構築観点から見た『イクサランの相克』

Javier Dominguez

Translated by Yoshihiko Ikawa

原文はこちら
(掲載日 2018/01/12)

今日は俺の目に留まった、『イクサランの相克』のカードたちについて話していこうと思う。(※)

※編注:この記事は「2018年1月15日 禁止制限告知」発表前の1月12日に掲載されたものです。

構築フォーマットでの使用についてのみ考えていくことにするぜ。リミテッドはまったく別の生き物だしな。かなりユニークなカードがこのセットには多そうってのが嬉しいね。新しいオモチャが来たぞー!

軍団の先駆け連合の先駆け帝国の先駆け川守りの先駆け

新しいカードは十分プッシュされていて、このおかげで最終的に部族デッキをスタンダードで見ることもできそうだ。構築ではマーフォークと吸血鬼が最強の部族で、スタンダードでプレイされるだろう部族だと思う。プロツアー『イクサラン』でも吸血鬼デッキで好成績を残していたプレイヤーたちがいたよな!恐竜も、もし《破滅の刻》のようなカードが肯定されるようなメタゲームなら十分この仲間入りができそうだ。ティムール・エネルギーとラムナプ・レッドのようなデッキに対抗する術がなさそうなので、海賊はあまり良くないんじゃないかな。

では、実際にカードを見ていこう!

《光輝の勇者、ファートリ》

光輝の勇者、ファートリ

《光輝の勇者、ファートリ》はミッドレンジデッキに納まるような典型的なプレインズウォーカーではない。このカードの最も簡単な比較相手は《勝者の戦旗》で、これら2枚はゲームに同じような影響をもたらすんじゃないかと予想している。戦場にクリーチャーを多くコントロールしていればいるほど、このプレインズウォーカーの忠誠度は非常に高くなり、その効果も少なくともまともなものになる。こいつの問題点は、戦場にクリーチャーをたくさんコントロールしているなら既に良いポジションにいるし、もしクリーチャーが破壊されてしまえば《光輝の勇者、ファートリ》はもはや役立たずだってことだ。

このカードが素晴らしいカードだとは思わないが、猫やトークンをベースにした、プロツアー『イクサラン』で見たような白緑デッキが活躍するようなら、3つの能力すべてが有用になるので、きっと《光輝の勇者、ファートリ》は居場所を見つけるだろう。

《オラーズカの暴君、クメーナ》

オラーズカの暴君、クメーナ

《オラーズカの暴君、クメーナ》スタンダードのマーフォークデッキの中で重要なポジションになれるほど強力なカードだ。《墓所破り》には劣るが、それでも十分に優秀だよな。《削剥》《ショック》といった除去に対して生き残れるというのは今の赤いデッキと戦う上で重要だし、2/4というサイズは《ならず者の精製屋》《導路の召使い》に対しても素晴らしい。マーフォークデッキはアグロデッキになるだろうが、このカードは他の角度からの攻撃手段を与えてくれる。

《銀エラの達人》

銀エラの達人

《銀エラの達人》は新しいカードではないが、このカードがどれぐらい良いかは既に証明されている。マーフォークデッキにとって素晴らしい新戦力だ。このカードと《オラーズカの暴君、クメーナ》があるので、マーフォークは長期戦でも戦えるだろうと俺は予想するよ。

《原初の潮流、ネザール》

原初の潮流、ネザール

「このカードは打ち消されない」という一文から分かるように、《原初の潮流、ネザール》はスタンダードにおいてコントロールのミラーマッチに終止符を打つ1枚だ。今はコントロールデッキはあまり流行っていないが、もしティムールを倒せる十分な術を見つけたら、このクールな恐竜をサイドボードで見ることになるだろう。

こいつは一見《リバイアサン》の一種に見えるかもしれないが、恐竜なので《ウーラの寺院の探索》で戦場に出せないことは覚えておこう!

