こんにちは!
ついに【全カードリストが公開された】『タルキール龍紀伝』。
【このセットの紹介記事内にある】、“『タルキール龍紀伝』は史上最龍の龍で満ちあふれた龍々しい龍なのです。”という一文は、希望に満ち溢れたものでした。
これほどまでに心躍る謳い文句が、他にあったでしょうか?
何を隠そう僕がマジックを始めてから最初に引き込まれたイラストも、「ドラゴン・クリーチャー」でした。
このカードは、特別に強かったわけではなく、どちらかというと弱い部類のカードでしたが、そのイラストは僕の心を掴んで離しませんでした。マジックが持つゲーム性以外の楽しみ方を、僕に教えてくれたのが<ラースのドラゴン>だったのです。おそらく、これは僕だけに限らず、多くのプレイヤーが歩んだ道ではないかと思います。
もちろん、「ドラゴン」以外にもたくさんの魅力的なカードが登場していますので、この記事で少しでもそれがお伝えできれば幸いです!
それでは、『タルキール龍紀伝』の「20選」をご覧ください。
(※順位ではなくカード番号順に並んでおります)
■ 1.アラシンの先頭に立つ者/Arashin Foremost
いよいよ「戦士」デッキが形になりそうな1枚。《戦いの喧嘩屋》か《刃の隊長》からこいつに繋げれば、3ターン目にして6点もの大ダメージ!黒には《血顎の狂信者》も登場しているので、「戦士」デッキの荒波はすぐそこに!?
余談ですはありますが、実は<ゴブリンの熟練扇動者>の種族も「戦士」だったりするので、もしかすると「白赤」の戦士デッキにもチャンスがあるかもしれません。
■ 2.オジュタイの模範/Ojutai Exemplars
スタンダードで使用されるクリーチャーの条件として、(1)単体でゲームを決めてしまえるだけの性能がある、(2)除去耐性がある、ことが重要ではないかと思います。<オジュタイの模範>は、そのふたつともを満たす優良クリーチャー。
クリーチャーでない呪文が大量に含まれたデッキでこそ真価を発揮するので、コントロールデッキで使用されることになりそうです。唯一残念なのは《対立の終結》と相性が悪いことですが、それを差し引いても十分に魅力的なカードですし、ぜひとも《予期》や《卓絶のナーセット》と組み合わせたい1枚。
■ 3.荒野の確保/Secure the Wastes
《ジェスカイの隆盛》、《鍛冶の神、パーフォロス》を筆頭に、相性の良いカードは盛りだくさん。<ドラゴンの餌>も再録されたので、【ジェスカイ・トークン】デッキは今まで以上に強力になりそうですね。《荒野の確保》から出てくる「トークン」は「戦士」クリーチャーなので、《刃の隊長》なんかとの組み合わせも秀逸です。
■ 4.絹包み/Silkwrap
《ラクシャーサの死与え》、《羊毛鬣のライオン》、《ゴブリンの熟練扇動者》まで何でもござれな除去カード。今までのスタンダード環境は軽いカードが弱く、重いカードが強いという風潮がありましたが、今セットで《究極の価格》や《焙り焼き》といった優秀な軽量除去呪文が登場したために、今後は序盤の攻防も過熱しそうです。
■ 5.死者を冒涜するもの/Profaner of the Dead
一見地味に見えますが、《ティムールの剣歯虎》とのコンボで「緑信心」系のミラーマッチを制することができる!……かも?マナクリーチャーまで戻ってしまうためにリカバリーが非常に難しいので、《召喚の調べ》用に1枚入れとくと吉!?
■ 6.岸砕きの精霊/Shorecrasher Elemental
マナコストに「青青青」を含む優良クリーチャー。この手のクリーチャーは「信心」システムを強くしすぎないためにか、最近では控えめなものが多かった印象ですが、ここにきて大型ルーキーの登場です。種族も「エレメンタル」ということで、《波使い》との相性は抜群!はたして「青単信心」の復活なるか。今セットの青いカードで1番の注目株!
■ 7.シルムガルの嘲笑/Silumgar’s Scorn
新たに登場した「手札から公開したら」or「ドラゴンをコントロールしていたら」系のカードからこの1枚。《オジュタイの語り部》や《龍王の大権》など粒ぞろいでしたが、<対抗呪文>好きなら<シルムガルの嘲笑>は見逃せません!
