こんにちは!
Shahar Shenharの優勝で幕を閉じた「世界選手権2014」の熱気も冷めやらぬ中、いよいよ「The Last Sun 2014」が今週末に迫ってまいりました。
フォーマットはスタンダードとモダンの2本立てですが、スタンダードは【日本語公式サイト】の『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 世界選手権2014特集』という記事で触れておりますので、この記事ではモダン環境のデッキを見ていきたいと思います。
気になる「世界選手権2014」のデッキ分布はこのようになりました。
■ 「世界選手権2014」デッキ分布
4 「青赤《秘密を掘り下げる者》」→デッキ検索
3 「ティムール(青赤緑)《秘密を掘り下げる者》」→デッキ検索
3 「《出産の殻》」→デッキ検索
3 「青赤ストーム」→デッキ検索
3 「《風景の変容》」→デッキ検索
3 「《命運縫い》入り《ジェスカイの隆盛》コンボ」→デッキ検索
2 「《宝船の巡航》バーン」→デッキ検索
1 「《ジェスカイの隆盛》コンボ」→デッキ検索
1 「アブザン(黒緑白)・ジャンク」→デッキ検索
1 「ジェスカイ(青白赤)・コントロール」→デッキ検索
3 「ティムール(青赤緑)《秘密を掘り下げる者》」→デッキ検索
3 「《出産の殻》」→デッキ検索
3 「青赤ストーム」→デッキ検索
3 「《風景の変容》」→デッキ検索
3 「《命運縫い》入り《ジェスカイの隆盛》コンボ」→デッキ検索
2 「《宝船の巡航》バーン」→デッキ検索
1 「《ジェスカイの隆盛》コンボ」→デッキ検索
1 「アブザン(黒緑白)・ジャンク」→デッキ検索
1 「ジェスカイ(青白赤)・コントロール」→デッキ検索
「《秘密を掘り下げる者》」を使用したデッキが最多の7名で、そこに各種コンボデッキが続く分布となりました。少し前に行われた「グランプリ・マドリード2014」で優勝したのも「ティムール《秘密を掘り下げる者》」でしたし、今大会で唯一4-0を記録したデッキもPatrick Chapinの「青赤《秘密を掘り下げる者》」デッキでした。これらの結果を顧みるに、現環境は<秘密を掘り下げる者>を中心にまわっていると言っても過言ではないでしょう。
このアーキタイプがトップに躍り出た要因は、なんといっても『タルキール覇王譚』で《宝船の巡航》が登場したことに他なりませんが、この度の「世界選手権2014」では、このような興味深いデータも出ています。
■ 「世界選手権2014」・『タルキール覇王譚』注目カード使用枚数
《宝船の巡航》が驚きの53枚!もう1枚の「探査」の代表格である《時を越えた探索》も24枚と使用率が高く、この2種類の合計使用枚数は77枚にも上りました。「世界選手権2014」の参加人数は24名なので、各カードの最高使用枚数は96枚。この結果を見るだけでも、いかに「探査」カードがモダン環境に多大な影響を与えたかを垣間見ることができます。
「探査」カード以外にも、《ジェスカイの隆盛》や《包囲サイ》、有効色フェッチランドなど、多くのデッキで見かけるカードが登場しましたし、『タルキール覇王譚』はその人気に違わぬ強力なセットと言えそうです。
それでは、ここからは各デッキリストをご覧いただきましょう。
■ 「ジェスカイ・コントロール」
2 《島》 1 《山》 1 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《沸騰する小湖》 3 《溢れかえる岸辺》 2 《乾燥台地》 3 《蒸気孔》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 2 《瞬唱の魔道士》 3 《前兆の壁》 2 《修復の天使》 -クリーチャー(7)- |
3 《稲妻》 3 《流刑への道》 2 《呪文嵌め》 3 《マナ漏出》 2 《差し戻し》 2 《稲妻のらせん》 1 《疑念の影》 4 《電解》 2 《謎めいた命令》 1 《至高の評決》 4 《時を越えた探索》 -呪文(27)- |
2 《大祖始の遺産》 2 《払拭》 2 《摩耗+損耗》 2 《石のような静寂》 2 《神の怒り》 1 《否認》 1 《疑念の影》 1 《神々の憤怒》 1 《不忠の糸》 1 《世界のるつぼ》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『神々の軍勢』優勝、プロツアー『タルキール覇王譚』準優勝と、すばらしいアベレージを残しているShaun McLarenさん。どの環境でも「ジェスカイ」カラーをこよなく愛するShaunさんですが、プロツアー『神々の軍勢』(モダンフォーマット)を「ジェスカイ・コントロール」で制したこともあってか、今大会にも同アーキタイプで参加しています。
このアーキタイプの最も大きな変化は、《時を越えた探索》によりゲームの掌握が容易になったことでしょう。
以前から 《瞬唱の魔道士》、《電解》、《謎めいた命令》などの、所謂1対2交換で徐々にアドバンテージ差を広げていくデッキでしたが、《時を越えた探索》は中長期戦におけるゴールとして申し分のないものです。これまでは《スフィンクスの啓示》が使われていた枠ですが、《スフィンクスの啓示》には重さという致命的な弱点がありました。それに対して、《時を越えた探索》はわずか2マナ。それでいてゲームを決定付けるだけの力もありますし、メインボードとサイドボードに採用されている、各種1枚差しのカードを探しやすいというメリットもあります。
