By Kazuki Watanabe
プロツアー取材は、世界中のプロプレイヤーと交流することができる貴重な機会だ。昨年のプロツアー『霊気紛争』からの一年、私はその恩恵に預かり、多くのプレイヤーと会話をした。そして同時に、勝利と敗北を見つめてきた。
今大会には、Hareruya ProsとHareruya Hopesを合わせて40名が参加した。ラウンドが終わって「勝ったよ!」「負けてしまった……」と声を掛けられ、スタンディングが更新されて結果を眺めながら各プレイヤーの勝敗を追いかける度に、それぞれの勝敗が心を締め付けてくる。
この負担は想像以上のものだ。
それが決勝ラウンドとなれば、尚更である。
【ハレプロ】「プロツアー『イクサランの相克』」Top8に #HareruyaPros ハビエル・ドミンゲス選手、ルイス・サルヴァット選手 #HareruyaHopes パスカル・フィーレン選手が見事進出!合計3人の所属選手たちに明日の決勝ラウンドも熱い応援よろしくお願いいたします! #PTRIX pic.twitter.com/7gXDOM9v58
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2018年2月3日
最終日、私はフィーチャーエリアに張り付いた。そして、準々決勝でハビエル・ドミンゲスが、準決勝でパスカル・フィーレンが敗れ去る姿を目の当たりにした。
敗北が決まった瞬間の苦しさを飲み込み、本人たちに「お疲れ様」と伝える。「こんな苦しみを味わうくらいなら、プロツアーに来なければ良かった」と思う気持ちがあるのも事実である。
しかし、
目の前でプロツアーチャンピオンが誕生する瞬間を眺めてしまうと、そんな事実は何処かへと吹き飛んでいく。
■ We Are the Champions, My Friends
勝利したルイスの元に駆け寄る。すると、祝福の言葉を述べる前に、彼は私を力強く抱きしめてきた。
彼と初めて会ったのは、アルバカーキで開催されたプロツアー『イクサラン』の会場だった。そのときはゆっくりと会話をすることができなかったが、別れ際に「ビルバオで会おう!」と握手をしてくれたことを覚えている。
そして今大会では、彼と様々な話ができた。トップ8入賞を果たしたあと、プロツアー優勝への思いも聞かせてもらった。
ルイス「俺が優勝するということは、Hareruya Latinを始めとする仲間、友人と一緒に栄光を掴むことになるんだ。ここまで決して一人では来られなかったからね。だからこそ勝ちたいんだよ、友のために……ああ、もちろん君もその一人さ!」
そのときは、ある種のリップサービスのようなものだと受け止めていた。それと同時に「友人の一人になれたら、どれだけ素敵なことか」と思ったのも事実である。
だからこそ、抱きしめながら彼の呟いた言葉が、私の胸を貫いた。
「ありがとう、友よ(Thanks, my dear friend)!」
私は「君がチャンピオンだ、おめでとう」と伝えてから、勇気を振り絞って“my friend”と付け加えておいた。
【PTRIX速報】プロツアー『イクサランの相克』チャンピオンは、ランタン・コントロールを使用したルイス・サルヴァット選手!おめでとうございます! https://t.co/n5vDi92hEM #mtgjp #PTRIX pic.twitter.com/TbrUsCsgx4
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2018年2月4日
おめでとう、ルイス・サルヴァット。
さて、感動の余韻に浸りながら原稿を仕上げている内に、飛行機の時間が近づいてきた。
プロツアーという最高の時間に別れを告げて、日常へ帰らねばならない。
私は決して忘れないだろう。プロツアーチャンピオンの誕生に立ち会い、震える指でシャッターを切り、そして彼の友人となれた、今日この日を。
プロツアー『イクサランの相克』現地レポート
fin.