こんにちは!
「BIGMAGIC OPENレガシー」と「エターナルフェスティバル2014」が終わり、『タルキール覇王譚』加入直後の大型イベントも佳境を迎えました。
とは言え、明日は『晴れる屋トーナメントセンター』で「第2期レガシー神挑戦者決定戦」が開催されますし、来る「グランプリ京都2015」に向けてますますの盛り上がりを見せるレガシーフォーマット!
『タルキール覇王譚』から《宝船の巡航》、《時を越えた探索》といった強力なカードが登場しましたが、直近の大会ではそれらの影響を色濃く受けたデッキが続々と結果を残しています。そんな中であえて新しいカードを使わないデッキも結果を残しているようなので、早速上位入賞者たちのデッキリストをチェックしていきましょう。
■新時代の幕開け・《宝船の巡航》
3 《Underground Sea》 2 《Tundra》 1 《Tropical Island》 1 《Scrubland》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《湿地の干潟》 3 《不毛の大地》 1 《Karakas》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(11)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 3 《思考囲い》 3 《呪文貫き》 4 《Force of Will》 3 《宝船の巡航》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 1 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(28)- |
2 《大祖始の遺産》 2 《盲信的迫害》 2 《至高の評決》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《思考囲い》 1 《狼狽の嵐》 1 《未練ある魂》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
「デス・ブレード」というデッキは、《死儀礼のシャーマン》と《石鍛冶の神秘家》のツートップを優良呪文でサポートするデッキです。かつてのスタンダードよろしく、《石鍛冶の神秘家》から《殴打頭蓋》を導く動きはレガシーでも極悪そのもので、対処できる手段は非常に限られています。
さらには《真の名の宿敵》に《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》を纏わせるといったレガシー特有の強烈なアプローチもありますし、それらをバックアップする手段も《剣を鍬に》・《思考囲い》・《Force of Will》とレガシーを象徴する凶悪な呪文が名を連ねます。
これぞレガシー!と言わんばかりの、強力カードが目白押しの「デス・ブレード」。そこに新たに加わった武器が《宝船の巡航》というわけです。
これまでにも様々な記事で取り上げられてきたように、『タルキール覇王譚』でモダンやレガシーに最も大きな影響を与えたカードは《宝船の巡航》でしょう。336名が集結した「BIGMAGIC OPENレガシー」においても、その力をまざまざと見せつけてくれました。
見事に優勝をはたした伊藤さんのデッキにも3枚搭載されていますが、各種軽量呪文・フェッチランドのおかげで自然と墓地が増えるためにキャストしやすいこと、《Force of Will》のコストにできることが、《宝船の巡航》の地位を揺るぎないものにしているのではないかと思います。
《宝船の巡航》の登場は既存のアーキタイプを強化するだけにとどまらず、次に紹介する「青赤デルバー」のような新たなアーキタイプを生み出すほどのインパクトを与えています。
■一時代を築く《秘密を掘り下げる者》
2 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 1 《樹木茂る山麓》 -土地(17)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 -クリーチャー(12)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 2 《二股の稲妻》 1 《紅蓮破》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 4 《宝船の巡航》 -呪文(31)- |
2 《渋面の溶岩使い》 2 《墓掘りの檻》 2 《紅蓮破》 2 《発展の代価》 1 《真髄の針》 1 《水流破》 1 《狼狽の嵐》 1 《無のロッド》 1 《粉々》 1 《硫黄の渦》 1 《紅蓮操作》 -サイドボード(15)- |
