こんにちは!
『タルキール覇王譚』が発売され、スタンダードが最も盛り上がる時期に突入したマジックシーン!
しかししかーし!この度のセットは、どうやらモダン環境やレガシー環境にも多大な影響を与えたようなので、明日の「第2期モダン神挑戦者決定戦」に備え、「直前!新環境モダン分析」と題しまして、『タルキール覇王譚』の注目カードを見ていきたいと思います。
それでは、各注目カードと、それらの入ったデッキリストをご覧ください。
■《宝船の巡航》
ヴィンテージフォーマットで制限カードに指定されている《Ancestral Recall》。《宝船の巡航》はその《Ancestral Recall》の再来と噂される、とんでもない1枚です。
モダンだけでなく、レガシーでも絶賛大活躍中のようですが、やはり優秀な軽量呪文と各種フェッチランドがある環境下での「探査」能力には、恐ろしいほどの爆発力がありますね。
長き沈黙を破り、ついに現世に舞い戻った《Ancestral Recall》こと《宝船の巡航》。早くもモダン環境で、その力を遺憾なく発揮しているようです!
7 《山》 3 《蒸気孔》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 1 《樹木茂る山麓》 -土地(19)- 4 《僧院の速槍》 4 《ゴブリンの先達》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(12)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 4 《欠片の飛来》 4 《頭蓋割り》 3 《焼尽の猛火》 2 《マグマの噴流》 4 《裂け目の稲妻》 4 《宝船の巡航》 -呪文(29)- |
4 《灼熱の血》 4 《ドラゴンの爪》 3 《粉々》 2 《血の手の炎》 2 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
「グランプリ神戸14」での優勝も記憶に新しい「バーン」デッキ。1ターン目から呪文を連打するそのスタイルは、言うまでもなく「探査」と相性が抜群です。そこに大量のフェッチランドを組み合わせることで、《宝船の巡航》を1マナや2マナでキャストできる展開も多々あるでしょう。これまでに幾度となく繰り返されてきたであろう、「最後の数点が削れない=火力1枚分が足りない」展開ともこれでおさらば!
また、「バーン」デッキには《宝船の巡航》だけでなく、新戦力として《僧院の速槍》が加わっています。これもまたレガシークラスの1枚ということで、モダン環境に一石を投じたカードと言って差支えなさそうです。
これら2種類のカードは「バーン」デッキ以外でも活躍しており、そのポテンシャルの高さを見せつけています。
2 《島》 1 《平地》 1 《山》 3 《蒸気孔》 2 《聖なる鋳造所》 1 《神聖なる泉》 4 《沸騰する小湖》 4 《乾燥台地》 3 《金属海の沿岸》 -土地(21)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 2 《瞬唱の魔道士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(15)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《血清の幻視》 4 《流刑への道》 4 《稲妻》 4 《稲妻のらせん》 1 《電解》 3 《宝船の巡航》 -呪文(24)- |
3 《翻弄する魔道士》 3 《神聖の力線》 3 《真髄の針》 2 《精神壊しの罠》 2 《墓掘りの檻》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《火と氷の剣》 -サイドボード(15)- |
「バーン」デッキの《僧院の速槍》が第2の《ゴブリンの先達》ならば、このデッキの《僧院の速槍》は第2の《秘密を掘り下げる者》です。「バーン」デッキほど一貫してパンプできるかどうかは疑問ですが、ダメージクロックのない展開はこのデッキにとって最大の癌だったので、それを打破できる1マナクリーチャーの登場は朗報と言っていいでしょう。
《僧院の速槍》と《宝船の巡航》。今のところセットで使われることが多いようですが、これからの更なる活躍に大いに期待ができそうです。
特に《宝船の巡航》はコンボデッキなんかで使われてもおかしくないような性能ですし、「《僧院の速槍》の相方」という枠組みをどう打ち破ってくるのか楽しみですね。
■《時を越えた探索》
《宝船の巡航》に続いての登場となるのは、同じく「探査」能力を持った《時を越えた探索》です。《宝船の巡航》は「バーン」デッキのようにどこを引いても同じような、いわゆる「金太郎飴デッキ」向けのカードですが、《時を越えた探索》は特定のカードを探したいコンボデッキやコントロールデッキにうってつけの1枚だと言えます。
3 《島》 3 《森》 2 《山》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《繁殖池》 4 《霧深い雨林》 1 《沸騰する小湖》 2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地(25)- 4 《桜族の長老》 2 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(6)- |
4 《手練》 2 《撤廃》 4 《差し戻し》 3 《イゼットの魔除け》 2 《遥か見》 4 《明日への探索》 4 《謎めいた命令》 4 《風景の変容》 2 《時を越えた探索》 -呪文(29)- |