《宝船の巡航》と《時を越えた探索》が氾濫しているため、できることなら《差し戻し》を大量投入したいところですが、それに待ったをかけているのが現環境の王座に鎮座する「《秘密を掘り下げる者》」デッキです。
■ 「青赤《秘密を掘り下げる者》」
4 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《乾燥台地》 3 《蒸気孔》 1 《硫黄の滝》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 1 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(13)- |
4 《稲妻》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《血清の幻視》 3 《思考掃き》 2 《二股の稲妻》 2 《蒸気の絡みつき》 2 《呪文嵌め》 1 《差し戻し》 1 《マナ漏出》 1 《イゼットの魔除け》 1 《電解》 4 《宝船の巡航》 -呪文(29)- |
2 《呪文貫き》 2 《払拭》 2 《粉々》 2 《血染めの月》 1 《イゼットの静電術師》 1 《電謀》 1 《マグマのしぶき》 1 《収穫の火》 1 《否認》 1 《不忠の糸》 1 《忌むべき者のかがり火》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『ニクスへの旅』で念願のプロツアーチャンピオンに輝いたPatrick Chapin。そんな絶好調男が相棒に選んだのは、『タルキール覇王譚』の加入により誕生した「青赤《秘密を掘り下げる者》」でした。
フォーマットを問わず大活躍を見せる《秘密を掘り下げる者》に加え、新顔ながらモダンやレガシーでもレギュラーとして定着しつつある《僧院の速槍》を筆頭に、マナ効率の良いカードで攻め入るデッキです。
《僧院の速槍》と同じくこのデッキを大幅に強化した《宝船の巡航》の加入を受け、ドローサポートとして《思考掃き》が採用されることが一般的になりました。それを加味してか、サイドボードに《収穫の火》のような珍しいカードも投入されています。
このデッキにとって《タルモゴイフ》や《包囲サイ》の対処は非常に難しいので、《収穫の火》や《不忠の糸》のように、タフネスの大きなクリーチャーも対処できるカードは重要です。
《収穫の火》に関しては、墓地を過剰に追放することで《タルモゴイフ》の弱体化も狙えるでしょうし、この辺りのカード選択はさすがChapinといったところでしょうか。
また、18枚という土地の少ないデッキであるにも関わらず《忌むべき者のかがり火》が採用されている点にも要注目です。ミラーマッチや《未練ある魂》に対する回答として、《電謀》の追加といった役割でしょうが、中盤以降の爆発力が魅力的な1枚。実際に使ってみるまでは、その重さゆえに懐疑的でしたが、《宝船の巡航》の力もあって土地がスムーズに伸びるデッキですので、見た目以上にデッキにフィットした1枚だと思います。
Chapinのリスト以外にも、「《秘密を掘り下げる者》」デッキでは日本勢3名が使用したタッチ緑バージョンが、合計成績で8-4と大きく勝ち越しに成功しています。
■ 「ティムール《秘密を掘り下げる者》」
2 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 2 《樹木茂る山麓》 2 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《硫黄の滝》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《タルモゴイフ》 1 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(13)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 3 《ギタクシア派の調査》 3 《思考掃き》 3 《呪文嵌め》 2 《呪文貫き》 2 《蒸気の絡みつき》 2 《二股の稲妻》 2 《差し戻し》 4 《宝船の巡航》 -呪文(29)- |
2 《古えの遺恨》 2 《剥奪》 2 《溶鉄の雨》 2 《不忠の糸》 1 《漁る軟泥》 1 《イゼットの静電術師》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《凶暴な拳刃》 1 《払拭》 1 《マグマのしぶき》 1 《破壊的な享楽》 -サイドボード(15)- |
日本勢が持ち込んだデッキは、先ほどの「青赤《秘密を掘り下げる者》」に緑を足した「ティムール」バージョンでした。
市川さんとなべ君(渡辺 雄也)のインタビューにもあるように、「《秘密を掘り下げる者》」系統のデッキはコンボデッキに対して強いデッキですが、緑を足すことで「青赤<秘密を掘り下げる者>」デッキに対して強くなるメリットがあります。