スタンダードとモダンで一時代を築いた《秘密を掘り下げる者》。《思案》・《渦まく知識》と、優秀かつ《秘密を掘り下げる者》を「変身」させやすい軽量呪文が多いレガシー界では、《秘密を掘り下げる者》は他のフォーマット以上の輝きを放ちます。
この手の《秘密を掘り下げる者》を利用したデッキと言えば「カナディアン・スレッショルド(青赤緑)」、「スゥルタイ・デルバー(青黒緑)」、「パトリオット(青赤白)」などが一般的でしたが、《僧院の速槍》と《宝船の巡航》が登場したことで、このデッキのような「青赤」2色のリストが増えてきました。
どちらも軽量呪文が大量に入ったデッキと相性が良く、《僧院の速槍》のパワーは悠々と3を越えますし、《宝船の巡航》も1マナや2マナで唱えられることがほとんどです。特にこのデッキの《宝船の巡航》は、このアーキタイプが成立している最大の理由と言っても差支えないほどで、中盤以降の息切れを防ぎ、圧倒的なまでの手数を実現可能としてくれます。
《秘密を掘り下げる者》、そして《宝船の巡航》は、今のレガシーを語る上で欠かせない組み合わせのひとつです。しかしながら、そんな中で《宝船の巡航》を使わない、まるで時代の流れに逆行するかのようなデッキも結果を残しています。
■時代に背くもの。今だからこその「カナディアン・スレッショルド」
3 《Volcanic Island》 3 《Tropical Island》 4 《沸騰する小湖》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《もみ消し》 4 《稲妻》 3 《呪文貫き》 1 《呪文嵌め》 1 《二股の稲妻》 1 《四肢切断》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
3 《紅蓮破》 3 《水没》 2 《墓掘りの檻》 2 《乱暴+転落》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《古えの遺恨》 1 《破壊的な享楽》 1 《硫黄の渦》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
井川さんが寄稿した【RUGデルバーを選んだ4つの理由】も大きな話題を呼んだ「カナディアン・スレッショルド」デッキ。
どうして《宝船の巡航》が採用されていないのかに関しては、先ほどの井川さんの記事に詳細が記されているので、そちらをご覧いただければと思います。
このデッキを選ぶ最大の動機としては、やはり《敏捷なマングース》が強力であるからに他なりません。対戦相手としては《秘密を掘り下げる者》と《タルモゴイフ》を対処するために、全力で除去カードを投入することになりますが、それらのカードは概ね《敏捷なマングース》に対して無力です。
僕も実際に対戦してみて分かったことですが、《敏捷なマングース》の重要性、そして井川くんの語った理由を考慮すれば、《宝船の巡航》ではなく《敏捷なマングース》を選択するのは十分にありえると思います。
《敏捷なマングース》か《宝船の巡航》か。ともに《秘密を掘り下げる者》を使用したデッキでありながらも、大きく異なる戦略を要求するこれらのカード。はたしてどちらが優れているのか。明日の「レガシー神挑戦者決定戦」でひとつの答えが出るかもしれません。
■Mr.コントロール「青白奇跡」
5 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地(23)- 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(1)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 3 《終末》 3 《時を越えた探索》 3 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
2 《石鍛冶の神秘家》 2 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《青霊破》 1 《狼狽の嵐》 1 《白鳥の歌》 1 《摩耗+損耗》 1 《紅蓮地獄》 1 《大祖始の遺産》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
《師範の占い独楽》と《相殺》によるコンボで対戦相手の動きを封じ、《剣を鍬に》や《終末》で戦場をもコントロールするデッキが「青白奇跡」です。《師範の占い独楽》や《渦まく知識》を利用し、《終末》・《天使への願い》を人為的に「奇跡」する様はズルいとしか言いようがありません。
このデッキの特徴として、《師範の占い独楽》のおかげで動きが安定していること、基本地形の多さゆえに《不毛の大地》が入ったデッキに有利な点が挙げられます。