4 《強情なベイロス》 4 《白鳥の歌》 3 《古えの遺恨》 2 《紅蓮地獄》 1 《焼却》 1 《対抗変転》 -サイドボード(15)- |
モダンを代表するコンボデッキのひとつが、こちらの「《風景の変容》」デッキ。これまでは、勝ち手段である《風景の変容》を探すために《深遠の覗き見》などを駆使していましたが、どうやらそれも終わりを迎えたようです。
《時を越えた探索》ならば、《風景の変容》におまけで《差し戻し》や《謎めいた命令》などの妨害手段まで付いてくる可能性を秘めています!その重さこそネックになりはしますが、2マナと言わず、5マナや6マナでキャストしても十分に強力でしょうし、このデッキのように「1枚で勝てるコンボデッキ」に最適な1枚ではないかと思います。
サイドボード後に特定のカードを探しやすい点も秀逸ですし、カウンター呪文2枚を調達したりするだけでも十分に便利なカードですよね。
このデッキのように、《時を越えた探索》が勝ちに直結するコンボデッキこそが、《時を越えた探索》の最良の使用法に見えますが、他にもコントロールデッキにおいて、新世代のドローサポートとしてあの悪名高き《スフィンクスの啓示》と枠を争っているようです。
5 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 4 《沸騰する小湖》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《天界の列柱》 3 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《呪文づまりのスプライト》 4 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《修復の天使》 -クリーチャー(12)- |
4 《稲妻》 3 《呪文嵌め》 2 《噴出の稲妻》 2 《火柱》 4 《差し戻し》 3 《マナ漏出》 2 《電解》 2 《謎めいた命令》 2 《時を越えた探索》 -呪文(24)- |
3 《流刑への道》 3 《摩耗+損耗》 2 《マグマのしぶき》 2 《否認》 2 《機を見た援軍》 1 《呪文滑り》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《ヴィダルケンの枷》 -サイドボード(15)- |
コントロールデッキにおける「ゴール」とは、時には《残酷な根本原理》であったり、またある時は《聖別されたスフィンクス》であったり、一昔前のスタンダードならば《スフィンクスの啓示》がそれにあたるでしょう。キャストした段階で対戦相手の心をへし折るものがほとんどで、奇しくもその大半には「カードを引く」と記されています。では、この度新たに加わった《時を越えた探索》はどうでしょうか?
カードの枚数だけで見てみると、2枚のカードが手に入るだけなので、歴代の偉大な先輩方の足元にも及びません。しかし、7枚の中から選りすぐりの2枚ならばどうでしょう?それでもまだ物足りない?ならばその効果が2マナで得られるならばいかがでしょう?
そうなんです。《時を越えた探索》には、前例のない「軽さ」という大きな強みがあります。ゲームが長引けば長引くほどコストの軽くなる「探査」能力は、長期戦を見据えたコントロールデッキにこれ以上ないほどマッチします。
除去呪文がほしい。カウンター呪文がほしい。勝ち手段がほしい。どんな願いも、たったの2マナで叶えます。求めていた品質がここにある!……かどうかは定かではありませんが、コンボデッキ以外でも可能性があることを十分に理解していただけるかと思います。
「探査」能力は、長期戦を戦っていればそれだけでコストの支払いが楽になっていくシステムですが、中には「墓地」をフィーチャーしたこのようなリストもあるようです。
2 《島》 2 《沼》 1 《平地》 3 《湿った墓》 1 《神聖なる泉》 1 《神無き祭殿》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 4 《忍び寄るタール坑》 1 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(4)- |
1 《殺戮の契約》 4 《思考掃き》 4 《悲劇的な過ち》 3 《コジレックの審問》 3 《呪文嵌め》 3 《マナ漏出》 2 《差し戻し》 4 《未練ある魂》 3 《残忍な切断》 2 《時を越えた探索》 3 《イニストラードの君主、ソリン》 -呪文(32)- |
2 《流刑への道》 2 《思考囲い》 2 《解呪》 2 《否認》 2 《機を見た援軍》 2 《悪夢の織り手、アショク》 1 《石のような静寂》 1 《神聖の力線》 1 《戦争と平和の剣》 -サイドボード(15)- |
「探査」を前提にするならば、1マナで3マナ分のコスト削減を実現する魔法のカード。それが《思考掃き》です。
スタンダードに在りし頃は、《瞬唱の魔道士》や《未練ある魂》とのコンボを意図して採用されることがほとんどでしたが、それはこのデッキにも受け継がれています。
ここまでは《時を越えた探索》ばかりにスポットライトを当ててきましたが、《残忍な切断》も《剣を鍬に》を彷彿とさせる優良カードです。特に《破滅の刃》や《喉首狙い》とは違い、対象に制限がないのが最大の利点で、「アーティファクト・クリーチャー」であろうと、《闇の腹心》であろうと対処できるのは非常に頼りになります。ある程度能動的に「墓地」を肥やせるデッキでないと使いづらいでしょうが、逆にそういった類のデッキであれば、《流刑への道》に勝るとも劣らない高スペックの除去呪文に化けます。