土地からのダメージや《血染めの月》耐性こそ落ちるものの、《タルモゴイフ》の圧倒的なまでのサイズは火力で落とすことが難しいので、「青赤《秘密を掘り下げる者》」が今後も同様の活躍を見せるようであれば、「ティムール」は良い選択肢と言って差支えないでしょう。
■ 「アブザン・ジャンク」
1 《沼》 1 《森》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 3 《湿地の干潟》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《草むした墓》 2 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《活発な野生林》 1 《樹上の村》 2 《地盤の際》 1 《黄昏のぬかるみ》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《タルモゴイフ》 4 《漁る軟泥》 2 《大爆発の魔道士》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(14)- |
1 《殺戮の契約》 4 《思考囲い》 3 《コジレックの審問》 1 《強迫》 1 《暗黒破》 4 《突然の衰微》 2 《四肢切断》 1 《大渦の脈動》 1 《未練ある魂》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(22)- |
4 《機を見た援軍》 2 《疑念の影》 1 《大爆発の魔道士》 1 《鷺群れのシガルダ》 1 《墓掘りの檻》 1 《強迫》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《悲哀まみれ》 1 《大渦の脈動》 1 《未練ある魂》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
手札破壊からの《タルモゴイフ》。いつの世も必ずと言っていいほどにお目にかかる、この動きを主軸とするデッキが「アブザン・ジャンク」です。近頃では「グランプリ・マドリード2014」での活躍も記憶に新しいところ。
「青赤《秘密を掘り下げる者》」に強い《包囲サイ》は当然の4枚採用で、さらには《暗黒破》のように「青赤《秘密を掘り下げる者》」デッキを狙い撃ちにしたカードの採用も目を引きます。このリストでは数が減っていますが、《未練ある魂》も同デッキに対して強いカードとして知られていますね。
この手のデッキの魅力としては、環境的に<漁る軟泥>が強くなっている点が挙げられます。
こまめに墓地を掃除することで、対戦相手は「探査」呪文を唱えづらくなりますし、それこそ「探査」カードを使わないデッキはないような現状なので、《漁る軟泥》の価値は高まるばかり。環境次第では4枚採用を疑問に思うこともありますが、今ならば4枚で問題ないでしょう。
また、「ティムール《秘密を掘り下げる者》」デッキの項でも述べたように、赤いデッキが増えるほどに《タルモゴイフ》の価値も高まります。もとより相手のデッキに左右されない強さを誇るカードではありますが、《突然の衰微》のような除去カードが環境から減れば減るほどにその力を発揮しやすくなりますね。
Willy Edelはこのリストで3-1の好成績を残しており、メタゲームにしっかりとフィットさせることさえできれば、十分に通用することを証明してくれました。それが最も難しい点であることに疑いの余地はありませんが、プレイヤーの腕の見せ所でもありますね。今後さらに「青赤《秘密を掘り下げる者》」デッキが増えるのであれば、《暗黒破》や《未練ある魂》の増量を検討するといいでしょう。
■ 「《出産の殻》」
3 《森》 1 《沼》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《湿地の干潟》 2 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 2 《剃刀境の茂み》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 2 《貴族の教主》 3 《復活の声》 1 《漁る軟泥》 1 《根の壁》 2 《台所の嫌がらせ屋》 1 《オルゾフの司教》 1 《再利用の賢者》 1 《永遠の証人》 1 《クルフィックスの狩猟者》 3 《包囲サイ》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《修復の天使》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《叫び大口》 1 《目覚ましヒバリ》 -クリーチャー(25)- |
3 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 2 《残忍な切断》 4 《出産の殻》 -呪文(12)- |