僕はレガシーだと「スゥルタイ・デルバー(青黒緑)」デッキを愛用していますが、実際にのぶ(斉藤 伸夫)さんの「青白奇跡」と当たった際には、完膚なきまでに叩きのめされました。その試合を経て、このマッチアップはかなり相性が悪いと実感したので、僕は「青白奇跡」が嫌いです(笑)
少し脱線してしまいましたが、レガシーで最も権威のあるコントロールデッキとして認知されているのがこの「青白奇跡」デッキなのです。そしてそんなコントロール界の王者が『タルキール覇王譚』から得たものは、《宝船の巡航》と対をなす《時を越えた探索》でした。
《宝船の巡航》と同様に、フォーマットを問わず大活躍中のこの1枚。これほどまでに強力なカードの集合体から選りすぐりの2枚を手にしてしまえば、ゲームを掌握することは容易いでしょう。特定のカードを探しやすい性質上、コンボデッキ向けのカードかと思っていましたが、まさかコントロールデッキでもお呼びがかかるとは驚きました。
そんな《時を越えた探索》を相棒に、「第1期レガシー神決定戦」に続き、「青白奇跡」デッキで「エターナルフェスティバル2014」をも制した川北さん。
「晴れる屋レガシー杯」の結果から察するに、最初は少量の《時を越えた探索》から初めて、徐々に枚数が増えていったようですね。《時を越えた探索》が墓地を追放してしまうため、増量に伴い《瞬唱の魔道士》が抜けてしまっているのが印象的です。
「BIGMAGIC OPENレガシー」でもきっちりとトップ8に1名を送り出している「青白奇跡」デッキ。コントロールデッキの代表格として、明日も活躍が期待されます。
■コンボは続くよどこまでも「スニーク・ショー」
2 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 2 《Tundra》 4 《沸騰する小湖》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《古えの墳墓》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《呪文貫き》 2 《目くらまし》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 4 《騙し討ち》 3 《水蓮の花びら》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
2 《赤霊破》 2 《摩耗+損耗》 2 《紅蓮地獄》 2 《防御の光網》 1 《イゼットの静電術師》 1 《紅蓮破》 1 《水流破》 1 《狼狽の嵐》 1 《裂け目の突破》 1 《安らかなる眠り》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
《時を越えた探索》を利用したもうひとつのデッキが、こちらの「スニーク・ショー」です。基本的には《実物提示教育》か《騙し討ち》から、《グリセルブランド》、または《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出すデッキで、青いデッキのお決まりであるドローサポートと妨害手段が脇を固めます。
このデッキにおける《時を越えた探索》の役割は、もちろんコンボパーツを揃えることです。もしも手札にコンボパーツが揃っているのであれば、それをバックアップできる《Force of Will》を探すためにも使用できますし、サイドボード後には特定のカードを探すことにも貢献します。
また、《時を越えた探索》や《精神を刻む者、ジェイス》を搭載すれば、マリガンを減らすことにも繋がります。一見2枚コンボは簡単に揃いそうな印象を受けますが、実際はそうではない展開も多いため、キープ基準になり、なおかつ1枚でコンボを揃えられるカードの増加は、このデッキにとって朗報と言えます。
「スニーク・ショー」は数あるコンボデッキの中でも非常に人気があるデッキなので、僕と同じく《引き裂かれし永劫、エムラクール》が大好き!という方はぜひこのデッキに注目してカバレージをご覧になってみてください。
「第2期レガシー神挑戦者決定戦」直前特集は以上となります。最近はモダンやレガシーの記事を書くと《宝船の巡航》と《時を越えた探索》の話ばかりしている気がしますが、それほどまでに強力なカードだとご理解いただければと思います。
はたして、明日の「第2期レガシー神挑戦者決定戦」では、これらの「探査」を組み込んだデッキが勝利を収めるのか。それとも、「カナディアン・スレッショルド」のようなデッキが王座を掴みとるのか。
もしかすると、読者の方の中にはまだレガシーをプレイしたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、他のフォーマットと同様に、またはそれ以上に魅力的なフォーマットですので、この記事や明日のカバレージがレガシーに興味を持っていただくきっかけになれば幸いです!
それでは、また次回の記事で!