こんにちは!Hareruya Prosの津村 健志です。
いよいよグランプリ神戸14が来週末に迫ってまいりました!今回のグランプリは、本戦やサイドイベント以外にもたくさんの催し物が用意されているとのことなので、もうデッキが決まった人も、そうでない人も、全力でこの夏最大のイベントを楽しんじゃいましょう!
さて、PTQも全て終了して、最後の総決算に向かうモダンシーズン!「グランプリ神戸14」直前特集と題しまして、今回はメタゲーム上位のデッキと、各地PTQの結果から面白いデッキをチェックしていきましょう。
■「親和」
1 《島》 3 《空僻地》 4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《墨蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 -土地(16)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 3 《鋼の監視者》 4 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(25)- |
4 《感電破》 3 《アーティファクトの魂込め》 4 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(19)- |
2 《呪文貫き》 2 《思考囲い》 2 《はらわた撃ち》 2 《古えの遺恨》 2 《血染めの月》 1 《呪文滑り》 1 《摩耗+損耗》 1 《無効》 1 《墓掘りの檻》 1 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
『マジック基本セット2015』の加入により最も強化されたデッキは、まさかまさかの「親和」デッキでした。
《アーティファクトの魂込め》。『マジック基本セット2015』のリミテッド戦では、《羽ばたき飛行機械》や《ダークスティールの城塞》とのコンボは面白くて強いコンボとして広く知られていますが、それらのカードが4枚ずつ搭載された「親和」デッキに《アーティファクトの魂込め》が投入されたことは、極々自然な流れだったのかもしれません。
ただしこれほどまでに即座に、それもPTQ優勝という素晴らしい結果を残したことは間違いなく大きなニュースです。各種低マナクリーチャーやマナ加速と組み合わせれば、2ターン目から5/5で攻撃を始めることも容易にできるでしょうし、《大霊堂のスカージ》や《電結の荒廃者》との相性の良さも特筆に値します。後半に腐りがちな《オパールのモックス》、《バネ葉の太鼓》をクリーチャーにできる点も評価できますね。
たった1枚のカードではありますが、《アーティファクトの魂込め》の登場は「親和」デッキを更なる高みへと導いてくれました。各地のPTQでこのデッキを見かける機会は以前より増えており、すでに《アーティファクトの魂込め》の枚数は何枚が適正なのか、という議論まで巻き起こっているようです。
1 《島》 3 《空僻地》 4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《墨蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 -土地(16)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 3 《鋼の監視者》 2 《エーテリウムの達人》 2 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(25)- |
4 《感電破》 2 《物読み》 1 《アーティファクトの魂込め》 4 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(19)- |
3 《呪文貫き》 2 《刻まれた勇者》 2 《はらわた撃ち》 2 《古えの遺恨》 2 《血染めの月》 1 《摩耗+損耗》 1 《呪文滑り》 1 《集団疾病》 1 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
1 《島》 3 《空僻地》 4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《墨蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 -土地(16)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 3 《鋼の監視者》 4 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(25)- |
3 《感電破》 2 《物読み》 2 《アーティファクトの魂込め》 4 《オパールのモックス》 1 《溶接の壺》 3 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(19)- |
3 《思考囲い》 3 《古えの遺恨》 3 《血染めの月》 2 《摩耗+損耗》 2 《集団疾病》 2 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
上記ふたつのデッキリストは先週末に行われたPTQのものですが、これらのリストでは《アーティファクトの魂込め》は1枚と2枚に減量されています。これは主に、動きにムラのできやすい《アーティファクトの魂込め》を削ることで安定性を高める目的と、サイドボード後の《古えの遺恨》などに弱いことを見越しての変更なのではないかと思います。