「探査」呪文が今後どの程度使われるかは、まだまだ未知数と言えますが、少なくとも《宝船の巡航》と《時を越えた探索》は、すでにモダン環境で主役級の活躍を見せています。今後更なる活躍を見せてくれるはずなので、これからの動向にも期待大ですね。
■有効色フェッチランド
ここまでは触れてきませんでしたが、「有効色フェッチランドの登場」も見逃せない一大トピックです。先ほどの「エスパー・コントロール」デッキなんかは、フェッチランドから基本地形を導くことでダメージの軽減に繋がりますし、《血染めの月》耐性も大幅に向上しています。もちろんその他の様々な友好色デッキも、この恩恵を受けることができます。
9 《山》 2 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 3 《乾燥台地》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地(26)- 4 《桜族の長老》 2 《真面目な身代わり》 4 《原始のタイタン》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(14)- |
3 《稲妻》 4 《神々の憤怒》 4 《明日への探索》 2 《内にいる獣》 4 《裂け目の突破》 3 《召喚の罠》 -呪文(20)- |
4 《神聖の力線》 4 《虚空の杯》 2 《幻触落とし》 1 《呪文滑り》 1 《古えの遺恨》 1 《焼却》 1 《霊気のほころび》 1 《塩まき》 -サイドボード(15)- |
《引き裂かれし永劫、エムラクール》+《裂け目の突破》or《召喚の罠》というびっくりメカの入った意欲作ですが、今回は涙を呑んでそこには目を瞑りましょう。
「有効色フェッチランド」の登場により、この手のデッキは以前よりも土地から受けるダメージが3点以上減ると思います。土地からのダメージがそれくらい変わると、ゲーム運びもずいぶんと変わると思うので、少し前に話題になった「青白コントロール」なども、今後より一層の活躍が見込めるかもしれません。
■《ジェスカイの隆盛》
最後を飾るのは、モダン環境に激震の走ったこのコンボデッキ。まずはデッキリストをご覧ください。
1 《島》 1 《森》 2 《繁殖池》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《寺院の庭》 4 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 2 《真鍮の都》 1 《内陸の湾港》 1 《根縛りの岩山》 -土地(16)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 4 《森の女人像》 -クリーチャー(12)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《手練》 4 《血清の幻視》 4 《たなびく緑青》 2 《たなびく真紅》 4 《きらめく願い》 4 《魔力変》 3 《宝船の巡航》 3 《ジェスカイの隆盛》 -呪文(32)- |
3 《神聖の力線》 2 《白鳥の歌》 2 《耳障りな反応》 2 《避難所の印》 1 《傷鱗の儀式》 1 《突然の衰微》 1 《貴重な発見》 1 《肉体+血流》 1 《大渦の脈動》 1 《ジェスカイの隆盛》 -サイドボード(15)- |
デッキの動きは一見複雑そうに見えますが、基本的にはマナクリーチャーから《ジェスカイの隆盛》を設置するのみで準備完了です。あとはデッキに組み込まれた大量のキャントリップ呪文を唱えながらデッキを掘り進み、その間に《ギタクシア派の調査》や《たなびく紺碧》を唱えるとマナが増えていくので、そのマナで《きらめく願い》をキャストし、最後はすさまじく大きくなったマナクリーチャーのパワーを《肉体+血流》で放り投げて勝ち手段にします。
このデッキは見た目以上に動きが安定しており、対戦相手の妨害がなければ3~4ターンでゲームを終わらせることが可能です。問題は対戦相手の除去呪文やカウンター呪文ですが、クリーチャー除去に関してはマナクリーチャーを複数体並べることで対処できます。カウンター呪文には少し手を焼くことになるでしょうが、メインボードは最速2ターンキルも可能なその速度で圧倒し、サイド後は《白鳥の歌》や《耳障りな反応》で強引にコンボを決めにかかりましょう。
モダン界に彗星のごとく現れたこのデッキ。安定性も奇襲性も文句なしの超絶コンボ!明日の「第2期モダン神挑戦者決定戦」のみならず、今後全てのモダントーナメントで要注目のデッキとなっております。
はたして文字通り《ジェスカイの隆盛》は隆盛してしまうのか!?それとも、すでにネタバレしてしまったこのデッキは脆くも崩れ去るのか?いずれにせよ、今大会最大の目玉は間違いなくこのデッキです!
「第2期モダン神挑戦者決定戦」直前特集は以上となります。おそらく多くの人の興味を引きつけている点は、「《ジェスカイの隆盛》コンボ」デッキが勝つか否か、ではないかと思います。かくいう僕もその1人!『タルキール覇王譚』加入により登場するデッキが他にもあるかもしれませんし、明日happymtgチャンネルで放送予定の生放送は見逃せませんね!
最後に宣伝になりますが、次週からmtg-jp上にて、「津村健志の先取り!スタンダード・アナライズ」という記事を執筆させていただく運びとなりましたので、そちらの方もよろしくお願いいたします!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。