「神」直前!「第2期神決定戦」見どころを徹底分析!

津村 健志



「神」

それは各フォーマットで最強のプレイヤーを決める新たなる称号。

『晴れる屋』が今年からスタートしたこの試みは、多くのプレイヤーを惹きつけ、多くの名勝負を生み出してきた。







そんな中で、栄えある第1期「神」の座を掴みとったプレイヤーは、

木原 惇希 (新潟)小堺 透雄 (神奈川)川北 史朗 (東京)の3人だった。






長き戦いの末に、たどり着いた頂き。我こそが最強だと示す証、それこそが「神」という称号だ。


だがしかし、「神シリーズ」のクライマックスはまだ終わっていない。いや、始まってすらいない。「神シリーズ」最大の見どころとは、「神」と「挑戦者」で行われる「神決定戦」に他ならない。







そう、「神」の座を維持するためには、自身が最強だと示すためには、勝ち続けるしかない。

タイトルを守るための「防衛戦」。スポーツの世界では頻繁に目にする言葉ではあるが、ことマジックの世界においては、おそらくこれが初めての試みだと思われる。

そしてこの度、見事に「挑戦者決定戦」を勝ち上がり、「神」に対する「挑戦者」として名乗りをあげたのはこの3名だ。





瀬尾 健太 (埼玉)砂田 翔吾 (神奈川)高鳥 航平 (東京)

スタンダード・モダン・レガシーと、それぞれが歩んだ道こそ違えど、胸に期する思いはただひとつ。

打倒「神」。それだけだ。


「神決定戦」の醍醐味は、なんといっても「事前に対戦相手が決まっている」こと、そして「3本先取」であることだろう。


対戦の数週間前から「対戦相手が決まっている試合」など、これまでにほとんど前例がない。

木原には「最強のエスパーコントロール」、小堺には「バーン神」、川北には「ジェイスに愛された男」というふたつ名があるように、それぞれに得意なアーキタイプがあるという事実が、「挑戦者」たちのデッキ構築やデッキ選択にどのような影響を及ぼすのだろうか。


また、「神決定戦」は一般の試合とは異なり、「3本先取」で行われる点にも注目したい。メインボード戦がわずか1回に対し、サイドボード戦は最大で4回。これが意味するところ、サイドボード後に脆いデッキは、誰しも使用を躊躇するということである。

それが最も顕著なのは、おそらくモダン環境の「親和」デッキであろう。

メインボード戦は最強と謳われるデッキの代表格だが、このデッキはサイドボード後に大きな問題を抱えている。

《石のような静寂》《古えの遺恨》《ハーキルの召還術》《忍び寄る腐食》

これらのカードが示すように、対策をしようとすればいとも簡単に、それでいて1枚でゲームを完結させるだけのカードが各色に用意されているのだ。

「サイドボード後に弱いデッキは誰も選ばない」。はたして、この予想は正しいのか。それとも裏をかいてそういった類のデッキを選択するのか。

このフォーマットを制する術を知る者は、まだ誰1人としていない。


前置きが長くなってしまったが、ここからはそんな未開のフォーマットの見どころをご覧いただこう。



■第2期スタンダード神決定戦




木原 惇季 (新潟) 対 瀬尾 健太 (埼玉)。



「最強のエスパーコントロール」「最強のジャンドプレインズウォーカーズ」という構図になったこのマッチアップ。どちらも得意とするアーキタイプを、極限まで鍛え上げた末の栄冠に見えたが、両者にとって最大の問題はスタンダード特有の「ローテーション」が訪れたことだ。

