by Jeremy Dezani
Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2018/02/24)
「プレイヤーフォーカス」へようこそ!
「プレイヤーフォーカス」は、世界に名立たるマジックプレイヤーにインタビューする企画です。日本のみなさん、そして世界中に彼らのことを広めていきたいと思っています。毎回違うプレイヤーを紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
今回インタビューするのは、リード・デューク (@ReidDuke) です。
彼はマジックの歴史において最も成功を収めたプレイヤーの1人で、過去数年に渡って数々の偉業を成し遂げてきました。ここ数年は毎年プラチナ・レベル・プロのステータスを維持していますし、年間最優秀選手争いでも常に上位に君臨しています。
インタビュー
プロフィール
氏名: リード・デューク
年齢: 28
国籍: アメリカ合衆国
スポンサー: Ultimate Guard Pro Team / Channel Fireball.comのライター
生涯プロポイント: 404
プロレベル 2017-2018: プラチナ
職業 / マジック以外の趣味
私は専業のプロプレイヤーです。余暇にはハイキングやアウトドアを楽しんでいます。
マジックを始めたのはいつ、どのセット? マジックを知ったきっかけは?
マジックを覚えたのは5歳のときでした。母が私に『第4版』のスターターを、兄のイアン・デューク/Ian Dukeに『アイスエイジ』のスターターを買ってくれたのがきっかけで、そこから兄と一緒に学んでいきました。
プロプレイヤーになるまでに、あなたに一番影響与えた有名プレイヤーは?
兄のイアンと従弟のローガン・ネトルズ/Logan Nettles (Magic OnlineではJaberwockiとして有名ですね) の2人は、私がプロツアーの権利を得るために努力をしていたときにたくさん協力してくれました。
プロツアー参戦を果たしてからは、The Pantheonのチームメイトがそれにあたります。とりわけウィリアム・ジェンセン/William Jensenとオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldに関しては、プレイヤーとしての今日の私があるのはこの2人のおかげと言えます。
これまでの実績
プロツアー・トップ8: トップ8を3回
グランプリ・トップ8: トップ8を23回、優勝6回
その他: Magic Online Championship 2011 優勝
好きな日本人選手とその理由
試合を観るのが好きだったり、応援している日本人選手はたくさんいますが、私のお気に入りは渡辺 雄也選手です。私がプロマジックを追いかけるようになってからというもの、雄也はずっと最高のプレイヤーであり続けています。私はいつも彼のように上手くプレイすることができれば、と思っています。
プロツアーに参戦するようになり、雄也とはこれまでにいくつもの素晴らしい試合を繰り広げてきましたが、彼はいつだって私よりも上手にプレイするのです (そして、たいていのゲームで私を打ち負かしてしまいます!)。
雄也は私にとってのライバルであり、自分自身がこうなりたいと思う最高のお手本です。
お気に入りのフォーマットとその理由
マジックの基本的なスキルが最も重要になるため、シールドが好きです。構築戦では、インターネットから結果を残したデッキを見つけてコピーすることができます。ドラフトでは、特定の戦略に沿って正しいカードが手に入るように願うことができます。ですが、ことシールド戦においてはその場で与えられたカードでなんとかするしかありません。したがって、総合力の高いプレイヤーのみがシールド戦で安定して勝つことができるのです。
現時点のドラフトでお気に入りのアーキタイプとその理由
『イクサランの相克』ドラフトでお気に入りのアーキタイプは黒系のコントロールデッキです。たくさんの除去呪文と、《復活》の入った形が好みです。ときには後手を選ぶこともありますね。
アグレッシブやコントロール、ミッドレンジやコンボなどでお気に入りはありますか?また、それはなぜ?
マジックをプレイするにあたって、素早く勝利するのではなく、自身を守ったり対戦相手のやりたいことを抑え込もうとする際に自分の最高のパフォーマンスが発揮できると思っています。そのため、大量の除去呪文が入ったコントロールデッキやミッドレンジデッキが好きです。
お気に入りのデッキ
スタンダード: 青黒コントロール
モダン: ジャンド
レガシー: エルフ
フォーマットを問わず、今現在、特に気に入っているデッキは何ですか?
小さな決断の全てに意味があり、かつそれら全てがとても重要なのでレガシーのエルフデッキで遊ぶのが好きです。また、ヴィンテージ環境を除けば最高のカードのひとつとされる《ガイアの揺籃の地》が使える点も大きな魅力です。
2 《ドライアドの東屋》
2 《Bayou》
4 《霧深い雨林》
4 《新緑の地下墓地》
2 《吹きさらしの荒野》
4 《ガイアの揺籃の地》
-土地 (20)- 4 《遺産のドルイド》
4 《クウィリーオン・レインジャー》
4 《ワイアウッドの共生虫》
4 《死儀礼のシャーマン》
4 《イラクサの歩哨》
1 《Fyndhorn Elves》
1 《ラノワールのエルフ》
1 《樺の知識のレインジャー》
4 《エルフの幻想家》
2 《孔蹄のビヒモス》
-クリーチャー (29)-
《血編み髪のエルフ》が解禁されたことを受け、モダンでジャンドをプレイするのも非常に楽しみにしています。
1パック目の1手目、どれをピックしますか?