前者に関しては、もとより「親和」はメイン戦最強のデッキと名高いため、爆発力よりも安定性を重視した結果ではないかと考えられます。後者は「オーラ」カードの性質上、《ダークスティールの城塞》以外のカードに付けると《古えの遺恨》などで損をしやすいため、サイド後にどのみち減量するのであれば、メインから減らしておくべきという判断だと思います。
いずれにせよ、《アーティファクトの魂込め》が「親和」デッキの「メイン戦最強」という地位をより一層確固たるものにしたのは間違いありません。どのデッキで出るにせよ、最も対策を怠りたくないデッキのひとつですね。
また、両者がサイドボードに投入している《集団疾病》にも要注目です。後述の「黒緑ジャンク・タッチ白」の増量に伴い《未練ある魂》を見かける機会が増えたことと、「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキが多いことを考慮しての起用でしょうが、今のメタゲームならば採用しておいて損のない1枚です。
■「黒緑ジャンク・タッチ白」
2 《沼》 1 《森》 2 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 4 《湿地の干潟》 2 《黄昏のぬかるみ》 1 《活発な野生林》 1 《孤立した礼拝堂》 3 《樹上の村》 3 《地盤の際》 -土地(25)- 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 3 《漁る軟泥》 -クリーチャー(11)- |
1 《殺戮の契約》 4 《思考囲い》 3 《コジレックの審問》 4 《突然の衰微》 4 《ヴェールのリリアナ》 3 《未練ある魂》 2 《四肢切断》 1 《化膿》 1 《大渦の脈動》 1 《野生語りのガラク》 -呪文(24)- |
3 《大爆発の魔道士》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《石のような静寂》 2 《墓掘りの檻》 1 《強情なベイロス》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《機を見た援軍》 1 《忍び寄る腐食》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
ここ数ヶ月間、モダンシーズンを牽引し続けている「黒緑ジャンク」デッキ。このリストは、ミラーマッチで最高峰のカードである《未練ある魂》のために白を足して、同系対決で有利が付くように工夫されています。これほどまでに露出の多いデッキであれば、ミラーマッチ対策が進んでいくのも至極当然な流れですね。
白を足せば《未練ある魂》以外にも、「親和」デッキに劇的な《石のような静寂》だったり、「《出産の殻》」デッキと「ウルザトロン」に突き刺さる《エイヴンの思考検閲者》など、サイドボードにも有用なカードを搭載することができるようになります。3色にすると、土地から受けるダメージが増えるために純粋なビートダウン耐性こそ落ちますが、ミラーマッチと「親和」に強くなるアプローチは大いに検討の余地ありです。
もしもタッチ白をしないのであれば、《未練ある魂》が増えている現状を加味して、《仕組まれた爆薬》や《大渦の脈動》を増量したりして、《未練ある魂》対策を怠らないようにしましょう。
■「青赤<欠片の双子>コンボ
5 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 3 《硫黄の滝》 1 《滝の断崖》 2 《僻地の灯台》 -土地(23)- 4 《呪文滑り》 4 《詐欺師の総督》 4 《やっかい児》 2 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(14)- |
1 《否定の契約》 4 《炎の斬りつけ》 4 《血清の幻視》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《手練》 2 《呪文貫き》 2 《血染めの月》 4 《欠片の双子》 2 《大祖始の遺産》 -呪文(23)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《雷口のヘルカイト》 2 《移し変え》 2 《古えの遺恨》 2 《神々の憤怒》 1 《否定の契約》 1 《払拭》 1 《残響する真実》 1 《焼却》 1 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
モダン3強デッキの一角を占める「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキ。一時期は《瞬唱の魔道士》+《稲妻》パッケージを詰め込んだリストが一世を風靡しましたが、最近ではコンボに特化したこのようなリストの活躍が目立つようになってきました。
ただ単にコンボに特化しただけでなく、《大祖始の遺産》や《血染めの月》など、妨害手段を豊富に搭載している点が特徴的です。このリストには採用されていませんが、《広がりゆく海》まで取って土地破壊の要素を強くしたリストもあるほどです。
また、サイドボードに眠る《移し変え》には要注目です。このデッキの課題として、《突然の衰微》をどうやって掻い潜るかというものがありましたが、《移し変え》はその解答にうってつけというわけです。他の候補としては《ミジウムの外皮》なんかもありますが、《ミジウムの外皮》がクリーチャーを守ることにしか使えないのに対し、《移し変え》はコンボ時以外でも除去などを移し変えることでアドバンテージが取れる点が秀逸ですね。
