こんにちは!
いよいよ今年も終わりが近づいてきました。おそらく、今回の『コガモダン vol.7』が今年最後の記事になると思います。
今年は『晴れる屋』に入社してプロツアーに復帰したり、多くの変化があった1年でした。『津村健志のゴキゲン!MO生活』も始まりましたが、記事も放送も、みなさまのご声援があったからこそ、1年間楽しく続けることができました。お見苦しい点も多々あったかと思いますが、いつもご覧いただき本当にありがとうございます。来年はグランプリやプロツアーで結果が残せるよう、誠心誠意取り組んでいきたいと思います!
それでは、今年最後の『コガモダン』、最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします!
■ 「ノリン・シスターズ」
4 《平地》 1 《山》 4 《乾燥台地》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《湿地の干潟》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《聖なる鋳造所》 4 《魂の洞窟》 -土地(21)- 4 《教区の勇者》 4 《魂の管理人》 3 《魂の従者》 3 《二の足踏みのノリン》 1 《軍勢の忠節者》 4 《アジャニの群れ仲間》 2 《オーリオックのチャンピオン》 3 《イーオスのレインジャー》 2 《鍛冶の神、パーフォロス》 -クリーチャー(26)- |
4 《稲妻》 3 《流刑への道》 2 《戦列への復帰》 4 《起源室》 -呪文(13)- |
2 《電謀》 2 《摩耗+損耗》 2 《避難所の印》 2 《安らかなる眠り》 2 《石のような静寂》 2 《血染めの月》 1 《スレイベンの守護者、サリア》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード(15)- |
《魂の管理人》、《魂の従者》のライフ回復能力と、《アジャニの群れ仲間》を組み合わせたデッキが「ソウル・シスターズ」。このデッキはそこに赤を足すことで、驚きのギミックを多用することが可能になっています。
「時のらせん」のちっぽけなレアだったこのクリーチャーは、このデッキでは数々の素晴らしいシナジーを生み出します。まずは前述の《魂の管理人》、《魂の従者》との組み合わせ。これにより毎ターン1点のライフ回復が確定し、そうすることで《アジャニの群れ仲間》のサイズも驚くべき速度で成長します。
《二の足踏みのノリン》は「人間・クリーチャー」ということで、もちろん《教区の勇者》との相性も抜群です。1ターン目に《教区の勇者》から《二の足踏みのノリン》に繋いでしまえば、それだけで押し切れてしまう展開もあるでしょう。
他にも《起源室》や《鍛冶の神、パーフォロス》との組み合わせが秀逸な1枚で、この組み合わせもまた、ゲームを速やかに終わらせてくれます。
このデッキは、《二の足踏みのノリン》を抜きにしてもシナジー満載の面白いデッキですが、《戦列への復帰》などの細部のカード選択もお見事ですね。
デッキの構造上、フェアデッキ(非コンボデッキ)全般に強くできており、「青赤デルバー」の隆盛や、「《出産の殻》」デッキから「無限コンボ」が抜けてきている現在ならば非常に良いデッキ選択に思えます。
唯一の注意点としては、Austinさん自身が仰っていたように、誘発能力が多発するデッキですので、このデッキを持ち込む際には練習を欠かさないようにしましょう。
■ 「白黒トークン」
5 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《湿地の干潟》 1 《溢れかえる岸辺》 3 《孤立した礼拝堂》 1 《コイロスの洞窟》 3 《風立ての高地》 1 《大天使の霊堂》 -土地(23)- 3 《オーリオックのチャンピオン》 2 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(5)- |
4 《流刑への道》 4 《コジレックの審問》 2 《思考囲い》 4 《急報》 4 《盲信的迫害》 1 《残忍な切断》 4 《幽体の行列》 3 《清浄の名誉》 4 《未練ある魂》 2 《無形の美徳》 -呪文(32)- |
3 《ミラディンの十字軍》 3 《神聖の力線》 2 《大祖始の遺産》 2 《石のような静寂》 2 《隔離する成長》 1 《倦怠の宝珠》 1 《幽霊街》 1 《地盤の際》 -サイドボード(15)- |
今大会で活躍したもうひとつの白いデッキが「白黒トークン」です。《幽体の行列》、《未練ある魂》といった優秀なトークン生成カードを、《清浄の名誉》や《無形の美徳》でバックアップするのが基本戦略です。
このデッキはトークンによる数の暴力を主軸としているため、「デルバー」系のデッキを含むフェアデッキ全般に対して強くなっています。『The Last Sun 2014』の結果を見るに、「フェアデッキに強いデッキ」というのは今大会におけるひとつの指針だったと思います。
そして、それを象徴する1枚が《オーリオックのチャンピオン》です。Austinさんのリストにも採用されていたカードですが、ライフ回復能力とプロテクションにより、赤いデッキに対して非常に強いので、「青赤デルバー」や「バーン」デッキが多い現状だと重宝します。
「グランプリマドリード2014」でも「白単エメリア」デッキが成績を残しているように、今後もフェアデッキ過多のメタゲームが続くようであれば、これらの白いデッキにも要注目です。
■ 「青赤《欠片の双子》コンボ」