2 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 2 《召喚の調べ》 1 《臓物の予見者》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《呪文滑り》 1 《弁論の幻霊》 1 《罪の収集者》 1 《納墓の総督》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《イーオスのレインジャー》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《思考囲い》 -サイドボード(15)- |
《包囲サイ》の加入により、これまで以上に殴り勝つプランが強力になった「《出産の殻》」デッキ。
過去にもコンボではなく、《復活の声》や《台所の嫌がらせ屋》、そして《ガヴォニーの居住区》によるバックアップを駆使して殴り勝つことの多いデッキでしたが、本体火力を兼ねる《包囲サイ》は、そのプランをより一層強固なものにしてくれました。それどころか、《包囲サイ》の戦闘力の高さゆえに、ここ最近では「無限コンボ」を抜いてしまったリストさえ登場するほどです。「トランプル」のおかげで《若き紅蓮術士》のトークンに対しても強いですし、《突然の衰微》にひっかからない点も秀逸です。
ライフ回復能力ももちろん魅力的で、「青赤《秘密を掘り下げる者》」デッキがメタゲームの上位に位置する今現在においては、Samが3枚もの《包囲サイ》を採用したのも納得です。
他に変更が加えられた点として、前述の通り「無限コンボ」が抜けてしまったこと、《思考囲い》がメインから採用されている点が挙げられます。
《シルヴォクののけ者、メリーラ》コンボが抜けてしまった理由としては、このコンボがあまりにも除去に対して弱いことが挙げられます。「《稲妻》環境」と評されるモダンフォーマットにおいて、除去耐性のないコンボを搭載しておく必要性は薄いと思うので、この変更は非常に良いものだと思います。ただし、《シルヴォクののけ者、メリーラ》コンボも《スパイクの飼育係》+《テューンの大天使》コンボも抜いてしまうとゲームを速やかに終わらせることができず、対戦相手もプレイをしやすくなってしまうので、いずれかの即死コンボは入れておいた方がいいように思えます。
《思考囲い》がサイドボードからメインボードに昇格したのは、おそらくコンボデッキの隆盛が関連していると思われます。今回の「世界選手権2014」の結果だけを見ても、「《ジェスカイの隆盛》コンボ」、「《風景の変容》」、「青赤《紅蓮術士の昇天》」などなど、現環境にはたくさんのコンボデッキが混在しているので、《思考囲い》だけでなく《罪の収集者》もメインボードに採用される機会が増えていますね。
「アブザン・ジャンク」と同様に、ひょっとするとそれ以上に環境にフィットさせるのが難しいデッキとしても知られていますが、コンボの有無も含めて、まだまだ研究の余地の多いデッキです。
■ 「《ジェスカイの隆盛》コンボ」
2 《島》 1 《山》 1 《平地》 4 《フェアリーの集会場》 4 《沸騰する小湖》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《乾燥台地》 2 《蒸気孔》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 1 《金属海の沿岸》 -土地(22)- 4 《命運縫い》 -クリーチャー(4)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思考掃き》 4 《血清の幻視》 3 《稲妻》 3 《流刑への道》 4 《イゼットの魔除け》 3 《差し戻し》 4 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 4 《ジェスカイの隆盛》 -呪文(34)- |
3 《摩耗+損耗》 3 《けちな贈り物》 2 《白鳥の歌》 2 《機を見た援軍》 1 《否定の契約》 1 《剥奪》 1 《堀葬の儀式》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -サイドボード(15)- |
『タルキール覇王譚』発売直後に話題となった「《ジェスカイの隆盛》コンボ」。「世界選手権2014」前までは、《極楽鳥》、《貴族の教主》、《森の女人像》といった【マナクリーチャーと1マナ呪文でコンボを完成させるタイプが主流】でしたが、Tom Martellたちが持ち込んだのは《命運縫い》をフィニッシャーに据えた画期的なリストでした。
◆ コンボの仕組み
簡単にコンボの仕組みを紹介させていただくと、このようになっています。
1.戦場に《命運縫い》と《ジェスカイの隆盛》を用意
2.土地からマナを出す
3.《命運縫い》で土地をアンタップ
4.何かしらの呪文を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力で《命運縫い》がアンタップ&+1/+1
5.《ジェスカイの隆盛》のドロー能力で、《命運縫い》を引いたら捨てて「蘇生」
2.土地からマナを出す
3.《命運縫い》で土地をアンタップ
4.何かしらの呪文を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力で《命運縫い》がアンタップ&+1/+1
5.《ジェスカイの隆盛》のドロー能力で、《命運縫い》を引いたら捨てて「蘇生」