2枚即死コンボはいつの世も強力と相場は決まっていますが、このデッキも間違いなくグランプリ本戦での活躍が見込まれるデッキのひとつです。
■「トリコロール(青白赤)・デルバー」
1 《平地》 1 《島》 1 《山》 2 《蒸気孔》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 2 《金属海の沿岸》 1 《硫黄の滝》 1 《処刑者の要塞》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《渋面の溶岩使い》 4 《瞬唱の魔道士》 3 《若き紅蓮術士》 3 《聖トラフトの霊》 2 《刃の接合者》 2 《修復の天使》 -クリーチャー(21)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《血清の幻視》 4 《流刑への道》 4 《稲妻》 3 《呪文嵌め》 1 《四肢切断》 -呪文(20)- |
3 《無効》 2 《ブレンタンの炉の世話人》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《イゼットの静電術師》 2 《払拭》 2 《マグマのしぶき》 1 《誘惑蒔き》 1 《ファイレクシアの非生》 -サイドボード(15)- |
一時期のスタンダードを席巻した、《秘密を掘り下げる者》を軸としたデッキ。軽い優良クリーチャーと優良呪文という組み合わせで盤面を掌握することを主眼に置いたデッキであり、《秘密を掘り下げる者》・《若き紅蓮術士》・《聖トラフトの霊》といった面々は対戦相手に息つく暇さえ与えません。
脇を固めるカードも、《稲妻》・《流刑への道》とモダン環境を代表する強力カードで占められており、序盤の攻防においてこのデッキの右に出るものはいないと言っていいでしょう。
その反面で長期戦は苦手とするデッキなので、このデッキが目指すべくは真っ向からの殴り合い、または一方的な虐殺劇です。除去を打つ対象やタイミングに悩む場合もあるかもしれませんが、《ギタクシア派の調査》さえあれば、その判断も容易なものとなるでしょう。
このデッキの天敵と言える《紅蓮地獄》や《神々の憤怒》は、現状では比較的軽視されている状況にあるので、グランプリ本戦においても活躍が期待できるデッキです。
■「トリコロール(青白赤)・キキジキ」
2 《島》 2 《山》 1 《平地》 2 《蒸気孔》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 4 《天界の列柱》 2 《滝の断崖》 1 《硫黄の滝》 -土地(24)- 3 《前兆の壁》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《刃の接合者》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 4 《修復の天使》 3 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(17)- |
4 《流刑への道》 4 《稲妻》 3 《血清の幻視》 2 《呪文嵌め》 2 《マナ漏出》 2 《差し戻し》 2 《謎めいた命令》 -呪文(19)- |
2 《イゼットの静電術師》 2 《払拭》 2 《天界の粛清》 2 《神々の憤怒》 2 《石のような静寂》 1 《刃の接合者》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《焼却》 1 《機を見た援軍》 1 《塩まき》 -サイドボード(15)- |
普通の「トリコロール・コントロール」デッキに、アドバンテージ獲得手段として《鏡割りのキキジキ》を採用したのがこちらのデッキ。先ほどの「トリコロール・デルバー」と同色とは思えないほどに毛色の違うデッキに仕上がっています。
デッキ名にもなっている《鏡割りのキキジキ》は、《前兆の壁》・《瞬唱の魔道士》・《刃の接合者》と組み合わせることで容易にアドバンテージを稼げるのはもちろんこと、モダンではすっかりお馴染みとなった《修復の天使》との即死コンボで対戦相手を一瞬で葬り去ることが可能となっています。対戦相手が隙を見せた際や、消耗戦において非常に頼りになる1枚ですね。
このデッキの最大の強みは、対戦相手に<鏡割りのキキジキ>絡みの即死コンボが入っていると悟られづらいことです。《前兆の壁》以外のパーツは一般的な「トリコロール」と何ら変わりがないので、対戦相手がタップアウトでターンを返してくることも多々あります。
《前兆の壁》は《鏡割りのキキジキ》が入っているサインだと思って差支えないので、もしも手札に《修復の天使》+《鏡割りのキキジキ》コンボを阻害できるカードがある際には、マナを起こしておくように注意しましょう。
■「メリーラ・ポッド」
3 《森》 1 《沼》 2 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 4 《新緑の地下墓地》 3 《霧深い雨林》 2 《湿地の干潟》 3 《剃刀境の茂み》 3 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 3 《貴族の教主》 1 《臓物の予見者》 3 《復活の声》 1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《漁る軟泥》 1 《根の壁》 1 《呪文滑り》 3 《台所の嫌がらせ屋》 1 《クルフィックスの狩猟者》 1 《永遠の証人》 1 《再利用の賢者》 1 《オルゾフの司教》 1 《罪の収集者》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《イーオスのレインジャー》 1 《修復の天使》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《叫び大口》 -クリーチャー(29)- |
