By Yuya Hosokawa
ついにPWC Championshipのトップ8が出揃った。
長い8回戦を戦い抜いた8人から、スイスラウンドを1位で駆け抜けた【第9期ミスターPWC】中道と、神奈川の新鋭、白川の対決をお届けしよう。
まずは説明不要の第9期ミスターPWC、中道大輔。
去年は最終節にてまさかの大逆転でミスターPWCとなった中道だが、今期は満足といえるほどPWCに参加出来なかったようだ。しかし出場したPWCでは安定して好成績を残し、なんと合計で5回の優勝。ミスターPWCとしての貫禄を見せ続けた。
そして1年の総決算となるPWC Championshipでのトップ8。栄冠のためには、後3つ。【昨年は準決勝で敗れてしまった】だけに、今年こそはという想いがあるだろう。
だがそんな中道の対戦相手である白川は、ノっている。
PWCへの参加はここ2,3年だがPWCの上位入賞を経て今回の予選ラウンドの成績は6-1-1。最終ラウンドではIDを選択することが出来ず、しかもそのマッチで引き分けてしまったにも関わらず、8位で滑り込みトップ8を果たしたのだ。豪快な緑赤信心を操る白川の姿は、《ニクスの祭殿、ニクソス》のプレイマットととてもよく似合っている。
スイスラウンドで1位だった中道が「先手です」と宣言し、ギャラリーが見つめる中、準々決勝の火蓋は切って落とされた。
Game 1
基本地形だけで二色を揃えた中道だったが、このゲーム初めての呪文は、白川の《旅するサテュロス》だった。3枚目の土地として更に基本地形を置いた中道は、《軍族童の突発》をキャストする。
そして白川が次に戦場に出した《クルフィックスの狩猟者》にも構わず、《ゴブリンの熟練扇動者》をプレイ。扇動されたゴブリンたちが白川に襲い掛かる。
トークンにはトークンを、と次なる白川の一手は《歓楽者ゼナゴス》。これで《ゴブリンの熟練扇動者》自身は少なくともしばらくはレッドゾーンに向かうことはないだろう。
地上を固めにかかる白川に、中道は今度は空中戦略を用いる。《嵐の息吹のドラゴン》を呼び出し、《歓楽者ゼナゴス》を葬った。
緑赤信心にとって、この《嵐の息吹のドラゴン》はとにかく癌だ。なにせ《火口の爪》以外で除去することが出来ないのはおろか、ブロックする手段さえ限られているのだ。そして白川の手札には、《火口の爪》はなかった。
それでも展開するクリーチャーで手札は溢れている。まずは《囁きの森の精霊》。そしてこの精霊が「予示」したカードはなんと《囁きの森の精霊》。
が、中道は臆することなく攻め続ける。2枚目の《ゴブリンの熟練扇動者》を呼び出し、殴ることが出来るクリーチャーをすべてレッドゾーンに送り込む。
これで白川のライフは残り11。中道は《魂火の大導師》をキャストしてターンを返す。
《魂火の大導師》そのものは、《ニクスの祭殿、ニクソス》による膨大なマナから《世界を喰らう者、ポルクラノス》を出して即「怪物化」することで処理したが、いかんせん《嵐の息吹のドラゴン》が止まらない白川。
止まらないなら殴るしかないと、《囁きの森の精霊》で攻撃を始めるが、中道は冷静に《ゴブリンの熟練扇動者》をチャンプブロックに向かわせる。
7枚目の、出来ればアンタップインできる土地がほしい中道は、祈るようにカードを引く。が、ドローは土地ではなく《稲妻の一撃》。仕方なく《嵐の息吹のドラゴン》のみで攻撃。これでライフは7。このままターンが返ってきたとしても勝てる。《クルフィックスの狩猟者》が、土地さえめくらなければ。
中道 大輔 |
だが《クルフィックスの狩猟者》は土地を公開した。白川は喜んでライブラリートップからセットランドを行い、残りは8。