あとはこれを好きなだけ繰り返せば、《ジェスカイの隆盛》で《命運縫い》が育っていくので、アタックすればゲームエンドというわけです。
◆ マナクリーチャー型との比較
フィニッシャーをマナクリーチャーではなく《命運縫い》にすると、マナクリーチャーが占めていた枠を除去やカウンター呪文に充てられるので、様々な局面に対応できる柔軟な構築が可能となります。また、《命運縫い》はマナクリーチャーとは違い、「蘇生」能力で疑似的に「速攻」クリーチャーとして機能しますし、コンボの直前まで「《ジェスカイの隆盛》コンボ」デッキだと悟られづらい点も、このリストの長所と言っていいでしょう。
その反面でデメリットはと言いますと、以前のリストと比べて多少コンボが止まりやすいことです。このデッキと対峙した相手は、基本的に手札に除去が余り続けるので、マナさえあれば《命運縫い》にありったけの除去をつぎ込んでコンボを妨害することができます。マナクリーチャー型であれば、マナクリーチャーを大量に並べたり、《森の女人像》を駆使すれば単体除去を掻い潜ることができますが、このリストだと《命運縫い》を普通にキャストしたり、複数枚の《命運縫い》を引き込むくらいしか対処法がありません。
また、デッキに多様性を持たせるために投入したカードがコンボとは無関係なものが多いので、対戦相手の妨害を抜きにしても、《命運縫い》1体だけだとマナが足りなくなり、コンボが止まってしまう可能性が高くなっています。
総括するとどちらにも良し悪しはあるものの、マナクリーチャー型は「コンボを最速で決める」タイプで、このリストは「対戦相手の動きを妨害した後に悠々とコンボを決める」タイプと言えるでしょう。これまでにマナクリーチャー型で結果が残っていなかったことを踏まえると、今後はこちらのタイプが主流になるのかもしれませんが、もしかするとマナクリーチャーと《命運縫い》が混在したリストにも可能性があるかもしれません。
■ 「青赤ストーム」
3 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 2 《蒸気孔》 2 《シヴの浅瀬》 -土地(16)- 4 《ゴブリンの電術師》 -クリーチャー(4)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《手練》 4 《思考掃き》 4 《血清の幻視》 4 《魔力変》 4 《発熱の儀式》 4 《捨て身の儀式》 2 《ぶどう弾》 3 《炎の中の過去》 3 《宝船の巡航》 4 《紅蓮術士の昇天》 -呪文(40)- |
3 《巣穴からの総出》 3 《摩耗+損耗》 2 《稲妻》 2 《払拭》 2 《粉砕の嵐》 1 《翻弄する魔道士》 1 《宝船の巡航》 1 《神聖なる泉》 -サイドボード(15)- |
「青赤ストーム」を愛用することの多いチーム「ChannelFireBall」。この度も例に漏れずそのアップデート版を持ち込んできましたが、そんな中で新加入したカードは《宝船の巡航》です。
《宝船の巡航》の強さはここまでに散々お伝えしてきた通りですが、このデッキにおける《宝船の巡航》の採用は、他のデッキとは一線を画しています。なぜならば、このデッキは「墓地を軸にしたデッキ」なのです。
テキスト通り、これらのカードは墓地にカードがないと何もしません。仮に墓地を全て《宝船の巡航》のコストに充ててしまうと、このデッキは機能不全を起こしてしまう危険性を孕んでいるのです。それにも関わらず3枚も採用されていることに驚かれる方もいらっしゃるでしょうが、やはりそれほどまでに軽いドローサポート呪文と<宝船の巡航>の相性は凄まじいということの表れだと思います。サイドボードに4枚目が採用されているのは、《コジレックの審問》、《思考囲い》、《ヴェールのリリアナ》のように手札破壊が大量に入ったデッキや、「コントロール」デッキ対策です。
《宝船の巡航》のコストの支払いに関する注意点としては、<魔力変>だけは替えが効きづらいパーツなので、墓地を全て追放する必要がない場合は、このカードを残すようにしましょう。
これまでは、墓地を使うデッキでは《宝船の巡航》も《時を越えた探索》も使いづらいという理論が一般的でしたが、このデッキは見事にそれを打ち破ってくれました。例えこのように墓地を必要とするデッキであれど、「探査」呪文の採用を検討すべきだという良いお手本ですね。
■ 総括
「世界選手権2014」で活躍したデッキ紹介は以上になります。今回は目立った活躍ができなかったものの、「親和」デッキ、「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキ、はたまた「赤緑トロン」など、モダンにはまだまだたくさんの優れたデッキが存在します。
個人的には、「探査」呪文や《命運縫い》入りの「《ジェスカイの隆盛》コンボ」の台頭を受け、《漁る軟泥》か《大祖始の遺産》をメインから搭載したデッキが良い選択ではないかと思っていますが、なかなか上手くまとまらずに試行錯誤を繰り返しております。
今年1年の締めくくりとなる「The Last Sun 2014」では、一体どのような結果が待ち受けているのでしょうか。みなさんも、ぜひご自身の目でご確認ください!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。