《原初の飢え、ガルタ》

原初の飢え、ガルタ

この超巨大なクリーチャー《不屈の神ロナス》《逆毛ハイドラ》と一緒に使いたいな。構築で使うには不器用すぎるが、それでも「4ターン目に12/12が着地する可能性がある」ってだけで俺には超魅力的に見えるぜ。

《時間流の航海士》

時間流の航海士

《Time Walk》効果は使われるようになることがよくあるので、いつだってしっかり見ておく価値がある。クリーチャーが生き残る必要があるせいで、俺にはこれがあまり良いカードには見えない。だが《サヒーリ・ライ》とは良いコンボなんだよな!

《血染めの太陽》

血染めの太陽

《血染めの太陽》はエターナル環境でも十分通用する強さがある。このカードはすべてのフェッチランドおよびすべての《不毛の大地》《幽霊街》といった効果を無効にしてくれる。またキャントリップが付いているので、2枚引いたらこの世の終わり、という訳ではない。

《むら気な長剣歯》

むら気な長剣歯

《むら気な長剣歯》は、土地を置くという役目を終えたあとに剣を抜いて戦闘に参加してくれる《迷える探求者、梓》のようなカードだ。序盤から終盤まで活躍してくれそうなので、俺はこのカードが好きだな。今のスタンダードには居場所はないかもしれないが、『イクサランの相克』が出たらスタンダードは変わるだろう。

《贖罪の聖騎士》

贖罪の聖騎士

《贖罪の聖騎士》はスタンダードで使われるであろうカードレベルを満たしている。一度戦場に出れば、少しの戦闘ダメージを与えて《贖罪の聖騎士》をテンポよく育ててしまうのは相手にとって不利益極まりない。《シェフェトの砂丘》やフェッチランドを使って自分で育てることもできるぞ。

《霧まといの川守り》

霧まといの川守り

《クメーナの語り部》よりは明らかに劣るが、もしマーフォークデッキに追加の1マナ域を必要としているならこの《霧まといの川守り》を見ることになるだろう。マーフォークは妨害手段が本当に乏しいので、このカードの回避能力がとても重要になる。また+1/+1カウンターを乗せればすぐに脅威となる。

《原初の災厄、ザカマ》

原初の災厄、ザカマ

《原初の災厄、ザカマ》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》ではない。だがそれでも多分ランプデッキで使える最強のクリーチャーだろう。様々な状況で使える優秀な能力3つの組み合わせのおかげで、このカードをプレイしたあとに負けることはそうそうないはずだ。もしランプデッキをスタンダードで使う際は、このカードをフィニッシャーに据えるだろうな。

《強者鏖殺》

強者鏖殺

《強者鏖殺》のようなカードは伝統的に構築ではてんでダメなカードだった。だが今回こはその考えを改めるときかもしれない。吸血鬼のような戦略を持ったデッキが《熱烈の神ハゾレト》のようなクリーチャーを対処するための解答としては優秀だ。

《凶兆艦隊の向こう見ず》

凶兆艦隊の向こう見ず

俺はこの《凶兆艦隊の向こう見ず》に書いてあるテキストが特別良いとは思っていない。《瞬唱の魔道士》が素晴らしかったのは、最高の効果を自分で選び、その効果をさらに与えてくれたからだ。それに比べると、このカードはどんな効果を得られるかを選ぶことができないので、まったく訳に立たないこともあるだろう。つまり、(1)(赤)の2/1先制攻撃をプレイアブルにするためにそこまで頑張る必要が本当にあるのか、って話だ。

《渇望の時》

渇望の時

《ボーマットの急使》はこのカードが大ッ嫌いだ。

《光輝の運命》

光輝の運命

《光輝の運命》は吸血鬼デッキをさらに良いものにしてくれそうだ。もしクリーチャーたちを価値あるものにしたいならば、《栄光の頌歌》効果は構築でも強力となる。警戒を与える効果はあまり重要じゃないように見えるかもしれないが、《永遠の見守り》が俺たちにその強さを教えてくれただろう?