現環境には「タップイン・ランド」が多いので、《魔力の乱れ》効果でも十分に活躍できると思いますし、今セットは「ドラゴン」クリーチャーをフィーチャーしたセットということで、《龍王オジュタイ》、《龍王シルムガル》などなど、優秀な「ドラゴン・クリーチャー」には事欠きません。古き良き時代を彷彿とさせる、「パーミッション」スタイルのデッキの復権が期待されます。
■ 8.アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier
新キーワード能力の「濫用」。クリーチャーを1体生け贄に捧げると何かしらのボーナスを得られる能力ですが、個人的に問題視しているのは、これ以上<サテュロスの道探し>を強くしてしまって大丈夫かということ。ご存知《サテュロスの道探し》は「探査」の燃料供給役として、スタンダードでかつてないほどの活躍を見せています。今後はそこに「濫用」までも加わるということで、今まで以上に《サテュロスの道探し》が輝くゲームが増えることでしょう。
そんな「濫用」持ちのクリーチャーの中でも、凄まじい性能を誇るのが《アンデッドの大臣、シディシ》さん。最初はサーチできるのはクリーチャーだけかと思っていましたが、その効果はまさかまさかの《悪魔の意図》。これさえあれば、《エレボスの鞭》や《宮殿の包囲》、はたまた《奈落の総ざらい》などを要所要所で導くことが可能です。デッキ構築に多様性を持たしてくれるので、これまで活躍の機会の少なかったカードにもお呼びがかかるかもしれません。
■ 9.龍の大嵐/Dragon Tempest & 龍の降下/Descent of the Dragons
<龍の大嵐>+<龍の降下>+クリーチャー3体=21点!
なお、このコンボまでは思い付けるプレイヤーが比較的多いかと思われますが、オランダの殿堂顕彰者であるFrank Karstenは、【このコンボをもう1段階進化】させています。
《戦場の秘術師》にはまつがんさんもびっくり……さすがKarsten!
■ 10.稲妻の狂戦士/Lightning Berserker & 鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker
【加茂ジェット】が示すように、「疾駆」能力はスタンダードで大活躍中です。そんな「赤単アグロ」系のデッキにとって、<稲妻の狂戦士>と<鐘突きのズルゴ>は期待の新戦力。
「疾駆」能力のおかげで後半でも即座にダメージソースとして機能しますし、特に《稲妻の狂戦士》はマナさえあればパワーが上がり続けるため、ゲーム序盤から終盤まで絶え間なく活躍してくれることでしょう。歩く《火の玉》とも称されるその打撃力を、ぜひご堪能あれ!
■ 11.雷破の執政/Thunderbreak Regent
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4マナ4/4「飛行」に、おまけで除去耐性の付いた「ドラゴン・クリーチャー」。まさかこんな高性能で<ラースのドラゴン>と同じマナコストだなんて……。
このカードは【加茂ジェット】のような軽いビートダウンデッキよりも、少し重めの「赤単」や、【赤緑ビートダウン】デッキに最適です。《エルフの神秘家》→《鱗衛兵の歩哨》→《雷破の執政》→《嵐の息吹のドラゴン》と流れるように動いてみたいもんです。
《雷破の執政》と《嵐の息吹のドラゴン》の8枚体制なら《龍詞の咆哮》も使いやすそうですし、これまでとは一味違った赤系のデッキに期待です。
■ 12.集合した中隊/Collected Company
あなたが欲しいのは《タルモゴイフ》ですか?《台所の嫌がらせ屋》ですか?それとも両方ですか?