3 《島》 1 《山》 1 《森》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 3 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 1 《踏み鳴らされる地》 2 《硫黄の滝》 2 《内陸の湾港》 -土地(22)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《タルモゴイフ》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 -クリーチャー(14)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 2 《呪文嵌め》 2 《炎の斬りつけ》 1 《噴出の稲妻》 3 《差し戻し》 1 《電解》 1 《対抗変転》 2 《謎めいた命令》 4 《欠片の双子》 -呪文(24)- |
4 《誘惑蒔き》 2 《古えの遺恨》 1 《呪文滑り》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《自然の要求》 1 《払拭》 1 《否認》 1 《焼却》 1 《神々の憤怒》 1 《対抗変転》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
《詐欺師の総督》と《欠片の双子》のコンボを利用したこのデッキ。コンボの性質上、《突然の衰微》の流行り具合に結果を左右されやすいデッキですが、『The Last Sun 2014』では見事に6勝1敗という好成績を残しました。
ボクさんは、そんな《突然の衰微》系のデッキをしっかりと意識し、サイドボードに4枚もの《誘惑蒔き》を用意しています。
《誘惑蒔き》は《突然の衰微》に強いのはもちろんのこと、《ヴェールのリリアナ》にも耐性があるため、「緑黒」系のデッキに対するマスターピースだと言えます。
《誘惑蒔き》は本当に良いカードですし、他のデッキに対しては、コンボスピード的にも申し分ないので、こういった構築ができれば、今後の復権も大いに期待できるのではないかと思います。
最近のトレンドである《時を越えた探索》が入っていないことも目を引きますが、こうすることでコンボが揃いづらくなる代わりに序盤の攻防に強くなります。また、《時を越えた探索》を不採用にすれば《瞬唱の魔道士》をフル投入できるので、殴って勝つゲームも増えるでしょう。青いデッキであれば、必ずと言っていいほど「探査」呪文が搭載される傾向にありますが、そんな時代に一石を投じる構築と言えそうですね。
■ 「アブザン・ジャンク」
2 《沼》 1 《森》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《湿地の干潟》 1 《吹きさらしの荒野》 2 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《黄昏のぬかるみ》 1 《活発な野生林》 2 《樹上の村》 2 《地盤の際》 -土地(24)- 3 《貴族の教主》 4 《漁る軟泥》 4 《タルモゴイフ》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 3 《コジレックの審問》 1 《強迫》 1 《見栄え損ない》 1 《流刑への道》 4 《突然の衰微》 1 《四肢切断》 2 《未練ある魂》 1 《大渦の脈動》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(21)- |
4 《大爆発の魔道士》 3 《機を見た援軍》 2 《墓掘りの檻》 2 《悲哀まみれ》 1 《見栄え損ない》 1 《原基の印章》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
『happymtg』でもお馴染みの井川さんがシェアしたデッキがこちらの「アブザン・ジャンク」。
プロツアー『ドラゴンの迷路』予選を「ジャンド」で、プロツアー『タルキール覇王譚』予選を「黒緑ジャンク」で突破し、「グランプリ神戸2014」でも「黒緑タッチ白ジャンク」でマネーフィニッシュした「黒緑」マスターの井川さん。
そんな井川さんの新作リストの最大の特徴は、《貴族の教主》の採用でしょう。そこから繰り出される2ターン目の《ヴェールのリリアナ》は多くのデッキにとって脅威であり、もうひとつの「賛美」能力も《タルモゴイフ》や《包囲サイ》のにらみ合いを打破するのにうってつけです。
ただし、この構築の問題点としては、後半戦の脆弱さが挙げられます。3枚の《貴族の教主》、そして8枚もの手札破壊呪文が意味するところ、このデッキは長期戦における無駄カードを大量に抱えていることになります。それらのカードを生かして、序盤から押し切ってしまえれば、その問題が表面化することはないので、このリストを使用する際には、いかに素早く押し切れるかに注力するといいと思います。
「探査」カードや「《出産の殻》」デッキの隆盛により、《漁る軟泥》の評価が上がっているのは【前回お伝えした】通りですが、「デルバー」系のデッキが流行っているゆえに、《突然の衰微》の価値が高まっていることもまた、このデッキの躍進の理由でしょう。
このデッキも《包囲サイ》の加入により一気に勢力を伸ばしてきたデッキのひとつですが、唯一にして最大の懸念材料は、このデッキにとって比較的相性の悪い「《出産の殻》」デッキが大幅に数を増やしてきていることです。
■ 「エンジェルポッド」