私は《不可解な終焉》をピックします。
《原初の潮流、ネザール》、《怒り狂うレギサウルス》、《巧射艦隊の喧嘩屋》はとても強力なカードであるものの、特定のデッキにしか入りません。それに対し、《不可解な終焉》は白ければどんなデッキにも入る優秀な除去呪文です。
プロマジックプレイヤーになる前の職業は何でしたか?どの大会があなたの人生を変え、プロになる助けとなりましたか?
プロプレイヤーになるまでは学生でした。最初のプロツアーに招待されたときは大学生最後の1年でしたね。マジックで賞金を稼げるようになるまでは、宝石店でアルバイトをしながら可能な限り大会に参加するために遠征をしていました。
Magic Online Championshipで優勝できたことが僕の人生を変えて、プロになるきっかけとなってくれました。当時はたくさんのお金があったわけじゃなかったですし、この結果はマジックで生計を立てることが可能なんだと気付かせてくれました。
あなたは多くのプレイヤーが “世界最高のチーム” だと考えるPeach Garden Oath (PGO) の一員です。今年は以前よりも多くのチームグランプリ、そしてプロツアーが予定されていますが、それに関してどのように感じていますか?
Peach Garden Oathの一員であることはとても幸運だと感じています。私と同等、またはそれ以上に良いプレイヤーはたくさんいますが、Peach Garden Oathと同じくらい、またはそれ以上に良いチームはそうはありません。オーウェンとジェンセンは素晴らしいプレイヤーですし、私たちはチームとしてまとまっています。それに、これまで一緒に多くの大会を戦い抜いてきたという経験は大きなアドバンテージです。
2018年に多くのチームグランプリがあることを嬉しく思いますし、チームプロツアーは一世一代の好機だと捉えています。
プロツアー『イクサランの相克』で3度目となるプロツアートップ8を記録しましたが、あなたが殿堂入りするのはいつになると思いますか?それはあなたにとって重要なゴールですか?また、殿堂入りするためには4度目のトップ8が必要だと思いますか?
私はまだ殿堂顕彰者の候補になれていません (注:1) し、自分が選ばれるかどうかについて考えたこともありません。その代わりに、全ての人々の票が得られるよう最善を尽くしています。もし仮に殿堂入りできるとして、選出されたその理由がただ単に私が人気者だから、ただ長きに渡ってプレイしているからといった理由であってほしくはありません。マジックの歴史に何か足跡を残したからという理由で選出されたいのです。
そのため、殿堂候補者に名を連ねるまでの残り2年間もこれまで通り一生懸命に取り組み、最善のプレイをし、若手プレイヤーにとって良い模範となれればと思っています。
(注1: 殿堂顕彰者の候補に名を連ねるためには、初めてプロツアーに参加してから10年が経過している必要があります。※デューク選手が候補者に挙がるのは、今からおよそ1年半後の2019年の夏の見込みとなっています。)
モダンでつい最近《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されました。真にジャンドを愛するあなたにとって、このアナウンスへのリアクションはどのようなものでしたか?ジャンドはモダンにおいて支配的なデッキのひとつになりえるのでしょうか?
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されたことをとても嬉しく思います。《血編み髪のエルフ》よりも《ジェイス》の方が強力なカードなので、より多くのデッキで採用されることになるでしょう。
しかしながら、私が思うに《血編み髪のエルフ》はジャンドが最高のデッキに返り咲くために必要としていたカードそのものです。おそらくこの2枚が解禁されても、モダンは好きなデッキが使えるとてもバランスの取れたフォーマットのままでしょう。ですが私のようなプレイヤーにとって、ジャンドは再び良い選択になると思います。
あなたはMagic Onlineでも非常に有名なプレイヤーです。Magic Onlineと現実世界でプレイする上で大きな違いは何でしょう?
Magic Onlineをプレイすることは、現実世界でプレイすることと少し事情が異なります。例えば、あえて間を作ったりプログラムの繊細な所作で相手の手札を読み取ったり、逆に自分がそういった間を利用して対戦相手に間違った情報を与えたり、といった具合です。また、自分と対戦相手のそれぞれに持ち時間がある (注:2) のも大きな違いですよね。
(注2: Magic Onlineの試合では各プレイヤーに持ち時間が設けられており、時間がなくなってしまったプレイヤーはゲームの状況にかかわらずマッチに敗北してしまいます。)
グランプリでは、制限時間内にゲームを終わらせるために互いのプレイヤーが急ぐ必要があります。これは遅延行為や、ひとつの決断に時間をかけすぎることを防ぐためのルールです。Magic Onlineでもマッチ内の大部分を素早くプレイする必要はあるものの、重要な局面では好きなだけ考えることができます。もし全軍で攻撃すべきか、それとも少しブロッカーを残すべきかといった重大な決断を迫られた場合には、一呼吸おいて必要であれば3~4分考え込むことができるんです!
持ち時間を自身のアドバンテージとして活用できるように慣れることは、Magic Onlineをプレイする上でとても重要です。