《集合した中隊》は、そんなあなたの願いを叶えてくれる新機軸のインスタント。このカードはスタンダードよりも、モダン環境での活躍が見込めます。在りし日の「《出産の殻》デッキ」よろしく、《臓物の予見者》、《シルヴォクののけ者、メリーラ》、《台所の嫌がらせ屋》の「無限ライフ」コンボも、再び日の目を浴びる日がくるかもしれません。《永遠の証人》を持ってきて再利用という動きも楽しそうですし、色々と夢の広がる1枚です。
■ 13.死霧の猛禽/Deathmist Raptor
【グワシ!】
現環境で人気沸騰中の【緑白信心】デッキにピッタリの1枚。これからは「パーマネントが1つ表向きになるたび」、《見えざるものの熟達》による「ライフ回復」のみならず、3/3「接死」クリーチャーも手に入るんです。「緑信心」系のデッキは、3マナ域に<クルフィックスの狩猟者>しか優良カードがないという悩みを抱えていましたが、<死霧の猛禽>の登場でそれも改善されるでしょう。
■ 14.棲み家の防御者/Den Protector
「大変異」の付いた《永遠の証人》。カードを回収するためには倍近いマナがかかってしまいますが、その代わりに2マナで唱えられるオプションが付いたので、序盤から戦闘に参加させることができます。
「表になったとき」に能力が誘発するということで、当然ながら《囁きの森の精霊》や《見えざるものの熟達》と相性が良いですし、「緑信心」系のデッキならば、《ティムールの剣歯虎》で使いまわすことができるので、長期戦に向けたオプションとしては悪くないと思います。
■ 15.威圧の誇示/Display of Dominance
各色に登場した「対抗色対策カード」の緑バージョン。《威圧の誇示》の最大の長所は、なんといっても<悪夢の織り手、アショク>をたった2マナで対処できる点です。「緑信心」系のようなデッキにとって、「忠誠度」が高く、それでいて放っておくと単体でゲームを決めてしまえる《悪夢の織り手、アショク》さんは本当に厄介な存在でした。でも《威圧の誇示》さえあれば一安心!地獄のような悪夢ともこれでおさらば!
仮に《悪夢の織り手、アショク》が出てこなくとも、《究極の価格》や《英雄の破滅》からクリーチャーを守れるので、無駄カードになりづらいのがいいですね。もしも今後「青黒コントロール」や「スゥルタイ・コントロール」ではなく、「青白コントロール」や「ジェスカイ・コントロール」が増加するなら考えものですが、今のメタゲームが続くようならば、《威圧の誇示》はサイドボードに居場所を見つけられるでしょう。
■ 16.龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai
「エルダー・ドラゴン」シリーズはどれも甲乙つけ難いものの、その中から《龍王オジュタイ》さんを。なぜこのカードを選んだかと言いますと、この「エルダー・ドラゴン」が1番使い方が工夫できそうだからです。
よく聞く手法としては、《太陽の神、ヘリオッド》で「警戒」を付けてしまうものですが、他にも《キオーラの追随者》や《クルフィックスの預言者》との組み合わせはいかがでしょう?
はたしてプロツアー『タルキール龍紀伝』で活躍するのは、一体どの「エルダー・ドラゴン」でしょうか。ぜひあなたの予想もお聞かせください!
■ 17.ドロモカの命令/Dromoka’s Command
クリーチャーを除去したり、火力を無効化できる優れもの。本当に色々な状況で役に立ちそうですが、スタンダード的な観点で見てみると、「エンチャントを生け贄に捧げる」効果が含まれているのが嬉しいですね。
現環境には《クルフィックスの狩猟者》、《岩への繋ぎ止め》、《見えざるものの熟達》、《前哨地の包囲》と、強力な「エンチャント」が目白押し。《再利用の賢者》や《消去》のような専用カードはメインボードに採用しづらいですが、汎用性に長けた《ドロモカの命令》なら無理なく投入することが可能です。
はたして、このカードが「緑白信心」をさらに強化してしまうのか。それとも「緑白信心」の《見えざるものの熟達》を罰する対抗手段となるのか。いずれにせよ「緑白」系のデッキの躍進は、まだまだ止まることがなさそうですね。
■ 18.卓絶のナーセット/Narset Transcendent
貪欲なまでの知識への渇望を糧に、大きな進化を遂げた《卓絶のナーセット》。みっつの能力全てが魅力的なだけでなく、高めに設定された「忠誠度」も目を引きます。特に「-2」能力は各種ドロー呪文と相性が良く、<宝船の巡航>や<時を越えた探索>を「反復」できたのならば勝利は目前。
