈悲に高橋を引き裂いていくのだった。
中野 2-1 高橋