そして慎重に計算を終えた後、《ニクスの祭殿、ニクソス》を起動した。《旅するサテュロス》の力を借りて14マナをひねり出すと、うち3マナと赤マナから《歓楽者ゼナゴス》をプレイ。更に《歓楽者ゼナゴス》から赤マナを生み出し、《大いなる狩りの巫師》を手札から2枚プレイ!更に「予示」していた《大いなる狩りの巫師》も表返すというビッグアクション。
最低限のブロッカー以外すべて攻撃に向かわせた白川。ブロックせざるを得ない中道は立たせていたブロッカーすべてをチャンプブロックに使う。この戦闘で、中道のコントロールするクリーチャーは、《嵐の息吹のドラゴン》だけとなってしまった。
だが、中道にとってはそれで十分。まずは《稲妻の一撃》をプレイヤーに。これで白川のライフは5。
ライブラリートップに触れ、裏向きのまま手元に置く。中道のめくったそのカードは――
中道を勝利に導く《平地/Plains(_BR)》だった。
白川 0-1 中道
Game 2
先手を得た白川だが、今度先に戦場に足を踏み入れたのは、中道の《道の探求者》だった。白川はこれを《火口の爪》ですぐに焼く。だが2枚目の《道の探求者》には、無視をして《世界を喰らう者、ポルクラノス》を出すことにした。
この《世界を喰らう者、ポルクラノス》を《道の探求者》と《かき立てる炎》の合わせ技で討ち取った中道は、第1ゲームよろしく、《歓楽者ゼナゴス》に《嵐の息吹のドラゴン》を向かわせる。
《嵐の息吹のドラゴン》に対しての白川のアクションは《ナイレアの信奉者》と心もとないものだったが、次のターンに《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を唱えたことで、状況は五分となった。
白川 祐一郎 |
このままでは《嵐の息吹のドラゴン》を「怪物化」したところで間に合わない中道。土地しかない手札を一瞥してカードを引く――と、それが値千金の《岩への繋ぎ止め》。4/4となった森を彼方へと追放し、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を戦場から落とす。
クロックがほしい白川は「X=3」で《起源のハイドラ》をプレイ。だが残念ながらライブラリーから戦場に出るカードはなし。
ライフが8しかない中道は7枚目の土地を置いてターンを終了する。そして白川のドローフェイズが終わったタイミングで「怪物化」を行う。
このままターンが返ってくるかと中道は思っていただろう。だが白川は《奔放の神殿》の占術を行い、攻撃を選択する。思惑があろうとなかろうとブロックせざるを得ない中道は、《ナイレアの信奉者》をブロックする。これでライフは5。そして白川は《弧状の稲妻/Arc Lightning(HOP)》を開示する。残りは2。
白川がライブラリートップに残していたのは、もう1枚の《弧状の稲妻/Arc Lightning(_BR)》。
白川 1-1 中道
Game 3
準々決勝最後のゲームを、中道は、3枚の土地に除去と《嵐の息吹のドラゴン》のみという手札とともに歩むことに決めた。
《エルフの神秘家/Elvish Mystic(C14)》を注文どおりの《乱撃斬》で除去した中道だったが、その間に引いたカードは《龍語りのサルカン》や火力など、役には立つが本当にほしいものではあらず。ついには初手に持っていた土地をすべて置き、手札からは土地が消えてしまった。
が、中道のドローはこの状況で百点満点の《凱旋の神殿》。ライブラリートップに基本地形を見つけ、喜んでそのままにした。
そして《ナイレアの信奉者》を《稲妻の一撃》で焼くと、トップに残していた山をそのまま置いて《龍語りのサルカン》を走らせる。
白川も負けじと《高木の巨人》をプレイしてみるのだが、中道の手札からは《勇敢な姿勢》。
更に《嵐の息吹のドラゴン》まで追加されてしまい、万事休す。
《岩だらけの高地》で回復した1点だけが白川に残ったが、そのライフはただ残っただけだった。
白川 1-2 中道