問題はいかにしてそこまで耐え凌ぐか。《卓絶のナーセット》の唯一にして最大の欠点が、自身を守る術を持たないことなので、悠々と能力を起動するためにも、可能な限り盤面をクリアにしておきたいところ。《払拭の光》や《対立の終結》はもちろんのこと、新登場の《絹包み》も一役買ってくれることでしょう。
また、「反復」能力は当然ながら各種火力呪文とも相性が良いので、「青白」2色ではなく「ジェスカイ」カラーにして火力を連打するのもまた一興。これほどまでに高性能であれば、<前哨地の包囲>と十分に枠を争えると思われます。
■ 19.オジュタイの命令/Ojutai’s Command
絵も能力もナイスな《オジュタイの命令》。「あなたは4点のライフを得る」・「クリーチャー・呪文を打ち消す」・「カードを1枚引く」能力の中からふたつを選ぶことが多そうですが、「赤単アグロ」が蔓延している環境でライフを得られるカードは非常に頼りになります。もうひとつの「2マナ以下のクリーチャーを戦場に戻す」能力は、《道の探求者》や《魂火の大導師》が恰好のターゲットとなりそうです。
「カードを1枚引く」効果のおかげで無駄カードになりづらく、対戦相手が動いてこない状況でも気軽にキャストできるので、トーナメントシーンでよく見かけるカードになるのではないでしょうか。もちろん、前述の《卓絶のナーセット》との相性も抜群なので、「青白コントロール」デッキの復権を期待せずにはいられません!
■ 20.揺るぎないサルカン/Sarkhan Unbroken
装いを新たに戻ってきた《サルカン・ヴォル》さん。その佇まいと名前からも、これまでの苦悩とは決別できた様子が伺えます。ストーリーの行末も気になって仕方がないですが、その辺りは【若月さんにお任せ】して、カードの評価に移りましょう。
今回の《サルカン・ヴォル》は、自身が「ドラゴン」になることはないものの、その代わりに「ドラゴン」を扱う術を身に付けました。前身の《龍語りのサルカン》ほどの攻撃性はありませんが、《アブザンの魔除け》で対処されないこと、《英雄の破滅》されても「ドラゴン」トークンが残る点が評価できます。ここ最近では「ティムール」ではなく、「赤緑ビートダウン」の活躍が目立っていましたが、<揺るぎないサルカン>は十分に3色を選ぶ動機となりえるでしょう。
ビートダウンデッキ以外だと、【ティムールの隆盛/Temur Ascendancyコンボ】デッキでの活躍が見込めそうです。おそらくはサイドボード後に軸の違う勝ち手段として使うことになるでしょうが、「-2」能力と《ティムールの隆盛》と相性が良い点も好感が持てますね。
■ おまけ・『タルキール龍紀伝』注目度トップ5
1位: 卓絶のナーセット/Narset Transcendent
2位: 揺るぎないサルカン/Sarkhan Unbroken
3位: ドロモカの命令/Dromoka’s Command
4位: 稲妻の狂戦士/Lightning Berserker
5位: シルムガルの嘲笑/Silumgar’s Scorn
1位と2位はこのセットを代表する「プレインズウォーカー」たち。僕の「プレインズウォーカー」への忠誠と愛情は永遠に不滅です(笑)
3位と4位は手堅いものを選んでみましたが、5位の《シルムガルの嘲笑》は期待も込めてこの順位に。デッキに何枚の「ドラゴン・クリーチャー」があればその条件を満たせるのか未知数ですが、前述の通り常に《対抗呪文》である必要はないので、活躍の機会は思いのほか多いのではないでしょうか。
はたして、コントロールデッキの未来やいかに!?がんばれ《シルムガルの嘲笑》!がんばれ《卓絶のナーセット》!
今から3週間後には、プロツアー『タルキール龍紀伝』が開催されるので、まずはそれらのカードを使ったコントロールデッキを試してみたいと思います!
……実は今回は20選に絞りきれず、ひっそりと22枚のカードをピックアップしています。《精霊龍の安息地》も入れたかったんですが、手堅すぎるかな、ということで選外にしてみました。
この選択が吉と出るか凶と出るか……【前回に引き続き】、今回も反省会を行う予定ですので、そちらの方もお楽しみに!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。