《翡翠光のレインジャー》

翡翠光のレインジャー

《翡翠光のレインジャー》は素晴らしいカードだ。探検2回はどういう結果になろうともマーフォークデッキにとっては十分強力だし、絶対に見かけることになるだろうよ。このカードはマーフォークデッキ以外にも入るぐらい優れたカードだと考えているが、《ならず者の精製屋》がローテーション落ちてからになるかもな。

《マーフォークの霧縛り》

マーフォークの霧縛り

《マーフォークの霧縛り》はマーフォークデッキを作る最たる理由の一つだ。1ターン目《クメーナの語り部》からの2ターン目《マーフォークの霧縛り》はダメージレースのスタートしては超強力な動きだよな。最大の問題点は、果たして除去満載のデッキに対してこういった部族デッキが立ち向かえるのかってことだ。

《沈黙の墓石》

沈黙の墓石

スタンダードにもまともな墓地対策が使えるのは良いな。誘発型能力は対象を取っていないから、この《沈黙の墓石》では《王神の贈り物》を止められないっていう点だけは気にくわないが。これはトロンに対する《血染めの太陽》も同じことを言える。考えられるところでは、《死儀礼のシャーマン》《外科的摘出》といったカードから墓地を守るためにレガシーのドレッジがこの《沈黙の墓石》を使うかもしれない。

《不可解な終焉》

不可解な終焉

《地揺すりのケンラ》《牙長獣の仔》といったカードへのスマートな解答なので、きっとよく見かけることになるだろう。欠点はそんなに大きくは見えないが、サイドボード後にこの3/3恐竜クリーチャーでティムールが殴り勝つなんてことはありそうだ。

《空渡りの野心家》

空渡りの野心家

《サバンナ・ライオン》の最新版だ。優秀なマナレシオとクリーチャータイプを持っているので、もし吸血鬼デッキが組めるなら、きっとこのカードは4枚投入するだろう。

《貪欲なチュパカブラ》

貪欲なチュパカブラ

除去性能に何の制限もないので、構築でもよく見るようになりそうだ。《人質取り》ほど強力ではないが、対戦相手のクリーチャーをとにかく対処したい、アグロデッキと対峙する際は《人質取り》よりも優秀だ。コイツは過去最高の「チュパカブラ」だろうな。

《打ち壊すブロントドン》

打ち壊すブロントドン

《打ち壊すブロントドン》は新しい《クァーサルの群れ魔道士》だ。スタッツが優秀で、どんな相手にも腐ることがないので、《帰化》のようなカードと入れ替わる形でこのクールな恐竜を見かけることができるだろう。

《軍団の副官》

軍団の副官

《軍団の副官》は吸血鬼デッキに黒を足す理由になる。この小さな男は自分自身が殴れる分、《光輝の運命》よりも自軍を強化するのに秀でている。こいつを安定してプレイできるほど今のスタンダードに2色土地が足りているか定かではないが、《手付かずの領土》がきっと力になってくれるだろう。

《狂信的扇動者》

狂信的扇動者

《モグの狂信者》が帰ってきた!《狂信的扇動者》《ボーマットの急使》《損魂魔道士》と共に使う3種類目の1マナ域としてラムナプ・レッドでプレイされるかもしれない、優秀なカードだ。俺がこのカードが他のスタンダードの1マナ域より好きな点は、長期戦でもそんなに悪くないという点だ。いかなる状況でトップデッキしても1点を対戦相手に与えることができるからな。1点がよく勝敗を左右するデッキにはふさわしいだろう。

サンプルデッキ

さぁ、新しいカードを使ってデッキを作る時間だぜ!

俺はこんな形の白黒の吸血鬼アグロを考えている。

読んでくれてありがとな。

ハビエル・ドミンゲス

この記事内で掲載されたカード

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