2 《森》 1 《沼》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《草むした墓》 2 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 3 《剃刀境の茂み》 1 《森林の墓地》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 2 《貴族の教主》 2 《タルモゴイフ》 2 《復活の声》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 1 《根の壁》 2 《台所の嫌がらせ屋》 1 《オルゾフの司教》 1 《罪の収集者》 1 《永遠の証人》 1 《スパイクの飼育係》 1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《修復の天使》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《包囲サイ》 1 《叫び大口》 1 《テューンの大天使》 -クリーチャー(28)- |
2 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 4 《出産の殻》 -呪文(9)- |
2 《思考囲い》 2 《記憶殺し》 2 《窒息》 2 《虚空の杯》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《再利用の賢者》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《突然の衰微》 1 《未練ある魂》 1 《四肢切断》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
最強のフェアデッキ。現状でそれが何かと問われれば、僕は間違いなくこのデッキを第一候補にあげます。このデッキの強みは、高スペックなクリーチャーによるビートダウンと、《出産の殻》を利用した対応力の高さです。もとより《出産の殻》を引いた際の安定感には定評があるデッキでしたが、《包囲サイ》の登場により、ビートダウンプランが大幅に強化されました。
このリストは、《タルモゴイフ》まで採用し、ビートダウンプランをさらに強固なものにしています。
《包囲サイ》もそうですが、タフネスの高いクリーチャーを増量すると、赤いデッキに対して強くなるというメリットがあります。特に以前であれば苦戦した、《マグマのしぶき》や《神々の憤怒》に耐性が付く点は特筆に値します。
これまでは《復活の声》と《台所の嫌がらせ屋》をピンポイントで除去されると息切れしてしまうことが多かったですが、現在は事情が異なります。このデッキに勝つためには、それら小型クリーチャーと、大型クリーチャーの両方を裁く必要があるのです。
《出産の殻》を引かない場合にいかに勝率を高く保てるかは、この手のデッキに付随する課題でしたが、もはや《出産の殻》を引かないと展開が安定しないということはありません。マナカーブに沿った優秀なクリーチャー陣は、盤面を制圧するには十分すぎるほどの性能ですし、《思考囲い》、《突然の衰微》など、バックアップ手段も優秀です。
サイドボードに関しては、近頃では《窒息》、《虚空の杯》という「デルバー」デッキを目の敵にしたカードが一般的になっています。前者は「<風景の変容>」デッキや「青赤<欠片の双子>コンボ」デッキに、後者は「バーン」デッキなんかにも効果覿面のカードですね。
「《出産の殻》」デッキが今以上の活躍を見せるようであれば、今後はこのデッキにとって天敵である「赤緑ウルザトロン」デッキが増える可能性も十分にありえます。以前は打点の低さゆえに、《大爆発の魔道士》を数枚入れたくらいでは相性の改善にはいたりませんでしたが、今ならば《大爆発の魔道士》で作った時間でビートダウンを完遂できるのではないかと思います。
また、ミラーマッチ対策には《エイヴンの思考検閲者》や《ファイレクシアの変形者》が優れていると思います。
前者は《出産の殻》に強く、ミラーマッチでは《突然の衰微》をサイドアウトしやすいことも考慮すると、1枚で勝てる公算が高いです。
後者は《台所の嫌がらせ屋》のような「頑強」持ちに変形するなり、戦場で1番強力なクリーチャーになるだけでも十分な役割ですが、なんといっても《出産の殻》をコピーできる点が秀逸です。自身の《出産の殻》をコピーすれば、対戦相手は2枚の《帰化》系のカードがないと《出産の殻》を止められなくなりますし、ミラーマッチ専用機として今後真っ先に試してみたいカードですね。
来年の2月に行われるプロツアー『運命再編』でも、間違いなく上位に食い込んでくるであろう「《出産の殻》」デッキ。もしもモダンのデッキにお悩みの方は、ぜひ一度このデッキをお試しください。
■ 総括
以上で『コガモダン vol.7』の本編は終了です。【前回】と比べると、より一層《包囲サイ》が存在感を増してきたかなという印象を受けています。
プロツアー『運命再編』までにあと1回の禁止改定があるわけですが、個人的には《出産の殻》関係のカードが禁止にならなければ、「《出産の殻》」系統のデッキを持ち込もうと思っています。
《宝船の巡航》、《時を越えた探索》は禁止されるのではないかという予想をよく見かけますが、仮にその2枚だけを禁止にしてしまうと《包囲サイ》が今以上に暴れまわりそうなので、禁止カードの行末も、プロツアーに向けて大きな指針となりそうです。
そういったことも含め、モダンのプロツアー直前は、禁止カードを気にしながら調整を進めなければいけないのがネックですね。今年の2月に行われたプロツアー『神々の軍勢』では、直前に《死儀礼のシャーマン》が禁止に、《野生のナカティル》と《苦花》が禁止解除されたりと大きな変更があったので、次回もそれなりにインパクトの大きな変更があるのではないかと思っています。
「《出産の殻》」関係のカードに影響がない改定だと願いつつ、調整を続けたいと思います!
最後になりますが、今年も1年間大変お世話になりました。冒頭でも述べたように、こうやって楽しくマジックができているのも、みなさんのおかげだと深く感謝しております。来年は今年以上のペースで記事を書いたり、生放送の配信をしていきたいと思っておりますので、来年もよろしくお願いいたします!
それではみなさん、良いお年を!