スフィンクスの啓示ラクドスの復活


彼らが作り上げた至高の「最強のエスパーコントロール」も、「最強のジャンドプレインズウォーカーズ」も、今のスタンダードには存在しない。

すでに「ローテーション」から1ヶ月少々の時間が経過しているが、はたして彼らは新たなる相棒を見つけることができたのだろうか。

他の「神決定戦」にはない「第2期スタンダード神決定戦」だけの大きなトピックとして、「相手の使うデッキが全く予想できない」点は見逃せない重要なポイントだろう。

頼りにできるものは己の腕のみ。「最強の」新デッキを作り上げるのは、「神」木原か。「挑戦者」瀬尾か。

再び輝かしいデッキを作り上げるのは、はたして。



■第2期モダン神決定戦




小堺 透雄 (神奈川) 対 砂田 翔吾 (神奈川)。



どちらもマジック歴が10年を超す大ベテランだが、そんな2人が選択したアーキタイプは、奇しくも同じ「バーン」デッキだった。

ただし、同じ「バーン」と言えど、両者の毛色は大きく異なる。どちらかと言えば、まだ「バーン」デッキが目立っていなかった頃に、その強さを世に知らしめる形となった「神」小堺に対し、「挑戦者」砂田は「バーン」デッキが大本命の最中、ミラーマッチに強い「バーン」を持ち込んで、見事に挑戦権を勝ち取った。

「バーン神」「バーン殺し」。仮に2人がそのままのデッキを持ち込めば、大量の「バーン」対策を施している砂田の有利は揺るがない。

ゴブリンの先達コーの火歩き


だがそれこそが「神決定戦」の面白さでもあり、難しさでもある。お互いが「バーン」デッキでこの舞台へと勝ち進んできたことは周知の事実。そんな中で、戦略家のこの2人がそのままのデッキ選択をするとは到底思えない。

熱き鼓動の果てに行われる「第2期モダン神決定戦」。

直球か変化球か。裏か表か。

戦いはすでに始まっている。



■第2期レガシー神決定戦




川北 史朗 (東京) 対 高鳥 航平 (東京)。



「ジェイスに愛された男」こと「神」川北。対するは「リリアナに魅入られた男」こと「挑戦者」高鳥

川北は「レガシー神」就任後も、「エターナルフェスティバル2014」を制するなど、現状に満足する様子など微塵も感じられない、貪欲な姿勢が見受けられる。当然ながら、そのデッキリストには《精神を刻む者、ジェイス》の姿があり、「ジェイスに愛された男」として、「防衛戦」に向けた準備は万端のようだ。

一方の高鳥も負けてはいない。「第2期レガシー神挑戦者決定戦」で披露した見事なカード選択プレイングは、いまだに我々の脳裏に深く刻み込まれているし、なんといっても高鳥が決勝で下した相手のデッキは、「神」川北が愛用する「青白奇跡」デッキだったのだ。特に《根絶》《殺戮遊戯》で対戦相手の勝ち手段を殲滅させた最終戦は圧巻だった。


ともにレガシー最強と噂される《精神を刻む者、ジェイス》《ヴェールのリリアナ》を好む両者だが、その効果は実に対象的だ。

精神を刻む者、ジェイスヴェールのリリアナ


片や力を与えるもの。片や力を奪うもの。

《精神を刻む者、ジェイス》が更なる栄光を授けるのか。それとも、《ヴェールのリリアナ》が「神」を王座から引きずり落とすのか。

マジック界を代表する「プレインズウォーカー」対決に括目せよ。







いよいよ戦いの火ぶたが切って落とされる「神決定戦」

注目の開催日は11月22日(土)。

なお、当日は全マッチの模様を『happymtgチャンネルページ』でお届けする予定である。

僭越ながら筆者も解説として参加予定なので、お時間のある方はぜひご覧いただきたい。





・「神決定戦」放送予定スケジュール

イベント名 放送開始時間 対戦開始時間
第2期スタンダード神決定戦13:3014:00
第2期モダン神決定戦16:3017:00
第2期レガシー神決定戦19:3020:00



冒頭でも述べたように、マジックの世界では実に珍しい「防衛戦」という形で行われる今試合。マジックの歴史に新たな1ページが加わる瞬間をお見逃しなく!

それでは、「神決定戦」の生放送でお会いしましょう!