by Jeremy Dezani
Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2018/03/10)
「プレイヤーフォーカス」へようこそ!
「プレイヤーフォーカス」は、世界に名立たるマジックプレイヤーにインタビューする企画です。日本のみなさん、そして世界中に彼らのことを広めていきたいと思っています。毎回違うプレイヤーを紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
この度のゲストはケルヴィン・チュウ/Kelvin Chew (@KelvinCh3w) です。
ケルヴィンはシンガポール出身のプロプレイヤーです。彼はアジアでは広く知られたプレイヤーでしたが、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017で4位に入賞したことで世界中の人々に最高のプレイヤーの1人として認知されるようになったのです。
インタビュー
プロフィール
氏名: ケルヴィン・チュウ
年齢: 31
国籍: シンガポール
スポンサー: MTG Mint Card
生涯プロポイント: 203
プロレベル 2017-2018: プラチナ
職業 / マジック以外の趣味
職業はGames Havenというカードショップの総支配人です。趣味は中国のドラマを見たり水泳をしたりすることですね。
マジックを始めたのはいつ、どのセット? マジックを知ったきっかけは?
マジックを始めたのは『ローウィン』の頃です。軍にいた友達がマジックを紹介してくれました。
プロプレイヤーになるまでに、あなたに一番影響与えた有名プレイヤーは?
うーん、そういった人はいませんでしたね。でもマジックを教えてくれた友人が、シンガポールで開催される大型大会に一緒に参加しないかと誘ってくれたのは覚えています。85人が集ったその大会で22位になったことで火がついて、それからPTQ (プロツアー予選) や選手権、それにグランプリなんかに参加するようになりました。
これまでの実績
プロツアー・トップ8: トップ8を1回
グランプリ・トップ8: トップ8を5回
その他: マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017 4位
好きな日本人選手とその理由
齋藤 友晴
齋藤 友晴です。彼はとてもフレンドリーですし、それに僕たちはどちらも新しいデッキを作るのが大好きなんです。
お気に入りのフォーマットとその理由
自身のデッキをよく理解することが報われるフォーマットなので、モダンがお気に入りです。
現時点のドラフトでお気に入りのアーキタイプとその理由
『イクサランの相克』で好きなアーキタイプは青緑マーフォークです。完成度の高いマーフォークデッキならば簡単に3-0できます。概して、良きシナジーを持ったクリーチャーたち、そして《粉砕する潮流》のようなテンポが取れる呪文でブロッカーを押しのけていくことになります。
アグレッシブやコントロール、ミッドレンジやコンボなどでお気に入りはありますか?また、それはなぜ?
これといった好みはありませんが、複雑なコンボデッキは苦手なのでなるべく使わないようにしています。
お気に入りのデッキ
スタンダード: 青黒コントロール
モダン: バント・ナイトフォール
レガシー: 今のところないですね。レガシーは数年前に一度プレイしたことがあるだけで、そのときは感染デッキを使いました。
フォーマットを問わず、今現在、特に気に入っているデッキは何ですか?
モダンのバント・カンパニーが好きなんですが、今はそこに《精神を刻む者、ジェイス》を入れたリストが好みです。バント・カンパニーは長きに渡って愛用してきた最愛のデッキなんです。どんなデッキとも互角以上に渡り合うことができますし、相性最悪のマッチアップが存在しないところが好きですね。
1パック目の1手目、どれをピックしますか?
《刺突》を取ります。
《原初の嵐、エターリ》、《砲撃》という2枚の素晴らしい赤いカードを流して《刺突》をピックすることで、左のプレイヤー2人が赤に向かうように仕向けます。
数ヵ月前に世界選手権2017で栄えある準決勝の舞台へとたどり着きましたよね。この経験はいかがでしたか?また、この大会中に最も感銘を受けたプレイヤーは誰だったのでしょう?
最高のプレイヤーたちと競えたこと、そして彼らから学べたことは間違いなく素晴らしい体験でした。今年の世界選手権にも招待されることが、僕の今シーズンの目標のひとつです。
左からクリスティアン・カルカノ、ハビエル・ドミンゲス、マルシオ・カルバーリョ、ケルヴィン・チュウ、リー・シー・ティエン
世界選手権本戦ではマルシオ・カルバーリョ/Marcio Carvalhoと一度も対戦できなかったものの、僕が調整中に最も感銘を受けたのがマルシオでした。彼のプレイングを見ることは非常に楽しみでしたし、マルシオはどんな複雑な盤面であれ短い時間で最適解を導き出すことができるんです。
あなたはシンガポールで最も有名なプレイヤーです。シンガポールのマジック事情はどうですか?大会に参加するためであったり、その練習のために移動をするのは大変ですか?
シンガポールは小さな国だとみなされていますが、それに反してマジックコミュニティはとても盛んです。昨年のシンガポール選手権には180人を超えるプレイヤーが集まりましたし、より多くのプレイヤーが真剣に打ち込みRPTQやグランプリに遠征するようになってきています。プロツアー『イクサランの相克』には9名のシンガポール人が参戦し、そのうちの2人は11勝5敗を記録しました。
シンガポールで大会に参加するのはとても簡単ですね。シンガポールは小さな国でありながらも20件近くのカードショップがあって、どこかしらで毎日大会が開催されているんですよ。ただし試合回数を多くこなせるので、基本的にはMagic Onlineで調整しています。
つい最近《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されました。どちらのカードがよりワクワクしましたか?また、そのカードをどのように使おうと考えていますか?
僕にとって初めてのプレミアイベントとなった世界選手権2011の参加権利を得られたときに使用していたカードなので、《精神を刻む者、ジェイス》の解禁には胸が高鳴りました。おそらく、これを3ターン目にキャストできるようなデッキや、序盤の妨害手段に長けたグリクシス・コントロールなんかで使うことになると思います。
新しいプロポイントシステムに関してどのように思いますか?アジアのプレイヤーにとって、プロ生活にどれくらいの影響を及ぼすのでしょうか?
このシステムはアジアのプレイヤーにとって良くないものだと思います。アジアで開催されるグランプリは回数が少ないですし、つまるところ限られたそれらの大会の中で好成績を残さなければならないことを意味するからです。このシステムはブロンズやシルバーレベルを目指すプレイヤーにとっては良いものでしょうが、ゴールドやプラチナを維持するのは大変です。
僕は今35点のプロポイントを保持していますが、そのうちの28点は1サイクル目で得たポイントです。したがって、残る2回のプロツアーで良い結果が残せなければ、1年間がんばった後にプロツアーの参加権利を失ってしまうことになるでしょう。もしそうなってしまったらマジックを少し控えると思います。
あなたはプロツアー『イクサランの相克』でアンドレア・メングッチとハビエル・ドミンゲスの2人をトップ8に送り込み、最も成功を収めたチームのひとつであるMTG Mint Cardの一員です。この素晴らしい成功の秘訣は何でしょう?
下段中央・左: ハビエル・ドミンゲス、右: アンドレア・メングッチ
おそらくその秘訣は、僕たちはチーム云々を抜きにして良き友人であり、互いの意見に耳を傾けてそれを信頼していることだと思います。
また、僕たちはリミテッドの分析、構築の調整やデッキ構築など、個々人が長所を発揮できるように調整を分担していることもプロツアーに向けた準備において大きく役立っています。