2 《突然の衰微》 2 《召喚の調べ》 4 《出産の殻》 -呪文(8)- |
4 《思考囲い》 2 《四肢切断》 2 《未練ある魂》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《オルゾフの司教》 1 《納墓の総督》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《突然の衰微》 -サイドボード(15)- |
かつては「黒緑ジャンク」、「青赤《欠片の双子》コンボ」、「親和」デッキと並ぶ4強デッキだったはずの「《出産の殻》」デッキ。「PTQ川崎(6/7開催)」以降は徐々に活躍の機会を減らし、昨今ではトップ8に1人も残っていないことも珍しくありませんでした。特にそれは日本国内で顕著に表れていたように思えますが、今回の「PTQ新宿」では違いました。
優勝こそ逃してしまったものの、トップ8に2人を送り込み、見事に復調の兆しを見せています。「《出産の殻》」デッキはデッキ構築もプレイングも非常に難しく、それもあってこれまで目立った活躍ができなかったように思えます。マナクリーチャーを効率よく対処してくる《電解》の流行り具合にもよりますが、今回のモダンシーズンを締めくくる「グランプリ神戸14」にて、完全復活をアピールできるのか。要注目のデッキです。
また、happymtgでレガシーコラムを連載中の斉藤 伸夫さんのこのリストは、アメリカの有名デッキビルダーであるGerry Thompsonもべた褒めしていました。
This might be the best Melira Pod I've seen. http://t.co/URtYC8kmq1
— Gerry Thompson (@G3RRYT) 2014, 8月 19
–Gerry Thompson
Gerryも惚れ込んだ一級品のこのリスト。「《出産の殻》」デッキをお使いの方は、ぜひ一度お試しください。
■「青単マーフォーク」
14 《島》 3 《フェアリーの集会場》 4 《変わり谷》 -土地(21)- 4 《呪い捕らえ》 4 《銀エラの達人》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 3 《幻影の像》 4 《波使い》 -クリーチャー(23)- |
4 《蒸気の絡みつき》 2 《はらわた撃ち》 4 《広がりゆく海》 4 《霊気の薬瓶》 2 《大祖始の遺産》 -呪文(16)- |
3 《白鳥の歌》 2 《はらわた撃ち》 2 《移し変え》 2 《ハーキルの召還術》 2 《墓掘りの檻》 2 《ヴィダルケンの枷》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード(15)- |
板橋予選を突破したのは、長らく日の目を浴びることのなかった「青単マーフォーク」デッキでした。単純に母数が少ないこと、それによりリストの進化が滞ってしまったことが原因だったと思われますが、この度見事にPTQ優勝という快挙を成し遂げました。
和田さんのリストはメインボードの《波使い》4枚に始まり、《幻影の像》や《大祖始の遺産》など、個性的なカード選択が目を引きます。
《波使い》は「プロテクション(赤)」のおかげで《稲妻》で落ちないことはもちろんのこと、「4マナ」ということで《コジレックの審問》と《突然の衰微》にも耐性があるため非常に頼りになる存在です。トークン生産能力により《ヴェールのリリアナ》にも強いですし、その圧倒的な打撃力は多くのマッチアップで勝利を呼び込んでくれることでしょう。
《幻影の像》は安定性にこそ難があるものの、各種「ロード」や《波使い》との相性の良さに加え、モダン環境では対戦相手の強力なクリーチャーになれることも加点対象。特に《タルモゴイフ》だったり、「頑強」持ちの《台所の嫌がらせ屋》・《残忍なレッドキャップ》辺りは格好のターゲットと言えるでしょう。
《大祖始の遺産》は《タルモゴイフ》、《漁る軟泥》、《瞬唱の魔道士》、「頑強」持ちクリーチャー陣といった、メタゲーム上位のデッキが多用しているカードに強いことがメインボード採用の理由でしょう。無駄になるデッキの方が少ない、とまで言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、この手法は自分が墓地を使わないデッキであれば他のデッキでも活用できるので、検討の余地はあると思います。
■「感染」
1 《森》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《繁殖池》 1 《霧深い雨林》 1 《新緑の地下墓地》 4 《真鍮の都》 4 《マナの合流点》 4 《墨蛾の生息地》 2 《ペンデルヘイヴン》 1 《セジーリのステップ》 1 《ぐらつく峰》 -土地(21)- 4 《貴族の教主》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《変異原性の成長》 4 《地うねり》 4 《古きクローサの力》 3 《突撃のストロボ》 2 《呪文貫き》 4 《森の占術》 3 《使徒の祝福》 2 《肉体+血流》 1 《野生の抵抗》 -呪文(27)- |
4 《ヴィリジアンの堕落者》 4 《自然の要求》 2 《呪文貫き》 2 《野生の抵抗》 1 《紅蓮地獄》 1 《機を見た援軍》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
「感染」持ちのクリーチャーに《地うねり》・《古きクローサの力》のような巨大化系の呪文を連打し、早ければ2ターンキルも可能な一種のコンボデッキがこちらの「感染」デッキ。このリストは《突撃のストロボ》を採用することで、2ターンキル、3ターンキルの可能性を大幅に引き上げています。
《突撃のストロボ》の採用だけでも十分に意欲的な作品と言えますが、松浦さんのリストでもう1枚注目していただきたいのが《肉体+血流》です。これならば《使徒の祝福》では突破できない複雑な盤面でも問題なく本体にダメージを与えることができますし、なんと言っても《肉体+血流》の秀逸な点は、このデッキの天敵である《シルヴォクののけ者、メリーラ》を対処できることです。「モダン神決定戦」で《シルヴォクののけ者、メリーラ》用に《狩人狩り》を採用している「感染」デッキを見かけましたが、《肉体+血流》ならばメインから無理をすることなく運用することが可能です。
「感染」デッキはクリーチャーと巨大化系の呪文で占められているため、一見捌きやすい印象を受けるかもしれませんが、見た目以上に組し難いデッキです。除去呪文を打つタイミングを間違えると一瞬で負けかねないので、いつも以上に慎重にプレイするように、できることなら「感染」側のマナのない内の対処を心がけましょう。
■「赤緑ヴァラクート」
9 《山》 2 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地(27)- 4 《桜族の長老》 2 《真面目な身代わり》 1 《スラーグ牙》 4 《原始のタイタン》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(15)- |
4 《遥か見》 4 《明日への探索》 4 《風景の変容》 4 《裂け目の突破》 4 《召喚の罠》 1 《他所のフラスコ》 -呪文(21)- |
2 《呪文砕きのビヒモス》 2 《大祖始の遺産》 1 《呪文滑り》 1 《大爆発の魔道士》 1 《強情なベイロス》 1 《自然の要求》 1 《古えの遺恨》 1 《神々の憤怒》 1 《クローサの掌握》 1 《沸騰》 1 《塩まき》 1 《粉砕の嵐》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
「グランプリミネアポリス14」での優勝を筆頭に、最近ではすっかり「青緑タッチ赤」という形が主流になっていた「《風景の変容》」デッキ。このリストは昔なつかしの「赤緑」純正であり、なおかつそこに驚きの一工夫が仕掛けられています。
そうです。目黒さんは泣く子も黙る<引き裂かれし永劫、エムラクール>+<裂け目の突破>コンボを仕込んでいます。このコンボの長所としては、《風景の変容》とは速さもベクトルも全く違うために、対戦相手に予想されづらいことが挙げられます。少なくとも土地が7枚はないと<風景の変容>デッキは勝てない、という一般論を打ち破る素晴らしい構築ですね。
また、当然のことながら《裂け目の突破》は《原始のタイタン》とも相性が良いです。《裂け目の突破》を経由すれば一瞬で4枚もの追加の土地を用意することができるので、《風景の変容》や、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》単体での勝利にグッと近づくことができるでしょう。対戦相手の終了ステップに《裂け目の突破》を唱えれば、自身のターン終了ステップまで生き残ることをお忘れなく。
最後になりますが、ここまでに開催された国内のPTQの結果を振り返って締めくくりたいと思います。
■国内PTQ『タルキール覇王譚』 結果一覧
開催日 | 開催地 | 優勝者 | アーキタイプ | トップ8デッキリスト |
6/7(土) | 川崎 | Yoon Soo Han | 出産の殻 | こちら |
6/15(日) | 金沢 | Kawahama Yoshikazu | 親和 | こちら |
6/21(土) | 大阪 | Kiyonaga Sho | 欠片の双子 | こちら |
6/29(日) | 土浦 | Ikawa Yoshihiko | 黒緑ジャンク | こちら |
7/21(月・祝) | 千葉 | Chester Swords | タルモツイン | こちら |
7/21(月・祝) | 名古屋 | Murae Ryuuji | 親和 | こちら |
7/27(日) | 松山 | Fukui Shunsuke | 欠片の双子 | ― |
8/9(土) | 京都 | Nagai Mamoru | 黒緑ジャンク | ― |
8/10(日) | 板橋 | Wada Hiroya | マーフォーク | こちら |
8/10(日) | 福山 | Irimura Daisuke | 欠片の双子 | こちら |
8/17(日) | 新宿 | Matsumoto Yuki | トリコトラフト | こちら |
改めて結果を見直してみると、3強と謳われる「黒緑ジャンク」・「青赤<欠片の双子>コンボ」・「親和」デッキの勝ちっぷりに驚きますね。はたして「グランプリ神戸14」ではこれらのデッキがその支配力を見せつける結果となるのか。それとも、新たなデッキが王座を奪うのか。モダンシーズンの締めくくりをお見逃しなく!
さてさて、僕は青赤系統のデッキで参加予定です。明日の放送で最後の調整模様をお届けする予定ですのでお楽しみに!
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それではみなさん、グランプリ会場でお会いしましょう!